著名人コラム
2022-09-15
登録販売者におすすめの勉強方法と医薬品知識を接客に活かすコツを教えてください。【鈴木伸悟先生のお悩み相談室!第2回】
・Before
・After
薬の成分や飲み合わせ、接客、同僚との人間関係など、たくさんの悩みや不安を抱えながらも、お客さまに最適な提案ができるよう奮闘する登録販売者。 そんな登録販売者のお悩みに、SNSや講演会、業界紙などを中心にOTC医薬品の情報発信を行う薬剤師の鈴木伸悟先生が答えます! 第2回は、資格取得後の勉強方法とお客さまへの正しい対応についての相談です。 登録販売者は資格を取れば終わりではなく、日々更新される新しい薬の情報を学び続ける必要があります。でも、「業務に追われるなかでどうやって新しい知識をインプットすれば良いのかわからない」「知識をつけても、いざお客さまに聞かれると出てこない」と感じることもありますよね。 今回は、鈴木先生に登録販売者におすすめの医薬品の覚え方と接客に活かすコツについてアドバイスをいただきました。
症状にあった商品を提案し、お客さまと一緒に選ぶ
私も新人の頃は、常にあたふたしていました。
そんなとき、医薬品登録販売者の先輩に酔い止めの選び方についてアドバイスをもらいました。
「酔い止めは乗り物に乗る時間の長さを確認して、乗車時間が短ければ効果が早く切れるもの、長ければ効果が長く続くものを選んでいる」「眠気が出ることがあるからなるべく目的地に着いて快適に過ごせるような選択をすると、お客さまも感謝してくれる」と教えてくれました。
お客さまの満足度を考えず、医薬品の成分のことばかり考えていた私にとって目からウロコでした。
症状に合った商品を提案すること、お客さまの背景(車を運転するなど)やニーズ、予算など総合的に考えて提案することが大切です。
初めてのお客さまの場合、その方の背景やニーズなどは我々にはわからないので、質問をしながら複数の候補を提案し、一緒に選んでいくのが良いと考えております。
この対応をひたすら繰り返すのです。そうすると「ありがとう」と言ってもらえることが増え、いつのまにか自信がわいてきますよ。
医薬品の勉強は主な成分をベースに覚えるのがおすすめ
まずは各症状カテゴリーで主に含まれる成分を把握して、症状に応じて選択できるように勉強しましょう。
たとえば総合感冒薬は、熱、のどの痛み、鼻水、咳などに対応した成分が配合されています。
店舗によっては総合感冒薬だけで100種類以上もあり、使い分けがわからないと思ってしまいますね。
でも焦らずに配合成分に着目してみると、商品の種類がたくさんあっても、配合成分は同じようなものが多いと気づくはずです。
総合感冒薬の選び方の例として、解熱鎮痛成分の違いに注目してみてください。
イブプロフェンが含まれた商品、アセトアミノフェンが含まれた商品で大きく分けて考えてみると良いでしょう。
私の場合、お客さまが15歳以上で、高熱または喉の痛みが強い場合にはイブプロフェンが配合された商品を、微熱程度であればアセトアミノフェンが配合された商品を提案しています。
発熱が免疫反応によって生じている必要な症状と考えれば、一律に解熱鎮痛効果の高いNSAIDs(イブプロフェンなど)を服用して炎症を抑えることが早期回復につながるとは限りません。
よって症状が軽い場合にはアセトアミノフェンが配合された商品や、風邪の初期であれば葛根湯なども選択肢にできるでしょう。
効果の強い成分をただ単に選択すれば速く効くわけではなく、症状にあった成分を選択することが早期回復につながるのです。
こうした説明をわかりやすくアウトプットしながら商品を提案すれば、お客さまから信頼される医薬品登録販売者になれると思います。
【回答者プロフィール】
回答者:鈴木 伸悟(すずき・しんご)さん
有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室室長。
薬剤師および登録販売者へ適切なOTC医薬品のすすめ方や売り場作りなどの教育に携わる。
SNSでは、大手ドラッグストアおよび調剤薬局での自身の勤務経験をもとにOTC医薬品の役立つ情報発信を行い、全国各地での講演会やコラムの連載など多方面に活躍している。
著書「薬局OTC販売マニュアル〜臨床知識から商品選びまで分かる〜 日経BP社」

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