現場で役立つ知識
2024-05-24
ドラッグストアのPOPの書き方!売上効果・注目度UPのコツ【登録販売者向け】
・Before
・After
ドラッグストアではお客さまの購買意欲を高めるため、POP広告を効果的に使うことが重要です。今回はPOPの種類や書き方、POP作りがうまくなるコツを解説します。商品や売場、季節に合ったPOPを作成し、売上アップにつなげましょう。
ドラッグストアの売り場でPOPがもたらす効果
ドラッグストアにおいて、POPは「モノ言わぬ販売員」とも呼ばれます。
POPが持つ役割や目的は、主に下記のとおりです。
【ドラッグストアのPOPが持つ役割・目的】
- お客さまの購買意欲を高める
- お客さまが知らない「商品のよさ」を知ってもらう
- その商品ならではの魅力・情報をアピールする
- お客さまの商品選択をサポートする
ドラックストアにおけるPOP掲載の一番の目的は、お客さまの購買意欲を高めることです。
ただ商品を並べるよりも、あわせてPOPを掲載すれば、パッケージだけでは伝わらない「商品のよさ」を訴求でき、手に取ってもらいやすくなります。
また、お客さまは商品選びに迷った際にスタッフに説明を求めることもありますが、POPがスタッフの代わりに商品説明の役割も果たしてくれます。
ただし、医薬品などはPOPでは説明が不十分なため、スタッフの対応が必要です。
事前にPOPで情報を知ってもらうことで、その後の説明もスムーズになるでしょう。
▼関連記事はコチラ
【ドラッグストアの売り場作り】販売ノルマを達成させる陳列テクニック
【店舗運営のプロに聞く】ドラッグストアにおける売上アップのための目標設定のコツとは?<プロに学ぶ登録販売者のマネジメント論>
ドラッグストアで使われる主なPOP8種類
- 手書きPOP
- スイングPOP
- シーリングPOP
- エアーPOP
- POPシール
- 下敷きPOP
- プライスPOP
- モニターPOP
ドラッグストアで使われるPOPには、いくつか種類があります。
商品や売り場の状態・広さなどに合わせて、適切なPOPを選びましょう。
手書きPOP
「手書きPOP」は、その名の通り店舗スタッフが手書きで作成するPOPです。
数あるPOPの中でも一般的に使われる手法で、手書きならではのあたたかみやオリジナル感を演出できます。
お客さまにより身近に感じてもらうために、商品の使用感を記載するとよいでしょう。
大手ドラッグストアでは、新人研修でPOPの書き方講座が行われることもあります。
【こんな場面で活躍!】
スイングPOP
「スイングPOP」は、柔らかくしなる素材の柄と先端に設置したPOPからなるタイプです。
陳列棚などに貼って設置するとPOPがゆらゆら揺れて、お客さまの視線や注意を集める効果が期待できます。
動きのあるPOPは視覚的なインパクトがあるため、他のPOPと比べて非常に目立ちやすいでしょう。
【こんな場面で活躍!】
シーリングPOP
「シーリングPOP」は、天井から吊り下げて設置するタイプのPOPです。
商品棚や通路の上に設置できるため、スペースに余裕がない売り場でも使用できます。
サイズが大きいものが多く、店内の遠くからでも視認しやすい点がメリットです。
【こんな場面で活躍!】
エアーPOP
「エアーPOP」は、空気を入れたバルーン形状のPOPです。
通路に浮かせたり壁に直接貼ったりして設置します。
丸みのある立体的な形状が特徴で、視覚的なインパクトがあるため目立ちやすいです。
【こんな場面で活躍!】
季節・イベント商品を打ち出したいとき
POPシール
「POPシール」は、商品本体やパッケージに直接貼るタイプのPOPです。
サイズが小さく記載できる情報は少ないですが、とくに大切なアピールポイントを目立たせることができます。
「◯%オフ」や「ランキング1位獲得」といったアピールをしたいときに使うと、一目で情報が伝わりやすいです。
【こんな場面で活躍!】
洗顔やファンデーションなどサイズの小さい化粧品に使いたいとき
下敷きPOP
「下敷きPOP」は、陳列棚に敷いて設置するタイプのPOPです。
通路側に当たる部分が上がっていて、近くを通りかかった人に対して商品訴求ができます。
狭いスペースを有効活用でき、伝えたい情報をシンプルに訴求できるのが魅力です。
