登録販売者の働き方
2025-07-11
ドラッグストア業界のホワイト企業はどこ?登録販売者が安心して長く働ける職場の見極め方
・Before
・After
転職希望先のドラッグストアが安心して働ける職場かどうかは、多くの登録販売者が気になるところでしょう。しかし求人票を見るだけでは、志望する企業が「ホワイト企業」か「ブラック企業」かを判断することはできません。ただし、特徴や傾向を知っていれば、対策も十分に可能です。今回は、1万4千人以上をサポートしてきた【チアジョブ登販】の転職コンサルタント12名のアドバイスを基に、登録販売者が働き続けやすいホワイト企業の特徴と見極め方について詳しく解説。さらに、働きやすいドラッグストアランキングも紹介します。
ドラッグストア業界のブラック企業の特徴と見分け方
「ホワイト企業」とは、給料・待遇が良い、福利厚生が充実している、残業が少ない、休日日数が多い、人間関係が良い、離職率が低い、法令や社内規則を遵守しているなどの働きやすい要素を備えていて、入社が好ましい企業を指します。
一方で、継続的な就労に困難が生じるような企業は「ブラック企業」と呼ばれます。
まずは、ドラッグストア業界におけるブラック企業の特徴を見ていきましょう。
特徴1:残業が極端に多い
残業が極端に多いのは、ブラック企業の典型的な例と言えるでしょう。
なかにはサービス残業や休日出勤が当たり前になっているケースもあります。
残業時間を会社全体で削減しようと上層部から声はかかるものの、業務量は変わらず、現場スタッフがサービス残業や休日出勤をして対応せざるを得なくなっているのです。
業務量が多くなり過ぎる原因としては、人件費削減や採用難などで店舗規模に対して必要な人員が足りていないことがあげられます。
責任感の強い方ほど企業や店舗のために無償で働いてしまう傾向にあり、サービス残業や休日出勤が常態化してしまうのです。
特徴2:給料が低い
数あるドラッグストアのなかには、業務量が多い割に給料が低い店舗もあります。
登録販売者資格の手当がわずかで無資格のスタッフとほとんど給料が変わらなかったり、成果が正当に評価されなかったりするケースがあるようです。
チアジョブ登販に掲載の求人情報を基に算出すると、登録販売者の平均年収は正社員で302万~478万円となっています。
この金額を一つの基準として比較してみるとよいでしょう。
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特徴3:無理なノルマの達成を強いられる
ノルマとは、推奨品販売に伴う下記のような目標設定を言います。
- 「目薬を月に◯◯個売りましょう」
- 「ビタミン剤を合わせ売りして客単価を上げましょう」
ノルマがあること自体が悪いわけではなく、その考え方次第で普通の企業もブラック企業になり得ます。
ドラッグストアによっては、推奨品販売のノルマを達成するためにスタッフが自腹を切って商品を買わなければならないこともあるようです。
また、無理なノルマを課されると、症状やニーズに合っていない商品をお客さまへすすめなければならず、悩んでしまう人もいます。
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登録販売者がブラック企業を回避する具体的な方法
登録販売者がブラック企業への転職を避けるには、次の3つのチェックポイントを押さえることが大切です。
1.店舗の雰囲気が悪くないか
転職を検討しているドラッグストアの店舗にはできるだけ足を運び、雰囲気を見ておきましょう。
雰囲気は、「その店の状況」を表していることが多いためです。
社員の表情がピリついていたり笑顔がなかったりする場合は、余裕をもって働ける環境が整っていない可能性があります。
同じ企業でも店舗によって状況は異なるため、複数の店舗をチェックしておくのがベターです。
2.店舗がきちんと整理整頓されているか
次に、以下の3点をチェックしておきましょう。
- 商品の陳列で「前出し」がきちんとされているか
- 清掃が行き届いているか
- ダンボールが長時間置きっぱなしになっていないか
忙しくて接客に追われている店舗では、前出しや清掃が疎かになりがちです。
人員不足の証拠とも言えるので、ぜひ確認しておいてください。
3.ノルマの有無とその設定に無理がないか
現状、多くのドラッグストアがノルマを設定しているため、その「有無」に加えて、「目標に無理がないか」「達成をどれほど重視しているか」を確認しておきましょう。
ただし、面接官に直接質問をすると「数字に対しての意識が低い」というネガティブイメージにつながる可能性があり、おすすめできません。
求人票に書いていないデリケートな情報は、登録販売者に特化した転職コンサルタントなどに聞いてみるのがよいでしょう。
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ホワイト企業の見極め方とは?
