現場で役立つ知識
2021-02-26
花粉症対策の売り場はこうしてつくる【ドラッグストアの売り場づくり】
・Before
・After
今年も辛い花粉症のシーズンがやってきました。新型コロナウイルス感染拡大の時期と重なることもあり、ドラッグストアには花粉症対策に万全を期したいとお考えのお客さまが多く来店するでしょう。今回は、花粉症対策の売り場づくりに欠かせない商品選定ポイントや展開方法についてまとめました。
早めに花粉症対策を始めるメリット
花粉症は早めに対策を始めることで、アレルギー症状を軽くできます。
花粉症の症状がひどくなってから薬を服用しても、なかなか効き目があらわれないとの話を耳にしたことはないでしょうか。
実は、いったんアレルギー症状があらわれると粘膜がより過敏になり、少しのアレルゲンの侵入で強い症状が出やすくなります。そのため、症状が悪化しないうちに対処することが重要です。
花粉症治療の医療現場では、花粉の飛散が始まる2週間ほど前から処方薬を服用しておく「初期療法」が行われます。
一方で、一般用医薬品の抗アレルギー薬は、花粉飛散予測日から、あるいは症状が出始めた時点で服用できる場合が多いです。症状がつらくなる前に、早めに対処を始める意識をもつことが症状緩和につながります。
また、花粉症対策ではアレルゲンとなる花粉を取り込まない工夫が必要です。花粉防止グッズの活用などで花粉に触れる量をできる限り少なくすることも、症状をひどくしないポイントになります。
花粉症対策の売り場をつくる前に確認しておくこと
花粉の中でもアレルギーを引き起こす方が多いスギ花粉は、早い地域では2月初頭から飛散量が増えてくる場合も。
しかし、敏感な方では飛散が始まる1月下旬頃から軽い症状が出始めるケースもあります。地域の花粉飛散情報を確認しながら、できるだけ早期に展開を始めましょう。
花粉症対策を目的とした商品には、花粉症の症状に対処するための医薬品と物理的に花粉に触れないようにするための商品とがあります。
花粉症のシーズンをより快適に過ごすには両方の対策が欠かせませんが、お客さまのニーズに応じて展開バランスを考えていきましょう。
たとえば、立地条件によって左右されるニーズとして、次のようなものが挙げられます。
日中でも眠くなりにくい商品、持ち歩きも考慮した小容量の商品、即効性の高い商品など
■住宅地
常備薬や普段から備えておきたい予防グッズ、日用品など。ファミリー層の多い地域は子供用商品など
以上は一例ですが、前年の販売データや新製品を参考にしながら、店舗特性やレイアウトを考慮したうえで売り場づくりを行いましょう。



