現場で役立つ知識
2023-10-20
湿布の選び方を解説!症状に合わせたおすすめの湿布・使用時の注意点も<登録販売者向け>
・Before
・After
湿布は、肩こりや腰痛、ねんざなど、幅広い症状に使用されます。しかし、成分やサイズ、剤形もさまざまなことから、どのように選べばよいのか迷うこともあるでしょう。本記事では、肩こりや腰痛、ねんざなど汎用性の高い湿布薬について詳しく解説していきます。使用上の注意点や選び方、お客さまへの対応例なども紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも湿布・外用鎮痛消炎薬に効果はある?
湿布には、鎮痛効果や消炎効果があります。
しかし、痛みの原因を根本的に治療するものではなく、あくまでも対症療法として活用するものです。
作用方法としては、鎮痛・消炎成分が皮膚から直接患部に吸収されることで、局地的に痛みを軽減したり炎症を抑えたりします。
また、湿布には貼ったときに感じる温度の違いから、温湿布と冷湿布がありますが、患部を温めたり冷やしたりする効果はないと言われています。
市販の湿布にもさまざまな種類が多数存在するため、症状やニーズに合わせた幅広い商品をそろえると良いでしょう。
【すぐわかる】痛み・症状別のおすすめの湿布・外用鎮痛消炎薬
湿布・外用鎮痛消炎薬は、痛みや症状の種類、患部の箇所などによって使用すべきタイプが異なります。
また、体質などによっても使い分けることがおすすめです。
以下、大きく慢性痛・急性痛に分け、おすすめの湿布・外用鎮痛消炎薬をご紹介します。
ただし、紹介する内容は一般的な内容であるため、あくまで参考までにとどめてください。
【慢性痛】肩こり・腰痛・神経痛
肩こりや腰痛など慢性痛の原因としては、血流の悪化が挙げられます。
温湿布を貼ることで、血の巡りがよくなるため、凝り固まった患部の痛みを軽減できるでしょう。
また、神経痛が原因となる場合は、炎症物質のプロスタグランジンが発生していると考えられます。
その場合、プロスタグランジンの生成を抑える効果がある消炎鎮痛剤がおすすめです。
肘や膝などの動きがある部分にはテープ剤やゲル剤が良いですが、皮膚かぶれを起こしやすい人はパップ剤を試してみましょう。
【急性痛】筋肉痛・ぎっくり腰・ねんざ・腫れ
日常生活に支障をきたさない程度の筋肉痛の場合は、サリチル酸メチルという成分が配合されている湿布がおすすめです。
優しい効き目で副作用も少なく、市販薬ではさまざまな剤形が販売されています。
ぎっくり腰、ねんざ、腫れなどの、比較的重症な痛みを伴う場合はジクロフェナクやロキソプロフェンのような消炎鎮痛成分がおすすめ。
どちらにせよこのような急性痛には冷湿布が効果的です。
また、関節可動域にはテープ剤やゲル剤、かぶれやすい人はパップ剤が良いでしょう。
湿布・外用鎮痛消炎薬の選び方
湿布を選ぶ際に最も重視すべきは「その箇所に対して形状はどんなものにするべきか」です。
湿布には、温湿布・冷湿布がありますが、患部を温めたり冷やしたりして治療する効果はないといわれています。
また、湿布の成分にも種類はありますが、こちらも効果に差はないとも。
そのため、最も意識すべきは患部の箇所に対する湿布の大きさや形状といえます。
剤形は大きく分けて、テープ剤、パップ剤、ゲルタイプ、ローションタイプが存在。
患部の箇所や体質にあったものを選んでください。
また、湿布に併用する形でサポーターやテーピングを使用すると、湿布がはがれにくくなるため、薬剤の無駄を防ぎ効率的に鎮痛効果が得られるでしょう。
【湿布】テープ剤
テープ剤は薄い形状で、密着度が高く、伸縮性に富んでいます。
関節部分など動きのある箇所でも長時間使用できる点がメリットです。
汗をかいてもはがれにくいため、スポーツをする人にもおすすめ。
ただし、粘着力の高さゆえにかぶれやすいデメリットもあります。
【湿布】パップ剤
パップ剤は、清涼感があるタイプが多い剤形です。
水分が多いためかぶれにくく、肌への刺激が少ない点がメリットです。
ただし、はがれやすいため就寝時の使用には向いておらず、関節部位などに使用するときにはサポーターを併用することがおすすめです。
ゲルタイプ
ゲルタイプは手で塗って使うタイプです。
使用範囲を自分で決められることや、関節部位にも使いやすいのがメリット。
痛みのある部分にゲルを擦り込んで使うと効果的で、同時にマッサージ効果も得られる一石二鳥な剤形です。
ローションタイプ
容器から直接患部に塗布できるローションタイプは、手を汚さず気軽に使いたい人におすすめです。
ゲルタイプと同様、塗布する範囲も自由に決められます。
患部が広い場合や、避けたい箇所がある場合などに、使い勝手がよい剤形と言えるでしょう。
飲み薬の痛み止めと湿布・外用鎮痛消炎薬は一緒に使える?
