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2024-09-20
アセトアミノフェンに期待できる効果は?注意すべき副作用・販売時のポイントを登録販売者向けにお届け
・Before
・After
頭痛や発熱時の一般用医薬品に使われることが多い「アセトアミノフェン」。お客さまに適切なご案内をするために、正しい効果と副作用の知識を身につけましょう。今回は、アセトアミノフェンに期待できる効果や副作用、販売時のポイントについて解説します。登録販売者の方はぜひ参考にしてください。
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アセトアミノフェンとは?期待できる効果
【そもそもアセトアミノフェンとは】
- 子どもから大人まで幅広い年齢の人が使える解熱鎮痛薬の成分
- 比較的作用が穏やかで副作用が少ない
- 比較的胃腸への負担が少ない
アセトアミノフェンとは、解熱鎮痛薬に含まれる成分です。
市販の一般用医薬品や医療機関の処方薬に含まれています。
比較的作用が穏やかで副作用が少なく、子どもから大人まで幅広い世代の方に使用できるのが特徴です。
以下のような効果が期待できます。
【アセトアミノフェンに期待できる2つの効果】
- 鎮痛効果
- 解熱効果
鎮痛効果
アセトアミノフェンは脳の中枢神経に作用し、痛みを作り出す成分である「プロスタグランジン」の生成を抑制することで鎮痛効果を発揮します。
対象となる症状は頭痛や筋肉痛、歯痛などの軽度から中程度の痛みです。
生理痛による痛みにも効果が期待できます。
胃腸への負担が比較的少ないため、胃が弱い方や高齢者の方なども使いやすいです。
【こんな症状におすすめ!】
解熱効果
解熱効果は、アセトアミノフェンが持つもうひとつの重要な特性です。
鎮痛効果と同様に、脳の中枢神経に作用し、「プロスタグランジン」を抑制することで解熱効果を発揮します。
一般的には、風邪やインフルエンザなどの感染症による発熱時に使用されることが多いです。
【こんな症状におすすめ!】
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アセトアミノフェンの注意すべき副作用
アセトアミノフェンは比較的副作用が少ないですが、注意しなければならない副作用もあります。
登録販売者として、しっかり把握しておきましょう。
副作用
一般的な副作用 | 注意すべき重篤な副作用 |
---|---|
・胃腸障害 ・頭痛 ・めまい ・発疹 ・かゆみ など | ・アナフィラキシーショック ・皮膚粘膜眼症候群 ・肝機能障害 ・腎障害 ・間質性肺炎 など |
アセトアミノフェンの服用により、胃腸障害や頭痛、めまいなどの副作用が起こりえます。
個人差がありますが、比較的軽度で一時的な症状であるケースが多いです。
他にも、アレルギー反応として、発疹やかゆみがあらわれることがまれにあります。
また、アセトアミノフェンの長期間の服用や過剰摂取は、肝臓に負担をかけ副作用が起こりやすくなるため注意が必要です。
頻度は少ないものの、重篤な副作用があらわれた場合は、速やかに医療機関を受診するようご案内してください。
こんな人は服用に注意
- 肝臓疾患や腎臓疾患を持つ方
- アスピリン喘息の方
- ワルファリンを使用中の方
- アルコールを常習的に摂取している方
- 他の薬剤を使用中の方
- 妊娠中や授乳中の方 など
肝臓疾患や腎臓疾患を持つ方は、アセトアミノフェンの代謝や排泄が正常に行われない可能性があります。
また、アスピリン喘息などの疾患を持つ方や妊娠・授乳中の方なども、服用する際は十分注意が必要です。
血栓ができるのを防ぐ「ワルファリン」と併用すると、出血傾向が高まる危険性があります。
アルコールを常習的に摂取している方は、肝機能に負担をかける可能性があるため注意しましょう。
アセトアミノフェンは比較的副作用は少ない成分ですが、一般用医薬品を販売する際は必ず正しい説明とご案内をしてください。
アセトアミノフェンを服用してはいけない人
- アセトアミノフェンに対して過敏症がある方
- 重篤な肝障害を持つ方
- アセトアミノフェンを含む他の薬剤を使用中の人
アセトアミノフェンに対して過敏症がある方や、重篤な肝障害を持つ方は服用を避けるべきです。
アセトアミノフェンを含有している他の解熱鎮痛薬を服用中の方にも、使用しないようご案内しましょう。
登録販売者として相互作用にも注意し、お客さまに他の医薬品を服用していないか必ず確認してください。
妊娠中や授乳中の方には、医師の指示を受けることを推奨しましょう。

アセトアミノフェンと他の解熱鎮痛成分の違い
アセトアミノフェンのほかにも、さまざまな解熱鎮痛成分があります。
違いを把握し、適切な医薬品を提案しましょう。
アセトアミノフェンとロキソプロフェンの違い
アセトアミノフェン | ロキソプロフェン | |
---|---|---|
特徴 | 効果が穏やかで副作用が少ない | 比較的高い解熱・鎮痛効果が期待できる |
