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2023-11-24
しもやけにおすすめの薬は?種類や症状に合わせた選び方を詳しく解説〈登録販売者向け〉
・Before
・After
冬の寒い時期になると悩む人も多い「しもやけ」。血行不良が原因で、発赤、かゆみ、痛みなどを伴う厄介な疾患です。塗り薬が一般的ですが、冷えを改善するには飲み薬もおすすめ。この記事では、しもやけの予防方法や、お客さまへの適切な薬の案内方法などについて詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。
しもやけとは
しもやけとは、寒冷刺激による血行障害によって起きる皮膚病です。
血管は体温を調整するため、寒いところでは収縮し暖かいところでは拡張する性質があります。
この収縮と拡張を繰り返すと、次第に皮膚付近の細かい血管の血流が悪化。
この血行障害によって皮膚に炎症が起き、しもやけができてしまいます。
しもやけの主な症状は、発赤、かゆみ、痛みなどです。
しかし、かゆみが原因で掻きこわしてしまうと、滲出液を伴う感染症に発展することもあります。
しもやけは遺伝的な要因が関係している可能性もありますが、詳細はまだ解明されていません。
現代では、暖房設備の充実や防寒用衣類の機能が向上したことなどにより、発症者は減少しています。
しもやけの主な症状
- 強いかゆみ
- ジンジンするような痛み
- 赤紫色~暗紫色に変色する
- 入浴や暖房で患部が急に温められると強くなるかゆみ
- 水ぶくれや潰瘍 (※要注意な症状)
しもやけの主な症状は、皮膚のかゆみ、変色を伴う腫れ、痛みなどです。
しもやけには型があり、子どもに多いのは「樽柿(たるがき)型」で、患部全体が赤紫色になって腫れ上がります。
大人は「多形紅斑(たけいこうはん)型」が多く、1〜2cm程度の赤みや丘疹(皮膚のブツブツ)の症状が出ます。
水ぶくれや水泡などを掻きこわして化膿すると治療が長引いてしまうため、注意してください。
しもやけになりやすいのは、毛細血管が多く外気にさらされやすい部位です。
手足の指先、踵、耳たぶ、鼻の頭、頬などが挙げられます。
衣類に覆われていないこともあり、慢性的に冷えやすいことも原因と考えられます。
しもやけの受診勧奨すべき症状
- 痛みで日常生活が困難である
- 繰り返している
- 季節を問わず症状がある
- 発熱や関節痛を伴っている
- 症状が広範囲にわたっている
痛みや腫れのせいで炊事や入浴時などに影響を及ぼしたり、足先の痛みで歩行が困難になったりした場合は受診を勧めてください。
とくに手指は、日常生活に支障をきたしやすい部位です。
しもやけ症状には、水ぶくれや潰瘍ができるものもあります。
ただし、繰り返す場合や、季節を問わず症状が出る場合は、指定難病とされている強皮症の疑いもあります。
上記症状に加えて発熱や関節痛を伴うと膠原病(こうげんびょう)の可能性もあるため、医師の診察を受けることをおすすめしてください。
また、症状の範囲が手のひら2~3枚分を超える場合、市販薬を使った治療は困難です。
皮膚科の受診を促しましょう。
しもやけの原因
しもやけの主な原因は、寒冷刺激や気温差による血行循環の悪化です。
人間の身体は、寒さを感じると血管を収縮して熱の放出を抑え、暑いときには血管を拡げて放熱します。
血管の収縮と拡張を繰り返すことで血行障害が起こり、皮膚症状としてあらわれるのがしもやけです。
しもやけが発生しやすいのは、外気温が4〜5度のときや、一日の寒暖差が10度以上ある季節や地域などです。
寒暖差以外にも、長時間の冷えによりしもやけを発生することもあります。
濡れた衣類で寒い場所を過ごす、手を洗ったあと拭かずに自然乾燥させようとすることも原因の一つです。
自律神経の乱れや冷え性、多汗症なども原因になることがあります。
さらに、きつい靴やブーツなどで足の指先の血行状態が悪くなると、しもやけにつながることもあるので注意が必要です。
