登録販売者の働き方
2025-05-16
【2025年最新】大手ドラッグストアの売上・店舗数ランキング!登録販売者が知っておきたい業界ニュースも解説
・Before
・After
ドラッグストア業界は、調剤併設型の拡大や食品販売の強化など、急速に進化しています。登録販売者として、どの企業が伸びているのか、業界の最新動向を知ることはキャリアアップにも重要です。売上・店舗数の推移から、各社の戦略や成長のポイントが見えてきます。本記事では、大手ドラッグストアチェーン10社の最新ランキングとともに、今後の業界トレンドをわかりやすく解説します。 ※2025年3月確認時点
ドラッグストア業界の動向
経済産業省の商業動態統計によると、2024年上期のドラッグストア全体の売上は4兆3,045億円となり、前年同期比+7.9%の成長を記録しました。
市場の拡大が続く中で、とくにビューティーケア(化粧品・小物)と食品の売上が大きく伸びています。
ビューティーケアカテゴリーは前年同期比+9.3%と好調でした。
コロナ禍が落ち着き外出機会が増えたことで、メイク用品やスキンケア商品の需要が拡大。
また、訪日外国人観光客(インバウンド)需要の回復も売上を押し上げる要因と思われます。
食品カテゴリーは前年同期比+10.9%と最も高い成長率を記録しました。
ドラッグストアの「コンビニ化」が進み、飲料やお菓子、冷凍食品、カップ麺などの品揃えが強化され、日常の買い物ニーズを取り込む戦略が奏功しました。
さらに、物価高の影響でより安価に食品を購入できるドラッグストアを利用する消費者が増加。
節約志向の高まりにより、スーパーやコンビニよりも手頃な価格で食品を購入できるドラッグストアの需要が拡大したと言えます。
加えて日本チェーンドラッグストア協会の2024年の調査からも、前年と比べて104.6%の売上増加が見られたことがわかっています。
また、2015年以降、店舗数も毎年約500〜800ずつ増加し続けていましたが、増加率は前年よりやや鈍化しています。
これは、業界全体で新規出店を減速させ、既存店舗の売上向上を重視する流れが強まっているためです。
とくに都市部では出店競争が一巡し、新規出店よりも収益性の高い立地や店舗運営の効率化が求められるようになっています。
大手ドラッグストアチェーン10社の売上ランキング
業界全体が成長を続ける中、高い売上を記録しているのはどの企業なのでしょうか。
今回は、最新の通期決算をもとに、売上ランキング上位10社をご紹介します。
※2025年3月確認時点
会社名 | 売上高(円) | 前年売上高(円) | 前期比(%) | |
---|---|---|---|---|
1位 | ウエルシアホールディングス | 1兆2,173億 | 1兆1,443億 | 106.4 |
2位 | ツルハホールディングス | 1兆275億 | 9,701億 | 105.9 |
3位 | マツキヨココカラ&カンパニー | 1兆225億 | 9,512億 | 107.5 |
4位 | コスモス薬品 | 9,650億 | 8,277億 | 116.6 |
5位 | サンドラッグ | 7,518億 | 6,905億 | 108.9 |
6位 | スギホールディングス | 7,445億 | 6,676億 | 111.5 |
7位 | クスリのアオキホールディングス | 4,369億 | 3,789億 | 115.3 |
8位 | クリエイトSDホールディングス | 4,223億 | 3,810億 | 110.9 |
9位 | 富士薬品 | 3,862億 | 3,730億 | 103.5 |
10位 | カワチ薬品 | 2,860億 | 2,819億 | 101.5 |
※各社のホームページやIR情報を参照
1位:ウエルシアホールディングス
前年度と同様に業界トップなのが、イオングループのウエルシアホールディングスです。
2024年2月決算においての売上は1兆2,173億円となっており、前年の1兆1,443億円から106.4%の増収でした。
また、2025年2月期第3四半期(2024年3月~11月)の連結業績では、前年同期比で104.6%の増収となっています。
ウエルシア薬局を中心に、コクミンやププレひまわり、丸大サクラヰ薬局などを展開する同社は、2024年のインバウンド需要回復や外出機会の増加を背景に、医薬品や化粧品が売上を牽引。