期待できる効果 | 鎮痛効果、解熱効果 | 鎮痛効果、解熱効果、抗炎症作用 |
主な副作用 | 胃腸障害、頭痛、めまい など | むくみ、嘔吐、食欲不振 など |
服用できない人 | 【禁忌】 ・アセトアミノフェンに対して過敏症がある方 ・重篤な肝障害を持つ方 ・アセトアミノフェンを含む他の薬剤を使用中の方 【服用に注意すべき人】 ・アスピリン喘息の方 ・ワルファリンを使用中の方 ・アルコールを常習的に摂取している方 など | ・15歳未満の方 ・ロキソプロフェンに対して過敏症がある方 ・ロキソプロフェンなどを含む解熱鎮痛薬を使用後、喘息を起こしたことがある方 ・胃・十二指腸潰瘍、肝臓病、腎臓病、心臓病の疾患を持つ方 ・貧血や血液異常などを医師から指摘されている方 ・出産予定日12週以内の妊婦 など |
使用の注意点 | ・妊娠中や授乳中の方などは、専門家に相談する ・長期服用は避ける | ・妊娠中や授乳中の方などは、専門家に相談する ・長期服用は避ける ・他の解熱鎮痛薬と併用しない ・服用前後に飲酒をしない |
ロキソプロフェンは鎮痛・解熱効果に加えて、アセトアミノフェンにはない抗炎症作用があります。
15歳以上から使用でき、市販の解熱鎮痛薬の中でもとくに高い効果が期待できる成分です。
ただし、アセトアミノフェンと比較すると、消化器症状やむくみ、嘔吐、食欲不振といった副作用が起こる可能性があります。
対してアセトアミノフェンは副作用が少なく、子どもや高齢の方にも使用されやすい成分です。
なお市販のロキソプロフェンは第1類医薬品に分類されるため、薬剤師のみが販売できます。
アセトアミノフェンとイブプロフェンの違い
アセトアミノフェン | イブプロフェン | |
---|---|---|
特徴 | 効果が穏やかで副作用が少ない | 比較的高い解熱・鎮痛効果が期待できる |
期待できる効果 | 鎮痛効果、解熱効果 | 鎮痛効果、解熱効果、抗炎症作用 |
主な副作用 | 胃腸障害、頭痛、めまい など | 腹痛、嘔吐、食欲不振 など |
服用できない人 | 【禁忌】 ・アセトアミノフェンに対して過敏症がある方 ・重篤な肝障害を持つ方 ・アセトアミノフェンを含む他の薬剤を使用中の方 【服用に注意すべき人】 ・アスピリン喘息の方 ・ワルファリンを使用中の方 ・アルコールを常習的に摂取している方 など | ・15歳未満の方 ・イブプロフェンに対して過敏症がある方 ・イブプロフェンなどを含む解熱鎮痛薬を使用後、喘息を起こしたことがある方 ・胃・十二指腸潰瘍、肝臓病、腎臓病、心臓病、高血圧などの疾患を持つ方 ・出産予定日12週以内の方 など |
使用の注意点 | ・妊娠中や授乳中の方は、専門家に相談する ・長期服用は避ける | ・妊娠中や授乳中の方、アスピリン喘息の方、ワルファリンを使用中の方などは、専門家に相談する ・長期服用は避ける ・他の解熱鎮痛薬と併用しない ・服用前後に飲酒をしない |
イブプロフェンも解熱・鎮痛効果に加えて抗炎症作用があり、関節痛や筋肉痛にも効果が期待できる成分です。
ロキソプロフェンと同様に、15歳以上から使用できます。
イブプロフェンは第2類に分類されているため、登録販売者も販売可能です。
アスピリン喘息の方やワルファリンを使用中の方には十分注意を払う必要がある点や、消化器系の副作用が起こる可能性に留意しておきましょう。
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アセトアミノフェンを含む医薬品を使うときの5つの注意点
アセトアミノフェンを含む医薬品を使用する際は、注意しなければならない点があります。
登録販売者として、お客さまに相談された際は適切な使い方をご案内しましょう。
用法・用量を守って使う
アセトアミノフェン以外の成分にも言えますが、用法・用量は必ず守るよう伝えてください。
自己判断で用量を増やすと、効果が十分に得られないばかりか副作用が発生するリスクが高まります。
子どもや高齢者、肝機能に問題がある方などへのご案内はとくに注意が必要です。
お客さまには用法・用量を守ること、頻繁に服用するのは避けることを伝えましょう。
服用前後に飲酒をしない
アセトアミノフェンを含む医薬品を服用する前後のタイミングでは、飲酒をしないように注意しましょう。
アルコールは肝臓に負担をかけるため、アセトアミノフェンと同時に摂取すると肝障害のリスクが高まります。
とくに、大量のアルコールを摂取する場合や肝機能が低下している方には、アルコールの併用を避けるよう注意を促してください。
他の解熱鎮痛薬と一緒に服用しない
他の解熱鎮痛薬と、アセトアミノフェンを一緒に服用することは避けましょう。
複数の解熱鎮痛薬を同時に摂取すると、予期せぬ副作用が発生する可能性が高まります。
アセトアミノフェンは単体で十分な効果を発揮するため、他の薬剤と併用する必要は基本的にありません。
効果がないからといって複数の解熱鎮痛薬を服用するお客さまもいますが、絶対にしてはいけないことを伝えてください。
長期間連続して使用はしない
