現場で役立つ知識
2022-02-04
【登録販売者の接客】お客さまへ必ず聞くべき項目9つ!
・Before
・After
登録販売者には、お客様一人ひとりのケースに応じた医薬品の提案が求められます。仕事の醍醐味であり、やりがいにつながる部分ですが、はじめは苦手に感じる方もいるかもしれません。 接客の最初のステップは、医薬品を適正使用してもらうために必要な事項の確認です。今回は、お客さまの来店ニーズのパターンと、接客時に必ず確認すべき項目を9つ紹介します。信頼される接客のために、ぜひマスターしておきましょう。
ドラッグストアを訪れるお客さまのニーズとは?
ドラッグストアに来店されるお客さまのニーズにはいくつかのパターンがあります。
大きく3つに分けて解説します。
特定の商品を求めて来店されるケース
CMで流れるような新商品や、お客さまが日常的に使用している特定の商品を求めて来店されるケースです。
この場合、お客さまが購入したい商品が決まっているため、お客さまのほうからスタッフに相談することは少ないでしょう。
場合によっては登録販売者のほうからお声がけが必要な医薬品もあるため、お客さまの様子を見て判断します。
症状に適した商品を求めて来店されるケース
現在気になっている症状に対し、最も効果の期待できる商品を求めて来店されるケースです。
お客さまの症状について丁寧にカウンセリングし、適切な商品の説明や提案を行う必要があります。
ほかの医薬品との飲み合わせについて相談したいケース
処方薬やほかの市販薬、サプリメントなどとの飲み合わせを、登録販売者や薬剤師に相談するために来店されることも多くあります。
処方薬との飲み合わせの場合は処方医師や調剤を受けた薬局への確認が推奨されますが、医療機関が休業の場合など、身近なドラッグストアに相談したいニーズは大きいでしょう。
ネット通販で医薬品が手軽に購入できるなかで、その場でお客さまの不安や悩みに対応できることが店舗販売の強みと言えます。
接客時にお客さまへ聞くべき9つの項目とは
ここでは、種類にかかわらず医薬品を販売する際に確認すべき基本的な項目を解説します。
1.薬を使用する方の年齢
薬を買いに来ている方が使用者とは限らないため、まずは薬を使用するのは誰かと使用者の年齢を確認します。
使用する方の年齢によっては、提案できる薬が限定されることも少なくありません。
2.どのような症状があるか
次に今お困りの症状について聞き出します。
「風邪薬が欲しい」「胃腸薬が欲しい」など簡単に伝えるお客さまも少なくありません。
風邪なら熱・鼻水・せきなど、胃腸なら痛みなのかもたれなのか、いつ症状が出現するのかなどを聞き取ることで、必要な薬を判断できます。
3.いつから症状が出ているのか
症状の経過は、市販薬で対応できそうな範囲か、受診を促したほうが良いかの判断材料になります。
目安として、症状が1週間以上続いている、もしくは市販薬で改善しない場合には医療機関の受診勧奨を行うべきでしょう。
たとえば咳が長期間続く場合、肺炎やアレルギー、慢性閉塞肺疾患(COPD)などの可能性も示唆されます。
4.アレルギー歴や副作用歴があるか
これまでアレルギーや薬の副作用を経験している場合は、成分によって利用できない薬があります。
たとえば胃が荒れやすい方へ鎮痛剤を提案する場合は、胃腸に負担の少ないアセトアミノフェン製剤や、胃粘膜保護成分の配合されたものを提案するなどの対応が可能です。
5.持病や既住症があるか
持病や既往症がある場合にも、服用できない薬やできるだけ服用を避けたほうが良い薬があります。
心臓や肝臓・腎臓の疾患のほか、高血圧や糖尿病、緑内障、喘息などに注意が必要です。
6.現在通院しているか
通院している場合、処方薬の有無とその種類も確認しましょう。
飲み合わせのほか、気になる症状が治療中の病気や処方薬の副作用に関係する場合もあるため注意が必要です。
7.服用している市販薬やサプリメントがあるか
ほかに服用中の薬剤がある場合、飲み合わせや成分の重複について確認しなければなりません。
サプリメントであっても、薬の服用に影響する場合があります。
8.妊娠中や授乳中ではないか
妊娠・授乳中は、服用できない、あるいは服用を避けた方が望ましい薬が少なくありません。
使用禁忌の商品については「してはいけないこと」の部分に妊娠・授乳について記載されています。
妊娠・授乳中の方のご家族が来店される場合も少なくありません。
念のために服用可能性のある方が該当しないか確認しておくと安心です。
9.乗物を運転する機会があるか
医薬品の成分によっては、服用によって眠気やまぶしさが生じるため、服用中の乗物の運転や機械類の操作が禁止されているものがあります。
商品をおすすめする際に考慮・注意喚起しなければなりません。
