現場で役立つ知識
2022-01-07
ドラッグストアの「店長会議」では何をしている?有意義な時間にするコツや注意点も解説
・Before
・After
ドラッグストアや薬局の多くは、定期的に店長や管理職を集めて「店長会議」を実施しています。マネジメント経験者は限られた時間で開催される会議とその内容を日々の業務に活かせているでしょうか。 店長会議は、企業の方針の理解や他店との情報交換もできる貴重な場です。今回は、店長会議の意義や課題から、有意義な時間にするコツを紹介します。あわせて会議の開催や進行、発表を任された際に注意すべきポイントについてもチェックしましょう。
ドラッグストアの店長会議とは?
まずはドラッグストアで実施されている店長会議について、概要を見ていきましょう。
店長会議とは?
店長会議とは、店長が参加する社内会議の一つです。
店長同士が顔を合わせることは少ないため、貴重な機会になります。
店長会議の内容・目的
店長会議の目的は、以下のような方針や情報の共有です。
企業全体の販促計画や方針の共有や、業務の振り返り、数値の進捗状況の報告などを行います。
・今月の目標の共有
・直近の課題と取り組みの報告
・推奨販売品の実績確認
・代表取締役による講話
・マニュアルや商品知識の確認
・業務監査からの報告
・メーカーによるセミナー
・グループディスカッション
・社内表彰
このように、現状の課題に関する討論や、研修を兼ねる場合もあります。
参加者・実施頻度・所要時間
店長会議に参加するのは、店長のほかエリアマネージャーや本社の管理職、SV・バイヤーなどです。
企業や会議の規模によっては、社長が参加する場合もあります。
参加者は企業によって異なり、多いところでは100~300名で行うケースもあるようです。
実施頻度や所要時間も企業によって様々です。
多くの場合、月1回の頻度で開催され、半日や丸1日がかりとなっています。一方、週1回、1時間程度で開催している企業もあるようです。
店長会議に対する不満や反省点
定期的に行われる店長会議について、改善の必要性や店舗へのフィードバックに課題を感じている店長も少なくありません。
店長会議において店長が抱える不満や反省点には、以下があげられます。
業績報告だけの会議で内容が薄い
業務報告だけの会議や、資料を説明するだけの会議では、どうしても内容が薄くなり時間を取って会議に参加する意義を見出すことができません。
また、毎回同じ内容で行われる会議も参加者のモチベーションを下げてしまうでしょう。
時間が長すぎる、または足りない
会議の所要時間と内容のボリュームが合っていない場合、時間に対する不満も出てくるでしょう。
半日から1日の会議が頻繁にあると負担に感じますし、あまりに短時間では十分な情報交換や課題解決が望めません。
オンライン会議でのコミュニケーションが難しい
新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインで店長会議を実施する企業が増えています。
会議に出席する負担が多少軽減される一方で、通信状況によって音声が途絶えたり、対面に比べて周囲の反応がわかりづらく積極的に発言しにくかったりといった弊害も見られます。
また、会議に出席した店長間での気軽な情報交換やコミュニケーションも、オンライン会議では難しいでしょう。
店舗にうまくフィードバックできない
店長会議では、企業の方針や販売計画の共有、研修などが行われます。
しかし、その内容を自店舗のスタッフにうまくフィードバックできないと悩む店長も少なくありません。
日程が合わない(シフト調整が難しい)
普段は店舗の業務をこなす店長が会議に出席するためには、代わりの人員を確保することが必要です。
店舗人員がギリギリの場合、シフトの調整ができなかったり、休日出勤が発生したりするケースも見られます。
催場所への移動が大変
企業によっては、全国の店舗から本社・支部などに店長が集まって会議を行います。
その場合、遠方から出席する店長にとっては開催場所への移動も負担となるようです。

店長会議を有意義なものにするコツ
店長会議は、本部と店舗の情報共有を行う重要な場です。
それにもかかわらず、多くの店長が会議の実施について少なからず不満を感じているようです。
そうした不満を解消し、会議をより有意義なものにするために、次のポイントを押さえておきましょう。
会議の目的を明確にする
会議の目的は、一般的に情報共有・意思決定・意見交換の三つに大別されます。
目的を明確にすることで、話し合いの方向性やゴールも明確になります。
また、参加者の事前準備を促し、モチベーションアップにつなげることもできるでしょう。
全員が発言できる環境をつくる
会議の参加人数が多くなると、発言する人に偏りが出る傾向があります。
タイミングを掴めず、意見を飲み込んでしまう人もいるでしょう。
会議を進める際には、全員発言ができるように司会・進行役が意見を求めたり、考える時間を設けて意見交換を行うようにしたりすると効果的です。
全員が発言することで、良いアイデアが出てくる可能性が高まります。
情報共有や検討の場にする
売上状況の確認や単なる連絡事項の伝達で終わってしまっては、大勢が集まる店長会議の場がもったいないものになってしまいます。
