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2024-06-21
ゴールデンゾーンはなぜ大切?高さや効果・棚割りのテクニックも伝授!
・Before
・After
ゴールデンゾーンは、店舗の売り上げにもつながる、マーケティングにおける大切な考え方です。しかし、具体的な高さ・位置や重要視される理由を知らない方も多いでしょう。今回は、ゴールデンゾーンの重要性や高さ、効果について解説。ゴールデンゾーンを有効活用する棚割りのテクニックや陳列も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ゴールデンゾーンとは
ゴールデンゾーンとは、陳列棚(ゴンドラ)の高さ約80~135cmの位置であり、売り上げがもっとも期待できるゾーンです。
ゴールデンゾーンはお客さまが商品を選びやすく、かつ手に取りやすい高さに位置しています。
ゴールデンゾーンに購買をとくに促したい商品を並べることで、お客さまからの注目度が上がり、売り上げアップ効果が期待できます。
ドラッグストアにおいて、イチオシ商品や季節のおすすめ商品などを陳列するのにぴったりのスペースです。
マーケティングにおいても重要とされています。
ゴールデンゾーンの高さ
一般的にゴールデンゾーンは約80~135cmとされていますが、性別や年齢の違い、店舗の通路幅の広さによって具体的な範囲は変わります。
下記の3つのポイントから、ゴールデンゾーンの具体的な高さを見ていきましょう。
- 性別や年齢、身長による違い
- 通路幅による違い
- 什器による違い
性別や年齢、身長による違い
性別や年齢によって、商品を見やすい位置や手に取りやすい位置は変わります。
子どもは成長過程にあるため背が低く、見える範囲が大人と異なると考えるとわかりやすいでしょう。
売り上げアップを目指したい商品の顧客層に合わせて陳列することで、ゴールデンゾーンを有効的に活用できます。
男性(身長約170cm) | 床上約130~160cm |
---|---|
女性(身長約160cm) | 床上約120~150cm |
子ども | 床上約80cm以下 |
シルバー(男性・女性) | 床上約80~110cm |
上記は、身長や年齢、性別によって一般的に見やすいといわれている高さです。
人間の視線は、約20度下がったあたりに行きやすいとされています。
たとえば身長154cmの人であれば、目線の高さは床上140cmあたり、商品を手に取りやすい高さは床上100cm前後と計算できます。
一般的な垂直型ゴンドラであれば、約75~120cmあたりが一番取りやすい高さと言えるでしょう。
通路幅による違い
ゴールデンゾーンを考えるときは、陳列棚と陳列棚の間にある通路幅も重要な点です。
お客さまが立つ位置によって、陳列棚を見る際の視界の幅が変わります。
通路幅から視界の広さを考慮すれば、視認率を高めるゴールデンゾーンを見極められるでしょう。
通路幅 | ゴールデンゾーン |
---|---|
1m前後 | 上段 |
2m前後 | 下段~上段 |
通路幅が2m前後と広い場合、お客さまが立っている位置から陳列棚まで一定の距離があります。
距離があるほど視界が広くなるため、陳列棚の下段~上段、つまり全体がゴールデンゾーンと考えられるでしょう。
反対に、1mほどの狭い通路幅の場合、お客さまは陳列棚に近い位置から商品を見ます。
視界が限られるため、ゴールデンゾーンは目線の位置に近い上段あたりと考えられるでしょう。
通路幅が広いほど視界が広くなり、狭いと視界の範囲が狭くなる、と覚えておくのがおすすめです。
什器による違い
店舗に設置する什器の形や高さによっても、ゴールデンゾーンは変わります。
ドラッグストアでも用いられている「ゴンドラ」と呼ばれる什器は、定番商品の陳列に使われることが多いです。
主に下記の3種類があるため、特徴とそれぞれのゴールデンゾーンの高さを知っておきましょう。
什器の種類 | 什器の特徴 | ゴールデンゾーンの高さ |
---|---|---|
垂直型ゴンドラ | 側面からみて棚が垂直になっている | 約85cm~150cm |
張り出し型ゴンドラ | 床面にかけて棚部分が少しずつ張り出している | 最下段 |
L字型ゴンドラ | 最下段が張り出している | 約75~150cmと最下段 |
ゴンドラの棚板の間隔を決めるときは、高低のバランスを極力減らし、商品の高さに合わせて調整するとよいでしょう。
