登録販売者の働き方
2021-11-29
製薬会社で働く登録販売者の仕事とは?仕事内容や資質について解説
・Before
・After
登録販売者というと、「働ける場所はドラッグストアやスーパーなどの小売店だけに限られる……」と思っている方は多いかもしれません。しかし、実は登録販売者の資格を強みにして、製薬会社に勤めるのもひとつの選択肢。 製薬会社に勤めるのは、待遇やキャリアアップの面から見ても非常に魅力的です。そこで今回は、製薬会社で働く登録販売者の仕事の内容と求められる資質について解説していきます。
公開日:2020年8月17日
更新日:2021年11月29日
登録販売者は製薬会社で働ける?
「登録販売者が製薬会社に勤めることは可能なのか?」と聞かれれば、答えは「YES」。
しかし、職種には限りが出てくるでしょう。
というのも、製薬会社では大きく「研究開発職」「営業職」「事務職」などの仕事があり、とくに研究開発職の場合は大学・大学院などで専門的かつ深い知識を習得した方が採用対象です。
一方で、営業職や事務職では、登録販売者として勤務してきた医薬品販売や接客の経験を強みにして働くことが可能です。
つまり、登録販売者も製薬会社で働くチャンスは十分にあるということ。
ただし、注意しなければいけないのは、登録販売者という資格があるから製薬会社で有利になる……というわけではありません。
医薬品販売の知識の豊富さと販売経験を強みに、挑戦することは可能です。
製薬会社で働く登録販売者の仕事とは?
登録販売者が活躍できる職種は、「営業職」と「事務職」。では、製薬会社で働く登録販売者の職種には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
実際に多くの登録販売者が活躍している仕事内容を中心にご紹介します。
MR職
「MR」とは、Medical Representativeの略称であり、「医薬情報担当者」のことです。
製薬会社は医療用医薬品を直接医療機関向けに販売することは認められていないので、あくまでも情報を医師や薬剤師に伝達して適正使用と普及を促すことが役目。
また、市販後の副作用などの安全性情報を収集することも役割のひとつです。
ルート営業担当
市販薬を製造販売する一部の企業では、薬局やドラッグストアなどの小売店に直接販売することがあります。
市販薬や化粧品のプロモーション活動においては、登録販売者の知識と経験を生かせます。
しかし、多くの製薬企業は卸を通して製品を流通させているため、直接販売のルートを持っている企業はごく一部です。
<向いている人>
とくにMRの営業は医師または薬剤師を対象に行うため、高度な知識が求められます。
その点、もともと医薬品の知識を持っている登録販売者は、比較的知識が頭に入りやすく強みとして機能しやすい傾向があります。
日頃からの情報のキャッチアップや知識を深めるための勉強に抵抗がなければ、挑戦してみても良いでしょう。
また、営業職は薬の説明をするのが主な仕事となるため、誰にでもわかりやすい説明ができるかどうかも問われます。
忙しい医師や薬剤師の時間を割いてもらうには、トークや気配り、スケジュール管理能力などのスキルを磨くことも大切です。
ただし、こうした職種の募集では、薬剤師をはじめとする高度な知識をもつ人材と選考で肩を並べることになります。
そのため、資格ありきのアピールではなく、仕事に対する意欲や、仕事をするうえでの自分の強みを伝えるようにすることがポイントになるでしょう。
製薬会社の事務
製薬会社の「事務職」と言っても、職種は多岐に渡ります。
たとえば医薬品のデータ分析・管理などの薬に関わるサポートをする職種から、一般企業と同様の人事、総務、広報などがあります。
医薬品開発のサポート業務に関しては求められるスキルレベルが高く、一般的な事務職に必要な技量に加え、緻密なデータ管理を行ううえで必要な正確さや医薬品の知識、ビジネスマナーが求められるでしょう。
そのほか総務などの配属の場合は、受発注業務やデータ入力、電話・メール対応などはもちろん、販促POPの作成補助など、登録販売者としての経験が生かせる業務に携われる可能性もあります。
<向いている人>
基本的なパソコンスキルはもちろん、社内関係部署と円滑に連携ができる柔軟なコミュニケーション能力があるかも重要です。
また、配属によっては緻密な作業や高度な専門知識も必要とされることから、日頃から向上心と成長意欲をもって働ける方が向いていると言えるでしょう。
製薬会社では専門性の高い業務も多くなりやすいため、一般的には同業界での経験が重視される傾向にあります。
未経験で入社を考えている場合には、多くの知識をインプットしなくてはならないため苦労もしますが、学べることも多いでしょう。



