芍薬甘草湯と他の薬の飲み合わせにNGはあるの？販売時の（対応例）ポイントなども解説＜登録販売者向け＞

芍薬甘草湯と他の薬の飲み合わせにNGはある？

芍薬甘草湯と他の医薬品の飲み合わせで気をつけたいのが、甘草の重複です。

目安として甘草の1日摂取上限は成人で7.5g※とされており、これを超えると副作用のリスクが高まります。

また、甘草の主成分はグリチルリチン酸で、この成分を含む医薬品との併用にも注意が必要です。

グリチルリチン酸の1日上限量目安は300mg※とされています。

さらに、カリウムを排出させるはたらきがある利尿薬を併用する際にも要注意。

複数の病院からの処方薬や個人で市販薬を使っているお客さまがいらっしゃった場合は、服用歴を確認しましょう。

※1日摂取上限量は甘草7.5g・グリチルリチン酸300mgといわれていますが、量に比例して副作用リスクが高まるわけではないと考えられます。

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芍薬甘草湯との飲み合わせがNGな理由

芍薬甘草湯と一緒に飲み合わせが悪い医薬品を服用すると、下記のような症状が現れやすくなります。

甘草の主成分であるグリチルリチン酸の摂取過剰は、「偽アルドステロン症」になる危険性が高まります。

これは、血圧を上げるアルドステロンという物質が出ていないにも関わらず、血圧上昇、むくみ、低カリウム症状が起きてしまう疾患です。

これらの症状が出た場合は、医師の治療を受ける必要があります。

また、低カリウム症状は、筋肉の動きにも影響を与えることがあるため、運動障害をきたすミオパチーになる可能性も。

偽アルドステロン症については、以下の記事でも解説していますのでご覧ください。

そもそも芍薬甘草湯とは

芍薬甘草湯とは、芍薬と甘草という2種類の生薬から構成される漢方薬です。

筋肉の緊張が原因の痛みに対して用いられ、足がつる症状や、月経痛に効果が期待できます。

一般的に、漢方薬処方は自覚症状・体質・体力などの状態を総合的に判断して処方されるものです。

しかし、芍薬甘草湯はこのような個人差に関わらず、広く用いることができます。

急激に起こる筋肉のけいれんを伴う疼痛に対して即効性が期待できる漢方薬なので、常備薬としてもおすすめです。

芍薬甘草湯はこんな方におすすめ！

こむら返りは、就寝中や運動中にふくらはぎがつっぱって痛みが出る症状です。

芍薬甘草湯の効果発現時間は、平均約6分といわれています。

芍薬甘草湯をすぐに服用できるように、枕元に置く・運動時には1包常備するのもおすすめです。

また、ご高齢の方で急な腰痛が出る場合にも同様に効果が期待できます。

月経痛は、子宮筋の過剰な収縮により起こるため、月経予定日の4～5日前から服用しておくと、疼痛を和らげられるでしょう。

芍薬甘草湯の効能・効果

芍薬甘草湯の服用により期待できる効能・効果は、「急激な筋肉のけいれんを伴う疼痛や筋肉・関節痛、胃痛、腹痛」です。

芍薬と甘草はそれぞれ異なる薬理作用で、筋肉の収縮を抑えるはたらきをします。

一般的に、腰痛や手足の痙攣、月経痛に対して服用することが多いでしょう。

また、芍薬甘草湯は医療現場でも広く用いられています。

抗がん剤治療による副作用症状として、しゃっくりが長時間続いてしまう場合や、胆石･尿路結石が原因で発作が起きた際の疝痛（せんつう）に対して処方されることもあります。

芍薬甘草湯に禁忌はある？

芍薬甘草湯は、上記に挙げた3つの疾患を持つ場合服用してはいけません。

甘草の主成分であるグリチルリチン酸には、低カリウムを起こす副作用があります。

低カリウム血症を起こすと、麻痺や不整脈などの原因に。

芍薬甘草湯の禁忌は、この低カリウム血症に加え、関連する2つの疾患が相当します。

アルドステロン症とは、高血圧や筋力低下などの症状を有する疾患です。

ミオパチーは、筋力低下や運動麻痺などの症状をはじめとする筋肉疾患の総称であり、原因はさまざまなものがあります。

低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が基準値よりも低めの症状です。

芍薬甘草湯を販売する際は、お客さまがこれらの疾患を抱えていないかどうか、必ず確認しましょう。

芍薬甘草湯の副作用

芍薬甘草湯でおさえておきたい副作用について紹介します。

お客さまのヒアリング時で副作用の早期発見につなげられるようにしましょう。

重大な副作用

芍薬甘草湯の副作用であるかどうかを発見するには、お客さまによりわかりやすい言葉で自覚症状を伝えることが大切です。

お客さまから上記のような訴えがあった場合は、芍薬甘草湯の服用を中止するように説明し、医療機関への受診勧奨をすることが望ましいです。

その他の副作用

上記のような症状も、芍薬甘草湯の服用による副作用の一種です。

なお医薬品には、医薬品ごとに特徴のある副作用だけでなく、アレルギー症状としての副作用も存在します。

皮膚症状(発疹・発赤)や、消化器症状(悪心・嘔吐、下痢症状)などはお客さま自身でも気づきやすい症状といえるでしょう。

一方で、肝機能障害(身体のかゆみ)、動悸などは日常生活でも感じる症状であるため、発見が遅れる場合もあります。

お客さま自身が副作用に気づけるように、販売時には丁寧な説明をするとよいでしょう。

＜対応例＞芍薬甘草湯の飲み合わせについてお客さまから質問されたときは

芍薬甘草湯を販売するときの対応例を紹介します。

一般用医薬品や処方薬、食品、副作用歴や年齢などさまざまな点を踏まえて対応することが大切です。

接客のポイント

お客さまに販売する際は、まず、甘草が重複していないか確認しましょう。

もし、重複していても、1日の目安上限量以下であれば問題はありませんが、副作用の自覚症状がないかどうかを確認しておくことが重要です。

芍薬甘草湯はこむら返りで頓服でも使えますが、今回のように月経痛に使う場合は月経が始まる前から服用しておかなければ意味がありません。

薬の効果を十分に発揮できるように、正しい使い方を説明しましょう。

また、芍薬甘草湯は副作用に気をつけるべき漢方薬です。

お客さまが異変に気づけるように、副作用の自覚症状について触れておくことも忘れないようにしましょう。

芍薬甘草湯の飲み合わせや副作用を知って正しいご案内を

芍薬甘草湯は、こむら返りや月経痛、腰痛に効果がある漢方薬です。

しかし、甘草の主成分であるグリチルリチン酸の過量摂取により、偽アルドステロン症やミオパチーといった副作用のリスクも高まってしまいます。

甘草だけでなく、グリチルリチン酸配合の医薬品や、カリウム排泄型の利尿薬との併用はなるべく避け、どうしても必要であれば主治医に相談するように説明しましょう。

芍薬甘草湯の飲み合わせや効能効果、副作用について改めて正しく認識し、お客さまに適切な対応を行なってください。

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