現場で役立つ知識
2021-04-02
登録販売者必見の「接客ノート」とは?お客さま対応が苦手な人へ
・Before
・After
専門家としてお客さまに医薬品を販売する登録販売者にとって、接客は最も重要な業務です。しかし、登録販売者の中には「接客が苦手…」という方も少なくありません。お客さまに真摯に向き合うほど接客に関する悩みが増え、苦手意識を抱えてしまう場合も。そこで今回は、登録販売者がぜひ活用したい「接客ノート」について紹介します。ぜひ日々の経験や気づきを記録に残し、接客のスキルアップに役立ててください。
「接客が苦手」と感じる理由は?
日々お客さまと接する登録販売者ですが、実は接客に苦手意識を持つ方は少なくありません。
苦手意識を克服するために、まずなぜ接客を苦手に感じてしまうのか、その理由と背景を理解しておきましょう。
お客さまからの質問にうまく答えられない
登録販売者として働いていると、店舗ではお客さまから様々な質問を受けることになります。その範囲は非常に広く専門性の高い内容もあるため、経験豊富な登録販売者であっても、即答できない場合がよくあるのです。
しかし責任感の強い方は、「お客さまの質問に答えられなかった(お役に立てなかった)」と思いストレスを感じてしまいます。
あるいは、接客を終えたあとに「もっとお客さまに合う商品があったのでは……」などと思い悩んでしまう場合も。このような経験が重なると、だんだん接客への苦手意識が強くなってしまいます。
また、資格を取ったばかりの方も、有資格者となったことで突然相談される機会が増えたり、難しい質問を受けたりするため苦手と感じやすいようです。
クレーム対応が怖い
お客さまと直接接するサービス業では、クレームが発生することも少なくありません。ドラッグストアなどでは、医薬品へのクレームに有資格者である登録販売者が対応しなければならないケースも多くあります。
クレームの場面ではお客さまが感情的になりやすく、対応が怖いと感じてしまうこともあるでしょう。また、理不尽な要求をされる可能性も否定できません。
これらがトラウマとなり、接客自体に苦手意識を感じるきっかけになっています。
推奨販売がつらい
多くの企業・店舗では重点的に販売したい自社PB商品や推売品があります。これらは販売ノルマが課されており、接客のなかでおすすめしていくことになります。
ノルマに厳しい企業であれば、本心で良いと思っていなくてもお客さまに進めなければいけない場面もあり悩む方もいるでしょう。
また、提案してもなかなかお客さまの購入につながらないことが続くと、「自分は接客に向いていない」と思い悩んでしまい、接客への苦手意識が高まってしまいます。
▼参考記事
【教えて!村松先生】第2回 推奨販売への向き合い方がわかりません。
お客さま対応が苦手な登録販売者を助ける「接客ノート」
お客さまの対応が苦手という登録販売者におすすめの対処法は、「接客ノート」をつけることです。接客ノートはさまざまな接客・販売業で、顧客管理に活用されています。
登録販売者の場合、記録ノートは日々の相談・接客の内容を記録する使い方が一般的です。記録をつけ、振り返る作業を繰り返していくうちに生まれる気づきの情報は有用で、接客のレベルアップに役立ちます。
また、よりよい対応を実践できるようになり、次第に接客への苦手意識も克服できるでしょう。
どのようなことを書けばよいのか
接客ノートの書き方には特に決まりはありませんが、あとから振り返ることができるよう、ある程度具体的に書くことをおすすめします。
メモを取る時間がない場合には、走り書きをしておいて、時間のあるときにノートに清書する、という形でも構いません。
■お客さまの性別、大まかな年代
性別や年齢によって、ニーズやライフスタイル、注意・確認すべきことが異なりますので記録しておくと役立ちます。
■お客さまの相談事項
どんな相談をされたのか、またお客さまから聞き取りした症状やこれまでの経過など、接客で伺った内容をまとめます。
薬の併用有無や副作用リスクなどを振り返るため、相談中に知りえた生活習慣や既往症・服用中の薬などについても記録しましょう。
■質問への回答・販売した商品
自分がお客さまにどのような返答をしたかや、販売した商品を記入します。振り返りのため、商品名だけでなく選んだ理由も必要です。
途中で別の担当者に引き継いだときは、そのときの状況と最終的な販売商品を記入しましょう。そうすることで、あとから自分の回答や商品の選択が問題なかったのかを振り返ることができます。
■お客さまの反応
接客を通してお客さまがどのような反応を示したのかを書いておきます。接客に満足できたのかを判断する参考となるでしょう。
途中で追加の質問をいただいた場合は、そちらも記録を残しましょう。
■今回の接客に対する反省点
あとから振り返り、「この商品も紹介しておけばよかった」「生活習慣について聞くべきだった」「伝えられなかったご案内」など、反省点をメモしておきます。
反省までしっかり記入することで、次回以降、同じような場面で役立てるでしょう。
接客メモ以外の使い方も
ノートには接客を記録する以外にも、さまざまな活用法があります。
■最新情報をメモしておく
医薬品や医療に関する情報は日々更新されており、新商品の発売などもあるため、常に新しい情報をキャッチアップしておく必要があります。
たとえばメディアで話題になった医薬品は、お求めになるお客さまが一時的に増える可能性があるため、それに備えて仕入れを行ったり、お客さまからの質問にも適切な回答ができたり役に立つ場面も多いでしょう。
■ありのままの気持ちを書く
日々の仕事や接客でストレスに感じた内容を、ノートにありのまま書きとめておくのも良いでしょう。
自分の思いを正直に書くことで気持ちの整理ができて、また前向きに仕事に取り組めるようになるでしょう。
また考えを整理することで、自分が今やらなければならないことを明確にすることにも役立ちます。



接客ノートを作る効果とは?
接客ノートを作る効果は、接客能力を底上げできることです。自分自身はもちろん、自身の環境改善にも活用できます。
スキルアップにつながる
接客の記録や学びをノートにアウトプットすることで、その知識を自分のものとして定着させられます。また、常に接客を振り返る癖がつくため、接客経験を重ねるだけよりも数段スキルアップにつながるでしょう。
対応に困る場面に遭遇したときも、過去の事例を応用し適切な接客を行えるようになります。
接客についてスタッフ間で共有できる
他のスタッフも悩みやすい接客の事例があれば、朝礼などで共有しましょう。全体の接客力向上はもちろん、相手にわかりやすく伝えるよう意識することで自分のスキル定着にもつながります。
また、積極的な情報共有により評価があがったりキャリアアップにつながったりと良い効果も生まれやすくなるでしょう。
転職の際に活用できる
転職の際に必要となる自己PRでは、自分のアピールポイントについてエピソードを交えながら話す必要があります。
接客ノートをつけていると、自分の成長を客観的に感じやすくなるため、自己PRにも活用しやすいでしょう。また、成長の実感があれば、自信をもって面接に臨める効果も期待できます。
接客ノートでさらなるスキルアップを
登録販売者が接客への苦手意識を克服するために役立つ「接客ノート」について、書き方や得られるメリットを紹介しました。
日々の業務で思ったようなお客さま対応ができない経験が重なると、次第に接客へ苦手意識が強くなってしまいます。その克服のためにも、失敗を学びに変える意識が重要です。
接客ノートの活用は自分のスキルアップにつながるだけでなく、周囲に共有することで店舗全体の接客力向上にもつながります。
ぜひこの記事を参考に、オリジナルの接客ノートを作ってみてください。

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