登録販売者の働き方
2024-02-02
【登録販売者の資格取得後】販売従事登録は必要?合格後の各手続きの流れを解説
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登録販売者試験に合格したからといって、すぐに現場で働けるわけではなく、資格の取得後にはさまざまな手続きが必要です。本記事では、登録販売者の資格取得後の流れや登録販売者販売従事登録の方法などについて解説します。混同しやすい実務経験と業務経験の違い、おすすめのキャリアの積み方も紹介するので、ぜひご参考にしてください。
登録販売者の業務従事証明書とは?提出までの一連の流れ
登録販売者の資格取得後の流れ
具体的に何から進めていけばいいのか迷ってしまう方もいると思います。
そこで、まずは資格取得後の流れについて見ていきましょう。
②就職先を決める
③販売従事登録をする
④「研修中」として実務経験を積む
⑤管理者要件を満たす
試験に合格し合格通知書を受け取ったあとは、就職先を決めることからスタートします。
無事に就職先が決定した後に「販売従事登録」を行うことで、登録販売者として働けます。
最初は「研修中」扱いとなり、1人で医薬品の販売を行うことはできません。
管理者要件を満たした登録販売者や薬剤師のもとで実務経験を積んでいきましょう。
その後、管理者要件を満たすことで登録販売者として独り立ちし、1人で医薬品を販売できるようになります。
登録販売者の「販売従事登録」とは?
販売従事登録とは、登録販売者として一般用医薬品の販売を行うために必要な登録制度です。
この手続きを行わなければ、試験に合格したとしても登録販売者として働けません。
この手続きは、従事する店舗等の所在地の都道府県で行う必要があるので、就職が決まったら速やかに登録を済ませましょう。

販売従事登録の登録方法
登録販売者試験に合格しても、それだけでは登録販売者として働けません。
登録販売者として働くためには、勤務先の店舗がある都道府県で「登録販売者販売従事登録(以下、販売従事登録)」を行います。
販売従事登録に必要なもの一覧
販売従事登録に必要な書類は以下のものです。
必要なもの | 備考 |
---|---|
登録販売者の合格通知書 | 自宅に郵送で届く |
販売従事登録申請書 | 各都道府県のホームページや保健所で配布している |
雇用関係を示す書類 | 雇用証明書など |
戸籍謄本・戸籍抄本または 戸籍記載事項証明書 | 発行から6カ月以内のもの |
医師による診断書 | 診断日から3カ月以内のもの |
登録手数料 | 都道府県により異なる |
医師による診断書は、精神の機能障害または麻薬、大麻、あへんもしくは覚せい剤の中毒者ではないことを証明するために必要な書類です。
特別な医療機関で診断を受ける必要はなく、医師の診察の際に診断書が必要であることを伝えれば、診断書を作成してもらえます。
上記の書類は、都道府県によっては決まった書式に記入する場合や、ホームページで参考書式が掲載されている場合がありますので、チェックしておきましょう。
また、上記の書類のほかに登録手数料が必要です。
登録手数料は、都道府県によって異なるので、事前に各地域のホームページで確認しましょう。
販売従事登録の手順
必要書類や手数料は都道府県によって異なり、郵送または窓口に直接持ち込むことで提出できます。
郵送に関しては、書類内容によって対応不可の場合もあるので、確認しておくと安心です。
また、登録証が交付されるまでは2週間程度かかることが多いので、速やかに手続きを行いましょう。
販売従事登録をする際の注意点
販売従事登録をする際は、手順に沿って行えば難しいものではありませんが、注意しなければならない点もあります。
申請する前に確認しておきましょう。
- 勤務先の都道府県で登録する
- 登録手数料がかかる
- 「本籍地」「氏名」「生年月日」などに変更がある場合は、書き換えを申請する
- 登録は「医薬品の取り扱いに関する施設に勤務する場合」にのみ必要
申請は勤務先の所在地の都道府県で行う必要があり、本籍地や受験地ではないので注意しましょう。
一度登録したあとは、勤務先が変わったり他の都道府県に異動したりしても再登録する必要はありません。
ただし、「本籍地」「氏名」「生年月日」に変更がある場合には、書換え交付の申請が必要です。
また、登録証を紛失した場合は再登録が必要となり、紛失していた登録証を発見した際は返納しなければなりません。
現行法では、合格から登録までの期間に制限はないので、「合格証」は生涯有効と考えられます(※2023年10月時点)。
くわえて、手続きの一部を企業側が代行したり手数料を企業が負担してくれたりするケースがあるので、事前に人事に確認しておきましょう。

