現場で役立つ知識
2023-07-14
絆創膏の選び方は?種類や注意事項、液体絆創膏についても解説<登録販売者向け>
・Before
・After
絆創膏は、通常のテープタイプや液体絆創膏など種類が豊富でサイズもさまざまです。数ある商品から適切なものを選ぶためには、傷の種類や各絆創膏のメリット、デメリットを知っておくと良いでしょう。この記事では絆創膏の分類、基材の種類や、使用時の注意点などを解説していきます。お客さまへの対応例や接客のポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
絆創膏とは?
絆創膏の定義は「身体の部位に用いる、接着剤を付した布製又はプラスティック製等の各種形状の絆創膏材」。
身体にできた傷を細菌などから守ることを目的として使用されるもので、一般的にはすり傷、切り傷などの浅い傷に使います。
形状は、テープや液体のものなどさまざま。
また成分や効果もものによって異なり、あわせて使い方にも違いがあります。
法律上では、傷口に直接触れるパッド部分に殺菌消毒薬などが含まれるものが「医薬品・医薬部外品」、含まれないものが「医療機器」に分類されます。
後者が一般的な絆創膏と言われています。
液体絆創膏とは?
液体絆創膏は、のりの様な粘り気のある液体で、皮膚に塗って皮膜をつくることで傷口をガードします。
はがれにくい、動かしやすい点が特徴です。
また、指先や関節などの細かい部分までケアできるメリットも。
塗った直後に痛みが出る場合がありますが、乾いて傷口がふさがれば、痛みが治まることがほとんどです。
液体絆創膏は水に強いため、水仕事が多い方や、手先を使う作業が多い方に向いているでしょう。
また、ネイルアートを楽しむ方には、指先にぐるりと絆創膏を貼るのをためらう方もいますが、そんな方にも目立ちづらい液体絆創膏はおすすめです。
絆創膏の種類
絆創膏はさまざまなメーカーから商品が販売されており、特徴も異なります。
ここでは、素材、サイズ・形状、機能について解説していきます。
素材
基材の素材
ウレタン不織布 | 伸縮性と通気性が高い。 |
塩化ビニル | 価格が安い。通気性が低いため前面に穴が開いている。 |
オレフィンフィルム | 塩化ビニルの代替品として登場。 |
伸縮性綿布 | 伸縮性と耐水性が高い。水仕事に適している。 |
スポンジシート | 1mmほどの厚みがあるクッションタイプ。 摩擦や衝撃を緩和するため、スポーツの際などに使える。 |
ウレタンフィルム | 防水性が高く蒸れにくい。水仕事に適している。 |
一般的に絆創膏に使用される素材としては、ウレタン不織布、塩化ビニル、ウレタンフィルムなどが多いです。
素材による特徴はパッケージに表示されていることが多いため、ご案内前には確認してみるのもよいでしょう。
一般に、通気性が高く蒸れにくいものは、夏場の使用や長期使用に向いています。
また、関節部位など動きがある部位なら伸縮性、水仕事が多いなら防水性などを重視するとよいでしょう。
パットの素材
薬剤が含まれていないものが、医療機器の絆創膏です。
アクリノールや塩化ベンザルコニウムに代表される殺菌・消毒を目的とした薬剤がパット部分に含まれている場合、医薬品・医薬部外品として取り扱われます。
粘着剤の素材
粘着剤の素材により、耐熱性やアレルギー症状の出やすさが変わります。
特徴は下記の通りです。
アクリル系 | 透明かつ、耐熱性に優れている。アレルギー症状も比較的出にくい。 |
ゴム系 | 低コスト。耐熱性などは劣る。 |
シリコン系 | 耐熱性や低アレルギー性に優れている。 |
サイズ・形状
絆創膏の最も一般的な形状は、長円形や楕円形です。
そのほか、肘や膝、指先など部位ごとに貼りやすい形状をしているものもあります。
長さは約5cm〜7cmまでさまざまで、大きめの傷を覆うことも可能です。
また、自分で好きなサイズにカットできるタイプもあるため、一家に一つ準備しておけば大人から子供まで幅広く使えるとのご案内も可能でしょう。
機能
・湿潤タイプ
・防水タイプ
スタンダードタイプは、長い時代使われて続けている最も一般的なタイプです。
傷口を覆い、細菌などから傷を守ります。
湿潤タイプは、「モイストヒーリング」の治療を目指したものです。
モイストヒーリングとは、傷口から出てくる透明な体液で傷口を覆い続けることで傷を治すもの。
本来人間が持っている治癒力を活かすことで、傷を早く治すうえ、傷跡が残りにくいのが特徴です。
また防水タイプは、文字通り水への強さや剥がれにくさにこだわった絆創膏です。
一時的に傷をカバーしたいときはスタンダードタイプ、傷をしっかり治療したいときは湿潤タイプ、生活のしやすさを求めるなら防水タイプが良いと言えます。
絆創膏の選び方
絆創膏は、傷の種類や場所、大きさなどをメインに選びましょう。
敏感肌の方には、素材に着目してご案内するのがおすすめです。
傷の種類に合わせる
傷の種類は、切り傷、すり傷、かき傷、あかぎれ、さかむけ、靴ずれなど、さまざまです。
大きくは、傷口から出血がある場合とない場合で選び方が異なります。
傷の種類に合わせて適切なものを選ぶことがおすすめです。
出血している場合
・湿潤タイプ
