登録販売者の働き方
2024-05-31
登録販売者の給料・年収は?働き方や職場別の金額と給料アップのポイント
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登録販売者のなかには、現在の収入が相場と比べて低いのではないかと不安や不満を感じている方もいるのではないでしょうか。給料・年収やキャリアアップによる昇給は、企業や雇用形態などによっても異なります。そこで今回は、働き方別に平均年収の違いをまとめました。さらに、年収アップ・キャリアアップを目指す方に向けて、登録販売者特化の転職コンサルタントがコツや賢い求人の探し方についても紹介します。ぜひ給料アップを目指す際の参考にしてください。
ドラッグストアで働く登録販売者の給料・年収は?
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、登録販売者全体の平均年収は357.7万円です。
手取り額の目安は、約282万円程度と考えられます。
ただし、登録販売者の給料は所属する企業や働く地域、役職、雇用形態によって大きく異なるため、今回は「チアジョブ登販」に掲載の求人情報を基に、それぞれの平均的な給与額を紹介します。
まずは、ドラッグストアで働く登録販売者の給料を見ていきましょう。
正社員・アルバイト/パート・派遣社員
雇用形態別に見ると、登録販売者の平均的な給料は次のようになっています。
雇用形態 | 平均給与額 | |
正社員 | 年収 | 302万~478万円 |
月収 | 19万~35万円 | |
アルバイト・パート | 時給 | 978~1,523円※ |
派遣社員 | 時給 | 1,200~1,500円 |
※全国の平均額であり、各都道府県の最低賃金を下回ることはございません
ドラッグストアで正社員として働く場合、手取り額は239万~371万円ほどで、賞与の支給が年2回程度、給与改定が年に1~2回ある企業が多くなっています。
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【役職別】SV・店長・一般社員
ドラッグストアで働く正社員は、一般的な販売業務や売り場作りを行う一般社員、店舗管理を行う店長職、複数の店舗管理を担うSV(スーパーバイザー)などに区分されています。
役職別に平均的な給与額を見ると、次のような差が出ています。
役職 | 平均給与額 | |
一般社員 | 年収 | 320万〜400万円 |
店長 | 年収 | 350万〜450万円 |
SV | 年収 | 410万〜520万円 |
キャリアアップして一般社員から店長やSVになると、50万~150万円程度の給与アップが見込めると考えられるでしょう。
店長職やSVの働き方、キャリアアップ、必要なスキルについては、次の記事などで詳しく紹介しています。
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ドラッグストアで支給される手当の種類
給与額の差は、支給される手当の金額によっても変わってきます。
こちらではドラッグストア働く登録販売者が受け取れる4つの手当について解説します。
(1)登録販売者資格手当
雇用形態にかかわらず、ほとんどの企業で登録販売者への資格手当が支給されます。
金額には差があり、アルバイト・パートよりも正社員のほうが高めに設定されていることが多いようです。
また、所属する企業や実務経験年数によっても異なります。
(2)店舗管理者手当
基本的に、店舗管理者要件を満たした登録販売者に支給される手当です。
店舗管理者は、通算1年以上かつ累計1,920時間以上の実務経験をもつなどの条件を満たした登録販売者に与えられる資格で、通常業務に加えて1人で医薬品を販売できるようになります。
店舗管理者資格の手当は、上記(1)と同じ「登録販売者資格手当」という名称で求人票に記載されます。
しかし、店舗管理要件を満たさないため「研修中」とされる登録販売者が受け取る(1)の資格手当よりも金額は高くなります。
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(3)夜勤手当
一部のドラッグストアやコンビニエンスストアなど24時間営業をしている企業で夜勤専従として勤務すると、深夜22時~翌5時については深夜手当(基本給×25%以上)が支給されます。
(4)店長手当
昇進して店長として勤務した場合には、役職手当が支給されます。
その金額は企業によって差がありますが、目安としては4万円程度が支給されます。
▼参考サイトはコチラ
職業情報提供サイトjobtag『医薬品販売/登録販売者』
ドラッグストア以外で働く場合の給料・年収は?