商品のフェイスは、陳列した商品の「顔」となる部分です。
商品のラベルが常に正面に向くように並べましょう。
定番品から季節もの、医薬品など、多くの種類の商品を扱うドラッグストアの場合、ゴンドラの両端である「ゴンドラエンド」のスペースを有効活用することも大切です。
ゴンドラエンドはお客さまの目にとまりやすい位置であるため、売れ筋商品や季節商品などを週ごとに変えて置くのもおすすめ。
各通路にお客さまを誘導するきっかけにもなります。
ゴールデンゾーンの効果
ゴールデンゾーンを有効活用することで、商品の視認性を高めたりお客さまの購買意欲を上げたりする効果が期待できます。
ゴールデンゾーンに期待できる2つの効果を見ていきましょう。
- 視認性を高められる
- 購買意欲アップを目指せる
視認性を高められる
ゴールデンゾーンを活用した陳列は、商品の視認率を上げる方法のひとつとして有効です。
売り場づくりの基本として、どれだけ多くの商品をお客さまに見てもらえるかを考えてみましょう。
どんなによい商品でも、見づらい・探しづらい状態の陳列では、売り上げアップは目指せません。
商品を種類別やパッケージの色別にまとめて陳列すると、視認性も向上します。
「見つけてもらえない商品は陳列していない商品と同じ」と考え、視認性を高める陳列づくりを意識しましょう。
購買意欲アップを目指せる
顧客のターゲット層に合わせてゴールデンゾーンを活用すれば、購入意欲を高められます。
ある店舗では、60歳代以上をターゲットにした人気商品の店舗における利益率が低いため、陳列棚の下段に置いていました。
この陳列を、目につきやすいゴールデンゾーンの下段に変更したところ、購入率が3割アップしたとの事例があります。
ゴールデンゾーンは、ひとつの什器の売り上げのうち、8~9割に上ると考えられています。
同じ商品であっても、陳列する場所によって売り上げは大きく変動。
売れない商品を主力商品の近くに陳列し、抱き合わせで購入してもらうことも戦略的に有効でしょう。
ゴールデンゾーンの棚割りテクニック5選
- ①イチオシ商品はゴールデンゾーンに置く
- ②商品の割りあてスペースを決める
- ③「小→大」の順番で並べる
- ④商品はグルーピングして並べる
- ⑤最低陳列量を下回らないようにする
売り上げアップが目指せるゴールデンゾーンですが、上記の棚割りテクニックを使うことで、さらにお客さまの購買意欲を高められるでしょう。
5つのテクニックについて紹介します。
①イチオシ商品はゴールデンゾーンに置く
- 売れ筋商品
- 季節の商品
- 流行、話題商品
- 購買頻度の高い商品
売り上げの8~9割は、ゴールデンゾーンに集中しています。
もっとも売りたい商品は、ゴールデンゾーンに陳列すると効果的です。
ドラッグストアや薬局など市販薬を扱う店舗の場合、季節性や流行を敏感に察知して商品を取りそろえることも大切。
多くのお客さまがその時期に求めている商品の視認性を高めることで、売り上げアップが期待できるでしょう。
また、お客さまも求める商品を探しやすいため、ストレスなく商品を購入できます。
②商品の割りあてスペースを決める
商品を陳列する際は「高さ」も重要ですが、並べる「幅」についても考えましょう。
お客さまが一度に見渡せる範囲は、1.8mが限度と考えられています。
そのため、1ジャンル90cmの陳列幅が選びやすいでしょう。
陳列棚の中央エリアは両端エリアに比べて視認率が高いため、左右と中央の陳列では売り上げに5%ほどの差が出るといわれています。
また、陳列した商品の顔となる部分である「フェイス数」も重要なポイント。
売りたい商品のフェイス数は、4~5までにするのがおすすめです。
③「小→大」の順番で並べる
人の視線は、上から下にアルファベットの「Z」のような順に流れやすい特徴があります。
左から右へ、上から下へと進む視線の流れに合わせて、小さい商品から大きい商品の陳列を意識するとよいでしょう。
最初に視線が行く左上に並ぶ商品は、お客さまの目に止まりやすいです。
しかし、商品を探す際は「さらによい物はないか」と無意識に探す心理が働きます。
よって、とくにお客さまの視線が止まりやすい部分は、陳列棚の中央や右端に並ぶ商品とされています。
④商品はグルーピングして並べる
商品を陳列する際は、ターゲットである年齢層や価格、パッケージの配色、サイズ、ジャンルなどでグルーピングしましょう。