調剤事業も堅調に推移しました。
さらに、プライベートブランド(PB)商品の販売が好調で、PB物販売上構成比は9.2%を達成。
売上高は前期比115.7%増と、引き続き成長を続けています。
▼参考サイトはコチラ
ウエルシアホールディングス『決算説明会資料(2024年2月期)』
ウエルシアホールディングス『決算説明会資料(2025年2月期第3四半期)』
2位:ツルハホールディングス
ツルハホールディングスは、2024年5月決算で売上高1兆275億円を記録し、前年の9,701億円から105.9%の増収を達成しました。
2025年2月期第1四半期の連結業績でも前年同期比で105.2%増と安定した成長を維持。
とくに食品や化粧品の販売が好調で、粗利率の改善にもつながりました。
本社を北海道札幌市に構え、ツルハドラッグ、杏林堂、くすりのレデイ、くすりの福太郎、ドラッグイレブンなどを傘下に持つ持株会社です。
介護事業や通販事業も展開しており、2022年にはUber Eats Japanと提携し、一部商品のデリバリーを開始するなど、事業領域の拡大を進めています。
▼参考サイトはコチラ
ツルハホールディングス『決算説明会資料(2024年5月期)』
ツルハホールディングス『決算短信(2025年2月期第1四半期)』
3位:マツキヨココカラ&カンパニー
マツキヨココカラ&カンパニーは、2024年に売上高1兆225億円を記録し、前年から107.5%の増収。
2025年3月期第3四半期(2024年4月~12月)の連結業績でも、前年同期比104%増と安定した成長を維持しています。
都市部を中心に出店していることが特徴で、インバウンド需要の回復や人流の増加により、化粧品・医薬品の売上が好調。
また、天候に恵まれたことでシーズン商品も順調に推移しました。
さらに、プライベートブランド(PB)商品の拡販やコスト管理の徹底、適正売価の設定や販促施策の見直しなどの取り組みが奏功し、増益を実現。
医薬品だけでなく、化粧品や食品、生活用品など幅広い分野で強みを持っています。
▼参考サイトはコチラ
マツキヨココカラ&カンパニー『決算説明資料(2024年3月期)』
マツキヨココカラ&カンパニー『決算短信(2025年3月期第3四半期)』
4位:コスモス薬品
コスモス薬品は、2024年5月決算で売上高9,650億円を記録し、前年の8,277億円から116.6%増収と大きく成長しました。
2025年5月期第2四半期(2024年6月~11月)の連結業績でも、前年比106.2%増と堅調に推移しています。
2023年1月下旬からディスカウント戦略をさらに強化し、低価格・高品質の提供を推進。
2024年5月期も既存店売上が好調でした。
九州を中心に店舗展開してきたコスモス薬品ですが、現在では中国・四国地方、関西、北陸、東海、関東と出店エリアが拡大しています。
食品スーパーやコンビニとの競争が激化する中、医薬品や化粧品に加え、日用品や加工食品などを低価格で提供し、小商圏での圧倒的な支持を獲得することを目指しています。
▼参考サイトはコチラ
コスモス薬品『決算開示資料(2024年5月期)』
コスモス薬品『決算短信(2025年5月期第2四半期)』
5位:サンドラッグ
サンドラッグは、2024年3月決算で売上高7,518億円を記録し、前年から108.9%増収。
2025年3月期第3四半期累計実績でも、売上高6,036億円(前年同期比106.6%)と堅調に推移しています。
売上成長の要因として、風邪症候群の流行によりコロナ関連商品の需要減少が一時的に緩和されたことや、食品部門の好調が挙げられます。
また、DX(デジタル化)を推進し、処方せん送信予約サービスやオンライン服薬指導、オンライン資格確認の全店舗導入を進めています。
さらに、ディスカウントストア事業を強化し、食料品や家庭雑貨の品揃えを拡充。
プライベートブランド商品の開発にも力を入れています。
グループ企業には、大屋、ダイレックス、星光堂薬局などがあります。
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サンドラッグ『決算説明資料(2024年3月期)』
サンドラッグ『決算説明資料(2025年3月期 第3四半期)』
6位:スギホールディングス
スギホールディングスは、2024年2月決算で売上高7,445億円を記録し、前年の6,676億円から111.5%増収となりました。
