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2023-04-28
五苓散の飲み合わせの禁忌・NGは?効果、服用・販売時の注意点について<登録販売者向け>
・Before
・After
五苓散の飲み合わせや効能効果について、正しいご案内方法を理解していますか?五苓散は、水分が原因の不調におすすめの漢方薬ですが、いくつか服用前に確認すべき点があります。今回は、五苓散の飲み合わせや効能効果、服用の注意点をご紹介。お客さまへのヒアリングのポイントや対応例も解説しますので、登録販売者の方はぜひ参考にしてください。
五苓散の飲み合わせに禁忌・NGはある?
五苓散には、基本的に飲み合わせて禁忌となる医薬品はありません。
ただし他の漢方薬と併用する場合は、含有生薬の重複に注意が必要です。
五苓散には、多量・長期摂取によって副作用を起こす可能性がある生薬(カンゾウ、マオウ、ダイオウ、サンシシ)は含まれていないため、副作用リスクは低いと考えられます。
なお、妊娠・授乳中のお客さまには、念のため五苓散の服用に注意するよう促しましょう。
市販薬の中には、名前に「五苓散」と入っていないものもあります。
五苓散同士で併用しないようにしましょう。
詳しくは以下の項目で解説していきます。

そもそも五苓散とは?
ここでは、五苓散のご案内がおすすめの人の症状や、五苓散の効能・効果を詳しく解説していきます。
五苓散はこんな方におすすめ!
✓ 頭痛・めまいがつらい
✓ 下痢や嘔吐がある
✓ 二日酔い
✓ 口が渇いている
✓ 乗り物酔い
五苓散は、「水」に関する身体の不調を改善するはたらきがあります。
したがって、上記のような症状がある場合に服用するのがおすすめです。
五苓散の効能・効果
五苓散は、5つの生薬を使用した漢方薬です。
大きな特徴として、体内に溜まった余分な水分を排出する「水分代謝」の促進があります。
また効果の中に「利尿作用」がありますが、尿量を増やすわけではありません。
余分な水分は排出し、脱水の際は水分を保持します。
水が滞っている部分を改善し、巡りをよくするイメージです。
夏場に起きやすいむくみや口の渇き、気圧による頭痛症状、水っぽい下痢、さらには飲み過ぎによる二日酔いにも効果が期待できます。
五苓散の服用に注意が必要なケース
下記の方は、服用前に医師・薬剤師に相談しましょう。 |
・病気の治療中である ・妊娠中・妊娠の可能性がある ・医薬品や食品でアレルギー症状を起こしたことがある ・「しぶり腹」の場合も服用を控える |
五苓散は基本的に他の医薬品と併用しても問題ないですが、服用に関して注意すべき点もあります。
代表的なケースを紹介するので確認しておきましょう。
病気の治療中である
病院やクリニックで定期的に薬を処方されている場合、その医薬品の種類によっては飲み合わせを控えた方がよいケースもあります。
たとえば、五苓散には適応症としてネフローゼや糖尿病も含まれています。
これらに対して薬物治療を行っている場合は、服用可否を主治医が判断することが望ましいでしょう。
お客さま対応時は丁寧にヒアリングを行い、必要に応じて医師や薬剤師に相談するよう促すことが大切です。
気になる場合は、五苓散を服用している旨をお薬手帳に記載することを伝えましょう。
妊娠中・妊娠の可能性がある
妊娠またはその可能性がある場合、五苓散の服用前に医師や薬剤師へ相談するように促しましょう。
五苓散の服用による妊娠への影響は少ないとされていますが、妊娠中は普段と異なり体調が敏感になる場合も多いため、安易に服用可能とは言い切れません。
授乳中の方も念のため確認しておくことがおすすめです。
また、子どもが服用する場合は、医薬品の種類によって用量が異なります。
保護者にその旨を伝え、保護者指導のもと服用してもらいましょう。
医薬品や食品でアレルギー症状を起こしたことがある
五苓散の構成生薬のひとつに、「桂皮(ケイヒ)」があります。
これは、一般的に食用の「シナモン」として知られています。
シナモンアレルギーがある人は、アレルギー症状が出てしまう可能性もあるため、服用に注意するよう伝えましょう。
また、別の医薬品の服用によってアレルギー症状を起こしたことがある人も要注意です。
医師や薬剤師に相談のうえ、服用を始めるよう促しましょう。
お客さま対応時のヒアリングは慎重に行うことが大切です。
「しぶり腹」の場合も服用を控える
しぶり腹とは、便が出そうで出ない感覚や、便が出たとしても残っているような感覚があり、腹痛を伴う便意を繰り返す症状をあらわします。
しぶり腹は、大腸に潰瘍ができた場合等に起こる代表的な症状のひとつです。
潰瘍による痛みや刺激によって、身体が便意と認識し不快な感覚を引き起こします。
五苓散は、急性胃腸炎による腹痛や吐き気、水の飲み過ぎによる下痢症状には効果を発揮しますが、しぶり腹の状態には適応していません。
お客さまには、服用を控えるように伝えましょう。
五苓散の副作用
皮膚の発疹・発赤・かゆみ
五苓散を服用してから上記症状があらわれたときは、副作用である可能性が大きいと考えられます。
お客さまから皮膚に発疹やかゆみが出たと相談された場合は、すぐに使用を中止し、医師や薬剤師に相談するように説明しましょう。
<対応例>五苓散の飲み合わせについてお客さまから質問されたときは
五苓散を販売するときの対応例を紹介します。
一般用医薬品や処方薬、食品、副作用歴や年齢などさまざまな点を踏まえて対応することが大切です。
・年齢:10歳
・職業:小学生
・既往症:なし
・服用中の薬:なし
・アレルギー:なし
・悩み:乗り物酔いがある
(母が来店)
お客さま(母):
10歳の娘が来週にバスで修学旅行に行く予定なのですが、乗り物酔いしてしまうタイプなので、何か効くお薬があればと思って相談にきました。今まで薬で副作用を起こした経験はありません。
登録販売者:
乗り物酔いがあると、お辛いですよね。今までなにかお薬を試したことはありますか?
