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2023-07-28
ドラッグストア店長に大事な「リーダーシップ」とは?マネジメントとの違いも解説<登録販売者向け>
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・After
リーダーシップは、チームが目標を達成するために欠かせない力の一つ。店長として組織を動かすためには、このリーダーシップを発揮することが必要です。本記事では、リーダーシップの中でも「ドラッグストアにおけるリーダーシップとはどういうものか」を解説。マネジメントとの違いや、リーダーシップを発揮するためにすべき行動もご紹介します。
ドラッグストアにおけるリーダーシップとは?
「リーダーシップ」とは、組織をまとめ、目標へ向かってチーム全体を導いていく力のこと。
サービスの質向上や売上の向上などのドラッグストアの店舗の目標達成のためには、ドラッグストアの店長や店長候補が高いリーダーシップを持っていることが大切です。
ドラッグストア店長に必要なリーダーシップの種類
リーダーシップにはさまざまな種類がありますが、ここでは、ダニエルゴールマンによる6つのリーダーシップについて見ていきます。
どのリーダーシップが適切かは状況によって異なりますので、ご自身の職場に合ったリーダーシップを探してみてください。
・組織のあるべき姿へメンバーを導くリーダー(ビジョン型)
・メンバーと1対1を大切にするリーダー(コーチ型)
・チームメンバーの人間関係重視型(関係重視型)
・多様な意見を取り入れるリーダー(民主型)
・背中を見せるリーダー(ペースセッター型)
・メンバーに命令を下すリーダー(強制型)
組織のあるべき姿へメンバーを導くリーダー(ビジョン型)
ビジョン型のリーダーは、大きな夢に向かって、前向きにチームを引っ張ります。
このタイプは、夢を提示するものの、その夢に到達するための手段を押し付けません。
そのため、手段はメンバー同士で検討し決定していくことになり、組織が自立して回ることがメリット。
また、共通の目標に向かって全員が進んでいく前向きな空気があるため組織に対する帰属意識も高まります。
一方、リーダーの夢や目標に対しメンバーが賛同しない場合は求心力が下がり、効果が発揮されにくいというデメリットがあります。
メンバーと1対1を大切にするリーダー(コーチ型)
コーチ型のリーダーは、メンバー一人ひとりの個性や特徴を活かしつつ組織の目標達成を目指します。
このタイプのリーダーになる場合は、1対1のコミュニケーションを大切にし、各メンバーを個人的に深く理解しておく必要があります。
リーダーがメンバーの特性に合った仕事を割り振るため、メンバー自身の素質に合う仕事内容となり、それぞれのモチベーションを維持しやすいのが特長です。
「得意分野がある」かつ「やる気がある」という人材がそろっている時に、特に有効なリーダーシップの取り方と言えるでしょう。
一方で、組織の中にやる気のない人がいると、このリーダーシップの効果を発揮することは難しくなります。
チームメンバーの人間関係重視型(関係重視型)
関係重視型のリーダーは、メンバー間での人間関係を重視し、より良い関係を築きながら物事を進めていきます。
目標達成より人間関係をより良くする方に力がそそがれる傾向にある、というところが特徴です。
そのため、信頼関係が一度壊れたとき、意思の疎通が難しい時など、信頼できる人間関係を構築することが優先事項である場合に有効的と言えます。
ただ、目標の達成が後回しになってしまったり、目標が達成できなかった場合の責任追求や原因解明も難しくなってしまったりする点はデメリット。
そのため、ビジョン型リーダーシップなどの他の型のリーダーシップとともに用いるのがおすすめです。
多様な意見を取り入れるリーダー(民主型)
民主型のリーダーは、メンバーの意見を広く取り入れ、さまざまなアイディアをもとに物事を進めていきます。
このタイプのメリットの一つは、メンバーがさまざまな意見を出し合えるためチームで活動をしているという意識が芽生えやすいこと。
また、メンバーが意見を言いやすいオープンな雰囲気が生まれることもメリットと言えるでしょう。
しかし、多くの意見がでるため結論がまとまらない、結論を出すまでに時間がかるといったデメリットもあります。
背中を見せるリーダー(ペースセッター型)
ペースセッター型は、高いスキルを持ち、メンバーの手本となるような行動で引っ張っていくタイプです。
デメリットもあるため実行するには慎重さが求められるものの、モチベーションが高く優秀なメンバーが揃っている組織では有効とされています。
