著名人コラム
2022-03-09
かぜ薬と胃腸薬など、市販薬の飲み合わせがよくわかりません。飲み合わせの注意点を教えてください。【鈴木伸悟先生のお悩み相談室!第1回】
・Before
・After
薬の成分や飲み合わせ、接客、同僚との人間関係など、たくさんの悩みや不安を抱えながらも、お客さまに最適な提案ができるよう奮闘する登録販売者。 そんな登録販売者のお悩みに、SNSや講演会、業界紙などを中心にOTC医薬品の情報発信を行う薬剤師の鈴木伸悟先生が答えます! 第1回は、市販薬の飲み合わせに関する相談です。お客さまから質問を受けたとき、うまく答えられない登録販売者も多いのではないでしょうか。 鈴木先生に、代表的な飲み合わせについて具体例とともに解説していただきました。
市販薬の飲み合わせ、組み合わせについての質問、ありがとうございます。具体例をもとにお話していきます。
風邪薬と胃薬は一緒に飲める?
風邪薬(総合感冒薬)と胃薬は併用可能なケースが多いです。
総合感冒薬と併用できる胃腸薬には様々な成分がありますが、とくに胃の粘膜を保護する成分であるテプレノンを配合した「新セルベール整胃プレミアム〈錠〉」や「パンシロンソフトベール」などは、使用上の注意が比較的少なく私は選択肢にしております。
ただし商品の組み合わせによっては、総合感冒薬で10成分配合、胃腸薬で10成分配合、計20成分を服用するケースもあります。
成分が多ければ多いほど効能が広がることもありますが、服用による副作用やアレルギーなどのリスクも考慮し、症状に合わせてなるべくシンプルな処方の商品を組み合わせるなど工夫すると良いでしょう。
注意してほしいのは、「ストナジェルサイナスEX」「ベンザブロックSプレミアム」のような抗コリン成分(ベラドンナ総アルカロイドなど)を配合した総合感冒薬は、鼻水により効果が期待できる一方で、胃腸鎮痛鎮痙薬(ブスコパンAなど)との併用はできないのでしっかり確認しましょう。
総合感冒薬には複数の成分が含まれているので、ほかのかぜ薬,解熱鎮痛薬,鎮咳去痰薬などは当然ながら成分が重複するため服用できません。販売前には落ち着いて注意事項を確認しましょう。
乗り物酔い薬や睡眠改善薬は要注意
乗り物酔い薬と解熱鎮痛剤などを一緒に購入しようとされるお客さまをみかけますが、併用できないので注意しましょう。
乗り物酔い薬や睡眠改善薬(ジフェンヒドラミン塩酸塩)は、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬など複数のカテゴリーのOTC医薬品と併用ができません。
複数の漢方は併用できる?
医師の判断などで複数の漢方薬を併用されている方もいますが、市販薬で対応する範囲では、私は基本的に一つの商品までの提案で、複数の漢方を併用したいお客さまの場合は専門医への受診を促しております。
偽アルドステロン症など登録販売者試験で勉強されたと思いますが、カンゾウの服用量にはとくに注意が必要です。
また「ナイシトールZa⇒防風通聖散」「キアガード⇒五苓散」など商品のネーミングから、漢方と思わずに服用されている方もいるので注意しましょう。
腰痛などに内服の鎮痛剤と外用の消炎鎮痛剤は併用できる?
商品にもよりますが、たとえば内服の「ロキソニンS」と外用の「ロキソニンSテープ」の場合、ロキソニンSテープは血中への成分の移行が少ないため用法用量を守って使用すれば併用が可能です。
ただし、内服剤と外用剤を併用しなければいけないほどの痛みの強さや、広範囲の痛みなどは受診を促すべきだと考えます。
【回答者プロフィール】
回答者:鈴木 伸悟(すずき・しんご)さん
有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室室長。
薬剤師および登録販売者へ適切なOTC医薬品のすすめ方や売り場作りなどの教育に携わる。
SNSでは、大手ドラッグストアおよび調剤薬局での自身の勤務経験をもとにOTC医薬品の役立つ情報発信を行い、全国各地での講演会やコラムの連載など多方面に活躍している。
著書「薬局OTC販売マニュアル〜臨床知識から商品選びまで分かる〜 日経BP社」

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