2025年2月期第3四半期の累計実績では、前年同期比115.1%の増収。
スギ薬局の運営に加え、障がい者雇用を促進する「スギスマイル」、訪問看護を行う「スギ訪問看護ステーション」など、多様な事業を展開。
さらに、「スギメディカル」を通じた訪問看護事業や医療機関の開業支援など、ドラッグストアの枠を超えた医療サービスにも注力。
調剤・医療分野の強化に加え、地域に根ざしたサービスの拡充に取り組むことで、より幅広い顧客ニーズに応える企業へと成長を続けています。
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スギホールディングス『IR資料(2024年2月期)』
スギホールディングス『IR資料(2025年2月期 第3四半期)』
7位:クスリのアオキホールディングス
クスリのアオキホールディングスは、2024年に売上高4,369億円を記録し、前年の3,789億円から115.3%増収と大きく成長。
さらに、2025年5月期第2四半期(2024年5月21日~11月20日)の連結業績では、前年同期比112.6%の増収を達成しています。
本社を石川県白山市に構え、北信越や北関東を中心に店舗展開する同社は、1869年創業と、業界内でも長い歴史を持つ企業です。
売上成長の背景には、調剤薬局併設率の向上と、既存店の改装を通じた生鮮食品などの品揃え強化があります。
「フード&ドラッグ」戦略により、日用品から食品、医薬品までをワンストップで提供できる体制を整え、利便性向上に努めている状況です。
これにより、顧客の幅広いニーズに対応し、さらなる成長を続けています。
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クスリのアオキホールディングス『決算説明会資料(2024年5月期)』
クスリのアオキホールディングス『決算説明会資料(2025年5月期 第2四半期)』
8位:クリエイトSDホールディングス
クリエイトSDホールディングスは、2024年に売上高4,223億円を記録し、前年の3,810億円から110.9%増収となりました。
さらに、2025年5月期第2四半期(2024年6月~11月)の連結業績では、前年同期比108.4%の増収を達成しています。
神奈川県横浜市に本社を構え、関東圏を中心にドラッグストア「クリエイト」や調剤薬局を展開。
ドラッグストア事業を基盤にしながらも、食料品や日用雑貨の販売を強化し、スーパーマーケット事業へも進出。
また、介護付き有料老人ホームやデイサービス事業などの介護関連事業にも注力し、地域社会のニーズに対応。
医療・介護・生活必需品を一体的に提供することで、幅広い顧客層の支持を獲得し、着実に成長を続けています。
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クリエイトSDホールディングス『決算説明資料(2024年5月期)』
クリエイトSDホールディングス『決算短信(2025年5月期第2四半期)』
9位:富士薬品
富士薬品は、2024年3月末の売上高が3,862億円。
全国でドラッグストア「セイムス」などを展開しています。
近年の物価上昇に対応するため、独自の販促施策を強化。
来店時に「セイムスタッチ」にタッチすると、AIが購買データをもとに最適なクーポンを発券する仕組みを導入し、購買促進と顧客満足度の向上を図っています。
また、健康経営にも力を入れ、健康経営優良法人「ホワイト500」※に4年連続認定。
さらに、「健康経営優良法人」認定は6年連続となり、とくに優れた取り組みを実践している企業として高く評価されています。
物価高騰の影響を受ける中、消費者ニーズに応じたサービスを強化し、さらなる成長を目指しています。
※健康経営優良法人のうち、大規模法人部門における上位500法人のこと
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富士薬品『数字でみる富士薬品(2024年3月末時点)』
10位:カワチ薬品
カワチ薬品は、2024年の売上高が2,860億円。
栃木県小山市に本社を構えるドラッグストアチェーンです。
医薬品にとどまらず、多種多様な商品を提供することを理念とし、大型店舗戦略を展開しています。
企業理念「ファーマシー・モア」のもと、健康をトータルでサポートするため、品揃えを充実させながら店舗の大型化を推進。