他店の情報や成功事例を共有し合い、改善方法などを検討するための「対話」の場として活用しましょう。
司会・進行役のキャスティング
会議の成功は、司会・進行役にかかっていると言っても過言ではありません。
選抜された人は、全体の空気を読み、参加者の意見を促し、話し合いをスムーズに進行させる役割を担います。
コミュニケーション能力の高い人や雰囲気作りに長けた人に依頼し、活発な話し合いができる場にしましょう。
議事録の作成と店舗への共有
会議では議事録を作成し、その内容を店舗に共有しましょう。
議事録は会議の要点を記録して、必要な内容を書面で相違なく伝えられるツールです。
口頭で会議のポイントを共有し、議事録を確認してもらうことで記憶の定着にもつながるうえ、連絡漏れや誤った解釈を防ぐことができます。
現場への落とし込み
会議での決定事項は、店舗に共有されたうえで実行されなければ意味がありません。
店長自身が目標について納得できており、実行する理由についてスタッフに説明できることも重要です。
また、自店で実行できる具体的な施策をスタッフへ指示し、行動を促す必要もあります。
店長会議で盛り込むべき内容
企業によっては、店長会議の進行を各店の店長が担当することもあるでしょう。
次では、店長会議をうまく進めるための流れとポイントをご紹介します。
経営戦略や業界の動向など情報を共有
業界の動向や経営戦略などの情報共有は、今後の店舗運営に欠かせません。
企業が目指している方向性を示すことで、現在の課題や改善点などを明らかにすることができます。
前回の会議の決定事項について進捗を確認
前回の会議で決定事項がある場合、進捗状況の確認を行います。
これにより、問題点の再検討やモチベーションの維持につながるでしょう。
今月の業績報告
売上や予算の達成率、推奨販売品の状況などの報告を行います。
各店長が順に発表するなどフォーマットを決めておくことで、報告者の準備負担を軽減できるでしょう。
課題など重要な事項について検討
討議案件や課題がある場合には、解決方法の議論や新たな施策に関するアイデアを集めます。
参加人数が多い場合には、グループディスカッションの活用も有効です。
決定事項の確認・読み上げ
会議で決まった事項の総括として、最後に読み上げ確認を行います。
また、議事録を作成して見直せるようにしておくと、認識の相違を防ぎ、店舗への共有や施策が実行しやすくなるでしょう。
会議で発表するときの注意点
会議で発表を行う機会がある場合には、あらかじめレジュメや資料を準備し、想定される質疑に対する応答を作成しておくなどの事前準備をして臨みましょう。
発表内容を上司に共有して、アドバイスをもらっておくのもおすすめです。
また、会議当日はわかりやすく話すことを心掛けてください。
主張のポイントを絞っておくのはもちろんですが、はっきりと、自信をもって話すことも大切です。
質問を行う場合には、相手を尊重し言葉を選びましょう。
落ち着いて必要性をよく考え、相手の意見や報告内容を肯定したうえで質問するのがおすすめです。
会議を設定する際のポイント
店長会議の運営に携わる場合、スムーズな会議開催のために、設定時に留意しておきたいポイントを以下でご説明します。
日時設定は早めに行う
店長会議の日時設定は、各店長やスタッフの負担とならないように早めに行いましょう。
毎月決まったタイミングでの設定が望ましいですが、難しい場合は店舗のシフトが決定するタイミングを考慮し、できるだけ早めに通達してください。
設定が遅いと、店長の休日と重なってしまい、休日出勤を余儀なくされることもあるようです。
また、商品の納品や販促のためのチラシ作成などのタイミングや繁忙期に重なると、シフト調整が困難になります。
開催場所を考慮する
会議内容や規模に応じて、対面とオンラインのどちらで実施するかを考えることも必要です。
オンラインでの開催には、遠方からの出席者の負担を軽減するメリットがあります。
一方、対面の方が参加者同士のコミュニケーションを促しやすいという面もあるでしょう。
人数が多い場合は地域別で話す時間も確保する
密なコミュニケーションが行えるよう、工夫を凝らしましょう。
100~300人規模の会議である場合、会議中に地域別など少人数での討論時間を設けるのも活発な議論をするのに有効な手段です。
懇親会の同時開催
普段から他店の店長と交流する機会はそう多くありません。
店長会議のあとに懇親会を開催することで、店長同士の親睦を深めたり、情報交換を促したりすることができます。
コロナ禍での開催は細心の注意を払う必要がありますが、前向きに検討してみると良いでしょう。
店長会議を店舗運営に役立てよう
今回は、店長会議の概要や課題、会議を有意義に行うポイントについて見てきました。
店長会議は、店舗運営に役立つ様々な情報が得られる場です。
受身になるのではなく、積極的に店舗の運営改善に活用するようにしましょう。
また、会議の運営に携わる場合には、十分な参加意義のある時間にすることが重要です。
店舗の負担を考慮したスケジューリングをはじめ、会議でなければ得られない課題解決の手段や成功体験が共有できるよう、プログラムを設定しましょう。

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