現場で役立つ知識
2024-08-02
虫刺されの主な症状は?原因・対処・予防法や接客のコツを登録販売者向けに解説
・Before
・After
暖かい季節になるにつれ増える「虫刺され症状」の悩み。登録販売者としてお客さまに適切なご案内ができるよう、正しい知識を得ておきましょう。今回は、虫刺されの原因や代表的な症状、対処・予防法のほか、接客に役立つ知識を紹介します。ぜひ参考にしてください。
虫刺されによって起こる主な症状
代表的な症状 | 注意すべき重篤な症状 |
---|---|
・かゆみ・疼痛 ・赤み・腫れ | ・重篤なアレルギー反応 |
虫刺されで多く見られる症状は、大きく「かゆみ・疼痛」と「赤み・腫れ」の2つに分類されます。
刺された虫の種類によって症状の程度は変わりますが、悪化すると重篤なアレルギー反応があらわれることもあるため注意が必要です。
かゆみ・疼痛
かゆみは、虫が持つ唾液や毒を原因として起こるアレルギー反応です。
皮膚が刺激を受けると放出されるヒスタミンという物質が大きく関わっており、血管を拡張させたり知覚神経に刺激を与えたりしてかゆみを引き起こします。
また、疼痛は虫に刺されたことによる刺激や炎症によるもので、修復過程の一部として生じる症状です。
一般的に軽症の場合は、数日以内に自然に軽減します。
赤み・腫れ
赤みや腫れも、虫が持つ唾液や毒を原因とするアレルギー反応の一種です。
刺されて数分から数時間で症状があらわれる「即時型反応」と、数日経ってからあらわれる「遅延型反応」に分けられます。
即時型反応 | 虫に刺されて数分〜数時間で出現するアレルギー反応 |
---|---|
遅延型反応 | 虫に刺されて数日経ってから出現するアレルギー反応 |
一般的には即時型反応は数日、遅延型反応は数日から1週間ほどで自然治癒することが多いです。
しかし、重篤なアレルギー症状として、「アナフィラキシーショック」に発展するケースもあります。
特定の虫の毒や唾液に対する過剰な体の反応が原因で発生し、刺された直後に急速に症状が悪化する可能性もあるため注意が必要です。
場合によっては死に至ることもあるため、異変を感じたらただちに医療機関を受診する必要があります。
虫刺され症状の一般的なメカニズム
虫刺されによる症状は、虫の唾液や毒の成分が人体に注入されることで発生するものです。
虫は人間の皮膚を刺す、血液を栄養源として利用する、咬むなどします。
とくに蚊の唾液には、血液凝固を防ぐ物質や麻酔成分が含まれており、体内では免疫システムが働いてこれらを異物と認識。
結果、炎症やかゆみ、腫れなどの症状が発現します。
とくに、アレルギー体質の人の場合、より強い反応を起こし重篤な症状があらわれる可能性があるため注意が必要です。
【原因別】虫刺されによる主な症状
原因となる虫 | 主に見られる症状 |
---|---|
蚊 | かゆみ、腫れ など |
ブユ | かゆみ、腫れ、痛み など |
ハチ | 強い痛み、腫れ など |
トコジラミ | 強いかゆみ、痛み、赤み など |
ダニ | かゆみ、赤い斑点 など |
ケムシ | 強いかゆみ、赤いブツブツ など |
ムカデ | 強い痛み、腫れ など |
虫刺されによる症状の程度は、刺された虫の種類によって異なります。
また、同じ虫であっても、その人の体質によって変わることもあるため留意しておきましょう。
【蚊】虫刺されによる主な症状
蚊に刺されると、赤く小さな腫れができることが一般的です。
人の体は蚊の唾液による免疫反応を引き起こし、かゆみや腫れなどの症状があらわれます。
通常は数日以内に自然治癒することがほとんどです。
しかし、症状がひどい場合、放置すると悪化して適切な治療が必要なケースも。
よく爪で十字をつけるといいという方もいますが、患部を傷つけてしまうと雑菌が侵入する可能性があるため避けてください。
蚊に刺された後の症状が重いお客さまがいた場合は、医療機関への受診を促しましょう。
【ブユ】虫刺されによる主な症状
