登録販売者の働き方
2023-02-16
登録販売者の資格がなくなる?2つの不安や今後の需要など解説
・Before
・After
登録販売者の資格はなくなりません。しかし、「登録販売者の資格が なくなってしまう」という説が一部でささやかれているのも事実。不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。では、なぜ登録販売者の資格がなくなるといわれているのか、なぜなくならないと言えるのか、その理由などについて解説します。
公開日:2023年2月16日
更新日:2025年2月6日
登録販売者の資格はなくならない
「登録販売者の資格がなくなる」といわれていますが、現状そのような情報は公開されていません。
近年、セルフメディケーションが推進されており、登録販売者は今後も需要が期待される仕事であるといえるでしょう。
ではなぜ「登録販売者の資格がなくなる」といわれているのでしょうか。
「登録販売者がなくなる」といわれているのには2つの背景があります。
登録販売者の資格がなくなるといわれている背景
2:2分の1ルール廃止で、登録販売者の資格が社会的に不要になると思われている
登録販売者の資格がなくなるといわれる主な理由としては、2点挙げられます。
1つ目は、登録販売者の資格に有効期限があると誤解されている点。
2つ目は2分の1ルールの廃止により、登録販売者の資格が不要になると思われている点です。
登録販売者の資格に有効期限はないうえに、2分の1ルールが廃止されても登録販売者の仕事がなくなることはありません。
次の見出しでは、この2つの誤解についてそれぞれ詳しく解説します。
【誤解➀】登録販売者の資格は一定期間で失効する
登録販売者の資格は取得後に失効することはありません。
更新手続きも不要なため、一度登録販売者の資格を取得すると保有し続けられます。
しかし、「店舗管理者要件を満たす登録販売者」 として働くには、過去5年間で一定の勤務経験があるなど、追加の要件を満たす必要があります。
店舗管理者要件を満たす登録販売者であれば、自分1人で第2類や第3類の医薬品を販売可能です。
また、ドラッグストアなどでは店舗管理者が店長を担うことが多く、店長の業務として店舗運営のために必要な人・お金・商品などの管理を行えます。
登録販売者としてブランクがあるときに知っておくべきこと
2015年、法改正により「店舗管理者要件を満たす登録販売者」として働くために必要な一定の要件が追加されました。
ブランク後に転職や再就職する場合には、法改正された一定の要件をしっかりと確認しておきましょう。
未経験や要件を満たしていない場合でも、研修中の登録販売者として勤務可能です。
しかし、研修中の登録販売者の場合は、管理者のもとでしか実務に従事できないなど業務内容に制限が発生します。
・直近5年以内に2年以上(1,920時間以上)の実務経験があること
・直近5年間のうち、通算1年以上(1920時間以上)の実務経験があり、かつ継続研修並びに追加的研修を修了している
店舗管理者の要件について詳しくはこちら⇩
関連記事:【2021年8月改正】登録販売者の店舗管理者要件が緩和!経過措置の終了についても解説
【誤解➁】2分の1ルール廃止で登録販売者が不要になる
2分の1ルールが廃止されても登録販売者は必要とされつづけるでしょう。
ここでは、2分の1ルールの概要やその廃止が登録販売者に与える影響について解説します。
2分の1ルールとは
2分の1ルールとは、「OTC医薬品を販売する場合、薬剤師や登録販売者を店舗営業時間の半分以上にあたる時間に常駐する必要がある」と定めたルールのことです。
医薬品を取り扱う事業者が増加するなか、とくに24時間営業の店舗などで2分の1ルールを満たすことが難しい事業者が出てきました。
そこで、日本フランチャイズチェーン協会が2分の1ルールの規制緩和を要請した結果、厚生労働省は2021年8月に撤廃を決定。
これにより、医薬品販売に店が参入しやすくなり、より多くの店舗で消費者が医薬品を購入できるようになると予想されます。
例えば、下記のような店舗が医薬品販売に参入するでしょう。
・コンビニエンスストア
・スーパーマーケット
・家電量販店など
2分の1ルール廃止が登録販売者に与える影響
2分の1ルールの廃止によって、登録販売者の需要が減るのではないかと懸念する声が一部にありました。
しかし、実際には登録販売者の仕事がなくなることはありません。
むしろ、2分の1ルールの廃止により、登録販売者の需要は増えるでしょう。
確かに、登録販売者が店舗営業時間の半分以上にあたる時間に常駐する必要がなくなったため、場合によっては就業時間が少なくなる可能性があります。
ただ、誤解してはいけないのは、OTC医薬品の販売に登録販売者が不要になったわけではないということです。
登録販売者や薬剤師がいない間は、薬の販売はできません。
そのため、医薬品の販売時間を変えない店舗では、就業時間の変更もないでしょう。
むしろ、さまざまな事業者が医薬品販売に参入しやすくなったため、登録販売者として働く場所の拡大が期待されています。
OTC医薬品の2分の1ルールについて詳しくはこちら⇩
関連記事:OTC医薬品の「2分の1ルール」撤廃!登録販売者の活躍の場は広がる?
