登録販売者の働き方
2024-09-13
登録販売者が活躍できるドラッグストア以外の就職先とは?
・Before
・After
登録販売者の就職先としてよくイメージされるのはドラッグストアでしょう。ドラッグストアは求人数も多く働きやすい職場です。一方で、登録販売者が働ける職場は、ドラッグストア以外にも調剤薬局や漢方薬局、介護施設、製薬会社、ネット通販など広がっています。この記事では登録販売者資格を活かせる仕事をご紹介。登録販売者としてのキャリアアップや今後の働き方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
登録販売者=ドラッグストア勤務ではない!
店舗数が多く人手不足の地域があり、医薬品を多く扱うドラッグストア。
そのため登録販売者の求人数も多く、登録販売者が就職先として選ぶ主要な職場の一つです。
ドラッグストア店頭は品目数が多く、医薬品に限らずヘルスケア全般に携わることができるやりがいの大きい職場です。
一方で、最近ではOTC医薬品販売の規制緩和により、コンビニエンスストアやホームセンター、ネット通販など、ドラッグストアや薬局以外でも医薬品を取り扱えるようになりました。
登録販売者が扱える第2類・第3類医薬品は一般用医薬品の9割以上を占めており、知識豊富な登録販売者を求める場も増えてきています。
一般的な登録販売者の仕事内容や給料、ドラッグストアでの働き方、OTC医薬品の概要、販売については下記の記事で解説しています。
ドラッグストアを就業先・転職先として考えている人はぜひ参考にしてください。
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登録販売者が活躍できる「ドラッグストア以外の就職先」とは
それでは登録販売者資格を活かせる就職先を詳しく見ていきましょう。
職場ごとの特徴や登録販売者が働くメリット・デメリット、給料相場についても解説します。
調剤薬局
調剤薬局でも登録販売者資格を活かして働けます。
とくに一般用医薬品を取り扱う調剤薬局では、薬剤師と役割分担をしながら接客(患者対応)を担います。
調剤薬局で登録販売者として働く場合、給料は正社員で月収18万~34万円ほどです。
■メリット
営業時間が長く、夜間帯の対応も求められるドラッグストアに比べ、調剤薬局は閉店時間も早いため、仕事とプライベートの両立がしやすい傾向にあります。
また、医療事務の仕事と兼任することがほとんどで、医療事務のスキル習得も可能なのが魅力です。
同僚には医薬品の専門家である薬剤師が多く、キャリアアップにおいて刺激のある職場と感じるでしょう。

■デメリット
レセプト(診療報酬明細書)の入力や処方せんの受付など、ドラッグストアにはない業務が発生するため、その変化に適応することや基本的なパソコンスキルなどを求められます。
また、薬剤師との役割分担ができていない薬局の場合、登録販売者は事務作業をこなすだけになってしまい、患者さまとの接点をもつのが難しいこともあります。
登録販売者としてのスキルを磨く機会がなくなってしまうため、就業前にチェックしておきましょう。
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コンビニエンスストア・スーパーマーケット
近年ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットでも医薬品を販売する店舗が登場しています。
店舗の一角に医薬品コーナーを設けて販売する店舗が多いようです。
コンビニエンスストアで正社員として働く登録販売者の給料は、月収19万~26万円程度。
スーパーマーケットで契約社員として働く場合は、月収16万~22万円程度が平均的です。
■メリット
医薬品販売のノルマがない場合が多いのが特長です。
ドラッグストアと同様、お客さまの症状を聞いて最適な医薬品の販売やアドバイスを行います。
24時間営業の店舗では、夜中の体調不良を理由に来店して薬を購入される方もいます。
地域に住むお客さまからすれば、緊急時に遅い時間まで市販薬を買えるコンビニエンスストアやスーパーマーケットは頼りになる存在であり、「地域の健康を支えている」というやりがいを感じられる職場と言えるでしょう。
また医薬品コーナー全体を任されて、仕入れや商品のディスプレイ、在庫管理などを広く学べる職場もあります。
■デメリット
店舗によっては同じシフトに登録販売者が自分だけということもあり、忙しいときには「すべて一人で対応しなくてはならない」という場面も出てくるでしょう。
また土日や祝日はお客さまが多く訪れるため、休みが取りづらいこともあるようです。
医薬品の取り扱いがメインの職場ではないため専門性を高めにくく、登録販売者としてのキャリアアップはしづらい環境と言えるでしょう。
ホームセンター・家電量販店
