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2022-01-12
注目度UP!効果的なPOPの作り方【ドラッグストアの売り場づくり】
・Before
・After
ドラッグストアには、決まった商品の購入だけでなく、選ぶ楽しさを求めて来店する方も多くいます。商品に効果的なPOPを掲示することで、そういったお客さまの購入を促すことができるでしょう。 今回は、ドラッグストアでPOPがもたらす効果や作成のポイント、注意点などを解説します。
公開日:2020年8月31日
更新日:2022年1月12日
ドラッグストアの売り場でPOPがもたらす効果とは
POPは「モノ言わぬ販売員」とも呼ばれ、お客さまに商品の情報や魅力がより伝わりやすくなるなど様々な効果をもたらしてくれます。
POP掲載の一番の目的は、お客さまの購買意欲を高めることです。
ドラッグストアでは、POPなどを用いて安価で良い商品であることをお客さまへアピールします。そうすることで、その商品を知らなかったお客さまにも興味を持ってもらい、パッケージだけでは伝わらない良さを理解してもらうことができます。
また、似たような商品の中から、店舗が販売したい品を選んでもらうためにPOPを用いることもできるでしょう。その商品がおすすめできる理由やほかの商品との違いを知ってもらい、購入を促すことが期待できます。
お客さまは商品選びで迷った際、スタッフに説明を求めることもありますが、すべてのお客さまに十分な説明が難しい場合もあります。そのようなケースでも、POPはスタッフの代わりに商品説明の役割も果たしてくれるのです。
ほかの薬との飲み合わせなどPOPで補えない質問もありますが、POPの情報がお客さまの頭に入っていることで、そのあとの説明もスムーズになるでしょう。
【OK例】お客さまに伝わるPOP作成のポイント
それでは、お客さまを魅了するPOPはどのようにして作るのでしょうか。主なポイントは3つです。
カラフルで目を引くPOPにする
お客さまは、明確に欲しいものがあり来店する方ばかりとは限りません。
「ウインドウショッピング」という言葉があるように、ふらっと立ち寄って良い商品がないか眺めに来る場合も多くあります。
似た商品が並んでいるなかで、色とりどりのPOPがついていると、お客さまの目に留まりやすくなるでしょう。
伝えたいことを強調して書く
商品名や価格はもちろんですが、商品の魅力やほかとの差別化につながる情報は強調して書くようにしましょう。
たとえばドラッグストアの場合、「数量限定お買い得!」「定価より30%OFF!」「当店売上No.1!」など、お得感が伝わる数字を含めると、購買意欲を高められます。
また、「テレビで紹介されました!」や「口コミで話題!」など人気が伝わる言葉を大きく目立たせるように書くことも意識しましょう。
しっかり商品の特徴を書く
商品の特徴を具体的にわかりやすく書くことも重要です。
なぜ疲れたときに効くのか、どのような成分が入っているのかなど詳しく書くことで、商品を使った際のイメージが浮かび、ほかの商品との違いもわかりやすくなります。
▼参考
厚生労働省:医薬品等の広告規制について
【NG例】POP作成のときに注意すること
ポイントをおさえないPOPでは、商品の魅力が伝わりません。以下4つに注意して、POP作成を行いましょう。
文字量が多すぎて読みづらい
訴求ポイントがまとまっておらず、文がひたすらに長いPOPではお客さまの読む気をそいでしまいます。
ドラッグストアは長時間滞在する場所ではないため、POPもじっくり読まれるものではないと意識し、商品の魅力は端的にメリハリをつけて伝えるようにしましょう。
黒一色など、シンプルすぎて目立たない
数多くの商品のなかで購買を促したい商品をしっかりと訴求するためには、一瞬でPOPに目をとめてもらう必要があります。
色数が少なくシンプルなものは商品に埋もれてしまい、せっかくのPOP効果を発揮できません。
耐久性がない
POPに耐久性がないと、お客さまが触れることですぐに劣化してしまいます。
いくらデザインに凝ったPOPも、折れたり汚れたりしていると魅力は半減。店舗のマイナスイメージにもつながりかねません。
POPを作成する際は、ラミネート加工をしたり厚みを持たせたりする工夫が必要です。
売り場のサイズに合わない
売り場に対して小さすぎるPOPは目立たず、大きすぎると商品やプライスカードを隠したり、通路の邪魔になったりしまいます。
売り場に統一感をもたせて商品を魅力的に見せるために、売り場に合ったサイズのものを作成しましょう。
【具体例】売上アップにもつながる?!オリジナルPOPの作り方
作成の際のOK例とNG例を確認したところで、具体的なテクニックを紹介します。ポイントをおさえ、魅力的なPOPを作れるようになりましょう。
言葉のイメージや季節に合った色のペンを使う
たとえば、解熱剤や涼しさをアピールする言葉は青や水色など、言葉とイメージが結びつきやすい色を使いましょう。
また、「大特価」や「売上No.1」などのポジティブな言葉は「暖色系」を使い、「疲れ」「冷え」などネガティブな言葉は「寒色系」を使うと、お客さまに伝わりやすくなります。
また季節感に合うデザインで作ると、さらに心惹かれるPOPに仕上がります。
たとえば日焼け止めの場合、太陽を連想させる赤やオレンジに、海やプールをイメージさせる青や水色を加えて夏らしさを演出してみましょう。
文字だけでなく簡単なイラストを加えると、目を引く魅力的なPOPになります。色合いや雰囲気も工夫してみましょう。
季節や時流に合ったワードで訴求する
たとえば春にオーラルケアの販促を強化していく場合、単に機能の訴求をするだけでなく、「出会いの季節、第一印象は歯で決まる!」など春という季節に合ったワードを取り入れましょう。
より具体的なシーンがイメージ浮かぶため、お客さまも「自分に必要な商品だ」と感じやすく販売への効果が期待できます。
伝えたい言葉はアンダーラインやハイライトで目立たせる
「大人気」や「50%OFF」など、お客さまに一番伝えたい情報はアンダーラインやハイライトを入れて目立たせます。
ほかにも強調させたい文字を太字にしたり、文字の上に「・・(てんてん)」を書いたりと、方法はたくさんあるので、様々な方法を試してみるとよいでしょう。
知っておきたい薬機法。POP作成時に注意が必要な表現をチェック
POP作成時には、法律が定める広告規制などにも注意が必要です。次で詳しくみていきましょう。
薬機法の広告規制とは?