リーダーが大きな成果をまず出すことで、メンバーがリーダーを尊敬しそれに続く。
その結果、組織として大きな成果を出すことができるという形です。
しかし、メンバーがリーダーについてこられない場合、メンバーに求めるものが過度にならないよう、圧力が強くなりすぎないような注意が必要です。
メンバーに命令を下すリーダー(強制型)
強制型は、権力や圧力を用い命令して強制的に引っ張っていくタイプのリーダーです。
災害時などの緊急性の高い状況では、絶大な効果を発揮します。
他のタイプとは対照的に、リーダーがすべてを決定してしまうため、メンバーの成長が見込めないのがデメリット。
また、団結心を育てるためにも他のスタイルと組み合わせることが必要です。
ドラッグストアにおけるリーダーシップとマネジメントの違い
マネジメント:目標へ向けた計画を立て、チームを管理する能力
リーダーシップとマネジメントには、チームを「目標に向かって導く力」か「目標に向かって管理する力」かという違いがあります。
リーダーシップの取り方は、前述のように様々。
ただ、どのリーダーも売り上げ数値のような目標の達成に向けて、メンバーが努力するようまとめ上げ引っ張り上げていく必要があります。
一方、マネジメントは「成果を上げるための手法を考え、管理する力」です。
チームを引っ張り、物事を進めていくリーダーシップとは異なり、組織全体を整理し、適切に管理する力が求められます。
管理する内容は、ドラッグストアにおいては、人員はもちろん、商品の在庫、売上金額など様々。
現在どのような状況にあるのか、何が不足しているのか、目標に達するためにはどうしたらいいのかなど分析・整理し、整えていきます。
ドラックストアに限らず、組織をまとめ目標を達成するためには、どちらも大切な能力と言えます。
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ドラッグストア店長に必要な「マネジメント能力」について読む
ドラッグストアにおけるリーダーシップに必要な要素
ドラッグストアに必要なリーダーシップについて解説します。
必要な要素は、以下の6つです。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は優れたリーダーには必須の能力です。
チームを目標に向かって導くためには、メンバーの話を聞くことやメンバーに伝えるべきことを適切に伝えること、納得してもらうための行動をとることが大切です。
また、組織の全員が気持ちよく働くためには、一人ひとりの意見を尊重して、問題点があればそれを解決していく必要があります。
リーダーと他愛のない会話ができることで、オープンな関係性となり、モチベーションの維持にも良い影響があるでしょう。
目標設定力
目標はただ数字を設定するだけではありません。
実現可能かつ適切なものを数字や状態として設定する必要があります。
目標は多すぎたり高すぎたりしても達成が難しく、低すぎても組織の成長には繋がりません。
現実的に組織が目指せるレベルをしっかりと見定めて、まず設定しそのあとそこに向かって引っ張っていく能力が、リーダーには求められます。
決断力
店長は物事を進める先頭に立つため、状況や従業員の意見なども含めて常にどうするべきか選択・決断をしなければなりません。
決断力がなければ組織を混乱させてしまいます。
とくに緊急を要する場面などでは、臨機応変に対応することが必要です。
普段よりより素早い決断を下すことが求められます。
責任感
リーダーが、目標や組織に対する責任感や自分がチームを引っ張っていくという自覚を持つことが大切です。
ドラッグストアの店長は業務量も多く、考えなければならないこともたくさんあります。
しかし、リーダーであれば人任せにせず、何事も責任感を持って行動することが大切です。
また、目標に対して逃げない姿勢を持ち全体を把握し進めていくことで、組織をより良くすることができます。
柔軟性
リーダーには、臨機応変な対応をしたり、従業員の意見を取り入れたりする柔軟性も必要です。
ドラッグストアでは、発注していた商品が届かなかったり、お客さまからお叱りの言葉を頂いたり、予期せぬ事態に見舞われることも多々あります。
そういった時に慌てることなく臨機応変に対応ができる能力が必要です。
また、目標達成のためにはメンバーの異なる意見に耳を傾け、取り入れることも大切。
最善を目指すため、画一的・独断的にならず、柔軟な対応を取ることがリーダーには求められると言えます。
信頼
いくらリーダーの能力が優れていたとしても、信頼できなければ誰もついてきてくれません。