切り傷や擦り傷などで出血している場合は、通常タイプか湿潤タイプをおすすめしましょう。
通常タイプの絆創膏は、パッドが血液を吸収してくれるため、出血している傷口の応急処置に向いています。
湿潤タイプは止血と洗浄の必要はありますが、傷を早くきれいに治したい方におすすめです。
出血なしの場合(あかぎれ、ひび割れ)
あかぎれやひび割れ、靴ずれによる皮めくれなどでは、出血しない場合が多いです。
傷の場所にもよりますが、水が染みたり、摩擦によって痛みを伴ったりすることもあるでしょう。
液体タイプの絆創膏は、水や摩擦から、弱った皮膚を守ることができる特徴のあるものもあります。
傷のある場所に合わせる
絆創膏は、傷のある場所によっても選び方が異なります。
膝や肘などの動きが大きい部分、顔周りの目立つところ、水に触れる機会が多い手指など、傷ができる部分はさまざまです。
絆創膏はサイズも色も豊富なため、それぞれに合ったものを選びましょう。
関節などの動きがある場所
・水に強い防水タイプ
・パッドがない密着タイプ
膝や肘、指の関節など、日常生活で動きが多い部位には、はがれにくい伸縮性のある絆創膏がおすすめです。
手指用なら、さらに水に強い素材が便利で、肘や膝ならサイズが大きいものが適しています。
日常生活で支障が出ないようなものを選び紹介することが大切です。
目立たせたくない場所
・透明フィルムタイプ
・肌に馴染むハイドロコロイドタイプ
眉毛や髭のお手入れでできてしまった切り傷や、ニキビの引っ掻き傷など、顔の傷はなるべく目立たせたくないもの。
接客業などの方にとっては、指先の絆創膏もできれば目立たないものを選びたいでしょう。
目立ちづらいけれどしっかり保護できる絆創膏をおすすめしましょう。
水に濡れやすい場所
・液体絆創膏
・防水フィルム加工タイプ
手や指先など、日常生活や家事などで水に濡れやすい部分は防水タイプや、液体絆創膏がおすすめです。
手指以外でも、プールや温泉に行く機会がある場合や、汗をかきやすい夏場なども、防水タイプが適しています。
普段の生活やご予定などから、水に濡れやすいと判断した場合は防水タイプを進めるのがおすすめです。
傷の大きさに合わせる
・自分で切るタイプ
絆創膏は、サイズも形も種類が豊富です。
パッド付きのタイプであれば、パッドが傷をしっかりと覆って、粘着部分が傷口にかからないようなものを選びましょう。
また、自分で切ってサイズを調整できる絆創膏もあります。
肌質に合わせる
・低アレルギー性粘着剤を使用しているタイプ
アレルギー体質や、アトピー肌をお持ちの方は、絆創膏の粘着テープによる刺激で肌がかぶれてしまうことがあります。
また、手足や体幹と比べて、皮膚が薄くて弱い顔や首の部分も荒れる可能性があります。
この様な場合は、通気性が良く、蒸れにくい絆創膏を選ぶことをおすすめします。
また、使用している粘着剤が低アレルギー性であるかも確認が必要です。
絆創膏使用時の注意事項
絆創膏を使うときの注意事項やポイントを解説します。
お客様へのご案内の参考にしてください。
・使用前に傷口を水で洗う
・はがす際は丁寧に、ゆっくりとはがす
【湿潤タイプ】
・使用できない傷、部位がある
・一度使用した絆創膏の再使用はできない
【液体絆創膏】
・出血しているところには使用しない
【通常の絆創膏】使用前に傷口を水で洗う
とくに傷口に血や汚れが付いている場合は、流水でしっかりと洗い流す必要があります。
また、出血がある場合は、患部を軽く圧迫して止血しておくと良いでしょう。
【通常の絆創膏】はがす際は丁寧に、ゆっくりとはがす
粘着テープが肌に貼り付いているため、ゆっくりと丁寧に剥がすことがポイントです。
できるだけ肌へのダメージを軽減します。
また、軽く皮膚を押さえながら剥がすと痛みを和らげることができるでしょう。
毛が生えている場合は、絆創膏を貼る前に剃っておくと絆創膏は固定されやすく、剥がすのも簡単になります。
【湿潤タイプ】使用できない傷、部位がある
湿潤タイプには、傷や部位によっては使用できない場合があるため注意が必要です。
湿潤タイプは数日間絆創膏を貼りっぱなしにします。
細菌が入り込んでいる場合、感染症が悪化する可能性があるため、感染症を引き起こす可能性のある傷には使用できません。
また、毛が多く生えている部分では密着できないため、傷口を完全に覆えないことがあります。
【湿潤タイプ】一度使用した絆創膏の再使用はできない
他の絆創膏にも言えることですが、使用済みの絆創膏は不衛生なため、再利用すると感染症を引き起こすリスクがあります。
使用は絶対に避けましょう。
また、粘着力も低下しているため、密着せずモイストヒーリングができません。
【液体絆創膏】出血しているところには使用しない
基本的に液体絆創膏は出血している部分やただれ、膿んでいる箇所には使用できません。
<対応例>絆創膏についてお客さまから質問されたときは
絆創膏についてお客さまから質問があったときの対応例を紹介します。
日々の業務に役立ててください。
◆人物データ
年齢:34歳
職業:SE
既往症:なし
服用中の薬:なし
アレルギー:なし
悩み:なし
お客さま:
アルコール消毒を頻繁に行っていたら、乾燥がひどくて爪周りのささくれの痛みに困っています。何か良い絆創膏はありますか?