登録販売者が製薬会社で働くメリット
店舗に勤めていた登録販売者が、企業に勤めることになれば、環境は大きく変わります。ここでは、 登録販売者が製薬会社で働くメリットについてご紹介します。
休日や勤務時間が安定している
製薬会社勤務は、ドラッグストアなどの小売店と比べると、休日や勤務時間が安定しているメリットがあります。
一般企業と同じくカレンダー通りの休日になっている場合が一般的なので、土日休みに魅力を感じている方にはメリットになるでしょう。
また、ゴールデンウィークや年末年始の長期休暇も基本的には休むことができ、長期の有給休暇を取得する方もいます。
多少の残業があっても基本的な勤務時間は決まっているので、安定した働き方ができるでしょう。
年収の水準が高い
製薬会社は一般的に、小売業界と比べ給与水準が高い傾向にあります。
たとえば、新卒採用の場合であっても、MRなどの職種は一般的な登録販売者の年収よりも上回ることが多いでしょう。
もちろん企業によるところもありますが、福利厚生も充実していることが多い分、相対的に高収入となりやすい特徴があります。
身体への負担が少ない
ドラッグストアなどの仕事では、飲料水やお米の品出しといった重労働もこなさなくてはなりません。
しかし、製薬会社ではそうした業務は基本的にないため、比較的身体への負担が少ない傾向にあります。
しかし、長時間座っていることが辛い場合や、いろんな場所に赴くことがストレスに感じる場合はデメリットになってしまうでしょう。

登録販売者が製薬会社で働くデメリット
こうしてメリットを挙げていくと、良いところ尽くしように思われる方もいるかもしれません。
しかし、登録販売者として今後のキャリアを考えているのであれば、この転職がデメリットになってしまう場合もあります。
転職後に後悔することがないよう、しっかりと確認しておきましょう。
製薬会社で登録販売者の実務経験は積めない
登録販売者は、過去5年以内に2年以上の業務・実務経験(※)がなければ、「研修中の登録販売者」に格下げとなってしまいます。
製薬会社の仕事は、登録販売者の実務経験として認められないため、せっかくの「管理者要件」がなくなってしまう可能性があるのです。
いつか小売業界に戻りたいと思っている人は転職に不利になる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
※管理者要件を満たすための条件はいくつかあります。実務経験の数え方、管理者要件については以下の記事で詳しく解説しています。
▼参考記事
【2021年8月改正】登録販売者の店舗管理者要件が緩和!経過措置の終了についても解説
平日の休みは取りにくいことも
仕事の内容や周囲の環境によっては、平日の休みが思うように取れないこともあります。
社員が少ないなど代わりの効かない部署であれば、休むことで周囲に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。
さらに、上司によって休暇を申し出にくい可能性もあります。
平日休みや長期休暇の取りやすさについては、採用時に確認しておくと良いでしょう。
通勤距離や移動の負担
ドラッグストアや薬局であれば家から近い店舗で働けることも多いですが、製薬会社の場合は本社や支店、営業所など限定された場所で働かなければいけません。
通勤時間が長くなると体力的な負担になる可能性もあるため、よく考える必要があるでしょう。
もし採用後に転居をする予定があるなら、会社から補助が出るかどうかも確認しましょう。
登録販売者の経験を強みに製薬会社で働きたい!転職のポイントとは
では、登録販売者が製薬会社に転職するためには、どのようなことを意識すると良いのでしょうか? 製薬会社で働きたい登録販売者に向けて、転職のポイントをお伝えします。
これまでの登録販売者としての経験をアピールする
数多くの医療関係者が応募する製薬会社の選考では、登録販売者の資格があるだけで優遇されることはありません。
資格ではなく、薬の専門家として勤務した経験・知識をアピールすることが大切です。
薬の説明をわかりやすくできたり、売上げの数値目標に対する取り組みなど、即戦力として働ける力があることを強調しましょう。
前向きでチャレンジ精神旺盛な部分をアピールする
過去のエピソードなどから「上昇志向がある人材」と判断され、内定を勝ち取れることもあります。
何ごとも前向きに取り組む姿勢や成長意欲、リーダーシップの資質などをアピールしましょう。
自分のキャリアやライフスタイルについて考えよう
今回は、登録販売者が製薬会社で働く場合の仕事内容と求められる資質について紹介しました。
登録販売者にとっては意外な職種かもしれませんが、小売業では経験できない業務に携われるので、選択肢のひとつとして考えてみても良いでしょう。
ただし、登録販売者資格があれば有利というわけではないので、情報収集や転職活動における事前準備が合否をわけるカギとなります。
「製薬会社で働きたいけれど、ゆくゆくは登録販売者として小売業界に戻りたい」のであれば、転職は慎重に。
迷った時は登録販売者専門の転職コンサルタントに相談して、まずは自分が確立したいキャリアやライフスタイルについて整理することをおすすめします。

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