1996年には、調剤薬局併設型のメガ・ドラッグストアを完成させ、利便性を高めました。
現社長が米国流通業を研究し、日本向けに開発した独自業態「メガ・ドラッグストア」は、売場面積400坪以上を基準とし、一般的なドラッグストアの約2~4倍の規模を誇ります。
広大な売場で多様な商品を提供し、顧客の幅広いニーズに対応する戦略を強化しています。
▼参考サイトはコチラ
カワチ薬品『決算短信(2024年3月期)』
大手ドラッグストア10社の店舗数ランキング
次に、大手ドラッグストア10社の店舗数と推移の傾向、要因についてまとめます。
2024年の国内ドラッグストア業界では、新規出店の拡大と不採算店舗の整理が同時に進む動きが見られました。
※2025年3月確認時点
企業名 | 店舗数 | |
---|---|---|
1位 | マツキヨココカラ&カンパニー | 3,464 |
2位 | ウエルシアホールディングス | 2,872 |
3位 | ツルハホールディングス | 2,653 |
4位 | スギホールディングス | 1,718 |
5位 | コスモス薬品 | 1,490 |
6位 | 富士薬品 | 1,271 |
7位 | サンドラッグ | 1,080 |
8位 | クスリのアオキホールディングス | 942 |
9位 | クリエイトSDホールディングス | 790 |
10位 | カワチ薬品 | 375 |
※各社のホームページやIR情報を参照
※スーパーやディスカウント事業、訪問看護事業の店舗数は除く
1位:マツキヨココカラ&カンパニー
マツキヨココカラ&カンパニーは、3,464店舗と国内最多の店舗数を誇ります(うち調剤薬局数971店舗、健康サポート薬局数148店舗)。
前年より55店舗増加。
これは、新規出店が114店舗に達した一方で、59店舗を閉店し、経営効率を重視した戦略を展開した結果と言えます。
2位:ウエルシアホールディングス
ウエルシアホールディングスは、2,872店舗を展開し、前年とほぼ同水準を維持しました。
とくに、調剤併設店舗の拡大に注力しており、調剤店舗数は1,913店舗。
調剤薬局業界、ドラッグストア業界の中で、日本一の調剤店舗数を誇ります。
3位:ツルハドラッグホールディングス
ツルハドラッグホールディングスの国内店舗数は2,653店(うち調剤薬局936店)。
新規出店と子会社化を進める一方で、不採算店舗の整理も並行して行い、効率的な店舗運営を目指しています。
4位:スギホールディングス
スギホールディングスは、1,718店舗を展開し、前期から153店舗増加しました。
新規出店や店舗取得による事業規模の拡大が進んでおり、売上成長にも貢献しています。
5位:コスモス薬品
コスモス薬品は2024年5月時点で1,490店舗を展開し、新たに139店舗を開設しました。
「安くて、近くて、便利なドラッグストア」の実現を目指し、既存店と商圏が重なるエリアにも積極的に出店するなど、独自の戦略を進めています。
6位:富士薬品
店舗数が減少した企業としては、富士薬品が挙げられます。
同社は2024年3月末時点で1,271店舗を展開しており、前年から94店舗の減少となりました。
これは、連結子会社の協和商事がグループから外れた影響によるもので、売上自体は前年と同水準を維持しています。
7位:サンドラッグ
サンドラッグは、ドラッグストア事業1,080店舗、ディスカウントストア事業393店舗を展開しており、110店舗の新規出店と17店舗の閉店を実施しました。
ディスカウントストア事業を強化し、食品や日用品の販売を拡充するなど、幅広い顧客層をターゲットにした戦略が進んでいます。
8位:クスリのアオキホールディングス
クスリのアオキホールディングスは、942店舗を展開し、そのうち594店舗が調剤薬局を併設。
北信越5県では373店舗を展開し、地域トップの店舗数を誇ります。
さらに、東北・関東・東海・関西・四国への出店も継続し、全国展開を加速させています。
9位:クリエイトSDホールディングス
クリエイトSDホールディングスは790店舗を展開し、そのうち380店舗が調剤薬局を併設。
調剤専門薬局も38店舗運営しており、医薬品だけでなく介護関連事業にも力を入れています。
10位:カワチ薬品
カワチ薬品は375店舗を展開し、うち151店舗が調剤併設型です。