次に、ホワイト企業かどうかを判断する方法とポイントを解説します。
いずれも簡単にできるので、求人票や面接官の様子を見て確実にチェックしておきましょう。
ポイント1:求人票を細かくチェックする
ホワイト企業かを見極めるには、まず求人票をしっかり確認します。
とくに見るべきは、「基本給」「平均残業時間(月平均所定外労働時間)」「年間休日数」です。
ボーナスや退職金、残業代などは基本給をもとに計算されるため、総支給額のうち基本給が占める割合を確認しておくことが大切です。総支給額が高くても、基本給が低ければ高額なボーナスは期待できません。
・平均残業時間(月平均所定外労働時間)
フルタイム勤務の場合は、「月20時間」程度を目安にしましょう。
・年間休日数
フルタイム勤務の場合、目安は「100日以上」です。それ以上あれば、月の公休日数に加えて夏季休暇や年末年始の休暇などが取れるとわかります。
ポイント2:スタッフ間のコミュニケーションが活発かを見る
スタッフ同士の関係性が良好かを確認しましょう。
働きやすい環境が整っていれば、お互いに必要なことを言い合えている可能性が高いです。
ギクシャクすることなくスムーズに意思疎通が図れていると、周りから見ても違和感がありません。
店舗の雰囲気も良く、スタッフが明るく仕事をする様子が見られます。
ポイント3:現場の方々の仕事への姿勢や自分との相性を見る
現場の方々が働きがいをもっているかをチェックしましょう。
面接官が現場スタッフの場合は、転職後に上司となる可能性が高いので、自分との相性も意識してコミュニケーションをとってみてください。
逆質問の機会を活用すれば、やんわりとヒアリングできます。
現在店長としてお勤めになられている方はどのような考えをもって仕事に取り組まれている方が多いですか?
これらのほか、求人サイトや採用ページなどに公開されている社員へのインタビュー記事を参考にするのも良いでしょう。
チアジョブ登販でもドラッグストアで働く登録販売者と人事担当者に独自取材を行い、その特徴や魅力についてご紹介する特集を設けているので、ぜひ読んでみてください。
近年は、転職者向けの口コミサイトなども多く見られます。
しかし口コミサイトはネガティブな書き込みが多くなっているケースが多いため、実際に店舗に足を運んだり、面接官に質問したりするなどして、自分の目や耳で直接確かめるのが良いでしょう。
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女性登録販売者が働きやすい企業の特徴と選び方
ホワイト企業の特徴の一つに、「女性の働きやすさ」があります。
妊娠や出産、育児などライフステージによって、女性はライフスタイルが変化しやすいものです。
女性が働きやすい企業を見分けるポイントをご紹介します。
育休取得率が高い
産前産後休業(産休)や育児休暇(育休)の取得率は、事前にチェックしておきたい重要なポイントです。
産休・育休の取得率が高く、育児時短制度を取り入れている企業は、妊娠中や子育中の方でも働きやすい企業だと言えます。
厚生労働省のデータによると、2023年度の女性の育休取得率は84.1%。
この割合を超えている企業であれば、比較的育休を取りやすいと考えて問題ありません。
産休に関する具体的なデータはありませんが、企業の取得率が公表されている場合はそちらを参考にしましょう。
女性管理職の比率が高い
女性管理職の比率が高い企業は、男女ともに働きやすい環境を作るためにさまざまな施策を行っているところがほとんどです。
店舗スタッフだけでなく、店長やマネージャなどを含めた管理職の男女比を調べておくと、働きやすさの一つの指標となります。
ホワイト企業はどこ?数字で見るドラッグストアの働きやすさランキング
では、大手ドラッグストアチェーンのホワイト企業を見極める具体的な指標を紹介します。
年間休日数、平均残業時間、有給取得率、離職率、平均勤続年数、女性の管理職比率について、それぞれのTOP3をランキング形式で見ていきましょう。
※2025年4月確認時点。いずれも数値を公表している企業のみ掲載
(1)年間休日数
1.ウエルシアホールディングス:118日
1.サンドラッグ:118日
3.マツキヨココカラ&カンパニー:117日
3.クリエイトSDホールディングス:117日
最も年間休日数が多いのは、ウエルシアホールディングスとサンドラッグでした。
ただし、年間休日数のみがワークライフバランスを示す指標ではないため、休暇制度についても詳しく調べると良いでしょう。
独自の制度(リフレッシュ休暇・連続休暇など)やライフステージごとの制度(育児休暇・介護休暇など)があるかどうかでも、休暇の取りやすさは変わります。
(2)平均残業時間(月間)
1.クリエイトSDホールディングス:8.5時間
2.マツキヨココカラ&カンパニー:9.0時間
3.ウエルシアホールディングス:12.6時間
数値を公開している企業の平均残業時間を見ると、比較的少なくなっています。
残業をしない、シフトを遵守するなどの方針を掲げている企業の残業時間は短い傾向にあります。
ただし、職種や店舗の状況、時期によって変動する可能性がある点には注意しましょう。
