現場で役立つ知識
2020-07-02
2020年7月レジ袋の有料化!制度の確認と大手ドラッグストアの対応例
・Before
・After
経済産業省では、海洋ゴミ問題や廃棄物、地球温暖化など、国際的な環境問題に対応していく取り組みの一環として、2020年7月からプラスチック製レジ袋有料化を決定しました。これはもちろんドラッグストアやホームセンターなども例外ではありません。 今回は、レジ袋有料化の背景や目的、制度内容から、大手ドラッグストアで行われているレジ袋有料化の事例まで様々な情報について解説します。
レジ袋有料化の背景と目的
プラスチックは軽量で密閉性に長け、非常に便利で使いやすい素材です。一方で、プラスチック製品が海に流出し、海洋環境や海に暮らす生き物に深刻な影響を及ぼしています。ひいては、地球温暖化の原因になるなど、地球規模の課題となっていることもよく知られているのではないでしょうか。21世紀の新たな地球環境問題として、プラスチック製品がおよぼす問題は国際的にも対応が求められているのです。
日本では、プラスチックの適正処理や3R(リデュース・リユース・リサイクル)を率先し、プラスチック資源による環境汚染の問題解決に貢献しています。ただし、世界で2番目に「1人当たりの容器包装廃棄量」が多いのも現状です。
本制度は、レジ袋の有料化を通してマイバックを持つ習慣をつけるなど、私たちのライフスタイル変革を促すことが目的とされています。
小さなレジ袋をきっかけにプラスチック製品の過剰な使用を抑え、大きな環境問題の解決へつながる第一歩がはじまろうとしているのです。
「レジ袋有料化」制度の内容は?
次に、レジ袋有料化に関する具体的な制度の内容について解説していきます。
対象となる事業者
レジ袋有料化は「プラスチック製買物袋を扱う小売業を営むすべての事業者」が対象です。もちろん医薬品や化粧品、日用品を販売しているドラッグストアやホームセンターなどにも適用されます。
小売業でなくとも「エステサロンで美容グッズを販売する」などの場合は、事業の一部として小売業を行っているため今回の制度の対象となります。
対象となる買い物袋
現在、環境省により、対象となる買い物袋は購入した商品を持ち運ぶために使う「持ち手のついたプラスチック製の買い物袋」と定義されています。
具体的な判断基準は、以下の通りです。
・素材がプラスチックである
・持ち手がある
・商品を入れるために使う
・消費者がもらうことを辞退できる
一方でプラスチック製でも、環境性能が認められた袋は有料化の対象外です。
・プラスチックフィルムの厚さが50㎛以上で、繰り返し使用を推奨するもの
・海洋生分解性プラスチック配合率が100%もの
・バイオマス素材の配合率が25%以上のもの
ほかにも紙袋や布袋、持ち手がないプラスチックの袋は有料にはなりません。また、ドラッグストアでも配ることの多い試供品の提供に袋を使う場合や、福袋など袋が商品の一部になっているものも有料化の対象外です。
細かいルールが定められており理解しづらい部分はあるものの、基本的には持ち手のついたプラスチック製買い物袋が対象になると覚えておきましょう。
価格設定・売上の使い道
袋の価格は、事業者ごとに設定します。レジ袋の価格は、1枚あたり1円以上かつ、1枚ごとに価格を付ける必要があります。つまり「1枚目は3円だが、2枚目以降は無料」や「3枚で5円」などの設定はできません。
売上の使い道も、事業者が判断します。一部ではレジ袋の収益金を環境保全活動に役立てる活動を行う事業者も報告されています。

【事例あり】大手ドラッグストアのレジ袋有料化
ウエルシアホールディングスやマツモトキヨシホールディングス等、大手ドラッグストアでは、すでに2020年4月からレジ袋を有料化にする取り組みが前倒しで行われています。企業別の事例を見ていきましょう。
ウエルシアホールディングス
ウエルシアホールディングスは、いち早くレジ袋に関する取り組みを行った事業者です。もともとレジ袋は無料で、辞退したお客さまには一部店舗でエコポイントを進呈していました。この取り組みは2020年3月末で終了し、同年4月からは、環境に配慮したバイオマス素材30%配合のレジ袋を有料(中サイズ2円、特大サイズ5円)で提供しています。
また、ウエルシア公式キャラクター「うえたん」のオリジナルエコバッグの発売も開始しました。有料レジ袋の収益は、地域の環境を守る活動に役立てています。
マツモトキヨシホールディングス
マツモトキヨシホールディングスも、今年4月から全店レジ袋有料化の動きがありました。現在は中サイズ3円、大サイズ5円、特大サイズ10円で販売。在庫がなくなり次第、順次バイオマス素材を配合したレジ袋に切り替わっています。
またプライベートブランド「matsukiyo」はSGDs(持続可能な社会環境)に向けて環境問題を考慮した商品開発、成長戦略を行っています。レジ袋有料化に伴い、matsukiyo ポケットエコバック(W約43×H約51×約12.5㎝)を発売しました。素材も再生ポリエステル100%使用し、自然を守る取り組みとなっています。
ツルハホールディングス
レジ袋を辞退したお客さまを対象とした独自ポイント制度は2020年5月末で終了し、7月1日からレジ袋が有料になります。価格はS/Mサイズ2円、L/LLサイズが4円、XLサイズが9円です。
また、レジ袋はバイオマス30%配合のものへ随時変更されるほか、レジ袋の収益金は環境保全活動に役立てられます。
トモズ
トモズでも4月1日からレジ袋が有料化されました。プラスチック製のレジ袋だけでなく、森林資源保全の観点から紙袋も有料提供されています。価格はMサイズが2円、Lサイズが4円、アームバッグ5円、手提げ紙袋10円または20円です。
SDGsの取り組みとして、オリジナルのエコバックも発売しました。コンパクトにたためるので、携帯しやすく環境に優しい買い物をサポートしてくれます。
(2020年6月現在)



制度をきっかけに、環境に配慮した店舗づくりを
レジ袋有料化は、海洋ごみ問題や地球温暖化などを解決していく政策の1つです。日本は、積極的に環境問題に尽力していますが「1人当たりの容器包装排気量」が世界2位と多いのも現状です。
現在、対象となる買い物袋は、プラスチック製のレジ袋です。大手ドラッグストアでは、海洋汚染だけでなく森林資源問題に関して紙袋も有料化する企業も。バイオマス素材を使用したレジ袋を使用したり、再生ポリエステルを使ったエコバックを販売したりと様々な取り組みを行っています。
レジ袋を有料化することで、お客さまだけでなくドラッグストアで働く方たちにとっても「本当にレジ袋が必要か」を考えるきっかけとなりました。個人としてはもちろん、環境に配慮した店舗づくりを心掛けていけると良いですね。

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