現場で役立つ知識
2020-11-27
風邪薬・予防薬売り場のつくり方【ドラッグストアの売り場づくり】
・Before
・After
季節の変わり目になると、体調を崩して風邪をひきやすくなります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響から体調管理への関心も高まっており、「できるだけ早く風邪を治したい」と風邪薬や予防薬を求めて来店されるお客さまも多くなるでしょう。そんなニーズにしっかりと応えられるよう、効果的な訴求や提案を行っていかなければなりません。今回は、風邪薬・予防薬の売り場作りで押さえておきたいポイントや注意点についてまとめました。
早めの風邪対策への重要性
風邪は早めの対策が必要とよく言われますが、きちんとした理由があることをご存知でしょうか。そもそも風邪は、鼻やのどの粘膜へのウイルス感染・増殖で体の免疫が働くことにより炎症が起き、様々な症状を引き起こします。
鼻腔が炎症を起こせば鼻水やくしゃみ、のどの場合には痛みやせき、たんとなってあらわれます。風邪を治すのは体が持つ免疫力です。もし症状があるのに対処しないでいると、体力を消耗してしまい免疫が十分に働きません。そのため、症状が悪化したり治るのに時間がかかったりしてしまうのです。
風邪薬は症状を緩和するもので、風邪そのものを治すわけではありません。しかし、つらい症状を抑えることで体力の消耗を防げるので、早めの服用が効果的だといわれているのです。
風邪をひいて治らなければドラッグストアに行けばいいと考えている人もいます。しかし、症状がひどくなってしまうと、薬を買いに行くこともままならなくなります。
そのため、「風邪を引いたかもしれない」と感じたときは、できるだけ早く症状にあった薬を服用してゆっくり休養を取ることが重要です。
風邪薬・予防薬の売り場をつくる前に確認しておくこと
風邪薬・予防薬の売り場で展開する商品には数多くの種類があります。そのなかでも売れる商品・ブランドを中心に展開することによりお客さまに強く訴求できるので、売り場をつくる前に確認しておきましょう。
たとえば、以下のような商品は積極的に展開していくことをおすすめします。
・人気タレントがCMキャラクターの商品
・知名度の高い、定番ブランドの商品
とくにCM商品は商品名を覚えておらず、タレントの名前を指定して買いに来られるお客さまも見られます。情報は必ずチェックしておきましょう。
また近年、風邪薬は症状に合わせて適切な商品を選ぶ意識が定着しているので、今シーズンはどのような症状の風邪が多い傾向があるかも把握しておくと売り場づくりに役立ちます。

風邪薬・予防薬の売場づくり
風邪薬・予防薬の売り場で扱う商品には、総合感冒薬を中心に鼻炎薬や咳止めなどの症状特化型の商品、漢方薬、風邪向けの栄養剤などがあります。また、予防や緩和に役立つ衛生用品や健康食品なども関連展開が可能です。
ここからは、風邪薬・予防薬の売り場をどのようにつくっていけばいいか、3つのステップに沿ってご紹介します。
①風邪薬・予防薬の売場に効果的な商品の選出
まずは、風邪薬・予防薬の売り場でどのような展開を行うか取り扱う商品のカテゴリを決め、商品を選出します。
メインとなる風邪薬には、比較的大容量の常備薬向け定番商品や、症状別に複数の種類が発売されている総合感冒薬、比較的症状がひどくなっても対応できる効き目を重視した新商品などがあります。それぞれのニーズに対応できるよう、異なる特性の商品を選択しましょう。
このとき、店舗の客層の特性にも配慮が必要です。ビジネスパーソンの来店が多い店舗では、手軽に購入できる小容量の薬や風邪のひきはじめ向けのドリンク剤が一定数売れます。
一方ファミリー層の多い店舗では子ども向け風邪薬のニーズが増えるので、家族全員で使える予防薬などと合わせて展開すると、ついで買いを誘発できます。
そうした関連商品については、昨年のデータやトレンドを意識して選択するといいでしょう。
また、エンド展開ではシーズンを意識することも大切です。たとえば冬場は、寒気のあるひきはじめの風邪に適した葛根湯がよく売れます。逆に夏場のお腹にくる風邪の流行時には、胃腸薬や整腸薬などを購入するお客さまも増えますので、これらを一緒に展開するのがおすすめです。
②効果的な陳列・レイアウト
風邪薬・予防薬の陳列は一般的に上からメインとなる総合感冒薬、その次に咳止めやのどケア商品など、続いてうがい薬など予防薬、サプリメントやしょうが湯・経口補水液などの食品類、最下段には冷却シートやアイスまくらなど比較的嵩のある関連商品を提案することが多いです。店舗規模や購買傾向にあわせて調整するといいでしょう。
なお風邪薬・予防薬はサイズが小さめな商品も多い傾向にあります。エンドで展開する場合には、お客さまが見やすいようにフェイスを十分に取って立体陳列しましょう。
陳列の上段は、ひな壇などを活用するとボリュームを出しながら視認性を高められます。症状別に発売されているシリーズ商品については、横に並べた際のレイアウトが比較になり効果的です。
また、積極的に売りたいPB商品は、比較対象であるNB商品の隣に陳列するのがおすすめ。お客さまの目に止まりやすくなり、価格面での訴求も行えます。お客さまにも説明しやすく便利です。
③販売促進につなげるPOPの活用法
風邪薬や予防薬の商品には、たとえば総合感冒薬のなかでもとくにのど症状に向けた商品や鼻症状に向けた商品などがあります。
この場合、POPで強調することでお客さまが自分にあった商品を選びやすくなります。メーカーの販促物なども活用しながら、一目でわかるように陳列しましょう。
また、「1日2回服用」「眠くなる成分は入っていません」などの商品特性も一定のニーズがありますので、POPでの強調がおすすめです。
一般的なドリンク剤と比較して認知されにくい風邪向けの栄養ドリンクも、カフェインが入っていないことや風邪薬と一緒に飲めることを訴求すると購買につながりやすくなります。
POPは情報提供にも積極的に活用しましょう。たとえば以下のような情報があると良いでしょう。
・備えるべきものがわかるチェックリスト
お客さまが自分の買うべき商品がわかり、関連商品の売上げにもつながります。また薬を服用する以外に、睡眠や食事など風邪を治すために必要な情報を提供することもおすすめです。



お客さまのニーズに合わせた売り場づくりを
今回は「風邪薬・予防薬の売り場づくり」について解説しました。風邪薬や予防薬は年間を通じてニーズがありますが、季節の変わり目、とくに寒くなる秋から冬にかけて販売数がぐっと増えます。
来店されたお客さまが自分に必要な商品を探せるよう、POPなどの販促物を積極的に活用してわかりやすい売り場づくりを心がけましょう。
セルフメディケーションの考え方が浸透してきたことで、風邪をひいたときには早めに市販薬で対応するという人も増えてきました。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、医療機関の受診はできるだけ避けるという動きは今後さらに高まるかもしれません。
お客さまに合った商品の提案のみならず、必要な情報も積極的に提供し、お店への信頼を勝ち取りましょう。

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