ブユに刺されると、半日から1日ほど経ってから皮膚が赤くなったり、腫れやかゆみがあらわれたりすることが多いです。
ブユの唾液に皮膚が反応し、炎症を引き起こします。
かゆみは数日間持続し、敏感な人では広範囲に腫れ上がったり、しこりが残ったりすることもあります。
ブユによる虫刺されは、他の虫刺されよりも症状が強く出やすいため注意しましょう。
ちなみに正式名称は「ブユ」ですが、関東では「ブヨ」、関西では「ブト」と呼ぶこともあります。
【ハチ】虫刺されによる主な症状
ハチに刺されると、激しい痛みと赤みを伴う腫れが生じます。
過去にハチに刺されたことがある人の場合、ハチ毒によるアレルギー反応は、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があり大変危険です。
スズメバチが有名ですが、ミツバチでもアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため注意しましょう。
ハチに刺された場合は、症状の重さに応じて速やかに対処することが重要です。
強いアレルギー反応を示すお客さまには、医療機関への受診を促してください。
【トコジラミ】虫刺されによる主な症状
トコジラミに刺されると、赤く小さな腫れが点状にあらわれるのが特徴です。
症状にはかゆみが伴い、腫れや赤みが強く出ることもあります。
トコジラミに刺された跡は他の虫刺されと混同されやすいですが、パターンやかゆみの持続性で判断できる場合もあるため覚えておきましょう。
トコジラミは寝具や家具の隙間などに生息しており、最近では電車の座席でも生息が確認されています。
【ダニ】虫刺されによる主な症状
ダニに刺された場合、赤みや強いかゆみ、腫れなどの症状を引き起こします。
ダニは皮膚に密接して吸血し、赤い斑点を残すのが特徴です。
ダニの種類によっては、発疹や水ぶくれが生じることもあります。
ほかにも、ツツガムシ病を引き起こすダニは黒いかさぶたを形成するのも特徴です。
【ケムシ】虫刺されによる主な症状
ケムシによる虫刺されでは、強いかゆみや赤み、赤いブツブツなどの症状を引き起こします。
一部のケムシの毛には毒素が含まれており、皮膚に直接触れて反応が起こるのが原因です。
手で直接触れなくても、毛が衣服や空気中を通じて皮膚に触れることもあるため注意しましょう。
とくに敏感な人では、呼吸困難など症状が重くなる場合もあります。
異変を感じたお客さまがいた場合は、ただちに医療機関を受診するようご案内してください。
【ムカデ】虫刺されによる主な症状
ムカデの牙には強力な毒があります。
刺された直後には激しい痛みが発生し、その後に赤みや腫れがあらわれることが多いです。
ムカデの毒は神経毒として作用し、被害を受けた部位では炎症反応が起こるケースもあります。
さらに、赤みや腫れは患部の周囲に広がっていくこともあるため、早めの対処が重要です。
とくに敏感な人では、全身反応があらわれることもあります。
虫刺され症状の対処法
ここでは虫に刺された場合の対処法を解説します。
どの虫刺されでも早めの対処が大切であるため、しっかり把握しておきましょう。
自宅でできる虫刺され時の初期対処法
- 虫に刺された部位をよく洗う
- 冷たいタオルなどで患部を冷やす
虫に刺されたときの初期対処法として、患部をよく洗い冷やすことが重要です。
刺された部位はせっけんと水で清潔に洗います。
毛虫に刺された場合は、毒のある毛を取り除いてから洗いましょう。
冷たいタオルや氷のうを当てることで、腫れやかゆみをある程度抑えられます。
ただし、ブユやムカデの場合は毒素が熱に弱いため、お湯で温めるのがおすすめです。
症状が悪化するのを防ぐために、かきむしることは避けてください。
虫刺され症状に使える一般用医薬品
- ステロイド成分が含まれているもの
- 抗ヒスタミン成分が含まれているもの
- 局所麻酔成分が含まれているもの
- 殺菌成分が含まれているもの
