登録販売者の働き方
2021-11-29
登録販売者が活躍できるドラッグストア以外の職場とは?
・Before
・After
登録販売者の勤務先として最もイメージしやすいのはドラッグストアではないでしょうか。ドラッグストアは求人数も多く働きやすい職場ですが、近年では製薬会社や介護施設など、活躍の場はどんどん広がっています。 この記事では登録販売者資格を生かせるドラッグストア以外の職場と、業務内容について紹介していきます。登録販売者としてのキャリアアップや今後の働き方を考えている方はぜひ参考にしてください。
公開日:2020年8月24日
更新日:2021年11月29日
登録販売者=ドラッグストア勤務ではない!
店舗数が多く人手不足の地域があることや扱う医薬品の多いドラッグストア。そのため登録販売者の求人数も多く、登録販売者が勤務先として選ぶ主要な職場のひとつです。
ドラッグストア店頭は品目数が多く、医薬品に限らずヘルスケア全般に携わることができるやりがいの大きい職場です。
一方で、最近ではOTC医薬品販売の規制緩和により、ドラッグストアや薬局以外でも医薬品を取り扱えるようになりました。
登録販売者が扱える第2類・第3類医薬品は一般医薬品の9割以上を占めており、知識豊富な登録販売者を求める場も増えてきています。
登録販売者が活躍できる「ドラッグストア以外の職場」とは
それでは登録販売者資格を生かすことのできる職場を見ていきましょう。職場ごとの特徴やメリットデメリットも紹介します。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット
近年ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットでも医薬品を販売する店舗が登場しています。店舗の一角に医薬品コーナーを設けている場合が多いのが特徴です。
■メリット
医薬品販売のノルマがない場合が多いのが特長。
お客さまの症状により最適な医薬品アドバイスを行います。24時間営業の店舗では夜中の体調不良などでお薬を購入される方もいらっしゃいます。緊急時に頼りになる存在として地域のなかで頼りにされれば、やりがいも感じられるでしょう。
また医薬品コーナー全体を任され、仕入れや商品のディスプレイ、在庫管理など店舗運営の一部を学べる場合もあります。
■デメリット
店舗によっては同じシフトに登録販売者が自分だけという場面もあり、忙しい時もすべて一人で対応しなければなりません。
また、医薬品の取り扱いがメインの職場ではないため専門性を高めにくく、登録販売者としてのキャリアアップはしづらい環境といえるでしょう。
ホームセンターや家電量販店
ホームセンターや家電量販店の医薬品販売コーナーでも登録販売者が活躍しています。大型店は立地や給与もよい傾向にある一方で、地域とのつながりはやや希薄な面も少なくありません。
■メリット
とくに大型店は駅チカなど立地もよく、比較的給与も高い傾向にあります。
医薬品コーナーの専属になれば、仕入れや商品のディスプレイ、在庫管理など多くを学べ、より規模の大きな売り上げに貢献できることもあるでしょう。
■デメリット
大型店では外国人観光客や家族連れなどさまざまなお客さまへの対応が必要になり、業務が煩雑になることも多いでしょう。
また、目的なく来店される方や安く大量に医薬品を購入したいと来店される方も多いため、地域密着で一人ひとりのお客さまとじっくり向き合いたいと考えている場合は物足りなく感じるかもしれません。
調剤薬局
調剤薬局でも登録販売者資格を生かすことは可能です。
とくに一般医薬品を取り扱う調剤薬局では、薬剤師とうまく役割分担しながら接客対応を行っていきます。
■メリット
営業時間が長く夜間帯の対応も必要になるドラッグストアに比べ、調剤薬局は閉店時間も早いため、仕事とプライベートの両立がしやすい傾向にあります。
また、医療事務の仕事と兼任することがほとんどで、医療事務のスキル習得も可能なのが魅力です。同僚には医薬品の専門家である薬剤師が多く、刺激のある職場と感じるでしょう。
■デメリット
レセプト(診療報酬明細書)の入力や処方箋の受付けなどドラッグストアにはなかった業務が発生するため、業務への適応性や基本的なパソコンスキルなどを求められることも少なくないでしょう。
また、薬剤師との役割分担ができていない薬局の場合、患者さまとの接点をもつのがほとんど薬剤師になってしまい、登録販売者としてのスキルを磨く機会がなくなってしまうこともあります。
漢方薬局
最近では中規模以上の企業が漢方薬局を経営していることもあり、登録販売者の活躍の場が広がっています。
漢方薬が好きな方、親身になってお客さまの健康相談に乗りたい方にとってはやりがいのある職場です。
■メリット
お客さまの薬歴管理も行うので、漢方薬の深い知識を得ながら一人ひとりにじっくり寄り添うことができる環境です。