【こんな場面で活躍!】
プライスPOP
「プライスPOP」は、商品の価格を記載したプライスカードと訴求内容を記載したPOPが合体したものです。
お客さまにとって価格の情報はとくに重要。
アピールポイントの訴求ばかりで価格表示が疎かになってはいけません。
お客さまが知りたい情報をまとめて訴求できる「プライスPOP」は、非常に使い勝手がいいPOPとして幅広く使用されています。
【こんな場面で活躍!】
モニターPOP
「モニターPOP」は、モニターを設置し動画を流すタイプのPOPです。
音声が流れるためお客さまの目に留まりやすく、テレビCMのような役割を果たしてくれます。
動画によって商品の使い方や魅力を目で見て、耳で聞いて伝えられるので、商品の使用イメージをわきやすくする効果が期待できるでしょう。
【こんな場面で活躍!】
【OK例】ドラッグストアのPOPの書き方
- カラフルで目を引くPOPにする
- 伝えたいことを強調して書く
- 商品の特徴をわかりやすく書く
それでは、お客さまを魅了するPOPはどのようにして作るのでしょうか。
主なポイントは3つです。
カラフルで目を引くPOPにする
似た商品が並んでいるなかで、色とりどりのPOPがついていると、お客さまの目に留まりやすくなるでしょう。
お客さまは、明確に欲しいものがあり来店する方ばかりとは限りません。
「ウインドウショッピング」という言葉があるように、ふらっと立ち寄ってよい商品がないか眺めに来る場合も多くあります。
目的なく来店されたお客さまにも商品訴求ができるよう、目を引く色合いのPOP作りが大切です。
伝えたいことを強調して書く
商品名や価格はもちろんですが、商品の魅力やほかとの差別化につながる情報は強調して書きましょう。
たとえばドラッグストアの場合、「数量限定お買い得!」「定価より30%OFF!」「当店売上No.1!」など、お得感が伝わる数字を含めると、購買意欲を高められます。
また、「テレビで紹介されました!」や「口コミで話題!」など人気が伝わる言葉を大きく目立たせて書くことも意識しましょう。
商品の特徴をわかりやすく書く
パッと見て商品の特徴が伝わるよう、商品の魅力や打ち出したいポイントを具体的にわかりやすく書くことも重要です。
なぜ疲れたときに効くのか、どのような成分が入っているのかなど詳しく書けば、商品を使った際のイメージが浮かび、ほかの商品との違いもわかりやすくなります。
▼参考サイトはコチラ
厚生労働省「医薬品等の広告規制について」
【NG例】ドラッグストアのPOPの書き方
- 文字・情報量が多すぎて読みづらい
- シンプルすぎ・カラフルすぎる
- 耐久性がない
- 売り場のサイズに合わない
ポイントを押さえないPOPでは、商品の魅力が伝わりません。
以下4つに注意して、POP作成を行いましょう。
文字・情報量が多すぎて読みづらい
訴求ポイントがまとまらず複数書いてあったり、文章が長すぎたりするPOPでは、お客さまの読む気をそいでしまいます。
ドラッグストアは長時間滞在する場所ではありません。
POPもじっくり読まれるものではないと意識し、商品の魅力は端的にメリハリをつけて伝えましょう。
シンプルすぎ・カラフルすぎる
黒ペンのみだとシンプルすぎて商品に埋もれてしまい、上手に訴求できないことがあります。
反対に色をたくさん使ってカラフルにしすぎると、何を伝えたいのかわかりにくいです。
色は3〜4色程度にまとめ、一番伝えたい部分を目立たせるなどメリハリを意識しましょう。
たとえばクリスマス限定商品のPOPには赤と緑を使うなど、イメージに合った色を選択するのもおすすめです。
耐久性がない
POPに耐久性がないと、お客さまが触れることですぐに劣化してしまいます。
いくらデザインに凝ったPOPでも、折れたり汚れたりしていると魅力は半減。
店舗のマイナスイメージにもつながりかねません。
POPを作成する際は、ラミネート加工をしたり厚みを持たせたりする工夫が必要です。
売り場のサイズに合わない
売り場に対して小さすぎるPOPは目立たず、大きすぎると商品やプライスカードを隠したり、通路の邪魔になったりしまいます。
売り場に統一感をもたせて商品を魅力的に見せるために、売り場に合ったサイズのものを作成しましょう。