登録販売者が接客時に注意すべきポイント
接客時には、お客さまが何を求めているのか、質問の意図を見極めることが重要なポイントです。
とくに登録販売者が遭遇することの多いケースで、接客に悩む例と対応例をご紹介します。
「薬剤師を呼んでほしい」の意味
薬の相談のため「薬剤師を呼んでほしい」と言うお客さまがいますが、登録販売者が対応可能なケースも多くあります。
そこで、まず「お薬のご相談でしょうか?」と要望の意図を確認してみましょう。
登録販売者の認知は少しずつ上昇しているものの、「薬の相談=薬剤師」と考えているお客さまも少なくありません。
第一類医薬品を除いては、まず自分で対応可能かを判断し、難しいと思ったら薬剤師につなげるといった行動が望ましいでしょう。
薬を正しく服用していないお客さまへの対応
なかには、「とにかく薬を服用したい」というお客さまや、明らかに間違った飲み方をしているお客さまが来店されることもあります。
そのようなときは、以下を丁寧に説明しましょう。
・誤った使い方をしていると思わぬ副作用を招く恐れがあること
・薬は適正使用によって最良の効果を発揮すること
一人での対応が難しい場合には、薬剤師や店舗責任者と連携しましょう。
質問への回答がすぐにできないときは
処方薬との飲み合わせや持病をお持ちの方の服用可否など、難しい相談を受けることも少なくありません。
そのようなとき、単に「わかりません」と答えるのはNGです。
適切な回答がすぐにできないときには、曖昧にせず「申し訳ございません、お調べいたしますので○分ほどお待ちいただけますか」など、調査の時間が必要な旨をお客さまに伝えましょう。
主治医の判断が必要と思われる事例では、「私では判断いたしかねますので、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください」などと伝えて対応しましょう。
適切な情報提供を行うためのコツ
登録販売者には、お客さまに適切な情報提供を行い、薬を正しく使ってもらう役割があります。
接客時には以下のポイントを押さえておくと、お客さまからの信頼獲得につながりやすいでしょう。
服装やマナーで安心感を与える
信頼できるかどうかを判断する基準となるのが第一印象です。
清潔感があり整った服装、明るい笑顔、ハキハキとした丁寧な話し方で、お客さまに安心感を与えましょう。
状況を察してお声がけする
お客さまのなかには、自分でじっくり薬を検討したい方もいれば、スタッフへの相談を躊躇している方もいます。
むやみにお声がけするのではなく、お客さまの様子をよく観察し、困っている様子やスタッフを探しているような様子が見えたら声をかけてみましょう。
傾聴を心掛ける
接客の際は説明に力が入りがちですが、お客さまの話をしっかりと聞く傾聴を心掛けましょう。
人は話を聞いてくれる相手に信頼感を覚えます。
また、お客さまが話しやすくなるため、より多くの情報を聞きだすことができ、結果的により良いアドバイスの提供にもつながります。
わかりやすい表現を使う
医薬品について説明する際に専門用語を使いすぎると、お客さまが理解しづらく内容が伝わらなくなってしまいます。
誰でも理解できるようなわかりやすい表現を使いましょう。
資料や図版を用いた解説も効果的です。
ポイントに気をつけて適切な情報提供を
登録販売者としての接客で重要なのは、お客さまに合った医薬品の提案や医薬品の適正使用のための情報提供などです。
接客に慣れるまでには、上手くいかないと悩むことがあるかもしれません。
そんなときは、今回ご紹介したお客さまへの質問項目や伝えるコツを参考にしてみてください。
あわせて、自信をもって接客できるよう、日々知識のアップデートに取り組むことも怠らないようにしましょう。
【監修者プロフィール】
監修者:村松早織(むらまつ・さおり)さん
名城大学薬学部卒業後、医療用医薬品総合卸において企業内薬剤師として勤務。主に医薬品管理や医療機関への情報提供、セールスたちへの研修を行う。 その後、空港内ドラッグストアにて勤務。接客の傍ら、新入社員・登録販売者教育や、インバウンド対策の一環として英語の教育も行う。 2016年に㈱東京マキアを立ち上げ、登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開している。
YouTubeの『やっけんちゃんねる』やTwitterなどのSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワーに向けて、市販薬についての情報発信を行っている。
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