登録販売者は、調剤薬局やスーパー、コンビニエンスストアなどで働くことも可能です。
企業や地域によっても異なりますが、ドラッグストア以外の職場で働く登録販売者の給料については下記のような違いがあります。
業種 | 雇用形態 | 平均給与額 | |
調剤薬局 | 正社員 | 月収 | 平均18万~34万円 |
ホームセンター・スーパー | 契約社員 | 月収 | 平均16万~22万円 |
アルバイト・パート | 時給 | 平均1,105~1,218円※ | |
コンビニ | 正社員 | 月収 | 平均19万~26万円 |
※全国の平均額であり、各都道府県の最低賃金を下回ることはございません
次で詳しく見ていきましょう。
調剤薬局
調剤薬局に正社員として勤務する場合は、平均月収18万~34万円程度です。
登録販売者と調剤事務の業務を並行して行うケースが多く、年収も調剤事務と同等になる可能性が高いため、正社員の場合はドラッグストアと比較してやや下がる傾向にあります。
契約社員、アルバイト・パートの給与水準は、ドラッグストアと大きくは変わりません。
ただし昇格がない職場も多いため、役職手当などによる給料アップを目指す人はドラッグストアへの転職をおすすめします。
ホームセンター・スーパー
ホームセンター・スーパーの給料については、契約社員で平均月収16万~22万円程度、アルバイト・パートで平均時給1,100~1,200円程度で、ドラッグストアと同水準です。
調剤薬局と同じく、店長などマネジメント層への昇格がない企業も多く、キャリアアップや昇給を目指す場合にはドラッグストアに勤務するのがおすすめです。
医薬品売り場専任の採用が多く、ほとんどの人が医薬品売り場の店舗管理者として働きます。
そのため、「1年以上の実務経験」といった店舗管理者要件を満たす募集が多い傾向にあります。
コンビニ
コンビニで正社員として働く場合、平均月収は19万~26万円の水準となります。
ホームセンターやスーパーと比較すると高くなりますが、昼勤希望の方は、夜勤で働く可能性があるかを事前に確認しておく必要があるでしょう。
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登録販売者が活躍できるドラッグストア以外の職場とは?

登録販売者の給料は高い?安い?その理由は?
ここまで登録販売者の平均的な給料の金額を見てきました。
では、登録販売者の給料は高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。
ここでは多職種の給料と比較してみましょう。
登録販売者の給料が一部で「低い」と言われるのには、次の通り、近しい職種である薬剤師と比較して給与に差があることが関係しています。
職種 | 平均給与額 | |
薬剤師 | 年収 | 583.4万円 |
登録販売者 | 年収 | 357.7万円 |
薬剤師は資格取得の難易度や専門性が高いため、比較的高い給料が支払われるのも納得の理由と言えるでしょう。
一方で、近しい業務を行うスーパーやホームセンターなどの販売スタッフと比較すると同水準になっており、小売業で見ると平均的な給与額と言えます。
登録販売者の将来性は?
登録販売者の資格を活かして働ける場所は、ドラッグストアのほかにも、コンビニや家電量販店、インターネット販売など拡大しており、需要はまだまだ伸びると考えられます。
また日本の高齢化に伴い、地域で一丸となって高齢者を支援する「地域包括ケアシステム」を構築するための在宅医療・介護への関与や、セルフメディケーションの推進など、登録販売者に求められる役割も増えてきている状況です。
今後も活躍の場は増えることが見込まれ、将来性のある職種と言えるでしょう。
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転職コンサルタントが指南!キャリアアップ・年収アップの方法
次に、ドラッグストアへの就業後や転職前に、キャリアアップや年収アップが見込める企業を見極めるポイントについて解説します。
キャリアパスや昇給制度があるか
ドラッグストア勤務の場合、登録販売者として順調にキャリアを積めば昇格や年収アップも十分狙えます。
しかし、店舗数が少ない中小企業ではキャリアが頭打ちになるケースもあるようです。
キャリアパスや昇給制度が整っていて、将来的に店長やSV、本部スタッフを目指せる環境がある企業かをチェックしておきましょう。
求人票に「幹部候補募集」「店長候補募集」「新規出店計画あり」といった記載があれば、キャリアアップを狙いやすい企業だと考えられます。
とくに副店長職を配置している企業は、段階的なキャリアアップが狙えるためおすすめです。
また、職能給や基本給を上げる社内資格試験があるか、昇格の評価基準や推薦基準が明確かなども、可能な範囲でチェックしておきましょう。
給料が基本給ベースで上がるか
基本給ではなく手当などでのみで昇給している企業の場合、役職を降りたとたんに給料が下がるリスクがあります。
たとえば、店長手当があることで年収が上がっているケースなどです。
勤務年数が上がるのに伴い、基本給ベースで給料が高くなっているかを確認しておきましょう。
(正社員以外の場合は)正社員登用制度や実績があるか