花粉症対策の売り場づくり
では、花粉症対策の売り場づくりのステップを、重要になる3つのポイントに分けて解説していきます。
①花粉症対策の売場に効果的な商品の選出
花粉症の症状を緩和する医薬品を中心に、打ち出したい商品を選択していきます。
花粉症対策売り場でメインとなる商品は鼻炎用内服薬です。売れ筋の抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)を中心に、即効性の期待できる第1世代の抗ヒスタミン薬や眠くなりにくい漢方薬などをあわせて展開することで、幅広いニーズに対応できます。
お客さまの服用しやすさにつながる服用回数や剤形にも着目して選択しましょう。
点鼻薬や目薬も同様に、抗アレルギー剤や抗炎症剤と、症状緩和に即効性のある商品をあわせて展開するのがおすすめです。
また、洗眼薬や鼻洗浄液などの医療機器もニーズが高まりますので同時展開を検討しましょう。
そのほか関連商品として展開できる商品には、花粉の取り込みを防ぐ商品や症状の緩和に役立つ商品などがあります。具体的には以下のようなカテゴリが挙げられます。
花粉症向けマスク、花粉付着防止スプレー、花粉防止メガネなど
■花粉症による不快感を緩和する商品
ローションティッシュ、鼻腔拡張テープ、アロマスティック、ティッシュやマスクによる肌荒れに向けた保湿剤など
■花粉症向けの健康食品類
花粉症向けキャンディ、甜茶、べにふうき、じゃばら、乳酸菌サプリメントなど
今シーズンの新発売はもちろん、CMやメディアで大きく紹介されている商品をお求めになるお客さまも増えます。動向を確認しながら商品を選択しましょう。
②効果的な陳列・レイアウト
花粉症のシーズンになると、多くのお客さまが花粉症対策商品をお求めになります。
通路エンドなど目立つ場所に売場を展開しましょう。
■高さ85~150㎝(ゴールデンゾーン)
陳列レイアウトは、ニーズの高い医薬品を中心に考えていきます
一般的にゴールデンゾーンには鼻炎用内服薬を大きく展開し、その下段に点鼻薬や点眼薬などの陳列がおすすめです。
空箱やひな壇、メーカーの販促資材などを活用して、離れたところからでも売り場を認識できるようボリュームのある陳列を行いましょう。
■高さ60㎝
ゴールデンゾーンの下段にあたる場所には、比較的嵩(かさ)のある商品を陳列するとお客さまの目に止まりやすくなります。
洗眼薬や鼻洗浄剤のほか、箱入りのマスクや肌にやさしいローションティッシュ、花粉の付着を防止するスプレーなど、花粉症薬をお求めのお客さまにプラス買いを提案していきましょう。
■そのほかの売り場も活用
花粉症対策として関連販売できる商品は多岐に渡ります。
スペースが限られている場合には、エンド横の吊り下げ陳列やレジ前陳列など、複数の箇所での展開も積極的に行いましょう。
③販売促進につなげるPOPの活用法
花粉症の薬には数多くの種類があり、同ブランド名で発売されていても成分やターゲットが異なる場合も少なくありません。
一般のお客さまがパッケージを一目見ただけで、内容や違いを把握して自分に合ったものを選択するのは難しいでしょう。
そこで活用したいのが、POPによる訴求です。各社主力の商品はメーカーの販促物が提供される場合もありますが、とくにおすすめしたいポイントについてはPOPを作成して積極的に訴求しましょう。
■訴求ポイントを表示する
たとえば、鼻炎用内服薬なら「1日1回服用」「眠くなりにくい」「口が乾きにくい」「すぐに症状を止めたい方に」「水なしで飲める」などは一定の購入ニーズがあり、ほかの商品との差別化ポイントになります。
パッケージのみでは判断がつきにくい使用感や、「鼻づまりに」「鼻水に」などの訴求ポイントを表示しておくのもわかりやすいでしょう。
■お客さまへの注意喚起
POPにはお客さまに対策を促す効果もあります。とくに花粉は、飛散量や種類が日々変化します。
花粉が多く飛散する日には注意喚起することで、ほかの目的で来店された花粉症のあるお客さまへの販促にも効果的です。
花粉の飛散シーズンになると、各社の気象情報サイトで飛散量予測が発表されます。日々活用していきましょう。
■症状チェックシートの活用
鼻や目の症状で来店されたお客さまのなかには、今の症状が花粉症なのかどうかわからないという方もいらっしゃいます。
花粉症かどうかを判断する目安になる、チェックシートのようなPOPを設置しておくのもおすすめです。

早めの売り場づくりでお客さまの力に
今回は、花粉症対策の売り場づくりについて解説しました。
症状がひどく医療機関を受診する方もいる一方、一時的な症状のため市販薬で対処しようという方も多い花粉症。
また、かつての処方薬がスイッチOTCとしてドラッグストアで購入できるようになったため、セルフケアを選ぶ方も一定数いらっしゃいます。
症状がひどくなると、日常生活における能率や集中力が大きく低下し、気分もすぐれなくなるため、何としても緩和したいものです。
花粉症は医薬品のみならず、様々な角度から対策できます。お困りのお客さまの力となれるよう、対策商品をしっかりと提案できる売り場を作りましょう。

合わせて読まれている記事
登録販売者のための役立つ情報がいっぱい!
最新のドラッグストア業界動向のポイント、転職成功のためのノウハウなど、登録販売者のキャリアに役立つ多様な情報をお届けしています。チアジョブ登販は求人のご紹介や転職サポートのほかにも、登録販売者の方に嬉しい最新情報も提供。毎月更新しているコンテンツも多数です。ぜひ定期的にチェックしてみてください!