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2021-11-05
ドラッグストアで購入できる「抗体検査・抗原検査・PCR検査」キットの違いは?基礎知識も解説
・Before
・After
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ウイルスに感染しているのか、また過去に感染していたのかを調べる検査が全国で行われるようになりました。 主に行われているのが抗体検査や抗原検査、そしてPCR検査です。どれも似ているように見えますが、実はそれぞれの特徴があります。内容を理解せずに実施すると期待している結果が得られない可能性もあるため、違いをしっかりと理解しておくことが大切です。 今回はそれぞれの違いと、陽性が出た場合の対処方法について詳しく見ていきましょう。
抗体検査とは
抗体検査とは、抗体をもっているか(過去に感染していたか)を調べるものです。
抗体とは、ウイルスに感染したあとに作られる免疫グロブリンというたんぱく質を指します。
ウイルスを体から除去するために作られるもので、抗体検査で陽性の場合は過去にウイルスに感染していたということです。
抗体は感染してから1~2週間後に作られるとされているため、感染が疑われてすぐに検査しても陰性となる場合があります。
また、ウイルスに感染した場合だけでなくワクチンを接種して抗体が作られていた場合にも陽性になる点にも注意が必要です。
感染後すぐに検査しても陽性にはならないので、新型コロナウイルスの感染を証明する診断用として単独で用いられることはありません。
抗体検査キットはドラッグストアで簡単に購入できます。以下は手順の一例です。
2.付属のスポイトで血液を採取し、専用のカセットに滴下する
3.その上から試薬を滴下し、コントロールラインに加えてIgMやIgGのラインにも反応が出た場合は陽性、コントロールラインにのみ反応が出た場合は陰性と判断される
抗原検査とは
抗原検査とは、体内に抗原をもっているかどうかを調べるものです。抗原とはウイルスを構成しているたんぱく質を指します。
ウイルス独自のたんぱく質が体内にあるかを調べることで、感染を確認できるのです。
ただし、感染していても無症状の場合は検出が難しいとされています。
精度はPCR検査より低いとされていますが、手間をかけずに短時間で結果が出るため、今すぐ判断が求められる場面で用いられることが多いでしょう。
抗原検査キットはドラッグストアで誰でも購入でき、使い方も簡単です。以下の手順は一例ですが、参考にしてください。
2.試薬と混ぜて作った抽出液を付属のカセットに滴下したら完了
3.「テストライン」と「コントロールライン」の両方に反応があれば陽性、「コントロールライン」のみ反応があれば陰性と判断される
PCR検査とは
ニュースでもよく耳にするPCR検査は、専用の装置を使ってウイルスの遺伝子情報を増幅する検査です。
ウイルスの遺伝子そのものを検出することから、検査の段階で感染しているかどうかを調べられます。
抗原検査と似ている部分もありますが、PCR検査のほうが精度は高いため、より正確な診断ができるのが大きなメリットです。
また、無症状の場合でも感染しているかどうかを判断できます。
ただし、判定が出るまでにほかの検査よりも時間がかかるのはデメリットです。抗原検査や抗体検査は15~30分程度で結果がわかるものの、PCR検査は数時間を要します。
ただ、最近では検査可能な施設が増加し、2~4時間ほどで結果が出る場合も多いようです。
なお、PCR検査キットは市販でも購入が可能です。唾液を採取して郵送するだけで、自宅にいながらPCR検査を受けられます。
抗原検査や抗体検査と異なりその場で結果は出ないため、感染有無の確認にある程度時間を要することを知っておきましょう。
抗体検査・抗原検査・PCR検査の違い
抗体検査は「過去」に感染したことがあるかを調べ、抗原検査とPCR検査は「今」感染しているかを調べられます。
また、抗体検査と抗原検査は15~30分ほどで結果がわかりますが、PCR検査は基本的に数時間かかります。
加えてPCR検査は自宅で結果を確認できないため、市販で購入した場合は検体を郵送しなければいけません。
そのため結果がわかるまで1日~数日かかることがほとんどです。
主な違いは、以下の表を参考にしてください。
抗体検査 | 抗原検査 | PCR検査 | |
目的 | 過去に感染していたかを調べる | 現在感染しているかを調べる | 現在感染しているかを調べる |
検体 | 血液 | 鼻やのどの奥の粘膜または唾液 | 鼻やのどの奥の粘膜または唾液 |
調べるもの | 抗体 | 抗原 | 遺伝子 |
精度 | 検査キットにより異なる | PCR検査よりは低い | 比較的高い |
ワクチン接種での反応 | あり | なし | なし |
結果がわかるまでの所要時間 | 10~15分 | 15~30分 | 1日~数日 |
検査キットで陽性反応が出た場合の対応
抗原検査やPCR検査で陽性が出た場合、感染している確率が高いと判断できます。
ただし「市販の検査キットで陽性が出た=感染していることが確定」というわけではありません。
より精度の高い検査を行うためにも、陽性が出たらまずはかかりつけの医療機関や発熱相談センターなどに電話します。
そのあとは指示に従って受診してください。そこで陽性が確定となれば、自宅療養やホテル療養などの指示が出されます。
抗原検査やPCR検査で陽性だったからといって、上記機関に連絡をせずにその足で医療機関を受診しても受け付けてもらえないことがほとんどです。
また、陽性だった場合は感染拡大を防止する意味でも、安易に外へ出かけないようにしましょう。
抗体検査で陽性だった場合は、自覚症状がないようであれば電話や受診の必要はありません。
抗体検査で陽性が出るのは感染してから1~2週間後です。
そのころには体内のウイルスはすでに死滅しているとされ、感染を広げる可能性がないと考えられるためです。



検査の違いを理解して使用することが大切
抗原検査と抗体検査、PCR検査はどれも目的や特徴の異なるものです。
今回ご紹介した3つの検査のうち、もっとも精度が高いのはPCR検査です。
感染しているかを確定するのにも用いられるため、できるだけ確かな情報を知りたい方はPCR検査を行うと良いでしょう。
もし抗原検査やPCR検査で陽性だった場合は、かかりつけの医療機関や発熱相談センターなどに連絡をしてください。
自己判断は避け、感染を拡大させないよう注意して行動することも大切です。

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