登録販売者の働き方
2021-07-30
登録販売者の勤務条件って?休日・労働時間・社会保険などの用語を解説
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登録販売者として就職する際に、気になるのは休日や勤務時間などの労働条件です。しかし、求人票などに記載されている言葉は専門用語が多く、意味を正しく理解しないまま雇用契約を交わしてしまうと「こんなはずではなかった!」と後悔することにもなりかねません。 そこで今回は、休日や福利厚生にかかわる用語の解説を中心に、「求人票」と「労働条件通知書」の違いについて紹介します。
公開日:2020年4月22日
更新日:2021年7月30日
求人票と労働条件通知書の違いとは?それぞれ何が書かれているのか
「求人票」と「労働条件通知書」は、いずれも勤務時間や勤務場所、業務内容などが記載されているものですが、その意味合いは大きく異なります。
ここではまず、「求人票」と「労働条件通知書」の違いについて解説します。
そもそも「求人票」とはどのようなものか
「求人票」とは、従業員を募集している企業が、募集の概要や労働条件を記載し、ハローワークや人材紹介会社などに提出するものです。
仕事を探す人は、求人票に記載されている内容をもとに、自分の希望と照らし合わせて応募したい企業を探します。
求人票では、主に下記の項目を確認することができます。
- 従事する業務内容
- 労働契約期間
- 就業場所
- 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日
- 賃金額
- 健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用に関する情報
「労働条件通知書」とは?
「労働条件通知書」とは、企業が内定者に対して送付する書類です。
内定者は「労働条件通知書」をもとに内定を承諾するかを判断します。労働条件を書面で明示することは、企業の法的な義務です。
労働条件通知書には、下記のとおり、実際の配属店舗や給与が記載されます。
- 労働契約の期間
- 就業場所
- 業務内容
- 始業/終業時刻
- 休憩時間
- 休日/休暇
- 賃金の計算方法/締日支払日
- 解雇を含む退職に関する事項
就職内定者は、労働条件通知書を受け取っても企業に就職する義務はありません。
複数の企業から労働条件通知書を受け取って比較し、就職先を選ぶことができます。
▼参考
登録販売者として失敗しない働き方を!労働条件通知書の見方と頻出用語を解説
「求人票」と「労働条件通知書」の内容に食い違いがある場合
求人票と労働条件通知書の内容に齟齬がある場合、労働条件通知書の内容が優先されます。
求人票は、企業から就職希望者に対して労働条件などを知らせる手段であって、労働契約そのものではありません。そのため、企業側は求人票の内容に拘束されません。
一方、労働条件通知書は、雇用契約前に労働条件を内定者に知らせ、入職の意思を問うためのものです。
そして、雇用契約は労働条件通知書に基づいて交わされます。求人票と労働条件通知書の内容に食い違いがある場合、雇用契約書は労働条件通知書の内容で作成されます。
このようなことから、就職の内定を承諾する前には、労働条件通知書の内容をしっかり確認することが大切です。