激しい痛みが出たときは、内服薬と外用薬を両方使うこともありますが、慎重な対応が必要です。
併用する際は、それぞれの医薬品の用法・用量を守るように伝えましょう。
痛み止めは根本的な治療ではなく、対症療法にすぎません。
痛みが一時的に治まったときには、無理をしないで安静にすることが大切です。
一週間程度で痛みが改善しないときは、思わぬ疾患が隠れている可能性も。
その場合は、医療機関の受診を促しましょう。
登録販売者として、お客さまの要望に寄り添いながらも、医薬品の適性使用を推進できるように対応することが大切です。
湿布・外用鎮痛消炎薬を使用する際の注意点
湿布・外用鎮痛消炎薬の副作用、注意が必要な人について解説します。
お客さま対応時の参考にしてください。
重大な副作用
- ショック(アナフィラキシー)
- 喘息発作の誘発(アスピリン喘息)
- 接触皮膚炎、光線過敏症
使用してすぐに、湿疹、息苦しさ、動悸、意識が朦朧とするような症状が出た場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。
一般的な副作用として皮膚症状もありますが、アナフィラキシーショックの場合、湿布を貼った部分だけでなく全身に症状が出ることが鑑別のポイントです。
すぐに外用剤をはがして、医療機関の受診をするよう促してください。
その他の副作用
- 皮膚症状(発疹、発赤、腫れ、水疱、色素沈着、ヒリヒリ感、かぶれ)
- 消化器症状(悪心、嘔吐、胃部不快感、みぞおちの痛み)
- その他(むくみ)
代表的な副作用は、皮膚症状や消化器症状です。
いずれも頻度は不明ですが、万が一症状が出た場合は使用を中止し様子をみて、改善しない場合は医療機関の受診をするよう促してください。
また、基本的に湿布薬などの外用薬は、目の周りや炎症を起こしている皮膚、粘膜には使用できません。
誤った使い方をしないよう、お客さまに説明しておきましょう。
湿布の使用に注意が必要な人
服用してはいけない方 |
---|
・患部に湿疹、かぶれ、傷がある人 ・解熱鎮痛薬、かぜ薬、外用鎮痛消炎薬を使用してぜんそくを起こしたことがある人 ・妊娠または妊娠していると思われる人 ・15歳未満の小児 |
服用前に医師・薬剤師への相談が必要な方 |
・医師の治療を受けている人 ・他の医薬品を使用している人 ・薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人 ・テープ剤でかぶれ等を起こしたことがある人 ・消化性潰瘍、血液障害、肝臓病等の疾患を持っている人 ・抗生剤、ステロイド、利尿剤などを服用している人 |
上記の表は、さまざまな成分の注意点を全体的にまとめたものです。
上記の内容が全ての成分に当てはまるわけではありません。
お客さま対応時は、商品ごとに副作用や注意点をチェックするとともに、お客さまの体質・状態の確認を行いましょう。
また、サリチル酸メチルの注意点は皮膚症状など比較的軽度なものですが、ジクロフェナクやロキソプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、光線過敏症やアスピリンぜんそくなどの副作用リスクがあるため、とくに注意が必要です。
湿布・外用鎮痛消炎薬の使い方
それぞれのパッケージや説明書に記載された用法用量を守って使用しましょう。
冷湿布・温湿布の冷たい感覚・温かい感覚がなくなっても、鎮痛消炎成分の作用は持続するため、薬剤ごとに決められた回数の使用で効果は得られます。
また、湿布・外用鎮痛消炎薬はハサミで切り込みを入れても効果に影響はありません。
必要に応じて貼りやすく工夫することも可能です。
痛みの原因が分かっている場合を除き、3~4日経っても症状が良くならないようであれば、医療機関の受診を検討するよう促しましょう。
<対応例>湿布の選び方についてお客さまから質問されたときは
湿布の選び方についての対応例を紹介します。
販売時の参考にしてください。
◆人物データ
・年齢:20歳
・職業:会社員
・既往症:なし
・服用中の薬:なし
・アレルギー:なし
・悩み:趣味のテニスで肩を痛めてしまった
お客さま:
週末にやっているテニスで、どうやら肩を痛めてしまったみたいです。痛みが強いので、なるべく強めの湿布が欲しいのですが、どれがおすすめですか?