登録販売者の「実務(業務)従事証明書」とは?
1人で医薬品を販売するには「管理者要件」を満たす必要があり、その条件の1つとして一定期間の実務・業務経験があります。
その経験期間を証明するために、これらの証明書が必要です。
また、登録販売者として転職する場合や、「管理者要件」を満たした登録販売者として登録を変更する場合にも必要とされています。
「実務従事証明書」と「業務従事証明書」の違い
実務従事証明書 | 一般従事者として実務に従事した期間を証明するもの (※薬剤師または登録販売者の下で従事した期間) |
---|---|
業務従事証明書 | 登録販売者として実務に従事した期間を証明するもの |
実務従事証明書は、薬剤師または登録販売者のもとで「一般従事者」として実務に従事した期間、業務従事証明書は「登録販売者」として実務に従事した期間を証明するものです。
この2つの証明書はどちらも「実務に従事した期間を証明するもの」なので混同しやすいですが、対象が異なるため違うものであるということに留意しておきましょう。
実務(業務)従事証明書の申請方法
必要書類 | 備考 |
---|---|
実務従事証明書 または 業務従事証明書 | 各都道府県のホームページにて入手可能 |
勤務状況報告書 | 写しを添付する |
「実務従事証明書」や「業務従事証明書」は、各都道府県のホームページから入手し勤務先に記入してもらいましょう。
転職や異動で店舗が変わった場合は、それぞれの職場ごとに分けて複数用意する必要があるので注意してください。
また、これらの証明書を提出する際は、「勤務状況報告書」もあわせて提出する必要があります。
この書類は、企業が作成するものなので、現在もしくは過去の勤務先に依頼して作成してもらいましょう。
登録販売者の実務経験と業務経験の違いは?
登録販売者試験に合格後、実務経験は何年必要?
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登録販売者の業務従事証明書とは?提出までの一連の流れ
【参考】登録販売者の資格取得後に必要な研修
外部研修(継続研修) | 医薬品を適切に扱うための必要な知識を身につけるための研修 |
---|---|
追加的研修 | 「管理者要件」を満たすために必要な研修 |
登録販売者は、資格取得後も研修を受講して知識を深める必要があります。
「外部研修」と「追加的研修」の2つがあるので、それぞれ確認しましょう。
登録販売者資格取得後の「外部研修」
受講対象者 | 一般用医薬品の販売に従事するすべての登録販売者 |
---|---|
研修時間 | 年間12時間以上 |
主な内容 | 医薬品・人体に関する知識、リスク区分の変更・関連法規の最新情報 |
実施期間 | 企業・団体によって異なる |
実施頻度 | 企業・団体によって異なる |
外部研修は「継続的研修」とも呼ばれ、基本的にすべての登録販売者を対象に行われます。
年に1回、12時間以上の研修が必要となり、そのうち6時間は集合研修です。
医薬品・人体に関する知識のほか、リスク区分等の変更・関連法規等の最新情報について学び、研修後には修了証が交付されます。
外部研修の実施は年に1回、すべての登録販売者に義務付けられており、研修の内容や費用は開催する企業・団体によって異なるため確認しましょう。
登録販売者資格取得後の「追加的研修」
受講対象者 | 過去5年間のうち通算して1年以上2年未満の従事期間で、店舗管理者等となることを希望する登録販売者 |
---|---|
研修時間 | 年間6時間以上 |
主な内容 | ガバナンス・法規に関する基礎知識、コミュニケーション演習 |
実施期間 | 企業・団体によって異なる |
実施頻度 | 企業・団体によって異なる |
追加的研修は、登録販売者の実務経験年数の緩和に伴って実施されるようになりました。
ガバナンス・法規に関する基礎知識やコミュニケーション演習など、管理者として求められる知識を学ぶ研修です。
最低でも6時間以上の研修が必要となり、開催スケジュールは企業・団体によって異なるので確認しておきましょう。
また、主な対象者は、外部研修とは異なり、「過去5年間のうち、通算して1年以上2年未満の従事期間で、店舗管理者等となることを希望する登録販売者」です。
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【2023年最新】登録販売者の外部研修(継続研修)とは?研修内容や費用、追加的研修についても解説



登録販売者の資格取得後に関するQ&A
ここでは、登録販売者の資格取得後に関する疑問をQ&A形式で解説します。
お悩みの方はぜひ参考にしてください。
Q. 登録販売者の資格取得後に手続きしないとどうなる?
現行法では、合格から登録までの期間に制限はないので、販売従事登録が必要となったタイミングで手続きすれば問題ありません。
合格後、何年経っていても、販売従事登録さえすれば研修中の登録販売者として働けます。
Q. 登録販売者の実務経験と業務経験の違いは?
登録販売者としてではなく、「一般従事者」として薬剤師や登録販売者のもとで医薬品販売の実務に従事した場合は実務経験。
販売従事登録後に「登録販売者」として医薬品販売業務に従事した場合は業務経験といいます。
どちらも「実務に従事した期間を証明するもの」なので混同しやすいですが、対象が異なるため違うものであると留意しましょう。
Q. 登録販売者は資格取得後も勉強が必要?
資格の勉強だけで、医薬品の成分や作用をすべて頭に入れることは難しいです。
医薬品は、日々新しい商品・成分が開発されているので、資格を取得して終わるのではなく、常に新しい知識を取り入れましょう。
自分の知識を増やすことで、お客さまにより適切な対応ができるので、仕事のやりがいにもつながります。
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登録販売者におすすめの勉強方法と医薬品知識を接客に活かすコツを教えてください。【鈴木伸悟先生のお悩み相談室!第2回】
Q. 登録販売者の資格取得後、実務経験は何年必要?
1人で医薬品販売が行える「管理者要件」を満たすためには、「直近5年以内に2年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験」もしくは「直近5年以内に1年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験に加え、指定の追加的研修を修了」といった条件が必要です。
資格を取得し、研修中の登録販売者となったら、まずは「管理者要件」を満たせるように実務経験を積んでいきましょう。
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【2023年改正】登録販売者の管理者要件を解説!「実務経験1年以上」に緩和へ
登録販売者の資格取得後は、さまざまな手続きを忘れずに
登録販売者の資格取得後は、販売従事登録などの必要な手続きをすることで、登録販売者として働けます。
登録販売者として独り立ちできるように、管理者要件を満たして実務経験を積みましょう。
また、医薬品は日々新しい商品や成分が開発されています。
お客さまにより適切な情報を提供できるように、登録販売者として働く場合は常に知識のアップデートを行いましょう。
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