(3)有給取得率
1.マツキヨココカラ&カンパニー:73.3%
2.富士薬品:66.3%
3.ウエルシアホールディングス:64.6%
ドラッグストア業界の有給取得率は平均的と言えます。
有給取得率に加え、連続休暇を推奨する方針や、取得が必須の有給休暇が設けられているかなども休みやすさの指標となるため、調べてみると良いでしょう。
(4)新卒3年離職率
1.ウエルシアホールディングス:16.5%
2.マツキヨココカラ&カンパニー:35.2%
3.ツルハホールディングス:36.3%
厚生労働省が公表している新規高卒就職者の離職率が38.4%、新規大学卒就職者の離職率が34.9%であることを考慮すると、ウエルシアホールディングスの離職率は低く、マツキヨココカラ&カンパニーとツルハホールディングスの離職率は平均的であるとわかります。
新卒3年離職率のほか、ツルハホールディングスでは正社員離職率を6.5%と公表しています。
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(5)平均勤続年数
1.クリエイトSDホールディングス:19.6年
2.マツキヨココカラ&カンパニー:14.9年
3.カワチ薬品:13.1年
長く働きやすい環境かを判断する指標の一つである平均勤続年数は、企業によってばらつきがあります。
国税庁が実施した『民間給与実態統計調査』によると、2023年12月31日時点の平均勤続年数は12.5年です。
これを考慮すると、大手ドラッグストアの中でも上位3位までの企業は勤続年数が長いと言えます。
(6)女性の管理職比率
1.マツキヨココカラ&カンパニー:22.9%
2.ツルハホールディングス:23.4%
3.ウエルシアホールディングス:19.2%
厚生労働省の『令和5年度雇用均等基本調査』によると、係長相当職以上の管理職などに占める女性の割合は 平均15.1%とされています。
したがって、上位3位の大手ドラッグストアは比較的女性管理職が多いと言え、管理職としてキャリアアップを目指したい女性にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
また下記企業は、従業員の健康管理に取り組んでいる「健康経営優良法人」として経済産業省より認定されており、ホワイト企業を見極める際の一つの指標と考えてよいでしょう。
- ウエルシアホールディングス
- サンドラッグ
- スギホールディングス
- 富士薬品
- マツキヨココカラ&カンパニー
大手ドラッグストアの売上や店舗数ランキングについて、以下の記事で詳しく解説しています。
企業の業績は給与や福利厚生にかかわる重要なポイントなので、ぜひチェックしてください。
【2025年最新】大手ドラッグストアの売上・店舗数ランキング!登録販売者が知っておきたい業界ニュースも解説
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マツキヨココカラ&カンパニー『総合職:募集要項』
マツキヨココカラ&カンパニー『HESGデータブック』
ツルハホールディングス『総合職&管理栄養士 募集要項』
ツルハドラッグ公式ホームページ 求人情報サイト
ツルハホールディングス『人権・雇用・労働』
ツルハホールディングス『決算説明会資料』
ツルハホールディングス『数字で知るツルハ』
ウエルシアホールディングス『キャリア採用募集要項』
ウエルシアホールディングス『数字とキーワード』
サンドラッグ『採用情報〈総合職〉中途 募集要項』
スギホールディングス『キャリア採用|店長候補』
富士薬品『職種紹介 ドラッグセイムス販売職(正社員)』
富士薬品『数字でみる富士薬品』
クリエイトSDホールディングス『募集要項〈キャリア 総合職〉』
クリエイトSDホールディングス『数字で見るクリエイトエス・ディー』
カワチ薬品『通年採用(一般) 募集要項』
そのほか各社の有価証券報告書などを参照
ホワイト企業を見極めて理想の職場を見つけよう
ドラッグストアは接客やレジ打ち、品出しなどのさまざまな業務があり、多忙なことも多い職場です。
しかしポイントを押さえれば、やりがいをもって無理なく働けるホワイト企業を見つけられます。
働く環境は人生に大きな影響を与える要素のため、しっかりと対策してホワイト企業を見極め、就職や転職を成功させましょう。
ノルマなどのデリケートな疑問を解消したい場合は、登録販売者向けのサポート実績が豊富な転職コンサルタントに相談するのがおすすめです。
事前のリサーチを入念に行い、悔いのない就職・転職にしてください。
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【監修者プロフィール】
監修者:チアジョブ登販 転職コンサルタント
登録販売者に特化した『チアジョブ登販』で転職コンサルタントとして、日々求職者のサポートを実施。面談では求職者のニーズや経験、実績を基に転職先の提案や、応募書類の書き方、面接のコツなど役立つ情報を提供しています。

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