しもやけに使用する薬の種類
しもやけは、血行不良が主な原因と考えられているため、血行不良を改善する必要があります。
なかでも、血行促進作用のあるビタミンEが配合された塗り薬がおすすめです。
血行を改善する薬
「ビタミンE」主成分の軟膏・クリーム
脂溶性のビタミンEには、手足などの末梢にある細い血管(末梢血管)を拡げて、しびれの症状をやわらげるはたらきがあります。
血行不良が原因のしもやけに対して、最もよく使用される成分です。
OTC医薬品では、「トコフェロール」と表示されることもあるので参考にしてください。
「ヘパリン類似物質」主成分のクリーム・ローション
ヘパリン類似物質には、血液が固まるのを防ぐはたらきがあります。
医療用医薬品としてもよく処方されます。
しもやけの原因である血液の停滞を改善する作用があり、ビタミンE製剤と併用するのもおすすめです。
OTC医薬品としては、クリーム、ローション、スプレーの3タイプの剤型があります。
炎症やかゆみを改善する薬
ステロイド外用薬
ステロイドは、炎症や、身体の免疫力を強力に抑える作用があります。
皮膚のかゆみや赤み、腫れなどの症状がひどい部位には使用しても良いでしょう。
ただし、副作用のリスクもあるため、長期間の使用、患部以外への塗布、予防目的の塗布は避けてください。
また、使用する部位に適した強さのステロイドを選びましょう。
冷え性を改善する薬
漢方薬
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は、しもやけに用いられる漢方の一つです。
名称の「四」は、四肢を表し、「逆」はからだの末端(手足)から冷えることを意味しており、からだを内側から温めることで、冷えや痛みを改善します。
しもやけに対する薬以外の対策
しもやけは日々のちょっとした工夫で予防できます。
お客さまから相談を受けた際には、薬を販売するだけでなく、しもやけを繰り返してしまわないように日頃から気を付けられるポイントをお伝えしましょう。
皮膚を保湿する
皮膚の保湿は、皮膚のバリア能力を高めることにつながります。
クリームやローションなどで皮膚を潤し乾燥を防ぐことで、しもやけの時の強い痛みが生じたり皮膚が切れたりするのをある程度予防できます。
しもやけだけでなく、あか切れやひび割れにも効果的。
水分やセラミドを補給し、皮膚の水分量を正常に保つことも大切です。
血行を促進させる
しもやけの原因は血行不良です。
血の巡りが良くなれば発症を抑えることができます。
軽く身体を動かしたり、手足の末端をマッサージしたりして、血流の状態を良くしておくのがおすすめ。
薬を使用しなければならない状態になる前に、日ごろからケアをしておくことが大切です。
身体を温める
血行不良は身体の冷えから引き起こされるため、冷えないように全身を温めることが大切です。
しかし、既にしもやけが発症してしまっている場合は、入浴など、急に身体が温まる状況でかゆみが増してしまうこともあります。
外出の際に空気にさらされやすい箇所は、手袋や耳当てなどで保護することもおすすめです。
かゆみなどが現れた際に放置しない
暖かい気候になると、しもやけの症状が自然と和らぐ場合も多いため、特別な治療をせず気にしない人も多いのが現状です。
しかし、ある程度の症状が出ているのにもかかわらず放置し過ぎてしまうと重症化しやすくなるため、早めのケアや受診を呼びかけましょう。

〈対応例〉しもやけについてお客さまから質問されたときは
しもやけに悩むお客さま対応の例を紹介します。
接客時の参考にしてください。
◆人物データ
・年齢:16歳
・職業:高校生
・既往症:なし
・服用中の薬:なし
・アレルギー:なし
・悩み:冬の時期に徹夜でテスト勉強をしていたら、いつの間にか足の指がジンジンと痛むようになった
お客さま:
徹夜で勉強していたら、いつの間にか足の指がジンジン痛んで痒くて。掻いても掻いてもなくならないんです。何か効く薬はありますか?