様々な生活用品も取り扱うドラッグストアに比べ、漢方薬を中心とした医薬品や健康食品の取り扱いがメインになるため、「もっと薬に関わりたい」と思っている場合はやりがいを感じられる仕事になるでしょう。
■デメリット
ドラッグストアに比べ客層や来店数が限られるため、様々な症状状況のお客さまとコミュニケーションをとりたい方にとっては物足りなさを感じる可能性も。
また、東洋医学の知識が深まる一方で、最新のOTC医薬品や介護関連、化粧品などの幅広い知識をインプットしてお客さまに提供したいと考えている場合は、入職後に希望とのギャップが生じるかもしれません。
製薬会社の営業
登録販売者の資格を生かし、製薬会社の営業として働く方も。
仕事は医療用医薬品のMR(医薬情報担当者)や、自社直販で売っているOTC医薬品のルート営業などがあげられます。
■メリット
登録販売者はもともと医薬品の成分や効能、副作用に関する知識が身についているので仕事に適応しやすいと捉えられ、資格が有利に働きやすくなります。
入職後は営業職として医師や薬剤師などと関わるため、高いビジネススキルを学べるのも魅力。
また、先進医療と近い現場に携わることができるため「より医療に近い現場で働きたい」と考えている場合は大きなやりがいを感じられるでしょう。
■デメリット
営業職は売上ノルマが課されるため、仕事上の責任も大きくなります。
また、医師や病院関係者などをクライアントにするため、これまでになかった人間関係の構築や求められるビジネススキル、コミュニケーションスキルの高さに、ストレスを感じることも多くあるかもしれません。
介護施設、訪問介護
施設の入居者や訪問介護を利用する方は、様々な医薬品を同時に服用していることが多くあります。
登録販売者は介護職員へOTC医薬品の説明や、飲み合わせの確認などを行います。
■メリット
高齢化社会への移行にともない、介護施設や訪問介護の需要は今後ますます高くなることが予想されます。
早めに介護についての知識や専門性を磨くことで、自身の市場価値を高めることができるでしょう。
介護が必要な方の健康を守る重要な役割を担うことはやりがいにもつながります。
■デメリット
介護職員や介護福祉士が登録販売者資格の取得を目指す動きも加速しており、今後は登録販売者資格だけではキャリアアップしていくのが難しい場合があります。
エステサロンや化粧品コーナー
医師が監修したドクターズコスメなどがだんだん一般的になっている昨今、エステサロンや化粧品コーナーでも、医薬品に関する知識を生かし美容アドバイザーとして働く登録販売者が増えています。
■メリット
美容に関心の高い方には楽しく働きがいのある職場になるでしょう。
美意識の高いお客さまを相手に美容に関する知識を深められるため、自分自身を磨くことにもつながります。
■デメリット
客層や扱う製品サプリメントなどの幅が限定されるため、美容に関することだけでなく様々な体の不調を感じているお客さまの役に立ちたいと考える場合には向いていないかもしれません。
登録販売者がドラッグストア以外への転職を考える際の注意点
登録販売者は、過去5年以内に2年(24ヶ月)以上の実務経験がなければ「研修中」の状態に戻ってしまうことに注意しましょう(※)。
「実務経験」は働いていれば認められるということではなく、たとえば製薬会社や介護施設での勤務は実務経験としては加算されません。
選ぶ業種によっては登録販売者としてのキャリアアップから遠ざかってしまう可能性があるのです。
もし今後、ドラッグストアなど一般医薬品の販売店に戻ることを考えている場合は、他業種への転職に挑戦する前に、しっかりとキャリアプランを考えておきましょう。
※管理者要件を満たすための条件はいくつかあります。実務経験の数え方、管理者要件については以下の記事で詳しく解説しています。
▼参考記事
【2021年8月改正】登録販売者の店舗管理者要件が緩和!経過措置の終了についても解説
登録販売者の活躍の場は広がっている
今回ご紹介したように、登録販売者が活躍できる場はドラッグストア以外にも広がっています。
様々な仕事にチャレンジできる可能性を秘めているので、ぜひ違う業界にも目を向けてみてください。自分では思いもよらなかった業界に活躍のチャンスがあるかもしれません。
なお、転職を考える場合には、自分の希望する業務内容や勤務条件などを明確にして、十分に情報収集を行ってから転職先を選ぶことが大切です。
求人票の情報だけではなく、実際にその職場で登録販売者資格を生かせるのか、自分の理想に近い条件で働けるかどうか見極めましょう。
困った場合は、登録販売者の転職を専門にする転職コンサルタントの力を借りるのも良いでしょう。
ぜひ登録販売者としての幅を広げて、キャリアアップを目指してくださいね。
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