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2022-06-24

高齢者のフレイルとは?あらわれやすい症状や原因、予防方法についても解説

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高齢者のフレイルとは?あらわれやすい症状や原因、予防方法についても解説

コロナ禍による長期間の外出自粛が続いている影響もあり、近頃ではフレイルになる高齢者が増えてきました。残念ながらフレイルの治療は、薬局やドラッグストアで販売されている医薬品ではできません。しかし、登録販売者もフレイルの予防や対策へ介入することは可能です。今回は登録販売者ができるフレイルへの対策や予防方法などを解説します。「疲れやすい」「動くのがつらい」というお悩みを抱えたお客さまが来店された場合の対応として、参考にしてみてください。

目次

  1. 高齢者がなりやすい「フレイル」とは?
  2. 不調が不調を呼ぶ悪循環「フレイル・サイクル」とは?
  3. フレイルの予防方法
  4. 登録販売者にできる高齢者のフレイル対策とは
  5. お客さまの状態をヒアリングしてフレイルの予防につなげよう

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高齢者がなりやすい「フレイル」とは?

高齢者がなりやすい「フレイル」とは?

『フレイル診療ガイド2018年版』(日本老年医学会/国立長寿医療研究センター)によると、フレイルとは「要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的虚弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する」と定義されています。

しかし一方で、早期に適切な予防や治療を行うことで機能維持または向上できるとも言われており、健康寿命を延ばすためにも早期発見・対処が重要視されているのです

そもそも高齢者のフレイルという概念は、日本老年医学会によって2014年に提唱されました。

フレイルは、英語の「frailty」を基にした造語です。「frailty」には「虚弱」「衰弱」という意味のほか、しかるべき介入により再び健常な状態に戻るという意味も含まれるためフレイルとあらわされるようになりました。

 

フレイルの症状

フレイルで見られる症状としては、次のものがあります。

  • 歩くスピードがゆっくりになる
  • 疲れやすくなる
  • 活動量が減少する
  • 筋力が低下する
  • 体重が減少する

このほか、免疫機能が低下したり、ストレスを受けやすくなったりするのも特徴です。

 

判断基準とは?

どのような状態になればフレイルなのかを判断する共通の基準はありません。

そこで用いられているのが「改訂J-CHS基準」です

老年医学の専門家によれば、これら5つの基準のうち3つ以上が揃うことでフレイルと評価されます。

 

◼️フレイル評価基準(改訂J-CHS基準)

項目 評価基準
1.体重減少  6か月で意図せず2kg以上の体重減少が見られる
2.筋力低下 握力が男性で28kg未満、女性で18kg未満になっている
3.疲労感 ここ2週間で理由もないのに疲れを感じる
4.歩行速度 通常の歩行速度が1秒あたり1mを下回っている
5.身体活動 ①軽い運動や体操をしている
②定期的に運動やスポーツをしている
上記①②の質問に対して、どちらも週に1回もしていないと回答した場合 
引用:『2020年改定 日本版CHS基準(J-CHS基準)』

 

上記5項目のうち1つから2つ該当する場合は、プレフレイルといってフレイルの予備軍とされます

 

原因

また、フレイルになる原因としては、次のものが知られています。

〈身体的要因〉
・ロコモティブシンドローム(運動器障害)
・低栄養状態

 

〈社会的要因〉
・閉じこもり
・孤食
・孤独

 

〈精神・心理的要因〉
・軽度認知障害(MCI)
・うつ病
・認知症

高齢者は筋肉量が減っているため、運動器に障害が起きやすい状態です。口腔機能も低下しているため、栄養状態が悪くなることも少なくありません。

また、近年では一人暮らしの高齢者も増加傾向にあります。

一人で毎日を過ごしていると、他者との関わりがなくなると次第に活力が失われていき、うつ病や認知症の発症につながることも。

こうした精神・心理的な問題は目に見えづらく、フレイルの原因になることも多いため注意しなければなりません。

 

 

不調が不調を呼ぶ悪循環「フレイル・サイクル」とは?

ロコモティブシンドローム(運動器障害)や低栄養状態などの身体的要因が原因で起こるフレイルは、認知機能の低下を招く恐れがあることがわかっています

このように一つの機能低下が別の機能低下を招き、結果としてさまざまな不調を引き起こす悪循環を「フレイル・サイクル」と言い、要介護状態へと進行させる要因でもあります。

長期化するコロナ禍での生活は、社会的に孤立してフレイルになりやすい状態です。

そのため、このような負のサイクルへ足を踏み入れないように注意しなければなりません

 

 

フレイルの予防方法

フレイルの予防方法

フレイルになると、転倒リスクが高まったり、自立した日常生活を送れなくなったり、健康障害が起きやすくなるため未然に防ぐことが大切です。

ここではフレイルの予防方法について確認しておきましょう。

 

食事

フレイルの予防を行うためには、まず食事の見直しを行いましょう。食事は活力の源となる大切な存在です。

以下の3つのポイントを心がけ、特にたんぱく質を積極的に摂取しましょう。

たんぱく質は、筋肉を作るために必要な栄養素です

  • 3食しっかり摂る
  • 1日に2回以上、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べる
  • 多くの食品を食べる