ホームセンターや家電量販店の医薬品販売コーナーでも登録販売者が活躍しています。
大型店は立地や給与もよい傾向にある一方で、地域とのつながりはやや希薄です。
ホームセンターは契約社員として勤務する人も多く、その場合の月収は平均16万~22万円程度です。
家電量販店でアルバイトやパートとして働く場合は、時給1,200~1,500円など比較的高い給料がもらえます。
■メリット
とくに大型店の場合は、駅チカなど立地もよく、比較的給与も高い傾向にあります。
医薬品コーナーの専属スタッフになれれば、仕入れや商品のディスプレイ、在庫管理など多くを学び、より規模の大きな売り上げに貢献できるでしょう。
■デメリット
スーパーマーケットと同様に、土日や祝日は繁忙のため、休みは取りづらい環境です。
大型店では外国人観光客や家族連れなどさまざまなお客さまへの対応が必要になり、業務が煩雑になることも多いでしょう。
また、目的なくふらっと来店される方や医薬品を安く大量に購入したいと考えるお客さまも来店されるため、「地域密着型の店舗で一人ひとりのお客さまとじっくり向き合いたい」と考えている場合は、物足りなく感じるかもしれません。
製薬会社の営業職
登録販売者の資格を活かし、製薬会社の営業職として働く方もいます。
製薬会社での仕事内容は、医療用医薬品のMR(医薬情報担当者)や、自社直販で売っているOTC医薬品のルート営業などです。
給料は平均で月収20万円~25万円程度です。
小売業界と比べて給与水準は高く、営業成績によっては、昇給や賞与アップも見込めます。
■メリット
登録販売者は医薬品の成分や効能、副作用に関する知識を身につけているため、仕事に適応しやすいと捉えられ、転職活動などでも資格が有利に働くでしょう。
入社後は営業職として医師や薬剤師と関わります。
「より医療に近い現場で働きたい」と考えている方は、大きなやりがいを感じられるでしょう。
また、土日祝日・夏季休暇・年末年始など、カレンダー通りの休みが取れる点も魅力と言えます。
■デメリット
営業職は売上ノルマが課されるため、責任とプレッシャーは大きくなります。
医師や医療機関の関係者を相手に営業をするため、新たな人間関係の構築や、高いビジネススキル・コミュニケーションスキルを求められることも増えるでしょう。
そのため、ストレスを感じることも多くあるかもしれません。
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漢方薬局
最近では中規模以上の企業が漢方薬局を経営していることもあり、登録販売者の活躍の場が広がっています。
登録販売者は漢方薬を調合できないため、お客さまからお悩みを聞き、体質に合わせて漢方薬の情報提供をすることが仕事です。
漢方薬が好きな方や親身になってお客さまの健康相談に乗りたい方には、大きなやりがいのある職場だと言えるでしょう。
漢方薬局で正社員として働く場合、給料は月収18万~20万円程度となります。
■メリット
漢方薬局は、お客さまのカウンセリングや薬歴管理も行うので、漢方薬の深い知識を得ながら一人ひとりにじっくり寄り添える環境です。
さまざまな生活用品も取り扱うドラッグストアに比べ、漢方薬を中心とした医薬品や健康食品の取り扱いがメインになるため、「漢方薬に深く関わりたい」と考えている場合はやりがいを感じられる仕事になるでしょう。
■デメリット
ドラッグストアに比べて客層や来店者数が限られるため、多くのお客さまとコミュニケーションをとりたい方にとっては物足りなさを感じる可能性も。
また、東洋医学(中医学)の知識が深められる一方で、OTC医薬品や健康食品、日用品、介護用品、化粧品などの幅広い販売の知識をインプットして接客に活かしたいと考えている場合も、入職後にギャップが生じるかもしれません。
介護施設、訪問介護
介護施設や訪問介護(デイサービスなど)を利用する方は、さまざまな医薬品を同時に服用していることが多くあります。
登録販売者はこうした施設やサービスを利用する高齢者や介護職員の方々に対し、OTC医薬品の販売や情報提供、相談対応を行います。
飲み合わせの確認なども大切な仕事です。
■メリット
超高齢社会となった日本では、介護施設や訪問介護の需要が高まっています。
そのため、介護に関する知識や専門性を身につけることは、自身の市場価値を高めるのに効果的だと言えるでしょう。
介護が必要な方々の健康を守る重要な役割を担うことは、やりがいにもつながります。
■デメリット
介護に関わる場合、高齢者の体を支えるなど体力が必要になります。
介護職員や介護福祉士が登録販売者資格の取得を目指す動きも加速しており、今後は登録販売者資格だけではキャリアアップが難しくなる可能性もあります。
エステサロンや化粧品会社
エステサロンや化粧品を販売する会社でも、医薬品に関する知識を活かし、美容アドバイザーとして働く登録販売者が増えています。