【具体例】売上アップにも?!オリジナルPOPの書き方
- 言葉のイメージや季節に合う色のペンを使う
- 季節や時流に合うワードを盛り込む
- 伝えたい言葉はアンダーラインやハイライトで目立たせる
作成の際のOK例とNG例を確認したところで、具体的なテクニックを紹介します。
ポイントを押さえ、魅力的なPOPを作れるようになりましょう。
言葉のイメージや季節に合う色のペンを使う
たとえば、解熱剤や涼しさをアピールする言葉は青や水色など、言葉とイメージが結びつきやすい色を使いましょう。
「大特価」や「売上No.1」などのポジティブな言葉は「暖色系」を使い、「疲れ」「冷え」などネガティブな言葉は「寒色系」を使って、イメージで伝わりやすくしてみてください。
加えて、季節感に合うデザインで作ると、さらに心惹かれるPOPに仕上がります。
たとえば日焼け止めの場合、太陽を連想させる赤やオレンジに、海やプールをイメージさせる青や水色を加えて夏らしさを演出してみましょう。
文字だけでなく簡単なイラストを加えると、目を引く魅力的なPOPに変わります。
色合いや雰囲気も工夫してみましょう。
季節や時流に合うワードを盛り込む
たとえば、春にオーラルケアの販促を強化していく場合、単に機能の訴求をするだけでなく、「出会いの季節、第一印象は歯で決まる!」など春という季節に合ったワードを取り入れましょう。
より具体的なシーンのイメージが浮かぶため、お客さまも「自分に必要な商品だ」と感じやすく、販売への効果が期待できます。
伝えたい言葉はアンダーラインやハイライトで目立たせる
「大人気」や「50%OFF」など、お客さまに一番伝えたい情報はアンダーラインやハイライトを入れて目立たせます。
ほかにも強調させたい文字を太字にしたり、文字の上に「・・(てんてん)」を書いたりと、方法はたくさんあるので、さまざまな方法を試してみるとよいでしょう。
【薬機法】ドラッグストアのPOPの表現で注意すること
POP作成時には、法律が定める広告規制などにも注意が必要です。
次で詳しくみていきましょう。
薬機法の広告規制とは?
医薬品などの扱いについて、厚生労働省が定めた「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」や、消費者庁が定める「景品表示法」では、広告に記載する表現などが細かく規定されています。
対象となるのは、店舗のPOPやリーフレット、掲示物、通販サイトや店舗ブログなどのあらゆる広告物です。
薬機法の違反者には、行政指導や広告是正、一部刑事罰が与えられます。
さらに、2021年8月からは課徴金制度も導入され、商品の売上の4.5%の納付対象に。
今後はより注意してPOP作成にあたる必要があるでしょう。
▼関連記事はコチラ
化粧品の陳列や季節商品、POP選びのコツ【ドラッグストアの売り場作り】
不適切な表現の一例
POP作成時の表現について、とくに注意したいのが薬機法で定める次の5点です。
- 定められる範囲を超えた効能効果の表示
- 安全性や効能効果を保証する表現
- 効能効果や安全性についての最大級の表現
- 医療関係者や研究者、一般人の認識に影響を与える団体などの推薦文言
- 他社製品の誹謗を行った広告
■定められる範囲を超えた効能効果の表示
医薬品・医薬部外品・化粧品などに定められる効能効果について、その範囲を超えた表現は一部の例外を除いて禁止されています。
【医薬部外品の一例】
OK:ニキビ、アセモを防ぐ
また、定められた効能効果のしばり表現を省略することも禁止とされています。
【化粧品の一例】
OK:メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ
医薬品や医薬部外品でない一般の化粧品などでは、以下のような表現もNGです。
【NG例】
- 「〜が消えます(消えました)」
- 「〜が治ります(治りました)」
- 「〜が改善します」
- 「〜が増えます」
- 「〜が減ります」
効能効果は、添付文書や医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書等検索で調べられるので、必ず確認するようにしましょう。
▼参考サイトはコチラ
