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2022-11-04
【ドラッグストアの万引き対策】登録販売者必見!被害を防ぐ7つの取り組み
・Before
・After
化粧品や医薬品などの比較的小型で高額な商品も多く扱うドラッグストア。日々の業務のなかで、万引きの被害に悩んでいる登録販売者の方も多いでしょう。被害を防ぐには、万引きをしやすい要素をできるだけ排除し、防犯カメラを設置するなどして実行しにくい環境を作ることが重要です。そこでこの記事では、各種統計から万引きの実態と有効性の高い万引き対策を紹介します。売り場を管理する登録販売者として、万引きを防止しましょう。
ドラッグストアで起こる万引きの特徴
警視庁の『令和元年の刑法犯に関する統計資料』によると、2019年における全国の万引き認知件数は 93,812件で、そのうちの65,814件が検挙されています。
これらは判明したもののみであるため、現実にはもっと多くの万引き被害が発生していると考えられそうです。
万引きが発生しやすい場所は、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、ホームセンターなどです。
検挙件数のうちドラッグストアでの万引き検挙件数は6,405件で、全体の約10%を占めています。
ドラッグストアは万引きが多い業態であるスーパーやコンビニなどよりも、商品の単価が高く被害金額が大きい傾向があり、被害状況はより深刻と言えるでしょう。
警視庁がまとめた『万引きに関する調査研究報告書』によると、ドラッグストアでの万引きの特徴には、下記のようなものがあります。
- 自宅付近などの身近な場所が多い
- 年齢層は20~34歳がやや多い傾向
- 万引きされる商品が高額(2,000円以上が6割、10,000円を超えるものが2割以上)
- 商品を隠す場所は「かばんのなか」や「服のポケット」が多い
近年では高齢者の万引きの増加が社会問題となっており、今後は高齢化でさらに増加することも懸念されます。
東京都が行った実態調査によると、万引きをした高齢者には「金銭的に苦しい」「認知機能の低下が見られる」「人と話す機会が少ない」などの傾向が見られたことがわかっています。
▼参考サイトはコチラ
東京都 青少年・治安対策本部『高齢者の万引きについて』
また、2020年7月より開始されたレジ袋有料化によるマイバックの導入が、万引きの増加に影響しているという声もあるようです。
万引きが発生しやすいドラッグストアの特徴とは?
では、どのようなドラッグストアで万引きが発生しやすいのか、店舗の特徴を見ていきましょう。
店員が少ない
店舗の規模に対して店員の人数が少ないと、目が行き届きにくくなり、死角が生まれます。
そうすると、万引きをしようという気持ちを引き起こしやすくなります。
警備員がいない
警備員の巡回には、一定の万引き抑制効果があると言われています。
近年では、警備員を設置しているスーパーやドラッグストアが増えているため、警備員がいないと万引きをしやすい店舗だと思われてしまう可能性があるでしょう。
陳列が雑然としている
雑然とした陳列は、言い換えればメンテナンスが十分にできていない状態です。
店員の目が行き届いていないことを万引き犯に知らせているようなものなので、注意しましょう。
店内の見通しが悪い・混雑している
店内の見通しが悪かったり、混雑していたりすると、店員が隅々まで目を配ることは困難です。
また、背の高い棚やPOPに万引き犯が隠れてしまうと、店員やほかのお客さまの目にも止まりにくくなるため、万引きが発生しやすくなります。
対策がなされていない
万引きに対する注意喚起や対策がなされていない店舗は、万引きを思いとどまらせる仕組みがないのと一緒です。
上記のように、人の目が行き届きにくい環境下では、万引きのリスクが高くなるようです。
万引き対策に有効な7つの取り組み
万引きが発生しやすいドラッグストアの特徴からわかるように、万引きは店舗の環境を変えることで未然に防ぐことができます。
ここからは、売り場でできる万引き対策に有効な取り組みを7つ紹介します。
店員による声かけ
最も有効性が高いと考えられているのが、「お客さまへの声かけ」です。
声かけには、店員の目が店内各所まで行き届いていることを知らせ、万引きを防ぐ効果があります。
まずは、お客さまが来店したら目を見て「いらっしゃいませ」と挨拶しましょう。
長時間店舗に滞在している、不相応な大きなかばんを持っているなどの理由で様子が気になるお客さまには、「何かお探しですか?」「お困りではありませんか?」などの声かけを行ってください。
近年では、大量な万引きの被害も少なくありません。