登録販売者:
暖房をつけていても足元は冷えてしまいますよね。
症状から、しもやけだと考えられますが、そのような症状は初めてですか?また、冬以外になったことはありますか?
お客さま:
こんな症状は初めてです。高校に入ってから徹夜するようになったのですが、夏のテスト勉強のときは大丈夫でした。
登録販売者:
そうでしたか、やはりしもやけだと思います。足湯や湯たんぽを使って足元を温める、少し身体を動かして血行を良くする、などがおすすめですが、かゆみが強くなることもあるので無理のない範囲でやってみてくださいね。塗り薬としては、血の巡りを良くするものがありますが、いかがでしょうか?
お客さま:
ありがとうございます。もうしばらく勉強期間は続きそうなので悪化しないようにケアしていきたいと思います。塗り薬もお願いします。
登録販売者:
かしこまりました。では、ビタミンE配合の塗り薬を準備いたしますね。水ぶくれや滲出液が出てくるほど症状がひどくなった場合は、皮膚科を受診してくださいね。
接客のポイント
- 症状の経験を確認する
- 薬の使用以外でのケア方法を説明する
- 医療機関受診の目安を伝える
しもやけに似た症状に、強皮症や膠原病などがあります。
これらは専門的な治療が必要なため、受診勧奨する必要があります。
簡単な鑑別方法として、冬場以外に同じ症状が出たことがあるか、症状を繰り返していないかを確認しましょう。
血行状態を改善するための具体例を挙げて、日常的にしもやけを予防する方法を教えてあげると、より親切な対応になります。
また、医師の診察が必要な状態の目安を伝えましょう。
しもやけについてよくある質問
しもやけについて、よくある質問をまとめました。
ぜひ参考にしてください。
Q. どんな環境でしもやけになりやすい?
日本の季節だと、真冬よりも初冬や晩冬の気温差が激しい季節に起こりやすいと言えます。
これは、気温差に合わせて毛細血管が収縮と拡張を繰り返すことに起因します。
ただし、環境要因の他に、遺伝や家族性素因も考えられます。
そのほか、しめつけによる血行不良、汗による冷えなどは対策可能な要因なので、注意するとよいでしょう。
Q. 「しもやけ」と「手荒れ」の違いは?
水仕事、石鹸類による洗浄、アルコール消毒などを頻回に繰り返した場合、皮膚は乾燥しバリア機能が低下してしまいます。
バリア機能が低下すると炎症や発疹が起きやすくなり、手荒れに。
手荒れは一般的に乾燥、ひび割れ、あか切れなどを指します。
Q. 子どもに大人と同じ薬を塗っても大丈夫?
塗り薬は使用上の注意に対象年齢が載っていない場合が多いです。
ステロイドを子どもに使う場合はウィークタイプから試しましょう。
初めて使う場合は少量から始め、様子をみながら塗る量を調節してください。
Q. 顔のしもやけに塗っても大丈夫?
市販のステロイドの外用薬は、ストロング、ミディアム、ウィークの3種類に分類されており、皮膚の薄い顔にはミディアムかウィークが適しています。
顔のしもやけにも使えますが、まずはビタミンE製剤やヘパリン類似製剤を試してみてください。
しもやけを正しく知り、適切なアドバイスをしましょう
しもやけは、気温差による血行不良で起こる皮膚疾患で、年齢によらず症状が発生します。
皮膚の保湿、マッサージや入浴などでからだを温めて冷やさないことで予防することは可能です。
発生してしまった場合はビタミンEやヘパリン類似物質、ステロイドの外用薬が治療に使えます。
塗り薬のベタベタ感が苦手な人の場合は漢方薬をおすすめするのも選択肢のひとつです。
しもやけは日常生活にも支障をきたすつらい症状です。
対応策をしっかり学び、ぜひ日々の業務に活かしてください。
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