アセトアミノフェンを長期間連続して使用することは避けましょう。
長期間の服用は肝臓に負担をかける可能性があるためです。
自己判断での長期使用は危険を伴うため、長く使い続けないように注意を促してください。
発熱や痛みなどの症状が続く場合は医療機関への受診を勧めましょう。
適切な診断と治療を受けることをご案内するのも、登録販売者の重要な役割です。
症状が出る前の予防として使わない
痛みや発熱などの症状が出る前に、アセトアミノフェンを予防的に使うことは避けましょう。
アセトアミノフェンはあくまでも、一時的な「痛み」や「発熱」などの症状に効果が期待できる対症療法薬であるためです。
症状が出ていないのに薬物を頻繁に使うことによって、薬物乱用頭痛が発生するリスクも高まります。
さらに、実際に症状があらわれた際の効果が減少する可能性もあるため注意が必要です。
【登録販売者向け】アセトアミノフェンを含む医薬品販売の3つのポイント
アセトアミノフェンを含む医薬品を販売する際は、これから解説するポイントを押さえましょう。
登録販売者として、常に意識するように心がけてください。
お客さまの具体的な症状や悩みを聞き出す
お客さまの具体的な症状やお悩みを聞き出すことは、適切な医薬品を提案するための第一歩です。
頭痛や発熱などの症状の詳細を、丁寧にヒアリングしてください。
症状の持続期間や程度、他の薬を服用しているかどうかを確認するのも重要です。
たとえ同じ症状であっても、お客さまの生活環境などによって対処法は変わってきます。
そのため、それぞれに合わせた服用のタイミングや副作用のリスクについて説明できるとよいです。
【接客時に使えるフレーズ】
- 頭痛や発熱はいつ頃からあらわれましたか?
- 医薬品を服用するのはどなたでしょうか?
- ほかに服用している医薬品はありますか?
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発熱時は水分補給をするよう伝える
発熱しているときは皮膚からもどんどん水分が蒸発していきます。
脱水症状を起こさないようにするためにも、こまめに水分補給をするよう伝えてください。
また汗の蒸発をスムーズにして体温を下げるために、通気性のよい薄めの衣服の着用がおすすめです。
症状が強く出ているときは受診推奨をする
発熱や痛みの症状が強く、症状が出ている期間が長い場合は医療機関の受診を勧めてください。
また、併用薬があったりアレルギーの既往歴があったりする方は医師へ相談のうえ服用するよう伝えましょう。
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アセトアミノフェンの効果や副作用に関するQ&A
ここでは、アセトアミノフェンに期待できる効果や副作用に関する疑問をQ&A形式で解説します。
ぜひ、接客販売時の参考にしてください。
Q.アセトアミノフェンを含む医薬品を服用してから効果が出るまでの時間は?
アセトアミノフェンを含む医薬品を服用してから効果があらわれるまでの時間は、一般的に30分から1時間程度です。
ただし、個人差や服用方法、食事の有無によって効果が出るまでの時間は異なります。
なかなか効果が感じられない場合でも、自己判断で追加服用はせず、医療機関への受診も検討するよう促してください。
Q.アセトアミノフェンを含む医薬品の効果の持続時間は?
アセトアミノフェンによる鎮痛・解熱効果は、一般的には4〜6時間程度持続するといわれています。
ただし、痛みや発熱の程度、個人差によって異なるため注意しましょう。
Q.アセトアミノフェンを含む医薬品はどのくらいの間隔で飲んでいい?
一般的には、4〜6時間ほど間隔を空けて服用するのがよいとされています。
間隔を狭めて服用しても効果は上がらず、副作用があらわれるリスクが高まるため注意が必要です。
Q.アセトアミノフェンを含む医薬品は腰痛にも効果が期待できる?
アセトアミノフェンを含む一般用医薬品の種類によっては、腰痛への効果が期待できるものもあります。
お客さま対応をするときは、どのような痛みや症状でお悩みであるか、詳しく聞きましょう。
アセトアミノフェンで十分な効果が得られない場合は、湿布薬などの使用を検討するのもおすすめです。
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Q.アセトアミノフェンを含む医薬品はどんな剤型の製品が多い?
現在販売されているアセトアミノフェンを含む一般用医薬品は、ほとんどが錠剤タイプです。
そのほか、子ども向けの坐薬もあります。
使用者によって剤型を使い分けることが可能です。
アセトアミノフェンについて理解し、適切なご案内をしよう
アセトアミノフェンはほかの解熱鎮痛薬と比較すると、副作用が少なく使いやすい成分です。
しかし、注意しなければならない点もあるため、登録販売者として適切なアドバイスを心がけましょう。
場合によっては、受診を勧めることも重要です。
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