同社は「メガ・ドラッグストア」業態を推進し、売場面積400~1,000坪の大型店舗を展開することで、他のドラッグストアとの差別化を図っています。
番外編:バローホールディングス
医薬品販売を主とする企業ではありませんが、東海エリアを中心に北陸や関東、関西などで営業をしているバローホールディングスのドラッグストアの店舗数がカワチ薬品を超える533店舗でした(2025年2月末時点)。
ホールディングス全体の2024年3月期の売上高は8,078億円。
グループ会社の中部薬品がドラッグストア・調剤薬局チェーンの「V・drug」を運営しており、地域の健康増進や病気予防、食品や日用品の購入までワンストップで提供しています。
▼参考サイトはコチラ
バローホールディングス『店舗数一覧』
中部薬品『会社概要・業績推移』
【2025年】ドラッグストア業界の気になるニュース3選
2025年、登録販売者に関係の深いドラッグストア業界の気になるニュースを3つご紹介します。
1.市販薬販売のルール変更
政府は2025年2月12日、市販薬の販売規制を緩和し、コンビニなどの無人店舗でも購入できるようにする薬機法改正案を閣議決定しました。
これにより、一定の条件を満たせば、薬局以外の店舗でも市販薬が販売可能になります。
一方で、市販薬の乱用防止策として若年者の購入制限も導入される予定です。
また、市販薬の乱用対策として、若年者への「乱用のおそれのある医薬品」の販売を小容量製品1個のみに制限する方針も検討されています。
▼参考サイトはコチラ
厚生労働省『薬機法等制度改正に関するとりまとめ』
●登録販売者への影響
無人店舗対応のオンライン服薬指導や遠隔管理が求められ、デジタルスキルが必要に。
また、販売後フォローやデータ管理も重要となり、薬局とコンビニの連携で業務が広がり、働き方の変化への対応が求められます。
市販薬が身近になる一方で、安全確保のための管理体制や登録販売者の負担増など、業界全体に影響が及ぶ可能性があります。
2.ツルハとウエルシアが2025年末に統合で業界再編が進む
イオン子会社で業界最大手のウエルシアホールディングスと、業界2位のツルハホールディングスは、2025年2月に経営統合協議に入り、早ければ2025年末にも統合する見込みです。
この統合が実現すれば、売上高2兆円、全国5,000店舗以上を展開する巨大ドラッグストアチェーンが誕生し、業界の総売上高の約4分の1を占めることになります。
これにより企業は、調剤事業の強化、大規模な仕入れによるコスト削減、デジタル化推進による業務効率改善など経営の最適化や、医薬品や日用品の流通網の拡大が狙えるでしょう。
●登録販売者への影響
・雇用機会の拡大と人材の流動性
全国5,000店舗規模の企業となることで、店舗間の異動やキャリアパスの選択肢が広がる可能性があります。
・研修制度や教育体制の強化
大手2社の統合により、統一された研修プログラムやキャリアアップ制度が整備される可能性も。
登録販売者にとって、より高度な知識やスキルを習得できる機会が増えるかもしれません。
・業務の効率化とデジタル化の進展
ウエルシアは調剤事業の拡大を進めており、ツルハもその強みを活かすことで、登録販売者の調剤補助業務や電子システムを活用した業務効率化が進む可能性も。
オンライン服薬指導の導入が加速すれば、登録販売者の役割も変化し、デジタル技術を活用する場面が増えるでしょう。
・競争の激化と待遇の変化
巨大企業の誕生により、他のドラッグストアチェーンも規模拡大や経営統合を進める可能性があります。
これに伴い、登録販売者の待遇や雇用条件が見直されることも考えられるでしょう。
とくに、給与水準やキャリアアップの制度が競争要因となり、業界全体で働きやすい環境が整備されることが期待されます。
3.OTC医薬品の販売区分及び販売方法について
現在、厚生労働省は「医薬品の販売制度に関する検討会」で販売区分を見直し、OTC医薬品のリスク分類を2つに簡略化する方向で検討を進めています。
具体的には、「薬剤師のみが販売できるOTC医薬品」と「薬剤師または登録販売者が販売できるOTC医薬品」の2区分へと再編する案が浮上しているのです。
また、従来「努力義務」とされていた情報提供についても、専門家がどのように関与するべきかを明確化し、より適切な情報提供が行われる仕組みを整備することが議論されています。
▼参考サイトはコチラ