登録販売者の資格が今後も必要とされる理由
登録販売者の資格が今後も必要とされる理由として、上記の点が挙げられます。
それぞれの理由について詳しく解説します。
今後もOTC医薬品の販売には登録販売者が必要
2分の1ルールが廃止されても、OTC医薬品を販売するために薬剤師や登録販売者が必要であることは変わりありません。
登録販売者や薬剤師がいない時間は薬の販売はできないため、医薬品の販売時間を変えない店舗では、就業時間の変更もないでしょう。
また、健康意識の高まりや高齢化などにより、OTC医薬品市場も安定的に拡大しているため、今後もますます登録販売者は必要になると考えられています。
2分の1ルール廃止により就職先が拡大
2分の1ルールを廃止することにより、登録販売者の就職先は拡大することが考えられます。
今後はコンビニエンスストアやホームセンターなど、ドラッグストア以外の就職先が増加することが予測されており、登録販売者の必要性は続くでしょう。
関連記事:登録販売者が活躍できるドラッグストア以外の就職先とは?
しかし、売り場面積の少ないコンビニエンスストアなどではネット販売に力を注ぐ可能性があり、実店舗での就業時間が短縮されることも予想されます。
また、消費者のニーズに合わせ、医薬品の販売時間を絞る店舗が出てくる可能性も。
今後は、働き方や雇用形態が変化することが予想されるため、柔軟に対応しましょう。
・ほかの医薬品の販売の店舗が開いていない夜間や早朝
・病院が休みである土日祝日のみ
・オフィス街での昼休みの時間帯のみ
セルフメディケーションの推進
国を挙げてセルフメディケーションを推進しています。
これにより、OTC医薬品を販売できる登録販売者の需要増加が期待されています。
自分の健康に対して責任を持ち、軽度の身体の不調はOTC医薬品で治すこと。
厚生労働省は、健康の維持増進や疾病の予防に個人が取り組むことを推進。2017年にセルフメディケーション税制(OTC医薬品の購入にあたり、所得控除を受けられる制度)を導入しました。
自分の症状に合った医薬品を選ぶためには、薬剤師や登録販売者などの専門知識を有する者のアドバイスが必要です。
今後、登録販売者には、さらなるコミュニケーション能力や的確にアドバイスするための専門性などが求められるでしょう。
地域包括ケアシステムによる需要増加
地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で最後まで自分らしい暮らしを続けられるように地域一帯で包括的な支援やサービスを提供するシステムです。
高齢化により、医療や介護の需要が高まることが予想されるため、厚生労働省は2025年を目処にこのシステム構築を推進しています。
地域包括ケアシステムにおいて、登録販売者は、高齢者が気軽に健康やセルフメディケーションの相談ができる窓口としての役割が期待されています。
システムの構築により、今後もますます登録販売者の需要が拡大していくことでしょう。
遠隔管理販売でもリモートワークで対応可能
今後可能になると予想される遠隔管理販売においても、登録販売者は必要となるでしょう。
日本フランチャイズチェーン協会は、医薬品に関する説明をテレビ電話やチャットなどで行い、商品を店舗で受け取れる遠隔管理販売を可能にするよう要望を出しています。
遠隔管理販売が実現すれば、実店舗に在籍する必要は減少するかもしれませんが、リモートワークでの対応は発生するでしょう。
現在と働き方が変わっても、医薬品販売には薬剤師や登録販売者が引き続き必要です。
一般医薬品のネット販売について詳しくはこちら⇩
関連記事:一般医薬品のネット販売上のルールと登録販売者の対応について解説

登録販売者と合わせて取得すると役立つ資格
・栄養関連の資格
・その他の資格
医療事務や栄養関連の資格など、登録販売者の資格と合わせて取得すると役立つ資格があります。
それぞれの資格について詳しく解説するので、参考にしてください。
医療事務関連の資格
・医療事務管理士技能認定試験
・診療報酬請求事務能力認定試験
・医療事務認定実務者
登録販売者の資格はOTC医薬品の知識に特化したものであり、病院などの医療現場で扱われる処方箋医薬品などの知識を得ることはできません。
上記に挙げたような医療事務関連の資格を取得すれば、より専門的な薬の知識を得られます。
医薬品に関する知識の幅が広がることで、病院やクリニックなどへの就職も可能になるでしょう。
医療事務関連の資格は通信教育でも勉強でき、誰でも受験資格があります。
より専門的な知識を深めたい登録販売者の方は、ぜひ試験を受けてみましょう。