登録販売者:
身体の故障はスポーツに影響を与えてしまうので辛いですよね。肩周りは日常的にも動く箇所なので、密着度の高いテープ剤がおすすめです。ジクロフェナクという成分は、処方薬でも使用される比較的効果が強い薬剤ですがいかがでしょうか?
お客さま:
はがれにくいタイプはありがたいです。貼ったままテニスをすることも可能ですか?
登録販売者:
汗にも強いので、もちろん大丈夫ですよ。貼り替えが1日1回なので、手間もかかりません。ちなみにお薬でアレルギーやぜんそくを起こしたことはありますか?
お客さま:
薬のアレルギーや副作用は今まで起きたことはありません。
登録販売者:
承知しました。もし使っていて、皮膚にかぶれを起こしたり、胃腸の調子が悪くなったりしたら使うのを一旦お休みしてくださいね。また、テープを貼っている部分を日光に当てると過敏症を起こす可能性があるので、衣服で覆うように使ってください。
接客のポイント
- 使用部位の確認をして、適切な剤形を選択する
- 貼り替えの頻度を説明する
- アレルギー歴の確認を行い、副作用を説明する
お客さまの症状や主訴から、どんな剤形が適切かを判断することが大切です。
また、湿布薬はさまざまな大きさが販売されているので、使用部位に合わせて適切なサイズを選択しましょう。
自分で長さを決めてカットできるロールタイプなら、太ももや腕などの筋肉に沿って貼りたい場合に有効です。
貼り替えの頻度も、使いやすさを考えると重要なポイント。
成分ごとに副作用の種類は若干変わるので、必要な項目を確認して、副作用の注意喚起をしましょう。
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湿布に関するQ&A
よくあるQ&Aをまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
Q. 湿布をはがすときに気を付けることは?
とくに高齢者の場合は皮膚が弱く、皮膚が伸びやすい状態になっているため、はがし方にも注意しましょう。
また、体毛が濃い部分はどうしても痛みが強くなってしまうため、予め剃毛しておくことがおすすめです。
Q. 湿布がはがれやすいときはどうしたらいい?
パップ剤よりもテープ剤のほうが密着度は高いため、はがれにくい製剤となっています。
また、肘や膝などの関節可動域はとくにはがれやすい箇所です。
関節を曲げて湿布が浮いてしまう箇所に、ハサミで切れ込みを入れてフィットさせるだけで、はがれやすさは改善します。
Q. 湿布を張り替えるタイミングは?
皮膚かぶれの原因となることもあるため、湿布剤は長い時間貼り続ける必要はありません。
朝出かける前や、お風呂上りなど、生活習慣のなかに自然に取り入れられるタイミングを見つけて張り替えましょう。
皮膚がかぶれてしまった場合は、お湯でやさしく洗い、貼る位置を少し変えると皮膚を休めることができます。
Q.温湿布と冷湿布の使い分けは?
冷湿布
冷湿布には、スースーする成分でおなじみの、ハッカやメントールが配合されています。
そのため、打撲やねんざなど、熱を持ってしまうような局所的な急性疾患に向いています。
ただし、患部を冷やす”アイシング”を目的とするならば、氷嚢や専用のアイシングスプレーなどを使用しましょう。
温湿布
温湿布には、トウガラシに含まれるカプサイシンの成分などが配合されているため、貼ると温かく感じ、血液の循環を促します。
しかし、ピリピリとした刺激感を苦手に感じる人もいるかもしれません。
また、温める箇所にはホットタオルやカイロを使うと痛みに効果があると言われています。
Q. 湿布や外用鎮痛消炎薬の成分は何がある?
- ロキソプロフェン
- インドメタシン
- ジクロフェナク
- フェルビナク
- ケトプロフェン
- サリチル酸メチル
ロキソプロフェンやジクロフェナクなどは、飲み薬としても有名です。
インドメタシンやフェルビナクはそれらと同じグループですが、外用薬に使われることが多く、効果も期待できます。
また、サリチル酸メチルは消炎効果があり、市販薬では濃度も幅広く設定されています。
軽い痛みに対して使い分けができる貴重な成分です。
湿布の選び方や注意点をおさらいしよう
一般的には、痛みの原因が慢性痛であれば温湿布、急性痛であれば冷湿布を選択します。
ただ、剤形やサイズを患部やお客さまに合ったものを選ぶようにするのがよいでしょう。
はがれにくさを求めるならテープ剤、肌に優しいタイプが希望ならパップ剤、広範囲やよく動かす箇所ならゲル剤やローション剤が適しています。
外用薬でも副作用のリスクはあるため、問題なく使えるかどうか、個々に確認することも大切です。
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