現場で役立つ知識
2021-11-12
【登録販売者向け】薬の成分はどうやって覚える?実務に生かせる勉強法を解説
・Before
・After
登録販売者は、資格を取得したら勉強が終わるわけではありません。資格取得はあくまでスタートラインであり、お客さまからの相談に的確に答えられるようにするには資格取得後も勉強を続ける必要があります。しかし試験のときとは異なり、現場に出たあとの勉強をどのようにしたら良いかわからない方も多いでしょう。 そこで今回は、登録販売者が現場で生かせる勉強法について解説します。苦手に感じる方が多い薬の成分の覚え方も紹介しているので、ぜひ活用してください。
登録販売者は資格取得後も覚えることが多い
登録販売者は、資格取得のために医薬品や人体の働き・薬事法など幅広く学んでいますが、実際に売り場に立って接客すると、まだまだ学ぶべきことが数多くあると実感します。
新薬の発売や薬の分類、法規の変更などもあり、常に情報を更新し新しい知識を身につけておかなければなりません。
とくに、薬の成分についてはカタカナで長い名前のものが多く、現役の登録販売者でも覚えるのに苦手意識をもっている方が多いようです。
薬の成分と薬効をマスターしておくと、パッケージを見ただけでどのような人に最適な商品であるかが簡単にわかります。
しっかりとそれらを覚えておくことで、お客さまから商品の違いを聞かれたときにもスムーズに対応できるでしょう。
薬の成分の覚え方
薬の成分は、漠然と丸暗記をしようとしても難しいものです。
また一度覚えたものであっても、見直す機会がなければ忘れてしまうことは少なくありません。
そこで、効率的に成分を覚えるのに役立つ3つの方法をご紹介します。
成分表を作成する
薬の成分と働きを整理するには、成分表の作成がおすすめです。
成分の分類と成分名を縦軸に、薬の分類を横軸にして表を作成します。
似たような働きのある成分をまとめて確認でき、なぜその成分が配合されているのかという目的を理解することが可能です。
このとき、副作用や服用に注意が必要な人についても表記するとより理解が深まります。
現役の登録販売者であれば、販売機会の多い風邪薬や鎮痛薬の成分についてはマスターしている方も多いでしょう。
苦手であったり忘れがちであったりする薬効群について、優先的に成分表を活用して復習してみてください。
また、成分名×商品名での成分表を作ることもおすすめです。
とくに、総合感冒薬や胃腸薬など同じブランド名で複数のシリーズを展開している医薬品は、成分表を作ってみることで詳細な理解に役立ちます。
成分を表化すると、この新発売の商品にはAという成分が使われている、ほかのメーカーの商品Bと同様の効果が期待できる、といったことが一目でわかるようになるほか、商品リニューアルのときにも役立ちます。
成分 | 総合感冒薬 | 解熱鎮痛薬 | 鎮咳去痰薬 | |
---|---|---|---|---|
解熱鎮痛成分 | アセトアミノフェン | 〇 | 〇 | |
抗ヒスタミン成分 | ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 〇 | 〇 | |
鎮咳成分 | リン酸ジヒドロコデイン | 〇 | 〇 | |
去痰成分 | ブロムヘキシン塩酸塩 | 〇 | 〇 |
成分名の語尾で覚える
薬の成分名には語尾が共通しているものがあります。
これは、薬の構造や働きに由来して成分名がつけられているためで、似たような語尾のある成分は関連性が高くなっています。
たとえば、「アミラーゼ」や「スクラーゼ」「ジアスターゼ」などの「~アーゼ」は酵素、「リドカイン」や「ジブカイン」などの「~カイン」は麻酔成分です。
また、アドレナリン作動成分には「ナファゾリン」「テトラヒドロゾリン」「エフェドリン」など「~リン」という名前のものが多くなっています。
今回ご紹介した以外にも共通の語尾をもつ成分は多くあるので、覚える際に着目してみると良いでしょう。
ただし、すべての成分がこの法則に当てはまるわけではありません。
先ほどのアドレナリン作動成分についていえば、「メトキシフェナミン」や「トリメトキノール」のように「リン」のつかない成分もあるので注意が必要です。
とはいえ共通する語尾をおさえれば、例外の成分を覚えるのも比較的楽になるでしょう。
実は語尾から薬の名前と成分を覚えるテクニックは、膨大な量の薬剤を扱う薬剤師もよく行っています。
新しく発売された成分を覚えるときに参考にしてみると良いでしょう。
名前と作用を語呂合わせして覚える
難しい成分名を覚えるときには、語呂合わせも効果的です。成分の名前や作用などの語呂合わせを作ってみましょう。
語呂合わせといっても、難しく考える必要はありません。自分が思い出せるように組み合わせれば問題ないため、ぜひトライしてみましょう。
たとえば、非麻薬性の鎮咳成分については、以下のような語呂合わせができます。
この文章は、以下の成分名の頭文字を並べたものです。
このように、覚えにくいと感じる成分名があったら語呂合わせを試してみましょう。
日常で知識を取り入れることも有効な手段
勉強時間を作ったり、研修に参加したりしなくても、日常で薬を勉強する機会は数多くあります。
ここからは、どのような方法やシチュエーションで知識を取り入れられるかを具体的に紹介していきます。
パッケージや添付文書から学ぶ
業務中や普段の買い物のなかで、医薬品の陳列やパッケージの情報などを積極的にチェックしてみてください。
パッケージには成分の働きのほか、使用上の注意など様々な情報がわかりやすく書かれています。
成分名や詳細を読み、わからないものがあれば都度調べるようにすれば、記憶に定着しやすくなるでしょう。
また、成分を見て「なぜこの陳列順なのか」「なぜこのPOP表示なのか」を考えるようにすると、様々な発見があるはずです。
同様に、医薬品の添付文書を細かく読み直してみることも学びになります。
「なぜその使用上の注意があるのか」という視点で成分名を見直してみると理解が深まります。
たとえば胃腸薬に「緑内障の方は薬剤師への相談が必要」と書かれていたとき、どの成分によってその注意がされているのかを考えてみると良いでしょう。
添付文書は、製薬会社の商品カタログで確認できるほか、ホームページでも閲覧できるようになっています。
また、普段使用している薬があるなら、ぜひ登録販売者としての目線で見直してみてください。
日々の接客機会を活用する
お客さまに自分の言葉で薬の説明をすることは、良いアウトプットの機会になります。
アウトプットによって記憶が定着しやすくなるため、意識的にプラスワンの接客を心がけてみましょう。
資格を取得して間もない方は、はじめのうちは積極的なお客さまとの会話が難しいかもしれません。
しかし、成長のチャンスだと考えてぜひ活用しましょう。
接客中に答えられない内容が出てくるのは、経験のある登録販売者でもよくあることです。
そのようなときは、あとから自分で調べたり、先輩たちから習った知識を自分の言葉でまとめ直したりすることが重要です。
日常のなかで無理なく記憶の定着を
薬の成分にはカタカナの長い名前も多く、なかなか覚えられないと考えている方は多いでしょう。
しかし業務のなかで少しアンテナを伸ばしてみると、学べることは数多くあります。
また成分名だけを覚えるのではなく、それぞれの成分について深堀りする意識も重要です。
今回ご紹介した覚え方も活用しながら、医薬品の知識を深めていきましょう。
そうするうちに、いつの間にか成分名に対する苦手意識も軽減していくはずです。
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