加齢により筋肉が衰えやすいので、体重や日々の活動量に合わせて摂取していきましょう。

トーストに卵を乗せたり、ごはんに納豆を添えたりすることで、簡単に摂取量を増やせます

 

運動

体力を維持するためには、定期的に運動を行うことが大切です。

フレイル予防には、スクワットやダンベルなどの筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行うレジスタンス運動、片足立ちやかかと上げなどのバランストレーニングなどが推奨されています。

徐々に運動の強度を上げていくと効果的です。

 

社会参加

できるだけ一人でいる時間を減らすのも効果があります

介護施設での補助や子育て支援、公園の清掃活動などのボランティアは、高齢者でも参加しやすいでしょう。

友人と映画に行ったり、畑を借りて野菜を育てたりするのもおすすめです。

 
 
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登録販売者にできる高齢者のフレイル対策とは

登録販売者にできる高齢者のフレイル対策とは

では、登録販売者は高齢者のフレイルに対してどのような対策を行えるのでしょうか。

 

高齢者の薬物療法について知る

高齢者では腎機能や肝機能が低下していたり、体内の水分量が減少していたりする影響で、薬物療法による副作用が出やすくなっています

たとえば睡眠薬は、健忘のリスクを増加させるケースもあるため、高齢者には慎重な投与が必要です。

抗コリン薬の影響で口腔内が乾燥し、食事を摂りづらくなる場合もあるでしょう。

薬の副作用でフレイルになることを頭に入れておけば、お客さまから相談があった際にもアドバイスがしやすくなります

 

嚥下機能の維持や生活習慣に関わるアドバイスをする

むせやすくなるといった嚥下機能の低下が見られる場合は、薬の副作用が影響している可能性を考慮します。

抗ヒスタミン薬や抗コリン薬は嚥下機能を低下させやすく、市販では風邪薬や鼻炎薬などにこれらの成分が配合されているため、販売の際は注意しましょう。

また、筋肉を維持するためにたんぱく質を積極的に摂ること、管理栄養士による栄養指導を受けることなども提案してみてください。

薬局やドラッグストアで栄養相談を開催してみるのもおすすめです。

 

社会参加や外出を支援する

少しでも外に出る機会を増やすことで、フレイルを予防できます

地域で住民団体や行政が主催する「通いの場」や地域カフェ、習い事、就労、ボランティアなどに可能な範囲で参加してもらうと良いでしょう。

体を動かすのが億劫で外に出られない方の場合は、片足立ちやかかと上げなど簡単な運動をしてもらうように指導するのも効果的です

 

気軽にできるフレイルチェックの活用

自らの症状を自覚させて受診を促すために、以下のようなチェック方法があることを知っておくと良いでしょう。

 

■後期高齢者の質問票

後期高齢者(75歳以上)を対象に、15項目の質問票も用意されています。

1. あなたの現在の健康状態はいかがですか
2. 毎日の生活に満足していますか
3. 1日3食きちんと食べていますか
4. 半年前に比べて硬いものが食べにくくなりましたか
5. お茶や汁物などでむせることがありますか
6. 6ヵ月間で2〜3kg以上の体重減少がありましたか
7. 以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか
8. この1年間に転んだことがありますか
9. ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか
10. 周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われていますか
11. 今日が何月何日かわからない時がありますか
12. あなたはタバコを吸いますか
13. 週に1回以上は外出していますか
14. ふだんから家族や友人との付き合いがありますか
15. 体調が悪いときに、身近に相談できる人がいますか

 

引用:『高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版』

後期高齢者の質問票は、「はい」と回答があった該当項目に合わせた受診や相談を促すのに便利です。

 

■指輪っかテスト

両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎを囲んでください。

ふくらはぎが輪っかで囲めない、もしくはちょうど囲めるくらいならフレイルの可能性はそこまで高くありません。

隙間ができる場合は要注意です

 

■イレブンチェック

「自分が活気にあふれていると思いますか」「ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか」など、全部で11の項目に答えてもらいます。

「はい」と「いいえ」の数によって簡易的にフレイルの兆候があるかどうかを調べることが可能です

▼詳細はコチラ

東京大学 高齢社会総合研究機構『やってみようフレイルチェック』

 

 

お客さまの状態をヒアリングしてフレイルの予防につなげよう

薬局やドラッグストアの窓口でお客さまご本人が「フレイルで困っていて…」と相談されることはほとんどありません。

「疲れやすいからビタミン剤が欲しい」「ご飯が食べられないから栄養補助食品が欲しい」というような相談を受けた際は、フレイルを疑ってお客さまの生活スタイルや運動習慣などをヒアリングしてみましょう

フレイルが疑われた場合は、簡単な運動方法を伝えたり、状況に応じて受診を促すようにしてください

 

【執筆者プロフィール】

執筆者:岡本妃香里

執筆者

薬学部を卒業後、都内の大手ドラッグストアで4年間勤務。毎日2,000人近くが来局する店舗でOTC販売を経験。現在は薬の正しい使い方や選び方を広めるために、執筆業をメインに活動。

 

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