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2023-03-10
ドラッグストアの店舗集客はどうする?客数アップのためのポイント
・Before
・After
業務に取り組むなかで、「どうすればドラッグストアに来客してくれるお客さまを増やせるだろうか?」「効果的な集客方法が知りたい」と考えている登録販売者の方は多いのではないでしょうか。売上は「客数×客単価」で決まります。そのため、売上をアップさせる方法として、客数を増やそうと考える店舗は少なくありません。とはいえ、店舗集客の方法に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。ドラッグストアの集客は簡単なように見えてとても難しいものです。しかし、ちょっとしたポイントを押さえることで集客を成功させることができます。今回はドラッグストアでの集客方法に悩む店長に向けて、客数アップのための5つのポイントを紹介します。
ドラッグストアが抱える課題
数年前とは違い、ドラッグストアは今、さまざまな課題を抱えています。
代表的なものが、以下の3つです。
・ドラッグストア店舗数の増加
・インバウンド需要の激減
近年では、ドラッグストアとは異なる小売業が競合化している状況にあります。
スーパーやコンビニ、家電量販店などが良い例です。
これらの小売業でも医薬品や健康食品、美容商品などを取り扱うようになったため、お客さまの取り合いが起きています。
ドラッグストアの店舗数も年々増えてきており、ときには徒歩圏内で行ける場所に競合店がオープンすることもあるほどです。
近隣に競合店がオープンすると、必然的に価格競争が起きるため、値下げにより粗利が減ってしまうことがあります。
インバウンド需要の激減も店舗によっては大きな問題です。
とくに都心部のドラッグストアは観光客によって売上が支えられていたこともあり、大打撃を受けている店舗が少なくありません。
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ドラッグストアで客数をアップさせるための5つのポイント
さまざまな課題を抱えるドラッグストアにおいて、客数をアップさせるにはどのような方法があるのでしょうか。
これらから紹介する5つのうち、DX化は店長判断だけでは実施が難しいこともありますが、ほかの方法は今日からでも実践できるものです。
1.店舗のDX化
DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称です。
データやデジタル技術を駆使することで、ビジネスを有利にしていくことを「DX化」と言います。
ドラッグストアでできるDXとしては、次のものが代表的です。
・LINE公式アカウントの運用
・在庫管理や発注の自動化
セルフレジは、レジの回転率を上げるとともに、スタッフとお客さまによる金銭のやり取りをなくすことで感染対策にもつながります。
レジに行列ができて待たせてしまうことが多い店舗は、セルフレジを導入することで「レジが混んでいるから」という理由で足が遠のいているお客さまの来店を促せるでしょう。
また、スタッフがレジにつきっきりにならずに済むぶん、お客さま対応に時間を割けるようになる点も大きなメリットと言えます。
LINE公式アカウントの運用もおすすめです。
従来はチラシの配布などを行っている店舗も多くありましたが、スマートフォンが普及した現代において、手動で1軒1軒にチラシをまく方法では費用対効果は低いと言えるでしょう。
LINE公式アカウントからセール情報やクーポンなどを配信すれば、手軽に数多くのお客さまへ情報を届けられます。
さらに送ったメッセージの開封率や任意のURLクリック率などもわかるため、お客さまの反応に合わせて配信する情報をブラッシュアップしていくことも可能です。
在庫管理や発注を自動化するのも良いでしょう。
在庫不足による機会損失を防いだり発注に回す人手を減らしたりできます。
また、たとえば棚卸しや検品を外部業者に委託している場合、スマートフォンで従業員が実施できるようにすれば大幅なコスト削減にもつながるでしょう。
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2.MR(競合店調査)の強化
近くに競合店がある場合は、定期的にMR(競合店調査)を行うことが大切です。
同じ商品を競合店のほうが安い価格で販売している状態が続けば、お客さまはどんどん競合店へと流れていきます。
これを防ぐためにMRを行うのです。
とくに粗利を取りやすい医薬品は念入りにMRを行いましょう。
このほか、ボディクリームや日焼け止めなど、季節によって売上が大きく変わる商品も欠かさずMRを行います。
競合店より価格が高くならないようにすることが大切です。
ただし、あれもこれもと競合店より安くしていると無闇な価格競争が起こり、粗利率の低下につながる恐れがあります。
メリハリをつけて価格設定を行いましょう。
同時にエリアマーケティングを行うことも重要です。
その地域の顧客の特性を理解し、売れる商品と売れない商品を見極めて品揃えをします。