市販の一般用医薬品は、虫刺されの症状を軽減するのに役立ちます。
一般的には、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬や炎症を和らげるステロイド薬が使用されることが多いです。
軟膏やクリーム、液体タイプなどがあるため、症状に応じて選びましょう。
そのほか、しつこいかゆみには知覚神経に作用する局所麻酔成分、かきむしった患部の感染を防ぐ殺菌成分が用いられることもあります。
いずれの医薬品も用法・用量を守り、広範囲に使用する際は専門家に相談することが大切です。
登録販売者として一般用医薬品を勧める場合は、お客さまのお話をよく聞き、適切な対応を心がけてください。
医療機関受診を推奨する目安
- 痛みや腫れが強く、症状が長引くとき
- 発熱やめまいなどの全身症状があるとき
- 小さなお子さまや高齢者、免疫力が低下している方が刺されたとき
虫刺されによる痛みや腫れが広範囲におよび、数日経っても改善しない場合は医療機関の受診を検討すべきです。
また、ドラッグストアなどで高熱や激しい頭痛、呼吸困難、意識の混濁といった全身症状を訴えるお客さまが来店された場合は、速やかに受診を勧めるようにしましょう。
そのほか、小さなお子さまや高齢者、免疫力が低下している方は、症状が重くなりやすいため早めの受診を促すことが重要です。
虫刺されを予防するには?
虫刺されを予防するにはさまざまな対策法があります。
いずれも簡単にできるため、お客さまへのご案内のヒントにしてください。
外出時は虫除け対策を行う
外出時の虫除け対策は、虫刺されを予防するうえで非常に重要です。
とくに、虫除けスプレーや蚊取り線香の使用が効果的な対策とされています。
屋外で活動するときには、肌に直接スプレーできる虫除け剤がおすすめです。
化学的な成分が苦手な人の場合、ハッカ油やハーブなどの天然成分を用いた虫除け製品もよいでしょう。
【虫除け対策におすすめの製品】
- イカリジンが含まれているもの
- ディートが含まれているもの
- ハッカ油が含まれているもの
子どもや肌が敏感な人は念入りに虫除け対策をする
お子さまやアレルギー体質などで肌が敏感な方は、虫刺されによる反応が強く出やすいです。
虫除け剤の使用によって肌が荒れることもあります。
電池式の置き型の虫除け製品を使ったり肌の露出を控えたり、肌に直接使用する虫除け剤以外で対策することも重要です。
とくにお子さまの皮膚は薄く敏感であり、虫刺されの反応が大人と比べて重症化しやすいため注意しましょう。
【子どもや肌が敏感な人の虫除け対策におすすめの製品】
- ピレスロイド系の成分が含まれている電池式の虫除け器
- ハーブなどの天然成分が含まれているもの
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<登録販売者向け>虫除けをお求めのお客様への対応【薬剤師に学ぶ医薬品知識】
自宅などへの虫の侵入を阻止する
自宅やオフィスなどへの虫の侵入を阻止する方法は多数存在します。
窓やドアの隙間を塞ぎ、壊れた網戸は修理するなど、ちょっとした工夫で簡単に対策できるため試してみてください。
夜間は必要最小限の照明に留め、虫が好む湿った環境を避けると効果的です。
また、虫が嫌うといわれているアロマオイルや植物を設置することもおすすめ。
アロマオイルや植物は、人間に対するリラックス効果もあるため一石二鳥ですね。
【自宅での虫対策におすすめの製品】
- ミントが含まれているアロマオイル
- ヒノキが含まれている芳香剤
- シトロネラやユーカリなどの植物
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殺虫剤(プロポクスル)が人体に及ぼす影響は?登録販売者が知っておきたい適切な使い方や接客のコツ
できる限り虫が多い場所には近づかない
虫に刺されないためには、虫が多くいそうな場所に近づかないことが大切です。
