登録販売者試験
2021-06-28
登録販売者の試験問題は都道府県別に違うって本当?
・Before
・After
登録販売者試験は毎年全国各地で実施されますが、受験地によって日程が異なります。「遅い日程で試験を受けたほうが有利」「複数回受験するほうが受かりやすい」といった不公平が発生することのないよう、受験日が違う場合は試験問題が異なります。 今回は、実際過去におこなわれた登録販売者試験の日程を紹介するとともに、合格基準や合格率、他の医療資格試験との難易度の比較なども合わせて解説します。
公開日:2020年3月16日
更新日:2021年6月28日
登録販売者試験は都道府県別に日程も試験問題も異なる
登録販売者は国家資格の一つですが、国ではなく各都道府県が実施する特別な試験です。試験の出題範囲や問題数は全国で統一されていますが、試験日程や受験申し込み期日は都道府県ごとに定められており、試験問題も異なります。
登録販売者試験は各都道府県が実施する試験
登録販売者の試験は、医師国家試験や薬剤師国家試験のように国が実施する試験ではなく、各都道府県がとりおこなう資格試験です。
都道府県(ブロック)ごとに異なる試験日
登録販売者の試験は、例年8月~12月にかけて各都道府県でおこなわれます。試験の日程は都道府県ごとに異なりますが、各都道府県すべてが別々の日程で試験をおこなうわけではありません。北海道と東北、関西、九州など近隣の都道府県がブロックに分けられ、同じ日程で試験をおこないます(下表参照)。
例年、ブロックごとに試験が開催される時期はだいたい決まっているようです。ただし、2020年(令和2年度)に関しては新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、試験の開催可否が検討され例年とは異なるスケジュールで開催されました。
そのため、以下では2019年(令和元年)に開催された登録販売者試験の実施日を参考に紹介します。
都道府県 | 試験日 | 合格発表日 |
---|---|---|
奈良県 | 8月20日 | 10月15日 |
福井県 | 8月25日 | 10月4日 |
大阪府 | 8月25日 | 10月4日 |
滋賀県 | ||
京都府 | ||
兵庫県 | ||
和歌山県 | ||
徳島県 | ||
北海道 | 8月28日 | 10月1日 |
青森県 | ||
岩手県 | ||
宮城県 | ||
秋田県 | ||
山形県 | ||
福島県 | ||
富山県 | 9月4日 | 10月18日 |
石川県 | ||
岐阜県 | ||
静岡県 | ||
愛知県 | ||
三重県 | ||
埼玉県 | 9月8日 | 10月8日 |
千葉県 | ||
東京都 | ||
神奈川県 | ||
茨城県 | 9月11日 | 10月11日 |
栃木県 | ||
群馬県 | ||
新潟県 | ||
山梨県 | ||
長野県 | ||
香川県 | 10月24日 | 12月3日 |
愛媛県 | ||
高知県 | ||
鳥取県 | 10月30日 | 12月13日 |
島根県 | ||
岡山県 | ||
広島県 | ||
山口県 | ||
福岡県 | 12月8日 | 1月15日 |
佐賀県 | ||
鹿児島県 | ||
沖縄県 | ||
大分県 | ||
宮崎県 | ||
長崎県 | ||
熊本県 |
なお、2019年以前は受験地は居住地や勤務地を問わず、試験日程が重ならなければ同年であっても別のエリアで複数回受験することが可能でした。
しかし、2020年、2021年度の試験においては新型コロナウイルスの感染拡大防止のため都道府県をまたぐ移動が制限され、居住地や勤務地に該当する都道府県のみの受験と自治体により受験要件が定めらるケースが多数となりました。
そのため、同年に複数回受験することができなくなったという変化が見られます。
試験範囲は同じだけれど出題される問題は異なる
登録販売者試験の出題範囲は全国共通で、下記の内容とされています。
また、各試験項目における問題数も統一されており、計120問出題されます(2020年3月時点)。
- 医薬品に共通する特性と基本的な知識【20問】
- 人体の働きと医薬品【20問】
- 薬事に関する法規と制度【20問】
- 主な医薬品とその作用【40問】
- 医薬品の適正使用と安全対策【20問】
ただし、試験問題は複数の都道府県がまとまった「ブロック」ごとに作成されます。そのため、都道府県が異なってもブロックが同じならば同じ問題が出題されます。また、同一日程でもブロックが異なる場合は違う問題が出題されます。
各ブロックで試験の出題傾向が若干異なることも考えられますので、同一日程の試験でブロックの異なる都道府県がある場合は、それぞれの過去問をしっかりチェックしましょう。そして、より「自分と相性の良い」「解答しやすい」都道府県で受験するようにしましょう。
▼参考記事
【登販試験合格率】登録販売者試験は難しい?都道府県別合格率一覧【平成27年度~令和2年度】
合格基準・合格率も都道府県別で変わってくるのか
登録販売者試験の合格基準は、全国で統一されています。しかし、各ブロックで試験問題が異なるため、都道府県により合格率に若干バラつきがみられます。
合格基準は基本的に全国統一
登録販売者試験の合格基準は全国で統一されており、「原則として全体の70%以上得点すること」「各試験項目の正答率が35~40%以上であること」が必要とされています。
出題される問題数は全部で120問なので、各試験項目の最低ライン(35~40%)をクリアして、総得点が84点以上であれば、合格できます。
なお、「原則として全体の70%以上得点すること」とされているのは、実施年度や受験地によって合格難易度に著しい差が生じた場合に備え、調整の余地を残すためとされています。ただし、これまでのところ合格ラインが正答率70%以外になったことはありません。そのため、試験合格を目指すならば確実に70%は正解することを意識しましょう。
ちなみに、登録販売者試験の合格者人数に制限はありません。合格基準さえクリアすれば、何人でも合格することができます。他の受験者との競争ではなく、自分との戦いなので、苦手分野をつくらず、どの試験項目もまんべんなく点数を取ることを目指しましょう。
都道府県によってムラがある試験の難易度、合格率
登録販売者の全国の合格率は例年40%台ですが、合格率は都道府県によって差があります。たとえば2018年度の登録販売者試験では、北海道の合格率が最も高く58.6%であったのに対し、ワースト1位の福井県では19.5%でした。
1位:北海道58.6% | 47位:福井県19.5% |
2位:熊本県57.0% | 46位:岡山県28.4% |
3位:長崎県55.5% | 45位:鳥取県28.5% |
4位:宮城県56.6% | 44位:滋賀県29.3% |
5位:山形県52.8% | 43位:島根県・山口県30.6% |
都道府県によって受験者数が異なること、また、同じブロック内でも都道府県により合格率に差があることなどを考慮すると、合格率が試験の難易度をそのまま反映しているとはいえません。ただ、自分の受験したいブロックが比較的合格率の低いブロックである場合には、念のため他のブロックでの受験を検討しておくと良いかも知れません。
なお、2020年(令和2年度)は都道府県をまたいでの受験ができなくなったエリアがほとんどだったことからか、合格率にも変化が出ています。
参考まで、以下にて最新の2020年(令和2年度)の登録販売者試験の実施結果を紹介します。
▼参考
【2021年3月最新版】令和2年度登録販売者試験/都道府県別合格率一覧