栄養関連の資格
・フードコーディネーター
・薬膳コーディネーター
・生活習慣病予防プランナー
栄養関連の資格を学ぶことで、薬に関することだけでなく、食事に関するアドバイスができるようになります。
登録販売者はお客さまに対して、生活習慣についてのアドバイスや医療機関への受診勧告を行う場合もあります。
上記に挙げた資格を通して栄養管理に関する知識を身につけることで、登録販売者として食生活を含めた生活習慣に関するより説得力のある提案やアドバイスができるでしょう。
その他の資格
・薬事法管理者
より頼られる登録販売者になるには、POP広告クリエイターや薬事法管理者といった資格の取得もおすすめです。
POP広告クリエイターは、販売促進に関する知識や購買意欲が高まるような広告作成の能力などを身につけるための資格。
OTC医薬品を販売する際に役に立ちます。
薬事法管理者は、薬に関連する法律である薬機法(旧薬事法)の専門的な知識を身につけるための資格です。
化粧品やサプリメントなどの魅力を説明する際は、薬機法によって表現方法が制限されています。
薬機法に関する知識があれば、法律に違反しないように魅力を伝えられるでしょう。

「登録販売者がなくなる?」に関するよくあるQ&A
登録販売者がなくなるといわれていることに関するよくある質問は資格の有効期限や需要についてなどです。
それぞれの質問について詳しく解説します。
Q.登録販売者の資格は、一定期間で失効する?
登録販売者の資格は更新手続きが不要であり、一度取得すれば保有し続けられます。
しかし、薬事法の改正により「店舗管理者要件を満たす登録販売者」として働く際は、直近5年以内に2年以上(1,920時間以上)の実務経験があることなどいくつかの要件が追加されました。
登録販売者としてのブランクがある場合は、満たさなければならない要件に注意しましょう。
Q.登録販売者は今後需要がなくなる?
2分の1ルールの廃止によって、登録販売者の働き方や雇用形態などが変わりつつあることは事実です。
しかし、登録販売者や薬剤師がいない時間は薬の販売はできないため、就業時間が減少する店舗があったとしても、登録販売者は引き続き必要とされ続けるでしょう。
また、医薬品販売に参入しやすくなったことにより、さまざまな事業者が医薬品を取り扱うようになりました。
販売する事業者数自体が拡大する見込みであるため、就業時間が減少しても、登録販売者の需要がなくなる可能性は低いといえます。
Q.2分の1ルールとは?
2分の1ルールは1964年に定められましたが、日本フランチャイズチェーン協会による要請を受けた厚生労働省が、2021年の8月に撤廃しました。
24時間営業のコンビニエンスストアなどでも医薬品を取り扱うようになり、2分の1ルールの適用が難しくなったためです。
2分の1ルールの撤廃により、医薬品販売に参入する事業者が増え、多くの店舗で医薬品を購入できるようになることが予想されます。
Q.2分の1ルール廃止が与える登録販売者への影響は?
2分の1ルールの廃止により、登録販売者の就業時間が短くなる可能性がある一方で、医薬品を取り扱う店舗は増加することが予想されます。
登録販売者の職場といえば、今までドラッグストアや薬局が代表的でしたが、今後はコンビニエンスストアや家電量販店など就職先が拡大するでしょう。
消費者のニーズに合わせた販売形態を行う可能性もあるため、働き方や雇用形態が変化する可能性があります。
登録販売者数の現状は?
厚生労働省の発表によると、登録販売者資格の受験者数は、平成25年には28,527人でしたが、令和3年には61,070人と増加傾向にあります。
また、合格者数も平成25年は13,381人ですが、令和3年は30,082人となっており、受験者数と同様に増加傾向です。
このように、登録販売者は引き続き注目度の高い資格であるといえます。
登録販売者の資格は更新不要。そして、これからも必要な存在。
登録販売者の資格は更新手続きが不要であり、一度取得すれば保有し続けられるため、なくなることはありません。
さらに、2分の1ルールの撤廃により、医薬品を取り扱う店舗が増加するため、ますます需要が増加することが考えられます。
ただ、コンビニエンスストアやホームセンターなどさまざまな事業者が医薬品販売に参入することが見込まれるため、働き方や雇用形態が変化しつつあることは事実です。
変化する環境に対する柔軟な対応や、より専門的な知識やアドバイスが求められるようになるでしょう。
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