男女比や土地柄などを把握したうえで、売るべき商品を検討しましょう。
3.商品の鮮度を保つ
新商品の販売日や配荷日を事前に調べておき、配荷数が少ないものは追加で発注をかけ、必ず販売日当日のできるだけ早い時間帯に陳列しましょう。
「いつ行っても同じ商品しかない」「欲しい新商品がない」とお客さまに思われる店舗は、商品の鮮度が落ちている証拠です。
いずれはお客さまに飽きられてしまう可能性が高いため、新商品の販売時は、どこにどれくらいのスペースを使って展開するかもあらかじめ考えておくことが大切です。
4.前出しで見栄えの良い売り場を維持する
商品の前出しは、思っている以上に重要です。
商品が少なく棚がスカスカな状態だと、お客さまの購買意欲も減ってしまうもの。
常にきれいな売り場作りを心がけることで、お客さまは気持ちよく買い物ができるでしょう。
在庫管理の関係で商品数を増やせないものは、メーカーに空箱を依頼して商品の代わりに置くようにしましょう。
「商品がいつも少なくて汚い」と思われると客足は遠のいていくので注意してください。
5.動線を考えた陳列を行う
お店に入ったお客さまがどこを通ってどこに行くのかをじっくり観察してみてください。
しばらく観察していると、お客さまがよく通る動線が見えてくるはずです。
売りたい商品、よく売れる商品はその動線上に配置してお客さまが手に取りやすいように工夫しましょう。
そうすると、お客さまにとって「欲しい商品がすぐに見つけられるお店」となり、来客促進につながります。
商品を配置するときは、右手側に置くか左手側に置くか、どれくらいの高さに置くかを考えることも大切です。
商品を置く高さが1段ずれるだけで、お客さまの視界に入らなくなることがあります。
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ほかにもこんな方法が!周囲の協力を得ながらできること
店舗の集客数アップを店長1人で実現するには限界があります。
一緒に働いているスタッフや本部の力も借りながら、トライ&エラーを繰り返していきましょう。
呼び込みを行う
人通りの多い場所にあるドラッグストアなら、呼び込みも効果的な方法の一つです。
活気のある店舗イメージを与えられるとともに、「何か良いものがあるかもしれない」「お得な商品があるのなら少し見てみよう」と、お客さまにふらりと立ち寄ってもらえる機会も増えるでしょう。
人員の都合上、呼び込みスタッフを準備するのが難しい場合は、音声を録音したものを店頭で流す方法もおすすめです。
お客さまは人が集まっているところに自然と足を運びます。
呼び込みで数人でも客数を増やせれば、それを見た方が次々と来店する良い流れを作れるでしょう。
かかりつけ薬局を目指す
調剤薬局も併設している場合は、かかりつけ薬局を目指すのも一つの方法です。
かかりつけ薬局になれば、お客さまの再来店率が高まるため、客数の増加につながります。
かかりつけ薬局になるために欠かせないのが、かかりつけ薬剤師の存在です。
かかりつけ薬剤師になるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・同一の薬局で週32時間以上勤務している
・同一の薬局に継続して1年以上在籍している
・研修認定薬剤師(認定薬剤師)を取得している
・医療にかかわる地域活動に参加している
在籍している薬剤師の力も必要となるので、まずは店舗の事情を説明し、協力してもらえないか相談してみましょう。
食品の取り扱いを強化する
「買い物をできるだけ一つの店でまとめて完結させたい」というニーズは大きく、食品の取り扱いを強化しているドラッグストアが売上を伸ばしている傾向が数年続いています。
医薬品や日用品などを購入するためにドラッグストアに行き、食品を購入しにスーパーに行くのは想像以上に労力や時間を使います。
店舗の利便性をアップするため、野菜や生鮮食品、冷凍食品などできる範囲で販売を始めてみてはいかがでしょうか。
売り場の構造上難しい場合は、野菜を取り扱う小さなスペースを作るだけでも良いでしょう。
トライ&エラーを繰り返し集客アップにつなげよう
ドラッグストアで集客に困っている方は、次の5つのポイントを押さえて実践してみましょう。
・店舗のDX化
・MR(競合店調査)の強化
・前出しで見栄えの良い売り場を維持する
・商品の鮮度を保つ
・動線を考えた陳列を行う
このほか、周りのスタッフと協力して、調剤薬局併設の場合はかかりつけ薬局を目指したり、食品の取り扱いを始めたりするのもおすすめです。
集客がうまくいけば自然と売上アップにもつながります。
「店舗の集客アップ」と言うと難しく考えがちですが、集客のポイントは意外と身近なところにあるものです。
自店舗でできそうなものから実践してみてください。
【執筆者プロフィール】
執筆者:岡本妃香里
薬学部を卒業後、都内の大手ドラッグストアで4年間勤務。毎日2,000人近くが来局する店舗でOTC販売を経験。
現在は薬の正しい使い方や選び方を広めるために、執筆業をメインに活動。

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