著名人コラム
2022-05-01
さまざまな売上コンクールがあるので、自分が良いと思う商品以外を薦めなければならずジレンマを感じます。【鈴木伸悟先生のお悩み相談室!第4回】
・Before
・After
薬の成分や飲み合わせ、接客、同僚との人間関係など、たくさんの悩みや不安を抱えながらも、お客さまに最適な提案ができるよう奮闘する登録販売者。 そんな登録販売者のお悩みに、SNSや講演会、業界紙などを中心にOTC医薬品の情報発信を行う薬剤師の鈴木伸悟先生が答えます! 第4回は、推奨品の販売に関するお悩み相談です。店舗の推奨品をおすすめするのが目の前のお客さまにとって良いのかどうか、接客のときにジレンマを感じる登録販売者は多いでしょう。 今回は、過去にドラッグストアで特定のOTC医薬品の販売数全国1位を獲得した実績もある鈴木先生に、推奨品販売時の考え方について解説していただきました。
推奨品購入のメリットが伝わるような情報提供を心がける
推奨品であったり、コンクールの対象品であったり、会社からの指示に納得がいかないこともあるでしょう。同じような悩みをもつ方も多いと思います。
そのなかでジレンマを感じるというのはしっかり勉強されている証拠ですし、お客さまファーストで親身な対応がしたいという強い思いがあるからこそでしょう。
そういった気持ちを、今後も大事にしてもらいたいところです。
一方で、物事を深く考えず、会社から言われた通りにどんどん推奨品を売るほうが楽で評価されると考える方もいるかもしれません。
しかし、この考え方には注意が必要です。
私の考えでは、推奨品などのセールスポイントを深く学び、お客さまにアウトプットできるように努力することは、その企業に勤務する以上、必要だと思います。
OTC医薬品は、含まれる成分の特徴や商品知識を得てトークスキルを磨けば磨くほど説得力が増して売れるようになるでしょう。
たとえば、推奨品が競合商品と比べて同じような成分で〇〇円安いといった情報提供は、ほとんどのお客さまにとって有益だと思います。
推奨品は必ず薦めなければいけない?
日々の対応のなかでお客さまから感謝されることもあれば、説明を拒否されて落ち込むこともあるでしょう。
こうしたときに推奨品を販売すること自体がお客さまにとって親切でないと感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、その商品を購入した際の満足度を決めるのはお客さま自身です。医薬品登録販売者は、お客さまに「買って良かった」と思ってもらえるように精一杯のアドバイスをしましょう。
推奨品をアピールするチャンスがあるのに忙しさや面倒といった理由でお客さまへの声掛けを怠っているとしたら、それは仕事への甘さがあると思います。
ただし前提として、OTC医薬品は、お客さまの症状や背景などにあった商品を選ぶのが基本です。
推奨品が候補にあがれば積極的に提案し、そうでなければ無理におすすめするのはやめましょう。OTC医薬品は、商品によって服用してはいけない方もいます。
持病などを確認せずにそういった方に商品を押し売りした場合、「使えない薬を売られた」とクレームになってしまうでしょう。
さらに、服用によって有害事象が出てしまったら大問題になります。
そのとき、会社や周りの人は助けてくれるでしょうか…あとから後悔しても遅いのです。
医薬品登録販売者の目指すべき姿とは
市販薬のスペシャリストとして、目の前のお客さまに合ったOTC医薬品の提案によって健康をサポートして「社会に貢献すること」と「会社に利益をもたらすこと」を両立するのが医薬品登録販売者の理想の姿だと私は考えます。
白衣を着て現場に立ったら、医薬品登録販売者としての誇りをもって勤務にあたりましょう。
質の高いOTC医薬品のカウンセリングを繰り返せば、ファンが増え、結果的に店舗の利益につながると私は信じております。
【回答者プロフィール】
回答者:鈴木 伸悟(すずき・しんご)さん
有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室室長。
薬剤師および登録販売者へ適切なOTC医薬品のすすめ方や売り場作りなどの教育に携わる。
SNSでは、大手ドラッグストアおよび調剤薬局での自身の勤務経験をもとにOTC医薬品の役立つ情報発信を行い、全国各地での講演会やコラムの連載など多方面に活躍している。
著書「薬局OTC販売マニュアル〜臨床知識から商品選びまで分かる〜 日経BP社」

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