著名人コラム
2023-07-07
ドラッグストアでお客さまの心を開く、声かけフレーズとは?【OTC薬剤師・鈴木伸悟先生に学ぶ!登録販売者向け接客マニュアル】
・Before
・After
OTC医薬品の販売に強みをもつ薬剤師・鈴木伸悟先生に接客のコツを教えていただく新連載がスタート!第1回の「接客の心構え」に続き、第2回は鈴木伸悟先生が実際に使ってきた便利な声かけフレーズをご紹介します。
シーン別の声かけでお客さまの期待を高める
お客さまの心を開くためには、相手の気持ちを考えて行動し、コミュニケーションを大事にすることが重要です。
一方で、「OTC医薬品のカウンセリング時に具体的にどのような声かけをすれば良いかわからない」という方もいるでしょう。
まずはお客さまに、「この人に相談したら良いアドバイスをくれそう」「自分に合った市販薬を選んでくれそう」と思っていただくことが大切です。
「今日はどうされましたか?(お探しの薬がありますか?)もしよければお伺いします」といったスタンダードな声かけをするのも一つの手段ですが、私はシーン別に次のようなフレーズを使い分けています。
- 総合かぜ薬のコーナーでお悩みの方(商品を眺めている、探している)への声かけ
⇒「風邪ですかね、とくにつらい症状は何ですか?」
- 湿布薬など外用消炎鎮痛薬のコーナーでお悩みの方への声かけ
⇒「貼る部位はどこですか?喘息はないですか?」
- 乗り物酔い薬コーナーでお悩みの方への声かけ
⇒「乗り物に乗る時間はどのくらいの長さですか?」
- 漢方薬コーナーでお悩みの方への声かけ
⇒「症状だけでなく、体格や体力なども漢方選びのポイントですので、よろしければお伺いしますが?」
あいさつののち、最初にOTC医薬品を選ぶために必要な上記の質問をお客さまに投げかけることがあります。
お客さまは、どういったことをポイントに薬を選ぶのかを知らない方がほとんどなので、こうした質問をすることで「なるほど、そういう視点で薬を選べば良いのか」と理解してくださるのです。
さらに、「この人に相談すれば良い薬を選んでくれるかもしれない」と期待してくれるかもしれません。
反対に、意図が見えないような質問を繰り返してしまうとお客さまも不安になってしまいます。

「一緒に選ぶ」という姿勢を見せることが重要
カウンセリング中は一方的に説明するのではなく、お客さまとのコミュニケーションを大切にし、商品の候補を提示しながら一緒に選んでいく姿勢を見せることが重要だと考えています。
症状がよほどマッチしていたり、持病などの理由からこの薬しか服用できないなどの理由がなければ、私は複数(2〜3個ほど)の商品を候補として紹介するようにしています。
持病やアレルギーなどの基本的な事項の確認後は、以下のようなフレーズを使ってお客さまの来店の背景や希望なども伺いながら、商品を選んでいくと良いでしょう。
- 「その持病がある場合は、この薬は服用できないためやめておきましょう」
- 「効き目を重視する場合はこちらの商品がおすすめです」
- 「眠気や集中力の低下などの副作用が少ない商品はこちらです」
- 「コスパが良い商品はこちらです」
お客さまへの最初の声かけからカウンセリングまで、親身かつ医薬品登録販売者ならではの臨床知識や商品知識を活かした丁寧かつ迅速な対応が、お客さまの心をつかむポイントになるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
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【薬剤師・鈴木伸悟先生インタビュー】OTC医薬品販売のプロを目指した理由とは?葛藤のエピソードや接客のコツもご紹介
【執筆者プロフィール】
執筆者:鈴木 伸悟(すずき・しんご)さん
有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室室長。
薬剤師および登録販売者へ適切なOTC医薬品のすすめ方や売り場作りなどの教育に携わる。
SNSでは、大手ドラッグストアおよび調剤薬局での自身の勤務経験をもとにOTC医薬品の役立つ情報発信を行い、全国各地での講演会やコラムの連載など多方面に活躍している。
著書「薬局OTC販売マニュアル〜臨床知識から商品選びまで分かる〜 日経BP社」

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