著名人コラム
2023-06-09
ドラッグストアで働く登録販売者の接客に必要な心構えとは?【OTC薬剤師・鈴木伸悟先生に学ぶ!登録販売者向け接客マニュアル】
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OTC医薬品の販売に強みをもつ薬剤師・鈴木伸悟先生に、これまでの豊富な経験に基づく接客のコツを教えてもらえる新連載がスタート!第1回は「OTC医薬品販売時の接客の心構え」について、解説していただきます。登録販売者の皆さんが知っておきたい心構えのポイントを3つにまとめているので、ぜひ読んで参考にしてください。
接客の心構え1:成分で判断し「もっと」症状に合うものを選ぶ
お客さまの気持ちになって親切、丁寧に接客することは言うまでもなく重要です。
とくに医薬品となれば正確な情報提供を心がける必要があるでしょう。
さらにレベルの高い接客をするためには、お客さま自らが感じている症状と商品のパッケージに書いてある症状のみから商品を選ぶのではなく、商品に含まれている成分も考慮して判断することが大切です。
たとえば胃痛の症状を訴えるお客さまに対し、パッケージの表面に「胃痛」と書かれた胃腸薬を販売することは容易でしょう。
医薬品登録販売者は、数ある商品から成分を見て判断し、胃痛でもどのような胃痛かをしっかりと聴取し、よりお客さまの症状にあった商品を提案できることが重要なのです。

接客の心構え2:「選んではいけない商品」を提案しないようにする
販売してはいけない商品を除外した提案ができることも重要です。
商品によっては、使用上の注意として下記のような「してはいけないこと(禁忌)」が定められています。
- 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください
- 次の人は服用しないこと
次の診断を受けた人:高血圧、心臓病、甲状腺機能障害、糖尿病
次の診断を受けた人:排尿困難、胃・十二指腸潰瘍、緑内障 - 授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
こうした注意事項は商品によって異なります。
販売時には症状に合った医薬品かどうかという点に加え、「持病がありませんか?」「運転はしませんか?」といったことをお客さまに確認して選びましょう。
また、ドラッグストアによっては「推奨販売品」や「重点品」と呼ばれ、販売強化を求められる商品があります。
販売することに熱心になり過ぎ、お客さまに「してはいけないこと」に該当する商品を販売してしまうことがないように注意してください。(例:高血圧禁忌の鼻炎薬を高血圧の方に売ってしまうなど)
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接客の心構え3:お客さまの来店の背景や希望を聞く
接客時、お客さまそれぞれの事情を可能な範囲でヒアリングしましょう。
たとえば、下記のようなことです。
- 生活上の背景(車を運転する、眠気が出ると困るなど)
- 希望する剤形(錠剤や散剤など)
- 予算(なるべく安い薬が良いなど)
- 1日の服用回数(昼は服用が難しいなど)
購入した商品をお客さまが納得し、安心して服用できることが重要です。
個々のお客さまの来店の背景や希望に寄り添う形で商品の提案ができると良いでしょう。
医薬品登録販売者は、必要とされる臨床知識と商品知識を存分に活かし、(症状によほどマッチしているか、持病などの理由からほかに候補がないといった場合を除き)いくつかの候補となる商品を提示して、お客さまに寄り添いながら一緒に選ぶことが大切だと思います。
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【執筆者プロフィール】
執筆者:鈴木 伸悟(すずき・しんご)さん
有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室室長。
薬剤師および登録販売者へ適切なOTC医薬品のすすめ方や売り場作りなどの教育に携わる。
SNSでは、大手ドラッグストアおよび調剤薬局での自身の勤務経験をもとにOTC医薬品の役立つ情報発信を行い、全国各地での講演会やコラムの連載など多方面に活躍している。
著書「薬局OTC販売マニュアル〜臨床知識から商品選びまで分かる〜 日経BP社」

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