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
■安全性や効能効果を保証する表現
以下のような、安全性や効能効果を保証する表現もNGとされています。
【NG例】
- 副作用は一切ないので安心してください
- 100年の歴史が裏付ける安全な~
- 世界50か国で効果が認められた~
- 「保湿効果に満足」など効果を保証するような体験談
- 効能効果の誤認や安全性を保証させる図版・写真による表現※例外あり
■効能効果や安全性についての最大級の表現
以下のような最大級を示す表現についても禁止されています。
【NG例】
- 根拠のない「世界一」「絶対」「もっとも」など誇張した表現
- 根拠のない「売上No.1」
「売上No.1」など一部の表現については、分類が化粧品や医薬部外品(新指定医薬部外品を除く)の場合は、明確な根拠があれば使用できます。
また、よく使われる「新発売」などの表現は、製品発売後12カ月以内を目安に記載可能です。
■医療関係者や研究者、一般人の認識に影響を与える団体などの推薦文言
医薬品などの効能効果に関して、医薬関係者や病院、診療所、薬局、理容師、美容師、一般人の認識に影響を与える公務所、学校・学会を含む団体が、公認、推薦、指導、選用しているなどを広告で訴求することは禁止です。
【NG例】
- 美容皮膚科専門医も奨める~
- 厚生労働省認可
- 特許製品
■他社製品の誹謗広告
他社の類似商品などと比較して、特定の商品をおすすめすることも規制されているので注意しましょう。
【NG例】
- 他社の製品よりよく効きます
ドラッグストアで扱う製品の広告規制には、ほかにも多くの取り決めがあります。
POP作成を行う際は、厚生労働省や消費者庁の資料に一度目を通しておくのがおすすめです。
▼参考サイトはコチラ
厚生労働省『医薬品等の広告規制について』
【登録販売者向け】POP作りがうまくなるコツ
- 訴求商品への理解を深める
- 目的やターゲットを明確にする
- 資格や検定でPOP作りの知識を深める
登録販売者にとって、POP作りは重要な業務の1つです。
うまくなるコツを解説するので、ぜひ参考にしてください。
訴求商品への理解を深める
まずは、自分が訴求商品の特徴、おすすめポイントを理解しましょう。
訴求したい商品について知識が不足していると、その商品のよさをPOP上で表現できません。
お客さまにわかりやすく伝えるためには、書き始める前にしっかりリサーチすることが重要です。
また、化粧品など使用感をアピールする場合は、実際に自分で使ってみるとPOP作りの参考になります。
目的やターゲットを明確にする
POPを作成する前に、「なぜPOPを作るのか・POPで何を伝えたいのか・どんな目標を達成したいのか」を明確にすることが重要です。
イメージを整理し方向性が決まったら、記事前半で紹介した「OK例・NG例・具体例」を参考にして実際にPOPを作ってみましょう。
その際、訴求する商品やターゲットに合わせてPOPの種類を決定します。
必要があれば他社に制作を外注するのも効果的です。
書籍や検定でPOP作りの知識を深める
実際にPOP作成を行いながら、書籍などで知識を深めるのもおすすめです。
「POP広告クリエイター」という検定もあるため、チャレンジしてみるのもよいでしょう。
検定内容には、販売促進に関わる基礎などが含まれているため、POP広告に関する幅広い知識を得られます。
学びで得たことを実務に活かし、何度もPOPを作ることが上達への近道です。
POPを作って終わるのではなく、設置したあとの売上やお客さまの動きを観察すると改善点も見えてきます。
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作り方や理解を深めて、ドラッグストアに適したPOPを作ろう
お客さまの心をつかむPOPを作成するためには、「POPの種類」と「訴求する商品」それぞれの知識を深めることが大切です。
商品や売り場に合わせて適切なPOPを選び、誰に何を伝えたいのかを明確にしましょう。
実際にPOPを設置したら、その後の売上やお客さまの動きを見て分析すると上達につながります。
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