登録販売者の求人によく記載されている、休日や労働時間、福利厚生にかかわる労働条件の用語
次は、登録販売者の求人で記載されることが多い、休日や福利厚生に関する用語を説明します。
週休2日制と完全週休2日制
「週休2日制」とは、「1ヶ月の間に週2日休みがある週が1度以上ある」ことです。つまり、週2日の休みが毎週必ずあるということを保障するわけではありません。
極端な場合ですが、月に1回だけ週2日の休みがあり、残りの週は休みが週1日だけということも可能です。
「完全週休2日制」とは、「毎週必ず2日間の休みがある制度」です。ただし、休み2日間が連続であるとは限りません。また、休みが土日や祝日ではない場合もあります。
ドラッグストアなど、年中無休で曜日に関係なく来客が見込まれる企業の求人では、「週休2日制」とされている場合が多いです。
実際には多くの店舗で月に8~9日休日が取れるようにシフトを組んでいます。
変形労働時間制
変形労働時間制とは、労働時間を月や年単位で調整する制度です。
繁忙期等により勤務時間が増加しても、法律で規定された労働時間を超えなえれば時間外労働として換算しません。
繁忙期や閑散期など、業務にかかる時間が月や週ごとにバラつきがある場合に労働時間を調整できることから、ドラッグストアをはじめ小売業で多く導入されています。
例えば、1ヶ月単位の変形労働時間制では、1ヶ月トータルで労働時間の調整ができていれば時間外労働にはならないのです。
「社会保険完備」の具体的な内容
「社会保険完備(社保完備)」とは、働くうえで重要な「健康保険」「厚生年金保険」「労働者災害補償保険(労災保険)」「雇用保険」の4つの社会保険すべてに加入できることを一般的に意味します。
「健康保険」は、病気やけがだけではなく、それにともなう休業や、出産・死亡などの事態に備える医療保険制度です。
健康保険に加入すると、保険料は本人と企業の両者が負担します。
「厚生年金」は、条件を満たした場合に国民年金に上乗せされて 給付される年金です。厚生年金の保険料も、本人と企業の両者が負担します。
「健康保険」と「厚生年金保険」の加入条件は基本的に同じで、「適用事業所に常時使用されること」とされています。
この条件は、正規職員であれば問題なくクリアできます。パートやアルバイトであっても、1週間の労働時間や1ヶ月の労働日数が正規職員の4分の3以上であれば加入できます。
なお、この「4分の3以上」という条件をクリアできない場合であっても、下記5つの条件をすべて満たす場合には、健康保険と厚生年金保険の両方に加入することができます。
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上
- 雇用期間の見込みが1年以上
- 学生でないこと
- 従業員が501人以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いている
なお、「雇用保険」に加入すると、失業時に給付金が交付されたり、育児休業や介護休業で仕事を休んだ場合に「雇用継続給付」を受け取ったりすることができます。
雇用保険は、正規職員であれば強制加入ですが、パートやアルバイトであっても条件をクリアすることができれば、加入することができます。
下記に条件を記載するので、確認してみましょう。
- 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
- 1週間の労働時間が20時間を超えていること
- 学生ではないこと
「労働者災害補償保険(労災保険)」は、勤務中や通勤中の病気やけがに対し、保険給付を行う制度です。労災保険は、パート・アルバイトを含むすべての労働者に適用されます。
年次有給休暇(有給休暇)
年次有給休暇(有給休暇)とは、賃金が支払われる休暇のことです。有給休暇は、法律で保障された制度です。
入社から6ヶ月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上に出勤していれば付与されます。
正社員の場合、入社から6ヶ月後に付与される有給休暇は10日と定められています。
企業によっては、入社時に有給休暇を数日付与するなど分割付与する場合もあります。
また、所定労働日数の少ないパートタイム労働者や契約社員であっても、所定労働日数に応じて定められている日数の年次有給休暇を得ることができます。

登録販売者の休日は実際どのぐらい?
次は、登録販売者の求人で記載されることが多い、休日や福利厚生に関する用語を説明します。
ドラッグストアは「年中無休」店舗が多め
1日の営業時間が長く、年中無休の店舗が多いドラッグストアでは、ほとんどの企業でシフト制が採用されています。
月に8~9日の休日を基本とする店舗が多く、平均すると週2日程度の休みです。
来客数が多く忙しさが増す土日・祝日は出勤して、平日に休みをとるケースが多いです。
調剤薬局での勤務は日曜に休みがあるケースも
日曜日を定休日としている調剤薬局に就職すれば、当然のことながら毎週日曜日が休日です。
ただし、地域の薬局が交代で休日に開局している場合や、門前の医療機関が定期的に休日当番医を担当している場合には、日曜日に出勤を求められる可能性があります。
調剤薬局は、閉局時刻が18時~20時くらいに設定されていることが多いため、深夜帯に勤務するケースは少ないです。
しかし、開業医の門前薬局の場合、診察が終了するまで業務を求められることが多いので、閉局時間どおりに業務が終わることはあまりありません。
また、月末・月初はレセプト請求業務(健康保険組合などに提出する診療報酬明細書を作成して請求する業務)に追われるため、閉局後に業務を行うこともあります。
まとめ
就職先を探す際には求人票を頼りにするものですが、求人票は労働契約そのものではありません。
内定後に企業から送付される労働条件通知書で、労働条件をしっかり確認しましょう。
また、休日の取得体制や加入できる社会保険の内容もチェックし、後悔のない就職を目指しましょう。
登録販売者の就職先は多岐にわたります。ドラッグストアと調剤薬局では、勤務時間や休日などの労働条件も大きく異なるので、自分のライフスタイルに合うより良い職場を選ぶようにしましょう。

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