とくに、山の中や川の周辺、草むらには虫がたくさん生息しているためなるべく避けましょう。
どうしても通らないといけない場合は、前述した虫除け剤などで対策してください。
虫が多い場所に行くときは肌の露出を控える
虫が多い場所に行く際は、肌の露出を最小限に抑えることが重要です。
長袖や長ズボンを着用し、靴や靴下で足元をカバーすることが推奨されます。
とくに草むらや木陰など虫が好む環境では、細心の注意を払うようにしてください。
そのほか、衣類に虫除けスプレーを使用することも、虫刺されを防ぐ方法としておすすめです。
【登録販売者向け】虫刺され症状に悩むお客さまへの接客のコツ
登録販売者として、虫刺され症状に悩むお客さまへの接客のコツをマスターしましょう。
症状や対処法をしっかり理解し、適切な対応を心がけてくださいね。
虫刺され症状に悩むお客さまへの接客のポイント
- お客さまのお悩みを丁寧にヒアリングする
- 原因や症状に合わせて適切な治療法を提案する
- 症状が重篤だと判断できる場合は受診を勧める
一番大切なのは、お客さまのお悩みを丁寧にヒアリングすることです。
中には痛みや腫れでパニックになっているお客さまもいらっしゃるため、専門家である登録販売者には落ち着いた対応が求められます。
お客さまのお話をよく聞いて、原因や症状に合わせた治療法を提案してください。
また、症状が重篤な場合は、早めの受診を促すのも登録販売者の大切な役割です。
【覚えておきたい】接客時に使えるフレーズ
- どのような症状にお悩みでしょうか?
- その症状はいつ頃から現れましたか?
- アレルギー歴や副作用歴はございませんか?
登録販売者として適切な医薬品を提案するためには、お客さまがどのような症状でお悩みかを確認する必要があります。
また、その症状がいつからあらわれているのかも重要な情報です。
今回のテーマである「虫刺され」を例にすると、「即時型反応」と「遅延型反応」の判別に役立ちます。
また、医薬品を提案する際は、過去のアレルギー歴や副作用歴についても必ず確認するようにしてください。

虫刺されの症状に関するよくある質問
ここでは、虫刺されの症状に関するよくある質問をQ&A形式で解説します。
お客さま対応の参考にしてください。
Q.虫刺されに即効性が期待できる救急処置は?
虫刺されの応急処置として、患部を清潔な水で洗い流すことが重要です。
その後冷たいタオルや氷のうで冷やすことで、腫れや炎症の軽減に役立ちます。
ムカデやブユに刺された場合は、温める方がおすすめです。
さらに、市販の抗ヒスタミン薬やステロイド薬を塗ることで、かゆみを抑えることもできます。
ただし、これらの処置はあくまでも症状を一時的に和らげる方法です。
症状が重いお客さまには、医療機関への受診を促しましょう。
Q.虫に刺されやすい時期は?
虫が活発になるのは湿度が高く暖かい季節であるため、春の終わりから夏にかけては注意が必要です。
虫だけでなく人間も外で過ごす機会が増えるため、この時期は虫除け対策を徹底しましょう。
また、秋に入っても日中の暖かい時間帯には虫の活動がみられることもあります。
個人の体質や血液型、発汗量による影響もあるため留意しておきましょう。
Q.虫に刺された後に避けるべき行動は?
虫に刺された部位を強くかくと、二次感染のリスクを高めます。
かゆみがあってもかきむしるのは我慢し、刺された部位を清潔に保ちましょう。
お客さまの症状の程度に合わせて、医療機関への受診も勧めてください。
虫刺されの症状や対処・予防法を知り、接客に活かしましょう
虫刺されの症状はつい軽くみてしまいがちですが、場合によっては重症化する危険性があります。
日頃から虫に刺されないための予防を徹底することや、刺されてしまったときの対処法を知ることが大切です。
症状が重いお客さまには、早めに医療機関を受診することをご案内しましょう。
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