【難易度】薬剤師や他の医療資格と登録販売者試験の難易度の比較
登録販売者試験は、他の医療資格に比べて受けやすい・合格しやすいといわれています。実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、同じく医療系資格である薬剤師資格や調剤薬局事務試験を比較対象に、登録販売者試験の受験しやすさ・合格しやすさについて解説します。
薬剤師国家試験との比較
薬剤師国家試験を受けるためには、まず大学の薬学部に入学しなくてはいけません。そして6年間専門教育を受け、その間に病院や薬局で実務などもこなして、ようやく受験資格を得ることができます。
また、試験の合格率は大学により大きく異なり(30%台~100%)、平均すると60~80%程度です。そのため、「薬学部へ行けば必ず薬剤師になれる」というわけではありません。
これらのことから、薬剤師国家試験は「受験資格自体を得るのがむずかしく、合格するのも大変な試験」といえるでしょう。
調剤薬局事務との比較
調剤薬局事務の資格は複数ありますが、いずれも民間資格です。受験資格は「特になし」となっているものが多く、学歴や職歴に関係なく受験しやすいのが特徴です。試験会場に教材の持込みが可能な場合がほとんどで、在宅で受験できるものもあります。合格率は60%前後とされているものが多く、登録販売者試験よりも合格しやすい印象です。
なお、調剤薬局事務は女性にとても人気のある資格ですが、資格がなくても調剤薬局事務として働くことはできます。
このようなことから、調剤薬局事務の資格は「受験しやすく、合格しやすい」ですが、企業側のニーズは必ずしも高くない資格といえます。
資格試験の中では受験しやすい登録販売者
登録販売者試験の受験資格は、2015年4月1日の法改正によって「学歴」「実務経験」が不問で、だれでも受験できるようになりました。受験者数は年々増加傾向にあり、資格要件が厳しかった2014年度の受験者数が31,362人であったのに対し、2018年度の受験者数は65,433人と2倍以上になっています。
また、登録販売者試験の解答はマークシート方式で、記述回答が必要な問題はありません。さらに受験地を自分で選べること・年に複数回の受験が可能なことなど受験生にとって有利な条件が整っています。
これらのことを総合的に考えると、登録販売者試験は「受験しやすく、合格しやすい」試験といえます。

まとめ
登録販売者試験は、都道府県が所属するブロックごとに試験日程が異なり、試験問題も異なります。合格基準は全国で統一されていますが、合格率は都道府県ごとにかなり差があります。しかしながら、登録販売者試験は合格者数に上限がないので、合格基準をクリアすれば確実に合格することができます。
登録販売者試験は、他の医療系資格の試験と比べて受験しやすく、社会的ニーズも高い資格です。働きながらでも取得可能なので、「医薬品にかかわる資格を取りたい」という方はぜひ資格取得を検討してみてください。

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