グルーピングすることで商品の特徴がわかりやすくなり、他の商品との差別化や比較が簡単にできます。
商品の情報を種類ごとにわけると情報が整理されやすく、お客さまも選びやすくなるでしょう。
薬を中心に販売するドラッグストアなどでは、薬の種類はもちろん、効能・効果でもグルーピングできます。
何に使う薬なのかをわかりやすくPOPに記し、陳列するのがおすすめです。
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⑤最低陳列量を下回らないようにする
商品の陳列量を把握することは、品切れ防止のためにも大事です。
商品の売れ行きが急速に下がった段階における陳列量、すなわち「最低陳列量」となるまでに、補充陳列をしましょう。
陳列数が少なすぎると、商品が目立たずお客さまの購買意欲も下がってしまい、売り上げが急落することもあります。
適切な陳列数を計算しておくようにしましょう。
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ゴールデンゾーンの陳列パターン
ゴールデンゾーンに商品を並べるときに知っておきたい2つの陳列パターンについて紹介します。
縦割り陳列
縦割り陳列は、グルーピングした商品を縦方向に見てもらえる陳列です。
一般的に、狭小店舗やコンビニエンスストアなど、スペースが限定されるお店で用いられています。
まず、お客さまの目線が棚の上段に止まり、そこからよりよい商品がないか探すために目線が下に進みます。
グルーピングした商品を上から下に縦方向に並べることで、お客さまが商品を選びやすく、購買意欲が上がる陳列と言えるでしょう。
また、どの商品カテゴリーもゴールデンゾーンに陳列できるのが特徴であり、すべての商品を見てもらえる機会を均等化できます。
お客さまが、商品やカテゴリーの比較がしやすいというメリットもあるでしょう。
横割り陳列
横割り陳列は、グルーピングした商品を横方向で見てもらえる陳列です。
最大の特徴は、多くの商品を並べられる点にあります。
売り場面積が広い大型店舗であれば、通路幅を広く取り、ひとつの商品のフェイス数を増やして多く並べられるでしょう。
関連商品の陳列もしやすいため、売り場をすみずみまで見てもらえるメリットもあり、結果として売り上げアップも期待できます。
ただし、縦割り陳列と異なり、すべての商品を見てもらえない可能性も。
用途別や年齢層別など、カテゴリーで区分する工夫も必要です。
ゴールデンゾーンを有効活用できているか今すぐチェック!
□ | 売りたい商品は陳列棚の床から75~150cmにあるか |
---|---|
□ | 医薬品売り場や化粧品売り場など、関連する商品を近くに陳列しているか |
□ | 医薬品は効能効果で分けるなど、グルーピングして陳列しているか |
□ | POPや広告などを使って、商品の特長や情報がわかりやすく表示されているか |
□ | 品切れの商品がなく、必要な陳列量を把握できているか |
ゴールデンゾーンを有効活用できなければ、売り上げにつながりません。
棚割りの工夫次第で売り上げアップに貢献できるため、上記をチェックしてみましょう。
ドラッグストアやホームセンターで働く登録販売者も、ゴールデンゾーンを有効的に使えているかチェックし、改善することをおすすめします。
売りたい商品は、手に取りやすい高さに陳列することが基本です。
関連する商品を近くに並べることで、これも欲しいと思っていた、というお客さまの購買意欲を刺激できるでしょう。
また、商品をグルーピングして陳列することで、比較しながら選びやすくなります。
店内で探している商品を見つけやすくするために、POPも活用しましょう。



ゴールデンゾーンを有効活用し、売り上げアップを目指しましょう
陳列棚の高さ約80~135cmのゴールデンゾーンは、売り上げがもっとも期待できるゾーンです。
ゴールデンゾーンの高さは、性別や身長による違いはもちろん、通路幅や什器によっても異なります。
各店舗の広さやお客さまの層などを考えて、ゴールデンゾーンの高さを決め、視認性や購買意欲アップを目指しましょう。
また、棚割りテクニックも重要なポイントです。
商品のグルーピングや並べ方を工夫することで、商品ごとの比較もしやすくなります。
ご紹介した内容を参考に、ゴールデンゾーンを有効活用してください。
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