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2021-06-30
登録販売者とは?仕事内容や薬剤師との違いについて解説
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ドラッグストアなどの求人で見かけることが多い「登録販売者」の文字。 「登録販売者ってどんな仕事をするんだろう?」「薬剤師とは何が違うの?」と疑問を抱く方も多いかと思います。 登録販売者は一般用医薬品を販売する専門資格ですが、仕事内容はあまり知られていないのが実情です。 そこで今回は、登録販売者の資格ができた経緯や仕事内容、また、よく比較される薬剤師との違いについて、分かりやすくまとめました。
公開日:2020年3月16日
更新日:2021年6月30日
登録販売者とは?
はじめに、登録販売者の資格が誕生した経緯と、登録販売者に任されることが多い主な仕事内容について解説します。
登録販売者が誕生したのはいつ頃か
2008年以前、医薬品の販売ができたのは、薬剤師と薬種商のみでした。そのため、医薬品の販売に携わる人材は不足していました。
その後、2009年に医薬品販売の規制が大幅に緩和され、一部の医薬品については薬剤師がいなくても販売できるようになりました。この法改正にともなって誕生した資格が「登録販売者」です。
つまり登録販売者は、今まで薬剤師がいるときにしかできなかった医薬品の販売を、薬剤師不在時にもおこなえるようにするためつくられた専門資格です。
登録販売者の主な仕事内容
登録販売者が取り扱うことができる一般用医薬品は第二類医薬品と第三類医薬品に限られますが、これらは市販されている医薬品の9割以上を占めています。
そのため、薬局やドラッグストアにおいて登録販売者の資格を持つ人材は非常に重宝されます。
就業先により異なりますが、登録販売者の主な仕事内容は以下のとおりです。
- 医薬品の情報提供
- 医薬品の販売
- お客様からの相談対応
登録販売者の資格を生かした業務を担当することが多いです。
他にも、医薬品の期限管理や在庫管理、販売動向に応じた発注業務、製薬会社への対応などを一任されることも少なくありません。



登録販売者の仕事内容は?職場ごとに仕事内容を解説
登録販売者を必要とする職場は多種多様で、仕事内容もそれぞれの職場で異なります。
そこで、多くの登録販売者が就職するドラッグストアなどを例に、主な業務内容を紹介します。
ドラッグストア
ドラッグストアでは、医薬品の販売や情報提供・お客様からの質問対応などの他、商品の陳列・品出し・発注、レジ打ちなどの業務をおこなう場合が多いです。
また、正社員として勤務する場合、パート従業員やアルバイトへの指示、マネジメントを任されることもあります。
ドラッグストアでは、健康食品・医薬部外品・介護食品や介護用品なども数多く扱っているため、医薬品以外のヘルスケア商品に関する相談を受けることも少なくありません。
また、医療機関で処方された医薬品や通信販売で購入した健康食品などの相談を受けることもあります。
さらに、近年では化粧品を扱うドラッグストアにおいて、化粧品の提案・販売を行うビューティーアドバイザーとして、登録販売者のニーズが高まっています。
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コンビニエンスストア
コンビニエンスストアでは、在庫管理や発注、品出し、レジ打ち、店内清掃などといったコンビニエンスストア店員としての業務が比較的多い傾向にあります。
一方で、売り場つくりや医薬品の相談・販売は一任してもらえることがほとんどです。
調剤薬局
調剤薬局には必ず薬剤師がいるので、登録販売者の主な仕事は処方せんの受け取りや処方せん内容のコンピューター入力などです。
調剤薬局では一般用医薬品を販売していることも多いので、薬剤師が調剤や投薬などで対応が難しい場合などには、登録販売者が相談や販売に対応します。
その他
登録販売者の就職先としては、上記の他スーパーマーケット、ディスカウントストア、家電量販店、ホームセンターなどがあります。
店舗によっては医薬品販売業務のみを担当し、他の売り場にはほとんど関与しないこともあります。
また、知識を生かして一般用医薬品を扱う製薬会社の営業職として勤務する人や、独立店舗の立ち上げを目指す人もいます。
さらに近年では、OTC医薬品のネット通販や宅配サービスの需要増加に伴い、コールセンターや医薬品ネット販売事業などでも登録販売者が求めらるようになりました。
非対面であっても、お客様へ適切な情報提供ができる存在として役割が期待されています。
このように、登録販売者が活躍できる場は広がりを見せ、自分に合った働き方を選べるようになってきています。
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登録販売者と薬剤師の違い
登録販売者と薬剤師とで大きく異なるのは、「取り扱い医薬品の範囲」「処方せん調剤の可否」「資格取得方法」の3点です。具体的に何が違うのか、項目ごとに詳しく説明します。
取り扱うことのできる医薬品の範囲が違う
登録販売者が販売できる一般用医薬品は第二類医薬品・第三類医薬品だけですが、薬剤師は第一類医薬品を含めたすべての一般用医薬品を販売できます。
第一類医薬品は、一般用医薬品としての使用実績が少ないものや、副作用や飲み合わせなどについて特に注意を要するものであることから、薬剤師のみに販売が許されています。
処方せんに基づく調剤はできない
薬剤師は、医師の処方に基づいて、調剤をおこなうことができます。しかし、登録販売者による調剤は認められていません。
医師が処方する医薬品の多くは市販されておらず、劇薬や毒薬、覚醒剤原料や麻薬に分類されるものもあります。
そのため人体へのリスクが大きく、薬剤師による取り扱いしか認められていません。
資格の取得方法が違う
登録販売者試験は、学歴や年齢に関係なく誰でも受験することができます。合格率は都道府県によりばらつきがありますが、平均すると40%台です。
合格人数に制限があるわけではないので、合格基準をクリアすれば何人でも資格を取得することができます。そのため、2020年度末時点で、全国で30万人を超える人が試験に合格しています。
一方の薬剤師国家試験は、6年制の薬学部を卒業あるいは卒業見込みの人、または平成18年から29年の間に4年制の薬科学科を卒業し、大学院に進学して実習を受けた人のみに受験資格が与えられます。
合格率は60~80%ですが、そもそも薬学系大学に入学する人が少ないので、合格者数はそれほど多くありません。
まとめ
登録販売者は、一般用医薬品の販売をおこなうことができる専門資格です。登録販売者試験は、学歴・年齢に関係なく誰でも受験できますし、合格基準を満たせば合格することができます。
また、登録販売者は一般用医薬品のほとんどを取り扱うことができるため、ドラッグストアや薬局だけではなく、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、さらにコールセンターや医薬品ネット販売事業などなどでもニーズが高まっています。
セルフメディケーション(自身の健康を管理し、軽度な不調は自身で手当てすること)の推進が加速するなか、医薬品の専門家である登録販売者の存在は、今後ますます注目されることでしょう。

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