厚生労働省『「医薬品の販売制度に関する検討会」の「とりまとめ」を公表します』
●登録販売者への影響
この見直しが実施されれば、登録販売者の役割も大きく変化し、より積極的な情報提供が求められるようになるでしょう。
さらに、人体への作用が緩和な医薬品を医薬部外品へ移行したり、ドラッグストアなどでの販売方法が変更されたりする可能性もあり、そうなれば業務と並行してのキャッチアップが必要になります。
これからの登録販売者に求められる3つのスキル
ドラッグストア業界の変化を受け、登録販売者にはどのような知識や取り組みが必要になるでしょうか。
ここでは、登録販売者に今後求められる知識や能力、取り組みについて解説します。
1.専門知識の向上と適切な情報提供
OTC医薬品の販売制度の見直しにより、登録販売者はより積極的に情報提供を行うことが求められます。
現在、乱用の恐れがある医薬品の販売では、購入個数の制限や購入歴の確認などが形式的に行われることが多く、資格者でなくても対応できるのではという疑問が生じている状況です。
しかし、専門家の存在意義は、単なる確認作業ではなく、適切な情報提供や商品選択のアドバイスを行うことにあります。
マニュアル通りの対応だけでは、消費者の信頼にはつながらず、登録販売者としての役割を果たせていない可能性があるため、より積極的な関与が求められるでしょう。
今後は幅広いOTC医薬品についても適切な説明が必要になる可能性があり、商品や成分に関する知識を深め、消費者に分かりやすく伝えるスキルを磨くことが不可欠です。
2.デジタルツールの活用と柔軟な対応力
コンビニでの市販薬販売が可能になることで、オンラインでの服薬指導や遠隔での情報提供が求められる場面が増えると考えられます。
デジタルツールを活用し、対面以外の方法でも適切なサポートを提供できる能力が重要になるほか、業界の変化に対応し、新たな販売形態に適応する柔軟性を持つことが求められます。
3.信頼される接客とコミュニケーション力
ウエルシアとツルハの統合により、業界の競争が激化し、登録販売者の役割もより専門性の高いものへと変化する可能性があります。
単なる販売員ではなく、健康相談のプロフェッショナルとして、消費者に信頼される存在になることが重要。
顧客の悩みに寄り添い、的確なアドバイスを提供できる接客力とコミュニケーションスキルの向上が求められます。
お客さまからも企業からも求められる人材になるために
登録販売者として資格を活かし、自分に合った職場を見つけたいと考える人は多いでしょう。
登録販売者資格は店舗を営業するための単なる免許ではなく、市販薬の専門家として健康相談に対応し、適切な情報提供を行う重要な役割を担っています。
超高齢社会が進行しセルフメディケーションが推進される中で、その必要性はますます高まっていくでしょう。
企業もスキルのある人材を求める傾向が強まり、合格後の自己研鑽がより有利に働く状況となっています。
地道な勉強を続け、専門性を高めることが重要です。
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【2023年最新】主要ドラッグストア売上高・店舗数ランキング!登録販売者の働き方に関わる業界動向も詳しく解説<専門家監修>
【専門家監修】2022年最新・主要ドラッグストア店舗数ランキング<登録販売者向け>
【執筆者プロフィール】
執筆者:仲宗根 恵(なかそね・めぐみ)さん
一般社団法人くすりと漢方のスペシャリスト協会 代表
医薬品登録販売者(旧薬種商)
約25年、ドラッグストアなどで市販薬の販売に従事。
2012年より、市販薬のエキスパートの育成のため、合格後の登録販売者を対象とした講座やスクールを運営。現在は指導者や講師養成にも力を入れている。
InstagramやYouTubeで登録販売者に役立つ情報を発信中。
【著作】
・現場で使える新人登録販売者便利帖(2016年)
・現場で使える新人登録販売者便利帖 症状から選ぶOTC医薬品(2017年)
・現場で使える新人登録販売者便利帖 成分と特徴で選ぶOTC医薬品(2019年)
・現場で使える新人登録販売者便利帖 第二版(2020年)
・現場で使える新人登録販売者便利帖 もっと症状から選ぶOTC医薬品(2021年)
※いずれも(株)翔泳社より出版。

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