登録販売者の働き方
2021-12-10
管理医療機器管理者の資格は登録販売者に必要?概要や難易度を解説
・Before
・After
登録販売者が活用できる資格のひとつに管理医療機器の管理者資格があります。この資格をもっていれば、薬剤師が在籍しない店舗でも許可や届出により医療機器の取り扱いが可能になるためです。 今回は、登録販売者が管理医療機器の管理者資格を取得するメリットや取得のための講習受講方法について、医療機器の区分とあわせて解説します。
管理医療機器管理者の資格とは?
医療機器は、人体へのリスク別に以下の3つに区分されています。
・管理医療機器
・一般医療機器
営業所や店舗などでの販売・授与・貸与にあたっては、上記の医療機器の区分によって許可や届出、管理者の設置が必要です。
医療機器の3区分と許可・届出・管理者の配置について、それぞれ確認しておきましょう。
高度管理医療機器とは?
「高度管理医療機器」とは、ペースメーカーのように不具合が生じた場合に生命のリスクが高いもの(国際基準クラスIV)やコンタクトレンズなどリスクが比較的高いもの(クラスIII)で、適切な管理が必要な医療機器を指します。
高度管理医療機器の販売などにあたっては、高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可と管理者の設置が必要です。
この許可があれば、管理医療機器や一般医療機器も取り扱い可能になります。
管理者となるためには講習の受講が必要となりますが、「高度管理医療機器等」のほか、コンタクトレンズであれば「指定視力補正用レンズ等」など、取り扱う医療機器によって受けるべき講習が異なります。
管理医療機器とは?
「管理医療機器」とは、不具合が生じた場合の人体へのリスクが比較的低いと考えられる医療機器(クラスII)です。
管理医療機器は、医療機関向け医療機器や補聴器、家庭用電気治療器などの「特定管理医療機器」と、それ以外の家庭用に用いられる「家庭用管理医療機器」に分類されています。
- 特定管理医療機器…「管理医療機器(麻酔用マスク、自動電子血圧計など)」「家庭用電気治療器」「補聴器(骨固定型補聴器を除く)」など
- 家庭用管理医療機器…「義歯床安定用糊剤」「温灸器」「家庭用創傷パッド(傷を早く治すパッド)」など
特定管理医療機器の販売などを行うには、管理医療機器販売業・貸与業の届出および管理者の設置が必要です。
一方、家庭用管理医療機器は販売の届出は必要ですが、管理者は不要です。
なお、電子体温計やコンドームは管理医療機器に該当しますが、厚生労働省告示第82号により届出や管理者不要で販売できます。
一般医療機器とは?
一般医療機器とは、不具合が生じても人体へのリスクが極めて低いと考えられる医療機器で、販売にあたり届出や管理者を必要としないものです。
救急絆創膏や医療用ピンセットなどが対象となります。
なお、前述した3つの区分とは別に「特定保守管理医療機器」と「設置管理医療機器」の2つの分類も存在します。
「特定保守管理医療機器」については、保守点検や修理に専門知識が必要になるため、区分に関係なく取扱いには許可が必要です。
登録販売者が管理医療機器管理者の資格を取るメリット
登録販売者が管理医療機器管理者の資格をもっていると、許可を得たり届出を出したりすれば店舗で医療機器が販売できるようになります。
店舗の品揃えを充実させることで多種多様なお客さまのニーズに対応可能となり、売上アップが期待できるでしょう。
たとえば、特定管理医療機器を取扱いできれば、健康管理を考えているお客さまへ電子血圧計をおすすめしたり、肩こりでお悩みのお客さまに家庭用低周波治療器を提案したりできます。
資格取得の難易度は?1~3年の実務経験が要件に
管理医療機器の管理者資格は、それぞれの分類で指定された講習を受講すれば取得できます。
ただし、講習の受講には一定の実務経験が必要です。区分別に求められる実務経験年数は以下の通りです。
受講に必要な実務経験年数
■高度管理医療機器
- 高度管理医療機器(指定視力補正用レンズなどを除く)の販売などに関する業務への3年以上の実務経験が必要です。資格取得後は、医療機器全般を扱えます。
- コンタクトレンズのみを扱いたい場合は、指定視力補正用レンズもしくは高度管理医療機器の販売などについて1年以上の実務経験が必要です。資格取得後は、コンタクトレンズと管理医療機器を扱えます。
■特定管理医療機器
- 特定管理医療機器(補聴器・家庭用電気治療器などを除く)の販売などに関する業務への3年以上の実務経験、もしくは高度管理医療機器の販売などに関する業務への1年以上の実務経験が必要です。資格取得後は、管理医療機器と一般医療機器を扱えます。
- 補聴器と家庭用電気治療器は、それぞれの販売などに関する業務への1年以上の実務経験、もしくはほかの特定管理医療機器の販売などに関する業務への1年以上の実務経験が必要です。資格取得後は、それぞれの機器と家庭用管理医療機器、一般医療機器を扱えます。
講習の日程や会場、受講料は?
高度管理医療機器や特定管理医療機器の管理者資格を取得するには、厚生労働大臣の登録を受けた機関で基礎講習の受講が必要です。
講習は基本的に実地でしたが、直近では新型コロナウイルス感染拡大の影響からインターネットによる受講も認められ、e-ラーニングやDVD教材を活用して講習が行われます。
いずれも厚生労働省令に基づく6時間以上の受講が必要で、講義後に修了テストを受けなければなりません。
費用は機関によって異なりますが、10,000円~15,000円ほどが相場です。
受講が免除になる6つのケース
次の6つのケースに該当する場合には、医療機器の種類を問わず要件を満たしているとみなされ、受講の必要はありません。
これまで管理医療機器などの販売実務経験がない場合でも、理系の大学を卒業しているなどの条件で管理者となることができます。
②第一種医療機器製造販売業の総括製造販売責任者の要件を満たす場合
③医療機器製造業の責任技術者の要件を満たす場合(大学などで物理学、化学、生物学、工学、情報学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学または歯学に関する専門課程を修了した人)
④医療機器修理業の責任技術者の要件を満たす場合
⑤旧薬事法における薬種商販売業の許可を受けている場合
⑥財団法人医療機器センターおよび日本医科器械商工団体連合会が実施していた医療機器販売適正事業所認定制度「販売管理責任者講習」を修了している場合
管理医療機器管理者の資格取得はおすすめ
登録販売者が高度管理医療機器や管理医療機器の資格を取得していれば、薬剤師と同様に許可・届出をもって医療機器の取扱いが可能になります。
登録販売者のみでは扱えなかった商品が揃えられるため、お客さまにとっても便利な店舗づくりが可能になり、売上アップなど大きなメリットにつながりやすくなるでしょう。
管理医療機器の管理者となるには基礎講習の受講が必要ですが、受講要件には管理医療機器の販売経験が求められます。
実務経験がない場合でも、理系大学卒業者など講習不要で管理者となれる場合もあるので、取得を目指す方はぜひ参考にしてください。
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