現場で役立つ知識
2021-08-06
ワクチン接種後の発熱や頭痛。アセトアミノフェン市販薬を服用して大丈夫?イブプロフェンとの違いも解説
・Before
・After
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進むなか、副反応で発熱の症状があらわれる方も多くみられます。このようなワクチン接種後の発熱に対して、厚生労働省から市販の解熱鎮痛薬の使用が可能である旨が通知されました。その影響で、とくにアセトアミノフェンを主成分とする市販の解熱鎮痛薬は品薄状態が続いています。 今回は新型コロナウイルスのワクチン接種による発熱や頭痛でアセトアミノフェンを求めて来店されるお客さまへの対応方法や、アセトアミノフェンとイブプロフェン、ロキソプロフェンとの違いについて解説します。
アセトアミノフェンの効果や注意点は?
アセトアミノフェンは小さな子どもから大人まで服用でき、消化器症状が出にくい成分です。妊娠中や授乳中の方が服用しても安全性が高いことで知られています。
効果
抗炎症作用がほとんどなく、数ある解熱鎮痛薬のなかでもとくに効果がマイルドだと言われています。
タイレノールAを除き、アセトアミノフェンを主成分とするほとんどの市販薬は3歳から服用が可能です。
副作用
主な副作用としては、吐き気や食欲不振などの胃腸障害が知られています。
ただし、ほかの解熱鎮痛薬と比べると胃への負担は少ない成分です。
基本的に食後の服用が推奨されていますが、タイレノールAのように空腹時にも飲めるとされているものもあります。
胃腸障害のほかには、次のような副作用が代表的です。
・発赤
・かゆみ
・めまい
・角の体温低下
注意事項
アセトアミノフェンは安全性の高い成分と言われていますが、人によっては服用が禁忌となっていることもあります。
次に該当する方の服用には気をつけなければいけません。
■肝障害がある方
肝機能に異常がある方や長期間にわたって服用している方は肝障害の副作用が発現するおそれがあります。
■次のような疾患や既往歴がある方
重篤な肝障害や腎障害、心機能不全がある方、また消化性潰瘍がある方はアセトアミノフェンを服用できません。
アスピリン喘息やアセトアミノフェンに対して過敏症の既往歴がある方も服用が禁忌となっています。
■次の医薬品を服用している方
リチウム製剤やチアジド系利尿剤、ワルファリンや抗生物質を服用している方がアセトアミノフェンを併用すると、併用薬の効果に影響が出ることがわかっています。
また併用することで副作用が起きやすくなるものもあるため注意が必要です。
主な市販薬
アセトアミノフェンを主成分とする代表的な市販薬には次のものがあります。
■タイレノールA
1錠あたり300mgのアセトアミノフェンを含んでおり、1日に最大で3回まで服用できます。
アセトアミノフェン以外の成分は含まれていません。
■小児用バファリンCII
3歳以上から服用できる製品です。
1錠あたり33mgのアセトアミノフェンを含んでおり、服用する方の年齢によって錠数を調整します。
こちらもアセトアミノフェン以外の成分は含まれていないため使いやすいでしょう。



