著名人コラム
2022-11-25
緑内障の方でも使える市販の目薬の選び方を教えてください。【鈴木伸悟先生のお悩み相談室!第11回】
・Before
・After
薬の成分や飲み合わせ、接客、同僚との人間関係など、たくさんの悩みや不安を抱えながらも、お客さまに最適な提案ができるよう奮闘する登録販売者。 そんな登録販売者のお悩みに、SNSや講演会、業界紙などを中心にOTC医薬品の情報発信を行う薬剤師の鈴木伸悟先生が答えます! 第11回となる今回は、日本人の中途失明の原因第1位と言われている緑内障の方への目薬のおすすめについてです。加えて、登録販売者が知っておくべき禁忌についてもお聞きしました。
市販薬の販売ではまず緑内障の有無を確認して
日本では、40歳以上の20人に1人が緑内障だと言われています。
緑内障とは、眼圧の上昇などが原因で視神経が障害されて、視野が狭まったり視力が低下したりする疾患です。
緑内障はOTC医薬品の使用によって症状が悪化する可能性もあるため、販売時には注意が必要です。
医療用医薬品の添付文書では、緑内障は「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」に分けて注意が記されています。
一方、OTC医薬品では「緑内障」とまとめられています。
そのため、医薬品登録販売者がお客さまに対応する範囲では、その種類にかかわらず、まずは緑内障の有無を確認できると良いでしょう。
添付文書に「相談すること」と書かれている場合の対応方法
ご存じの通り、OTCの点眼薬には、一般点眼薬、アレルギー用点眼薬、人工涙液などさまざまなものがあります。
これらの多くの商品において、緑内障の診断を受けた方の使用については「相談すること」とされています。
一般点眼薬に充血を除去する目的で配合されることがある塩酸テトラヒドロゾリンや、ピント調節機能を改善する目的で配合されるネオスチグミンメチル硫酸塩などは、眼圧上昇のおそれがあるため、注意が必要です。
また、眼圧を上昇させる成分を含まないソフトサンティアなどの人工涙液であっても、緑内障の診断を受けた方の使用は同様に「相談すること」とされています。
人工涙液には、効能・効果のなかに「目のかすみ」など緑内障の進行により生じる可能性がある症状が含まれているためです。
人工涙液が緑内障の症状を悪化させる可能性は低いとされていますが、漫然とOTC薬を使用して一時的な症状の緩和を続けていると、診断の遅れにつながる可能性もあるでしょう。
こうしたことから、医療機関での治療を優先すべきだと考えます。
このように、同じ「相談すること」といった記載でも、使用するリスクが同一でないケースもあると知ったうえでお客さまに説明ができると良いでしょう。
緑内障の方の禁忌にあたる市販薬はある?
なお、緑内障の診断を受けた方の使用が「してはいけないこと(禁忌)」であるOTC医薬品もあります。
たとえば、パイロンPL顆粒Proや大正胃腸薬Pなどです。
パイロンPL顆粒Proに配合されるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩や大正胃腸薬Pに含まれるチキジウム臭化物は、抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがあります。
販売時には、緑内障の有無をお客さまに必ず確認しましょう。
【回答者プロフィール】
回答者:鈴木 伸悟(すずき・しんご)さん
有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室室長。
薬剤師および登録販売者へ適切なOTC医薬品のすすめ方や売り場作りなどの教育に携わる。
SNSでは、大手ドラッグストアおよび調剤薬局での自身の勤務経験をもとにOTC医薬品の役立つ情報発信を行い、全国各地での講演会やコラムの連載など多方面に活躍している。
著書「薬局OTC販売マニュアル〜臨床知識から商品選びまで分かる〜 日経BP社」

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