登録販売者の働き方
2021-11-09
薬剤師の試験に落ちた!薬学部から登録販売者のキャリアを考える
・Before
・After
薬剤師国家試験の合格率は100%には程遠く、毎年数千人の不合格者が出ています。就職が決まっている場合であっても、国家試験不合格が原因で内定が取り消されることも少なくありません。では、薬剤師国家試験に落ちたら、その後の就職やキャリアはどうなるのでしょうか。 今回は、薬剤師国家試験の合格率から既卒者の厳しい現実をとらえ、試験不合格後の就職内定先の対応、そして薬学部卒業者におすすめの登録販売者資格について解説します。
公開日:2020年7月3日
更新日:2021年11月9日
薬剤師の国家試験に落ちてしまった。再受験すべきか?
薬剤師国家試験の合格率はここ数年70%台で推移していますが、新卒者と既卒者では合格率が大きく異なります。
再受験を目指す場合には、既卒者の合格率も知っておくべきです。
過去の薬剤師国家試験の合格率
2012年から2021年に実施された薬剤師国家試験の合格率は、以下のとおりです。
開催年 | 試験回数 | 合格率 【全体】 | 合格率 【6年生新卒】 | 合格率 【既卒】 |
2012 | 第97回 | 88.31% | 95.33% | ー |
2013 | 第98回 | 79.01% | 85.09% | 67.52% |
2014 | 第99回 | 60.84% | 70.49% | 39.85% |
2015 | 第100回 | 63.17% | 72.65% | 53.12% |
2016 | 第101回 | 76.85% | 86.24% | 67.92% |
2017 | 第102回 | 71.58% | 85.06% | 50.83% |
2018 | 第103回 | 70.58% | 84.87% | 47.00% |
2019 | 第104回 | 70.91% | 85.50% | 43.07% |
2020 | 第105回 | 69.58% | 84.78% | 42.67% |
2021 | 第106回 | 68.66% | 85.55% | 41.29% |
上記に記載のデータをみると、既卒者の合格率は新卒者の合格率を大きく下回っています。
なお、新卒者であっても、毎年のように1,000人以上の不合格者が出ています。
薬剤師国家試験に受験回数制限はない
薬剤師国家試験は受験回数に制限がないので、落ちた場合であっても翌年以降に何度でもチャレンジすることができます。
しかし新卒者とは異なり、既卒者の受験・合格は非常に厳しいのが現実です。場合によっては、試験勉強と就職活動を同時に進めなければならないので、勉強時間が削られることもあります。
また、新卒者以上に焦りや不安を感じやすいので、精神的な強さも必要です。



薬剤師の国家試験に落ちてしまった場合、就職はどうなるのか
薬剤師国家試験に落ちてしまった場合の対応は、就職先により異なります。国家試験受験に理解のある職場へ就職すれば、働きながら次回合格を目指すことができます。
試験に不合格でも内定先の企業で働けるケースも
病院や調剤薬局など、薬剤師免許の取得を就職の絶対要件としている就職先の場合、試験不合格となった時点で「内定見送り」あるいは「内定取り消し」とされることがあります。
一方、薬剤師免許が必ずしも必要ではない研究職や、化粧品などがメインの企業に就職が決まっている場合、国家試験不合格が内定に影響を与えることはほとんどありません。
また、ドラッグストアなどの場合、内定は取り消されないものの、一般従事者として入社し、「登録販売者」の資格取得を求められるケースもあります。
浪人生の中には働きながら勉強する人もいる
薬剤師国家試験に落ちた人の中には、薬剤師国家試験対策予備校を利用する人もいます。予備校では、全日制の通年コースだけではなく、夏期講習や直前講習なども随時開講されています。
就職が決まっていて働きながら試験合格を目指す方の中には、単発の講習会を積極的に利用している方も多いです。
就職先によっては、予備校費用を負担して薬剤師国家試験合格を支援してくれるところもあります。
試験に落ちたからといって就職をあきらめる必要はない
薬剤師国家試験の再受験前に一旦就職したいという場合には、国家試験受験に理解のある職場を選ぶようにしましょう。
たとえば調剤薬局の事務職であれば、国家試験の大変さを知る先輩薬剤師が職場に何人もいます。
そのため、他の職場に比べて理解を得やすく、免許取得後は薬剤師としてそのまま就職を継続することも可能な場合が多いです。
薬剤師の国家試験は年1回だが、チャンスの多い登録販売者試験の受験もおすすめ
薬剤師国家試験になかなか合格できない場合は、登録販売者を目指すのも選択肢の一つです。
登録販売者の試験内容は薬剤師国家試験と重なる部分も多いので、他の受験者より短期間で合格をねらうことができます。
登録販売者の需要
登録販売者の需要がドラッグストアで高いことはよく知られていますが、最近はコンビニエンスストアやスーパーマーケット、家電量販店、ホームセンターなどでも一般用医薬品の市場が広がっています。
そのため、登録販売者が活躍できる場は、今後も拡大することが予測されます。
薬剤師と登録販売者の違い
薬剤師と登録販売者では、仕事内容が異なります。薬剤師は、処方せんに基づく調剤業務全般を行うことができますが、登録販売者には許されていません。
また、薬剤師はすべての一般用医薬品の販売を行うことができますが、登録販売者は第2類・第3類医薬品のみの販売です。
さらに、薬剤師は経験の有無にかかわらず、店舗の人的・物的管理を一任される店舗管理者になることができます。
しかし、登録販売者が店舗管理者となるためには、2年以上の業務・実務経験が必要です。
また、外部講習の受講も義務付けられています。
管理者要件を満たすための条件はいくつかあります。実務経験の数え方、管理者要件については以下の記事で詳しく解説しています。
▼参考記事
【2021年8月改正】登録販売者の店舗管理者要件が緩和!経過措置の終了についても解説
登録販売者の外部研修(継続研修)とは?いつから受けるのか、内容も解説!
なお、薬剤師国家試験は年1回しか行われませんが、登録販売者試験は年に複数回受験のチャンスがあります。
※2020年度、2021年度実施の録販売者試験においては、新型コロナウイルス蔓延防止のために居住地や勤務地のみの受験が定められている自治体が多く、同年に複数回の受験ができないケースがあります。
登録販売者としてのキャリアパス
登録販売者として着実に業務経験を積み重ねれば、店舗管理者として働く道がひらけます。
店舗管理者要件を満たした後のキャリアとして、店舗に勤務している薬剤師・登録販売者およびその他すべての従業員を監督するマネジメント業へ就くことも可能です。
まとめ
薬剤師国家試験の合格率は70%ほどですが、新卒者に比べて既卒者の合格率は低いのが現実です。
薬剤師としてのキャリアに迷ったときは、これまでの学習経験を活かせる登録販売者の道も検討してみてください。
登録販売者は薬剤師に比べて業務内容に制限がありますが、経験を積めば店舗を管理するマネジメント職に就くことも可能です。また、登録販売者の活躍の場は、今後も拡大が期待できます。
薬剤師国家試験の勉強に疲れたら、もう一つの選択肢である「登録販売者」にも目を向けてみてください。

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