登録販売者:
ささくれの痛みはお辛いですよね。指先全部に絆創膏を貼るよりも、ピンポイントで簡単に塗れる液体絆創膏がおすすめですが、いかがでしょうか。
お客さま:
普段パソコンを使う仕事なので、絆創膏を貼らなくてよいのは助かります。一人暮らしで家事もするのですが、水にも強いですか?
登録販売者:
液体絆創膏は水にも強くて剥がれにくいのがメリットなんです。塗りたては染みて痛みがありますが、乾けば痛みは引いていきます。
お客さま:
そんな便利な絆創膏があるんですね。では、液体絆創膏をお願いします。
登録販売者:
承知いたしました。お大事になさってくださいね。
接客のポイント
・どのタイプの絆創膏が適しているか判断する
・おすすめした絆創膏のメリットを伝える
まずは傷の程度を確認し、感染のリスクがないかどうかを判断することが大切です。
化膿していそうな場合は、湿潤タイプや液体タイプの絆創膏は向いていません。
傷の場所のみだけでなく、仕事や生活習慣の情報から、おすすめのタイプを絞り込みます。
メリットだけでなく、デメリットと伝えられると、よりお客さまが納得した状態で購入していただけるでしょう。
絆創膏に関するよくあるQ&A
絆創膏に関してよくあるQ&Aをまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
Q.地域ごとで絆創膏の呼び方に違いはある?
【地域別の呼び方】
呼び方 | 主な地域 |
---|---|
絆創膏 | ・新潟県・静岡県・長野県など |
サビオ | ・北海道・和歌山県・広島県 |
バンドエイド | ・関東地方・大阪府・京都府・香川県など |
カットバン | ・東北地方・山梨県・愛媛県・鹿児島県など |
リバテープ | ・福岡県・熊本県・沖縄など |
キズバン | ・富山県 |
このように、地域ごとに呼び方が異なることがわかっています。
ただ、オリジナルの方言などではなく、商標登録された商品名が呼び方として定着して、一般名称のように使われている場合がほとんどです。
ただし、「キズバン」には諸説あると言われています。
Q.絆創膏でかぶれてしまったときは?
傷の状態が改善し、絆創膏を外して良さそうであれば、清潔を保ちながら様子をみます。
傷がまだ塞がっていなければ、包帯で優しくカバーをするのも良いでしょう。
かぶれ症状がひどい時は、皮膚科の受診を促してください。
Q.液体絆創膏の選び方は?
傷の場所で選ぶ
動きやすい部分 | 被膜がやわらかいタイプ |
動きにくい部分 | 被膜が硬いタイプ |
動きやすい関節などは、被膜がやわらかいタイプを、動きの少ない部分は硬いタイプがおすすめです。
しかし、皮膜がやわらかいタイプは剥がれやすいというデメリットもあります。
塗り直しができる環境であれば使い勝手は良いでしょう。
塗り方で選ぶ
・ハケ・ヘラを使って塗るタイプ
チューブタイプは手を汚すことなくサッと使えて持ち運びもできるため、アウトドアのお供に最適です。
ハケやヘラをつかうタイプは、細かい部分へ使いやすいメリットがあります。
また、速乾性タイプはすぐに乾くため、きれいに乾くため深めの傷におすすめです。
傷に染みる時間が短縮されるため、痛みを軽減できる場合もあります。
絆創膏の種類は豊富!状況に合わせて適切なものを選びましょう
絆創膏には通常の貼るタイプと液体タイプがあり、傷の種類や大きさ、部位などによって使い分けができます。
素材も伸縮性、防水性、低刺激性などさまざまなため、状況や生活スタイルなどに合ったものを選びましょう。
また、使い方によっては感染症などのリスクもあるため、注意事項などを適切に把握し、お客さまにお伝えすることも大切です。
お客さまへの対応例や接客のポイントなども参考に、日々の業務に役立ててみてください。
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