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2026-02-27
セルフメディケーション税制とは?登録販売者への影響と最新情報をわかりやすく解説
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忙しくて病院に行けない方や、軽い不調なら市販薬で済ませたいと考える方が増えており、とくにコロナ禍以降は、その傾向がより強まりました。その結果、登録販売者がセルフメディケーション税制の内容を説明するシーンも増えています。本記事では、今後さらに重要性が高まるセルフメディケーション税制の基礎知識やポイントを、最新情報とあわせて詳しく解説します。
セルフメディケーション税制とは?登録販売者が押さえるべきポイント

セルフメディケーション税制とは、対象商品の市販薬を購入した後、申請すると一部負担金が戻ってくる制度です。
医療費の増大や医療機関の負担を軽減し、国民の自発的な健康管理を促す目的で導入されました。
登録販売者は、この制度を正しく理解し、信頼できる情報や助言を提供するための重要な存在です。
そもそもセルフメディケーションとは何か
※参照:厚生労働省「セルフメディケーション税制を知っていますか!?」
セルフメディケーションとは、「自分の健康は自分で守る」という意識のもと、医療機関に頼る前に、軽い風邪の症状であれば市販薬を活用したり、日頃からサプリメントや健康食品を取り入れて予防に努めたりすることです。
正しい判断をするためには、消費者が正確な情報を得ることが大切であり、登録販売者はそのための重要な役割を担っています。
セルフメディケーション税制が導入された背景

出典:厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」
平成29年に「セルフメディケーション税制」が新設された背景には、高齢化の進行や医療技術の高度化によって増大した医療費と、医療機関の負担軽減の必要性が挙げられます。
この制度の導入による医療費の適正化に加えて、国民が積極的に健康管理や予防に取り組むきっかけを作る狙いも挙げられるでしょう。
登録販売者は、お客さまへの適切なアドバイスによって、セルフメディケーションの普及に貢献できます。

登録販売者が知っておきたいセルフメディケーション税制の基礎知識

ここでは、登録販売者が消費者に正しい情報を提供するために必要な、セルフメディケーション税制の基本情報を解説します。
誤った情報を伝えてしまわないように、よく確認しましょう。
対象となるOTC医薬品の範囲
令和4年1月から対象範囲が拡大され、セルフメディケーション税制の対象医薬品は、医療機関で処方される有効成分を含む市販薬である「スイッチOTC」以外の医薬品も加わりました。
厚生労働省から対象有効成分リストが発表されており、これらが収載された成分を配合した医薬品だけが、セルフメディケーション税制の対象商品として認められます。
| 厚生労働省の対象有効成分リスト | |
|---|---|
| スイッチOTC医薬品有効成分リスト(※¹) | 非スイッチOTC医薬品有効成分リスト(※²)(令和4年1月1日以降) |
| ・テプレノン ・フェキソフェナジン ・ケトプロフェン | ・アセトアミノフェン ・ナファゾリン ・ジヒドロコデイン |
※²参考:厚生労働省「令和3年度税制改正後 セルフメディケーション税制対象成分(2021年9月27日時点)」
対象商品には、レシートに「セルフメディケーション税控除対象」である旨が印字されます。
第1類医薬品や第2類医薬品なども該当商品に含まれ、商品に共通識別マークがついていなくても対象商品に当てはまる場合もあります。
商品がセルフメディケーション税制の対象になるか判断が難しい場合は、厚生労働省のホームページでの確認が重要です。