医薬品などの扱いについて厚生労働省が定めた「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」や消費者庁が定める「景品表示法」では、広告に記載する表現などが細かく規定されています。
対象となるのは、店舗のPOPやリーフレット、掲示物、通販サイトや店舗ブログなどのあらゆる広告物です。
薬機法の違反者には、行政指導や広告是正、一部刑事罰が与えられます。
さらに、2021年8月からは課徴金制度も導入され、商品の売上の4.5%の納付対象に。
今後はより注意してPOP作成にあたる必要があるでしょう。
不適切な表現の一例
POP作成時の表現について、とくに注意したいのが薬機法で定める次の5点です。
- 定められる範囲を超えた効能効果の表示
- 安全性や効能効果を保証する表現
- 効能効果や安全性についての最大級の表現
- 医療関係者や研究者、一般人の認識に影響を与える団体などの推薦文言
- 他社製品の誹謗を行った広告
■定められる範囲を超えた効能効果の表示
医薬品・医薬部外品・化粧品などに定められる効能効果について、その範囲を超えた表現は一部の例外を除いて禁止されています。
〈医薬部外品の一例〉
NG:ニキビ、アセモがなくなる
OK:ニキビ、アセモを防ぐ
また、定められた効能効果のしばり表現を省略することも禁止とされています。
〈化粧品の一例〉
NG:しみ、そばかすを防ぐ
OK:メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ
医薬品や医薬部外品でない一般の化粧品などでは、以下のような表現もNGになります。
〈例〉
- 「〜が消えます(消えました)」
- 「〜が治ります(治りました)」
- 「〜が改善します」
- 「〜が増えます」
- 「〜が減ります」
効能効果は、添付文書や医薬品医療機器総合機構(Pmda)の添付文書等検索で調べられるので、必ず確認するようにしましょう。
▼参考サイトはコチラ
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(Pmda)
■安全性や効能効果を保証する表現
以下のような、安全性や効能効果を保証する表現もNGとされています。
〈例〉
- 副作用は一切ないので安心してください
- 100年の歴史が裏付ける安全な~
- 世界50か国で効果が認められた~
- 「保湿効果に満足」など効果を保証するような体験談
- 効能効果の誤認や安全性を保証させる図版・写真による表現※例外あり
■効能効果や安全性についての最大級の表現
以下のような最大級を示す表現についても禁止されています。
- 根拠のない「世界一」「絶対」「最も」など誇張した表現
- 根拠のない「売上No.1」
「売上No.1」など一部の表現については、分類が化粧品や医薬部外品(新指定医薬部外品を除く)の場合は、明確な根拠があれば使用できるともされています。
また、よく使われる「新発売」などの表現については、製品発売後12か月以内を目安に記載可能です。
■医療関係者や研究者、一般人の認識に影響を与える団体などの推薦文言
医薬品などの効能効果に関して、医薬関係者や病院、診療所、薬局、理容師、美容師、一般人の認識に影響を与える公務所、学校・学会を含む団体が、公認、推薦、指導、選用しているなどを広告で訴求することについても禁止されています。
〈例〉
- 美容皮膚科専門医も奨める~
- 厚生労働省認可
- 特許製品
■他社製品の誹謗広告
他社の類似商品などと比較して、特定の商品をおすすめすることも規制されているので注意しましょう。
〈例〉
- 他社の製品より良く効きます
ドラッグストアで扱う製品の広告規制には、ほかにも多くの取り決めがあります。
POP作成を行う際は、厚生労働省や消費者庁の資料に一度目を通しておくのがおすすめです。
▼参考サイトはコチラ
厚生労働省『医薬品等の広告規制について』
効果的なオリジナルPOPで売り上げアップを目指そう
POPは、スタッフの代わりに商品の情報を伝えてくれる「モノ言わぬ販売員」です。
お客さまの購買意欲を高め、購入を迷ったときの一押しになる存在。良いPOPは、商品とお客さまの出会いのきっかけを作ることができるでしょう。
重要なのは、どのようなPOPであれば商品の魅力がお客さまにしっかり伝わるかを考えながら作ることです。
紹介したいポイントをおさえ、魅力的で最終的に購買につながるPOPを目指しましょう。
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