イブプロフェンやロキソプロフェンとの違い
市販で購入できる解熱鎮痛薬には、アセトアミノフェン以外にイブプロフェンやロキソプロフェンもあります。それぞれに特徴があるので違いを知っておきましょう。
イブプロフェン
薬剤師がいなくても購入できる成分のなかでは、とくに効果が高いものとして知られています。
イブプロフェンは母乳中へ移行することが認められていますが、移行する量はごくわずかなため授乳中の方でも服用可能です。
効果
イブプロフェンは15歳以上から服用できます。
アセトアミノフェンでは効果が不十分だったり、頭痛や発熱などの症状がつらかったりする場合はイブプロフェンが候補となるでしょう。
副作用
主な副作用としては吐き気や食欲不振などの消化器症状が知られています。胃腸へ負担がかかりやすい成分なので、食後の服用が基本です。
ほかに、次のような副作用も報告されています。
・蕁麻疹
・眠気
・めまい
・血圧上昇
・動悸
・浮腫
注意事項
イブプロフェンは解熱鎮痛薬のほかに風邪薬にも広く使われている成分です。
しかし、イブプロフェンも人によっては服用できなかったり注意が必要だったりします。
■次のような疾患や既往歴がある方
消化性潰瘍や重篤な血液異常、肝障害や腎障害、心機能不全などがある方は症状が悪化する可能性があるため原則服用できません。
また、アスピリン喘息やイブプロフェンへの過敏症の既往歴がある方も服用は原則禁忌です。
■次の医薬品を服用している方
ジドブジンと併用すると、血友病患者で出血傾向が強まると報告があるため併用はできません。
またワルファリンやアスピリン、リチウム製剤やチアジド系利尿剤などと併用すると、併用薬の効果影響が出る可能性があります。
■妊娠28週以降の方
妊娠中でも服用できますが、妊娠後期(28週以降)は胎児の動脈管早期閉鎖を引き起こす可能性があるため服用できません。
アセトアミノフェンとの違い
イブプロフェンはアセトアミノフェンよりも解熱鎮痛効果が高いことが特徴です。
また抗炎症作用ももっているため、炎症が原因で起きている発熱や痛みなどにも対応できます。
ただし、アセトアミノフェンより胃に負担をかけやすいため空腹時の服用は避けなければいけません。
主な市販薬
イブプロフェンを主成分として含む主な市販薬には次のものがあります。
■リングルアイビー
1カプセルあたり150mgのイブプロフェンが配合されている液体カプセル錠の製品ですより高い解熱鎮痛効果を求める方には、1カプセルあたりイブプロフェンが200mg配合されているリングルアイビーα200を勧めてみるのもよいでしょう。
■イブメルト
水なしで飲めるタイプの製品です。1錠あたり200mgと最大容量のイブプロフェンが配合されています。
錠剤を飲み込むのが苦手な方でも服用しやすいでしょう。
ロキソプロフェン
ロキソプロフェンは15歳以上から服用でき、一般に市販の解熱鎮痛効果のなかではもっとも効果が高いものです。
乳汁中への移行性は少ないとされているため、授乳中でも服用できます。
効果
市販でもっとも効果が高いと言われており、抗炎症作用にも優れています。
医療機関で処方されることも多いため、普段からロキソニンを飲み慣れている方には市販のロキソプロフェンを勧めてみるのもよいでしょう。
副作用
ロキソプロフェンでも吐き気や食欲不振などの消化器症状が知られています。
ただし胃腸障害を軽減するために、プロドラッグといって体内で吸収されてから効果を発揮するよう作られていることが特徴です。
ほかには、次のような副作用も報告されています。
・発疹
・蕁麻疹
・眠気
注意事項
ロキソプロフェンは薬剤師しか販売できないものですが、お客さまから相談されることもあるため注意事項についても把握しておきましょう。
■次のような疾患や既往歴がある方
重篤な血液の異常や肝障害、腎障害や心機能不全などがある方は症状が悪化する可能性があるため原則服用できません。
またアスピリン喘息やロキソプロフェンへの過敏症の既往歴がある方も服用できないため注意しましょう。
■喘息がある方
喘息の方がロキソプロフェンを服用すると、症状が悪化することがあります。
■次の医薬品を服用している方
ワルファリンやリチウム製剤、チアジド系利尿剤や降圧剤などと併用すると、併用薬の効果に影響が出る可能性があります。
■妊娠28週以降の方
妊娠中でも服用できますが、妊娠後期(28週以降)は胎児の動脈管早期閉鎖を引き起こす可能性があるため服用できません。
アセトアミノフェンとの違い
ロキソプロフェンはアセトアミノフェンよりも解熱鎮痛効果が高い成分です。
また抗炎症作用もあるため、炎症が原因で起こる発熱や痛みにも対応できます。
ただし、アセトアミノフェンより消化器症状が出やすいため注意が必要です。
主な市販薬
ロキソプロフェンを主成分として含む市販薬には次のものがあります。
■ロキソニンS
ロキソプロフェンのみが配合された製品です。
基本は1日2回までの服用となりますが、どうしても発熱や痛みがつらいときは3回まで服用できます。
ただし服用間隔は4時間以上あけるようにしてください。
■ロキソニンSプラス
主成分のロキソプロフェンのほかに、胃を守るはたらきのある酸化マグネシウムも配合されています。

解熱鎮痛薬をお求めのお客さまへの対応は?
ワクチンの副反応対策で解熱鎮痛薬を買いに来るお客様には、次のような対応をするように心がけましょう。
アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛薬を飲んでも問題ないと伝える
ワクチンの副反応が出た場合、厚生労働省から正式にアセトアミノフェン以外の解熱鎮痛薬を服用しても問題ないと公表されています。
飲み慣れた解熱鎮痛薬があるなら無理にアセトアミノフェンを選ぶ必要はありません。
発熱時は水分補給をするよう伝える
発熱しているときは皮膚からもどんどん水分が蒸発していきます。
脱水症状を起こさないようにするためにも、こまめに水分補給をするよう伝えてください。
また汗の蒸発をスムーズにして体温を下げるために、通気性のよい薄めの衣服の着用がおすすめです。
症状が強く出ているときは受診勧奨をする
発熱や痛みの症状が強く、症状が出ている期間が長い場合は医療機関の受診を勧めてください。
また併用薬があったりアレルギーの既往歴があったりする方は医師へ相談のうえ服用するよう伝えましょう。
医薬品の成分について正しく理解し適切な対応を
アセトアミノフェンは抗炎症作用がなく胃腸への負担も少ないため、使いやすい解熱鎮痛薬です。
各所で品薄な状態が続いていますが、イブプロフェンやロキソプロフェンを服用しても問題ないとされています。
アセトアミノフェンでは発熱や痛みに対して効果が不十分なこともあるため、お客さまの要望に合わせてイブプロフェンやロキソプロフェンなども提案していきましょう。

合わせて読まれている記事
登録販売者のための役立つ情報がいっぱい!
最新のドラッグストア業界動向のポイント、転職成功のためのノウハウなど、登録販売者のキャリアに役立つ多様な情報をお届けしています。チアジョブ登販は求人のご紹介や転職サポートのほかにも、登録販売者の方に嬉しい最新情報も提供。毎月更新しているコンテンツも多数です。ぜひ定期的にチェックしてみてください!