▲共通識別マーク
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制度を利用できる人の条件
セルフメディケーション税制を利用するには、いくつかの条件を満たしたうえで、確定申告を行う必要があります。
とくに、申告者が以下の定期健康診断のいずれかを受診していることが必須です。
- 特定健康診断(メタボ健診)
- インフルエンザの予防接種
- 勤務先で実施する定期健康診断
- 保険者が実施する健康診査
- 市区町村が実施するがん検診など
健康診断や予防接種の実施に加えて、以下の2点もセルフメディケーション税制の対象となるかどうかを判断するための、重要な判断ポイントです。
- 所得税・住民税を納めている
- 受診、処方薬に係る医療費控除を申告していない
控除額の計算方法
セルフメディケーション税制では、確定申告を行う本人やその家族が購入した対象OTC医薬品の1月から12月の年間購入額が12,000円(上限88,000円)を超える部分が控除の対象となります。
たとえば、所得税率20%・住民税率10%のAさんが、年間で30,000円分の対象OTC医薬品を購入した場合は、5,400円が控除の対象です。
■所得税率20%
18,000円×20%=3,600円・・・所得税から減税
■住民税率10%
18,000円×10%=1,800円・・・住民税から減税
申告に必要なもの
(2)定期健康診断等を受けたことを証明する書類(結果通知表、領収書等)
セルフメディケーション税制を利用するには、確定申告の際に申請する必要があります。
対象となる医薬品の購入内容をもとに、「セルフメディケーション税制の明細書」を作成・添付します。
提出書類の作成は、パソコンやスマートフォンから簡単に操作できる、国税電子申告・納税システム「e-tax」の利用がおすすめです。
申告の際、領収書の提出は義務付けられていませんが、税務署から提示を求められた時のために、5年間は保管しておくとよいでしょう(※³)。
※³参考:厚生労働省「セルフメディケーション税制の見直しについて」
…両方とも基準以上に達している場合は、どちらの減税額が多くなるかを比較する

【要チェック!】セルフメディケーション税制の代表的な対象商品

セルフメディケーション税制は、特定のOTC医薬品が対象です。
代表的な対象商品には、風邪薬・胃腸薬・鎮痛剤など、家庭用の常備薬や日常的に使用する医薬品としても一般的なものが含まれています。
消費者に正しく案内するためには、登録販売者としてこれらの医薬品の特徴や使い分けを正しく理解しておくことが重要です。
下記に主なカテゴリーと商品例を挙げるので、ぜひ参考にしてください。
| 主なカテゴリー | 商品例 |
|---|---|
| 解熱鎮痛薬 | カロナール・ロキソニン |
| 風邪薬 | パブロン・ベンザブロック |
| 鎮咳去痰薬 | エフストリン・メジコン・ムコダイン |
| 胃腸薬 | スクラート・セルべート |
| 抗ヒスタミン薬 | アレグラ・クラリチン |
| 目薬 | アルガード・ソフトサンティア |
| 点鼻薬 | ナザール・フルナーゼ |
| 皮膚薬 | ヒルマイルド・リンデロンVs |
| 外用鎮痛消炎剤 | ロキソニンテープ・フェイタス |
※出典:厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について