「将来的に正社員になりたい」と考えている非正規雇用の方は、正社員登用制度や実績のある求人に応募しましょう。
契約社員は正社員と比較して同等の月給であっても賞与が出ない場合が多く、年収で見ると正社員より少ないケースがほとんどです。
雇用も保障されないため、安定的に働きたいのであれば正社員を目指すのがおすすめです。
全国職とエリア職の年収差はあるか
「転勤のある全国職」と「限定的な地域で働くエリア職」という働き方の違いにも注目しましょう。
ドラッグストアでは転勤の有無によっても給料に差が出ることが多く、全国職、エリア職などの区分によっても基本給や手当の支給額が異なります。
この違いによる年収の差が大きい場合、たとえば結婚などで全国職からエリア職に変わった際に年収が大きく下がってしまいます。
高利益で運営されているか
大手企業などであればホームページに掲載されているIR情報などを基にドラッグストア事業の利益率をチェックしましょう。
そのほかにも、利益率の高いプライベートブランドをもっているか、差別化された企業戦略があるか、店舗の人員配置などを参考に人件費を捻出できている企業かを確認します。
財務状況が芳しくない場合、M&A(買収)されるなどして収入ベースが低下する可能性もあります。
すでに店長として働いている方の場合、転職では一般社員としての採用となるケースが多いため、入社時点では給与アップとならない可能性も考えられます。
3年後、5年後にキャリアアップしてどのくらいの年収になるか、生涯年収はいくらか、といったことまで考えて検討することが必要です。
また、現職では残業代や交通費を含んだ年収(源泉徴収票)提示となっているため、転職先の労働条件通知書に書かれた年収と比較する際には注意しましょう。
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年収アップのための求人の探し方
年収アップを狙うための転職において、登録販売者はどのように求人を探すのが良いのでしょうか。
求人の探し方や応募方法を、メリット・デメリットとあわせて解説します。
方法1:求人サイト、求人情報誌などの求人に直接応募する
求人を多数掲載しているサイトや情報誌などを経由して応募する場合、選考のハードルは比較的高いと言えます。
なぜなら求人サイト、求人情報誌から直接応募する場合、企業側は応募者が求める条件に合わなければ、書類選考のみで見送り(不採用)にしてしまうことがあるためです。
また、「どのような面接が行われるのか」「どのような基準で選考されるのか」といった情報を個人で収集するのは難しく、十分な対策ができない可能性もあります。
勤務条件の交渉なども難しいケースが多いため、慎重にリサーチをしてから応募するのが望ましいでしょう。
方法2:知人のつてをたどって応募する
知人の紹介で求人に応募する場合、比較的スムーズに選考が進む可能性が高いと言えるでしょう。
一方で入社後に不満が言いにくく、職場が合わなくても辞めづらい状況に陥る恐れもあります。
そうなると紹介者である知人との関係に支障が出る可能性も否定できないため、しっかりと検討を重ねたうえで応募しましょう。
方法3:紹介会社を通して応募する
おすすめなのは、紹介会社を通じての応募です。
紹介会社に登録して求人を探せば、条件が良く人気の高い非公開求人を紹介してもらえたり、面接対策などのサービスを受けられます。
とくに中途の正社員採用では、面接での評価が個別に給与条件に反映されるため、面接への準備・対策が重要です。
応募時には、志望する企業の人事と密にやりとりをしている転職コンサルタントが求職者の強みを事前に伝えてくれるため、書類選考の通過率も高い傾向にあります。
また、勤務条件の交渉を代理で行ってくれるケースも多いです。
一方で、紹介会社経由で応募できるのは、紹介会社が取引している企業のみとなります。
登録販売者を募集しているドラッグストアやスーパーなどの大手企業では、紹介会社を利用して採用活動を行っていることが多いため、うまく活用しましょう。
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【ドラッグストア転職】大手と中小の年収や働き方の違いを解説!
年収アップのための転職活動では紹介会社をうまく活用して
登録販売者の給料・年収は、小売業界では標準的な基準にあると言えます。
一方で働ける職場は増えてきており、ライフスタイルやライフステージの変化に合わせて働き方を選びやすくなっているため、将来性や自由度の高い職種と言えるでしょう。
登録販売者の給料・年収は、正社員・契約社員・パート・アルバイトなどの雇用形態や企業規模、業種によっても大きく異なります。
キャリアアップや年収アップを狙える企業で働くためには、業界のことを理解している紹介会社・転職コンサルタントを利用するのがおすすめです。
紹介会社経由であれば、希望に合った企業の選定や条件交渉についての相談ができます。
選考のポイントや社風、採用時の待遇など、求人票からはわかりにくい企業の詳しい情報を紹介会社がもっている場合もあるので、積極的に頼ってみましょう。
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