この場合、医師が監修したドクターズコスメなどの商品の販売や接客が主な仕事です。
エステサロンにて正社員などで働く場合、給料は月収20万円~25万円程度です。
■メリット
美容に関心の高い方には楽しく働きがいのある職場になるでしょう。
美意識の高いお客さまを相手にしながら美容に関する知識を深めて働くため、自分自身を磨くことにもつながります。
■デメリット
エステサロンで働く場合、お客さまへの施術を求められることがあります。
化粧品会社では、客層や扱う製品・サプリメントなどの幅が限定される可能性があります。
そのため、美容に関することだけでなく医薬品の販売や情報提供など、さまざまな体の不調を感じているお客さまの役に立ちたいと考える場合には向いていないかもしれません。
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殺虫剤など日用品のメーカー
掃除用の薬品や防虫剤などの日用品のうち、医薬品に含まれるものを扱っているメーカーで働く登録販売者も増えています。
その場合は、商品開発や営業などが登録販売者の仕事になります。
給与水準は企業によって大きく異なります。
■メリット
製薬会社と同様、土日・祝日、長期休暇を取りやすい傾向があります。
また登録販売者資格取得の支援制度がある企業もあり、仕事をしながらスキルアップが狙えます。
■デメリット
医薬品の仕事だけに関われるとは限らず、それ以外のメーカーでの一般的な業務もこなす必要があるでしょう。
通信販売会社
薬のインターネット販売が2014年に解禁されて以降、通信販売会社で働く登録販売者も出てきました。
電話でお客さまからの問い合わせや相談を伺い、医薬品の資格者として対応する仕事です。
こちらも給与水準は企業によって大きく異なります。
■メリット
対面でのコミュニケーションがないため、接客が苦手な方にはおすすめな就業先と言えます。
レジ対応や品出し、陳列などの作業もないため、純粋に医薬品の仕事に関われる点は魅力でしょう。
■デメリット
対面での接客でない分、電話で正確に医薬品のことを伝えなくてはなりません。
そのため、相手の立場になった言葉選びや、聞きやすい声のトーン、誤解を生まない丁寧な説明を求められるなど、高いスキルが必要です。
クレーム対応が発生することもあり、ストレスを感じる可能性もあります。
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ドラッグストア以外の職場で働く登録販売者の給料については、下記の記事でも詳しく解説しています。
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登録販売者がドラッグストア以外への転職を考える際の注意点
登録販売者がドラッグストア以外への転職を考える際には、「実務経験」の期間に注意が必要です。
登録販売者は、下記要件を満たさない場合に正規の登録販売者とは見なされず、「研修中」の扱いに戻ってしまうためです。
- 過去5年以内に2年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験
- 過去5年以内に1年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験に加えて、継続的研修および追加的研修を修了
実務経験が積めるのは、薬局やドラッグストアなどの店舗販売業、配置販売業での就業です。
製薬会社や介護施設での勤務は実務経験として見なされません。
このように就業先によっては、登録販売者としてのキャリアから遠ざかってしまう可能性があるのです。
今後もドラッグストアなど一般用医薬品の販売店で働くことを想定している場合は、他業種へ転職する前に、しっかりとキャリアプランを練っておきましょう。
管理者要件を満たすための条件は上記のようにいくつかあります。
実務経験の数え方や管理者要件については以下の記事で詳しく解説しています。
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登録販売者のキャリアの選択肢は広がっている
登録販売者の就職先は、ドラッグストア以外にも広がっています。
転職を考える場合には、自分の希望する業務内容や勤務条件などを明確にして、十分に情報収集を行ってから転職先を選ぶことが大切です。
求人票の情報だけではなく、店舗(職場)の雰囲気なども事前に確認できると良いでしょう。
また、その職場で登録販売者資格を活かせるか、実務経験が積めるか、という点でも検討してください。
迷った場合には、登録販売者の転職に特化した【チアジョブ登販】の転職コンサルタントに相談するのがおすすめです。
ぜひ登録販売者としての選択肢を広げて、キャリアアップを目指してくださいね。
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