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2023-02-03
ティーチングとコーチングの違いと活用方法とは<ドラッグストアの新人研修>
・Before
・After
登録販売者として経験を重ねてくると、部下や新人の育成に携わる機会も増えてくるでしょう。効果的な指導・育成を行うには、ティーチングとコーチングを適切に使い分けることが重要です。この記事では、ティーチング・コーチングの違いやそれぞれのメリット・デメリット、効果的な活用シーンについて紹介します。ドラッグストアでの新人育成に活かしていきましょう。
ティーチングとは
まず、ティーチングの概要やメリット・デメリット、効果的な活用シーンについて解説します。
ティーチングとは
ティーチングとは、自分がもっている知識やスキル、経験などを相手に伝える教育方法です。
指導者側が答えをもっており、対象者に指示を与えることでその答えの導き方を身につけます。
指導者から対象者への一方方向の指導です。
メリット・デメリット
ティーチングのメリットは、相手に素早く知識やスキルを伝えられることです。
また、複数の対象者をまとめて育成できるので、対象者グループの認識を統一させる効果も期待できます。
デメリットは、指導者が一方的に教える行為になるため、対象者が自身で考える必要がなく受動的になりがちという点です。
やり方や内容によっては、モチベーションを下げてしまうおそれもあるので注意しましょう。
また、指導者側のもつスキルや経験以上のことは教えられないため、教育効果には限りがあります。
効果的な活用シーン
ティーチングは、教えることが明確な場合や、知識や経験が浅い新人の教育に効果的です。
効率的に一定の水準まで業務レベルを引き上げられます。
また、迅速な対応が求められるシーンも、短時間に情報を伝達できるティーチングが向いています。
コーチングとは
続いて、コーチングの概要やメリット・デメリット、効果的な活用シーンについて、ティーチングとの違いを交えながら解説します。
コーチングとは
コーチングとは、対象者に考えさせることで、新たな気づきや答えを得る手助けをする教育方法です。
コーチングでは、ティーチングのように指導者がスキルや経験を直接教えたり伝えたりはしません。
マンツーマンの指導で対象者自身に考えさせ、答えを出す工程を身につけます。
メリット・デメリット
コーチングのメリットは、対象者自身の自発性や問題解決能力を育み、成長を促せることです。
対象者の潜在スキルによっては、指導者よりも高いスキルを身につけられるでしょう。
また、対象者自身が自らの思考をまとめていく過程で内発的動機を高め、実践につながりやすいのもメリットです。
仕事への責任感も強くなるでしょう。
一方、コーチングのデメリットは、対象者に基礎的なスキルや能力がともなっていないと、効果を引き出せないことです。
与えられた課題に対して自身の技量がなければ、気づきや答えを得られません。
また、コーチングは成果が出るまでに時間を要するため、緊急性のある内容には向きません。
対象者一人ひとりに合ったコーチングが必要なため、指導者のマネジメント技術が求められる点にも留意しましょう。
効果的な活用シーン
コーチングは、ある程度スキルや経験のある対象者の成長を促したいシーンで効果的です。
施策やマネジメントなど、緊急性はないものの自身で考える必要のある重要な内容について指導するときに活用できます。

ドラッグストアにおける活用例
ドラッグストアにおける人材教育の場面でも、ティーチング・コーチングを活用できます。
内容や重要度、緊急度によって使い分けると良いでしょう。
ティーチングが役立つのは、スピードが必要で答えが明確な場合です。
業務で必要な知識を素早く身につけてもらうにはティーチングを活用しましょう。
たとえば、以下の教育においてはティーチングが向いています。
・日々の業務の進め方
・知識の習得が必要な商品勉強会
・接客ミスやクレーム発生時の対応 など
マニュアル化できる業務は、ティーチングが可能と覚えておくと良いでしょう。
反対にコーチングが役立つのは、基本的な知識を身につけたあと、自身でより良い方法を考える必要がある場合です。
具体的には、以下のようなシーンで活用できます。
・業務目標や施策の設定・実行
・部下のマネジメント
・業務効率化や改善 など
ティーチングが基礎知識の習得に向いているのに対し、コーチングは身につけた知識を業務に応用する場合に向きます。
基本的にはティーチングからコーチングへと段階的に進めていきますが、課題に応じて臨機応変により良い方法を取り入れましょう。
ティーチング・コーチングを行う際のポイント
ティーチング・コーチングを行う際に大切なのは、対象者をよく見ることです。
ティーチング・コーチング自体が目的となってしまわないように、それぞれについて気をつけたいポイントを紹介します。
ティーチングのポイント
ティーチングでは、知識や経験の浅い対象者でも理解できるよう、教える内容をわかりやすく言語化することが重要です。
対象者の立場でものごとを考え、具体例を交えて相手にわかりやすく伝えるように心掛けましょう。
たとえば、指導者が実務やロールプレイングで実際に手本を見せたのちに対象者に取り組んでもらい、フィードバックを行うのも効果的です。
ティーチングのあとは対象者に感想や実践にあたって感じた疑問点などを質問してもらうことで、対象者の理解度が確認でき、効果的なティーチングが行えます。
新人の集合研修のように複数人に対してティーチングを行う際は、テストやアンケートなども適宜取り入れると効果測定が可能です。
対象者の自己評価にも活用できます。
コーチングのポイント
コーチングは対象者に考えさせることが重要なので、対象者の意見にしっかりと耳を傾けなければなりません。
もし対象者が答えを見つけられないときや考えが適切でない場合は適宜質問を行い、自身による気づきを促しましょう。
コーチングの効果を発揮させるには、指導者と対象者が対等な立場で向き合えるよう、日頃から信頼関係の構築に取り組むことも大切です。
また、相手に偏見をもったり、先に答えを教えたり、指導者の考えに誘導したりしてはいけません。
一定の答えに誘導してしまうと、対象者が自分の考えを言語化できなくなり、自発性が失われます。
それだけではなく、自身の考えを発言することに対して心理的なハードルが生まれてしまうほか、指導者の想定する答えを見つけようとしてしまい、コーチングの意味を成さなくなるので注意しましょう。
さらに、コーチングにおいては対象者を承認することも重要です。
成果だけでなく、小さな変化についても気を配り、評価を心がけましょう。
コーチングは、ティーチングのようにすぐに成果が現れるわけではありません。
中長期的な目線で継続的に指導・教育に取り組むことがポイントです。
シーンや目的に応じた使い分けが重要
ティーチング・コーチングは、部下や新人の育成に欠かせない教育手法です。
部下の指導・教育というと、コーチングが重視される傾向がありますが、ティーチングが適する場面も多くあります。
教える内容の緊急性や対象者のスキルによって適する方法が異なるので、状況に応じて使い分けましょう。
また、ティーチングにもコーチングにも共通して必要なのは、「対象者によく目を向ける」ということです。
対象者とのコミュニケーションがうまくいっていないと、教育効果は得られにくくなります。
部下や新人が抱えている現在の課題や成長に必要なものを見極め、育成や教育に取り組むことが大切です。

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