お客さま:
○○という薬を使ったことがありますが、眠気がきてしまうようで、せっかくの修学旅行では飲みたくないと言うんです。
登録販売者:
そうでしたか。それでは、漢方薬で「五苓散」というお薬がおすすめです。漢方独特の風味はありますが、眠気を起こす成分は入っていません。シナモンが入っているので、シナモンアレルギーの人には使えないのですが、いかがでしょうか?
お客さま:
漢方薬が乗り物酔いに使えるなんて初めて知りました。シナモンアレルギーはないので大丈夫です。それを使ってみたいと思います。ちなみに、花粉症で抗アレルギー薬を飲んでいますが、飲み合わせは大丈夫でしょうか?
登録販売者:
抗アレルギー薬との併用は問題ありませんよ。
娘さんは10歳とのことなので、1回量は2/3包で、1日2回服用になります。五苓散は、他にも低気圧による頭痛や、二日酔い、水っぽい下痢症状にも効果を発揮します。ご家庭の常備薬にもおすすめですよ。
接客のポイント
・五苓散の効能効果は多岐にわたるため、購入時に使用可能な症状を伝える
・子どもでも服用できることを伝え、用量を説明する。
まずはアレルギー歴や副作用歴をヒアリングし、市販薬が使えるかどうかを確認しましょう。
女性の場合は妊娠や授乳の有無も確認します。
五苓散の適応症状はひとつではありません。
主訴以外に使える症状(今回だと頭痛や、二日酔い、下痢症状など)について軽く説明しておくと、お客さまが五苓散を活用しやすくなるでしょう。
また、子どもに使える旨や、その場合の用法用量も説明すると正しい服薬につながります。

五苓散の飲み合わせや服用に関するQ&A
・五苓散は妊娠・授乳中でも服用できる?
・五苓散は子どもも服用してよい?
・五苓散の飲み方・服用の頻度は?
・五苓散を服用しても効果を実感できないときは?
・五苓散の保管方法で気をつけることは?
五苓散の飲み合わせや、服用に関するQ&Aをまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
Q.五苓散を服用してはいけない人は?
服用可能年齢の下限は、メーカーごとに異なります。
生後3ヵ月から服用可能なものもあれば、5歳から可能というものなどさまざまです。
お客さまにご案内する際は、医薬品ごとの使用上の注意点をよく確認しましょう。
また、医師の治療を受けているお客さまであれば、主治医に服用の可否を相談するよう促します。
便が出そうで出ない症状や、腹痛を伴う残便感があるような「しぶり腹症状」の場合は、服用を控えるように伝えてください。
Q.五苓散は妊娠・授乳中でも服用できる?
五苓散が妊娠中に与える影響は少ないとされ、妊娠中のむくみに対して処方されるケースもあります。
しかし、妊娠中は敏感になっていることが考えられるので、主治医に確認するように伝えましょう。
授乳中の場合も同様に主治医への相談を促してください。
Q.五苓散は子どもも服用してよい?
五苓散は製品によって、服用可能とされる年齢が異なります。
市販薬でも多く販売されていますが、対象年齢や用法用量は製品ごとに異なりますので、使用上の注意を確認しましょう。
また、子どもが服用する場合は、医薬品の使用上の注意などを確認し、保護者の監督のもと服用いただくことをお客さまに伝えてください。
Q.五苓散の飲み方・服用の頻度は?
メーカーごとに服用量や回数は異なるため、服用する医薬品の用法用量を確認しましょう。
子どもが服用する場合は、大人よりも量や服用頻度を減らす必要があるため、年齢に応じて調節してください。
また、顆粒ではなく錠剤タイプの市販薬も販売されています。
Q.五苓散を服用しても効果を実感できないときは?
服用期間の目安は、急性胃腸炎や二日酔いに対して5~6回、水様性下痢や暑気あたりに対しては5~6日間です。
その他の症状に対しては、1ヵ月ほどの服用が目安とされています。
もし、上記の期間服用して改善が見られないお客さまがいた場合は、五苓散を服用した旨を医師に伝えて診察を受けるよう促してください。
Q.五苓散の保管方法で気をつけることは?
年齢に応じて分割して服用する場合、一度開封したものは袋の口を2回以上折り返して、2日以内に服用しましょう。
期限内に使いきれなかった分は破棄してください。
小児の手の届かない場所に保管することも大切です。
五苓散の飲み合わせや効能効果を知って正しいご案内を
五苓散は5種類の生薬で構成される漢方薬で、頭痛や下痢症状、むくみ、二日酔いなどさまざまな症状に使用できます。
注意すべき併用薬はとくにありませんが、アレルギーや妊娠・授乳の有無、副作用の確認が必要な医薬品です。
剤形は顆粒や錠剤タイプがあり、用法用量や服用可能年齢はメーカーごとに異なります。
お客さまのご希望だけでなく、お子さんが服用するのかなど服用する人についてもしっかり確認したうえで、正しく販売できるようにしましょう。
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