セルフメディケーション税制で登録販売者に求められる役割

セルフメディケーション税制の導入にあたり、お客さまがセルフメディケーションを適切に行えるようなサポートが大切です。
ここでは、登録販売者に求められる役割について、解説します。
お客さまが相談しやすい環境をつくる
お客さまが自ら健康管理を行うためには、正しい知識を身につけることが大切です。
そのために登録販売者は、適切なアドバイスを行い、総合的にセルフメディケーションを支える必要があります。
また、気軽に相談できる環境を整え、お客さまから声をかけられた場合だけでなく、困っている様子が見られる際には、コチラから積極的にお声がけし、相談に応じる姿勢が大切です。
- 年間の購入費が気になる方は確定申告によって負担が一部軽減します。
- ご家族が購入したものでも税制の対象となります。
- 税制の対象となるお薬を一緒にお探ししましょうか。
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OTC医薬品の適正使用を促す
医師の処方箋がなくても購入できる市販薬といっても、正しい使い方をしなければ、思わぬ副作用や健康被害につながる可能性があります。
薬剤師による販売が必須となる第1類医薬品だけでなく、第2類医薬品以下の医薬品や医薬部外品についても、登録販売者によって適切な情報提供が重要です。
また、お客さまが誤って商品を選ばないようにするためには、わかりやすい商品陳列や、適正使用を促すPOP・ポスターの設置といった工夫も効果的でしょう。
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お客さまの健康維持をサポートする
セルフメディケーションの実現には、医薬品の使用だけでなく、食事の見直しや運動習慣の改善といった生活習慣へのアプローチも欠かせません。
状況によっては、医薬品の使用よりも、日々の食事指導や生活指導を優先すべき場合もあります。
健康維持をサポートするには、お客さまと対話を重ねながら現状を正しく把握し、場合に応じた適切なアドバイスができる知識とスキルを身につけておくことが重要です。
適切な受診を勧奨する
OTC医薬品を販売する際には、適切な受診勧奨ができるかどうかが非常に重要です。
たとえば、風邪の症状で来店された場合でも、繰り返し同じ症状で訪れるようであれば医療機関の受診を促す必要があります。
登録販売者による一言が、がんや重大な病気などの早期発見につながる可能性もあるでしょう。
医薬品販売だけで終わらせるのではなく、お客さまにとって不利益がないかを常に確認し、適切な判断を行うことが求められます。
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店舗勤務での知識や経験を活かし、他の業界でもお客さまのサポートする
登録販売者といえば、ドラッグストアや薬局で働くというイメージが一般的でした。
しかし近年では、介護業界に従事する方が登録販売者の資格を取得するケースも増えています。
これは、介護の現場において高齢者は多くの医薬品を服用していることが多く、市販薬やサプリメントを使用する際に飲み合わせのチェックを必要とされるためです。
店舗に来店するお客さまだけでなく、さまざまな業界で登録販売者の知識や経験が求められています。
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セルフメディケーション税制と登録販売者に関するよくある質問
セルフメディケーション税制について、わからないことや不安を抱える登録販売者も多いでしょう。
ここでは、よくある質問に回答します。
Q.セルフメディケーション税制と医療費控除との違いは?
セルフメディケーション税制は、健康診断などを受けている人が特定のOTC医薬品の購入費(1万2千円超〜上限8万8千円)を控除できる仕組みです。
これに対し医療費控除は、病院の診療費や処方薬などの医療費が年間10万円(または所得の5%)を超えた場合に適用されます。
Q.セルフメディケーション税制が使えないのはどんな時?
健康診断や予防接種などを1つ以上受けていることに加え、年間の対象医薬品購入額が1万2千円を超えていないと適用できず、医療費控除との併用もできません。
対象ではない市販薬や生計が別の家族の購入分は対象外となり、条件に合わない場合は控除を受けられないため、申請の際はよく確認しましょう。
Q.家族分の購入も控除対象になる?
「生計が同一」の家族(配偶者・子ども・親など)が購入した対象OTC医薬品は、申告者の分と合算して控除申請が可能です。
ただし、別居して家計が別の家族や、健康診断などの予防サービスを受けていない家族分は対象になりません。
Q.レシートの提出は申告に必要?
レシートには「セルフメディケーション税制対象」の表示や商品名・金額が記載されている必要があり、これをもとに確定申告を行います。
電子申告の場合は提出不要ですが、税務署から求められた際に提示できるよう、5年間の保存義務があるため必ず保管しておきましょう。

セルフメディケーション税制の理解で市販薬のプロとして活躍しよう
セルフメディケーション税制は、特定のOTC医薬品の購入額が一定条件を満たすと所得控除が受けられる制度であり、近年注目されています。
登録販売者は、専門的な知識をもとにお客さまが安全に市販薬を選ぶことを支える重要な存在です。
知識を身に着け、お客さまの総合的な健康サポートに役立てましょう。
将来性の高い資格を活かすためにも、「チアジョブ登販」にて自分に合った職場環境を相談してみるのはいかがでしょうか。
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【監修者プロフィール】
監修者:小山 香奈衣(こやま・かなえ)さん

慶応義塾大学薬学部卒。病院、調剤、OTC専門ドラッグストアにて薬剤師として勤務を経験。のべ5,000人以上の服薬指導、健康相談を受け、一般の方にも正しい医療知識を正しく理解してもらうため、難しい専門用語は使わずにわかりやすく説明することを得意としている。QOL(生活の質)を大切にし、正しい医療・健康・美容の知識を広めていくために執筆活動を行っている。
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