極端に大量の商品を手にしているお客さまには、レジでの預かりを提案するのも有効な声かけのひとつです。
▼参考サイトはコチラ
警視庁『「挨拶・声掛け」から始める万引き未然防止対策』
警備体制の強化
従業員による売り場の巡回頻度を増やすことも有効です。
常に売り場に人の目を置けるよう、勤務体制を見直して手薄になる時間帯を極力少なくするのも良いでしょう。
また、大規模店舗での制服警備員の巡回や、保安警備員(万引きGメン)の設置も高い効果が期待できます。
店内レイアウトを工夫する
万引き対策として、従業員の目が行き届きやすいようにレイアウトを工夫するのも重要です。
売り場が見通せなくなるほど不必要に陳列を高くせず、高額品はレジの周囲の常に人の目がある範囲に置くなどの工夫をしましょう。
また、万引き犯は店舗内の死角になりやすい場所を事前にチェックしたあと、万引き行為に走ることが多いです。
そのため、レイアウトを定期的に変えて死角を把握させないことも対策になります。
万引きの被害が大きいようなら、本部に防犯カメラやミラーを増やすよう打診をすることも検討すると良いでしょう。
とくに、防犯カメラは犯行の証拠となる記録を残せます。
設置の際は、死角となるポイントをできるだけ少なくするように調整してください。
空箱の設置、防犯ゲートやタグの導入
化粧品や医薬品などの高額商品や万引きリスクの高い商品は、メーカーに陳列用の空箱を依頼しましょう。
空箱の設置が難しい場合には、ひな段などを活用して必要以上に数を陳列しないことも重要です。
また、防犯ゲートやタグの導入も有効です。
設置コストがかかりますが、万引きと思われるロスが大きい場合には検討する価値があるでしょう。
こちらも本部に相談のうえ、対策を進めてください。
なお、防犯タグをすべての商品につけることは困難なため、盗難リスクが高い商品や人による対策が難しい商品を優先すると良いでしょう。
万引き対策に関するポスターやPOPの掲示
万引き防止について書かれたポスターやPOPを掲示し、万引き対策を強化していることを示す取り組みにも抑止力があります。
「万引きには毅然とした態度で対応すること」「必ず通報すること」「然るべき場所に連絡すること」などを明記しておきましょう。
また、「お客さまが精算前の商品をバッグやポケットに入れたり、トイレに持ち込んだりといった行為があった場合には店員が声かけをする」と掲示しておくと、万引き防止はもちろん、疑いがあった場合の声かけによるトラブル防止にも役立ちます。
ポスターの掲示や店内表示は、常に破損や色あせなどがない状態をキープしましょう。
古くなったり剥がれていたりすると、防犯への意識が薄れていると捉えられかねません。
▼参考サイトはコチラ
警視庁『スローガン・ポスター・マニュアル等』
店内放送
店内放送を使用して、万引き対策を行っていることをお客さまへ広く周知しましょう。
たとえば、以下のような内容の放送です。
「ご来店のお客さまにお知らせします。当店では、お客さまに安心してお買い物を楽しんでいただけるよう、警備員(従業員)が巡回しています。お気づきの点がございましたら、お気軽にお声がけください。
1日複数回放送を行うことで、店員による直接的な声かけとあわせて万引き防止への姿勢をアピールできます。
また、問題行為を見かけたお客さまから、報告をもらえる効果も期待できます。
店舗が防犯に力を入れていることは、来店されるお客さまにとっても安心できる要素なので、積極的に活用してください。
店舗間の情報共有
万引きの発生状況や盗難にあった商品などは、店舗間で情報共有しましょう。
万引き犯は、万引きが一度成功すると繰り返します。
常習化している人もおり、自店舗のみならず近隣の店舗に現れることも珍しくありません。
また、大量万引き犯はグループで活動している場合もあるようです。
他店舗での被害状況や対策を情報共有することで、有効な対策が取りやすくなるでしょう。
万引き被害の防止にはまずは元気な声かけから
万引き対策で大切なポイントは、「万引きさせない」ことです。
万引きが発生したら、捕まえれば良いと考える人もいるかもしれません。
しかし、万引きを現行犯で捕まえるには、レジで会計をしないまま店を出たなどの条件を満たさなければなりません。
万引きが確実でなければトラブルに発展するため、非常にリスクの大きな行為です。
万引き犯の抵抗に遭って被害を受けるリスクも否定できません。
まずは未然に防ぐため、気軽にできる従業員の声かけや巡回などから始めましょう。
お客さまへの積極的な声かけに普段から取り組み、万引き犯が敬遠するような店舗を作りましょう。

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