信頼されるためには、「真面目に業務をこなす」「周りへの気配りを忘れない」など、日常からコツコツと努力を続けていくことが大切です。
そういった日々の姿勢が自然と信頼へ繋がっていくことでしょう。
また、信頼を得ることで、目標へメンバーを導きやすくなります。
ドラッグストアで高いリーダーシップを発揮するためにすべき行動
ドラッグストアで、高いリーダーシップを発揮するためにすべき具体的な行動について紹介していきます。
以下の3つを意識してみましょう。
積極的にコミュニケーションをとる
ドラッグストアは一般的に、正社員やパート・アルバイトなど従業員を多く抱えています。
人数が多い組織を円滑に動かしていくためには、日々、積極的にそれぞれの従業員とコミュニケーションをとることが重要です。
人間関係に悩んでいる人がいたら話を聞き、問題解決のために動き、全員が働きやすい環境を作ることができるように心掛けましょう。
メンバーの話を聞くことは、リーダー自身の成長にも繋がります。
また、店長がメンバーに気を配り、細やかな声がけをすることで、スタッフの中には店長へ積極的に協力しようと思う人も出てくるはずです。
スタッフの一部でも協力的な姿勢をみせてくれるようになると、店舗運営が円滑に進みやすくなるでしょう。
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ドラッグストアにおけるチーム作り・コミュニケーションのコツとは?
目標成功のイメージを明確に持つ
ポジティブな思考を意識し、目標に対する具体的な成功イメージを持つことが大切です。
例えば、売り上げ目標が課されたとき、最初から達成できるわけないと諦めるのではなく、どのようにすれば達成できるのかを考えるようにしましょう。
ネガティブな思考に陥ると、現実の結果にも影響してしまいます。
目標を冷静に分析し、鮮明な成功イメージを作り上げることで、結果につながりやすくなります。
また、目標は店長だけが把握しておけばいいというものではありません。
スタッフを巻き込んで、全員で目標製鋼のイメージを持ちながら取り組んでいくことが重要です。
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ドラッグストアにおける売り上げアップのための目標設定のコツとは?
日常的に明確な意思をもって判断する
日常的に明確に判断をくだすよう意識することで、有事の際の判断力も高められます。
ドラッグストアは主に本部からの指示で動きますが、店舗ごとの細かな方針は店長が決めることが多いです。
商品を展開する位置によって売り上げも変化するため、売れ行きが悪い場合は別の場所に展開するなど、状況をみて臨機応変に決断が求められます。
日頃から物事を曖昧に終わらせない、素早く決断するなどを習慣化すると、いざという時の決断力を鍛えられるでしょう。
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ドラッグストアの売上アップにつなげるチームの作り方とは?
ドラッグストアにおけるリーダーシップに関するQ&A
・リーダーシップはリーダーだけのもの?
・ドラッグストアにおけるリーダーの役割とは?
・ドラッグストアの店長として大切なリーダーシップとは?
・ドラッグストアの店長として大切なマネジメントとは?
ドラッグストアにおけるリーダーシップに関して、よくある質問をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
Q.リーダーシップとマネジメントの違いは?
リーダーシップは「リーダーが主体となりチーム全体を導く」、マネジメントは「成果を上げるための手法を考え管理する」といった違いがあります。
どちらも目標の達成に欠かせない能力で、管理職になると両方の力が求められることがほとんどです。
Q.リーダーシップはリーダーだけのもの?
リーダーはもちろんですが、メンバー一人ひとりがリーダーシップを身に付けることも大切です。
組織として目標を達成するためには、役職や立場に関わらず、それぞれが周りと協力してお互いを高め合い目標達成に向かっていく必要があるためです。
Q.ドラッグストアにおけるリーダーの役割とは?
・目標を立てる
・環境を整備する
・業務を管理する
・自ら行動する
・チーム全体に働きかける
ドラッグストアのリーダーには、まず、売り上げなどの「目標」を立て、物事の方向性を決める役割があります。
そして目標達成のため、業務を進めやすい環境を整備したり、進み具合を把握し業務を管理したりするのも、務めのうちのひとつです。
店舗全体をより良い状態にしていくために、まずは店長自身が率先して行動しましょう。
そのうえで従業員全体に働きかけ、一人ひとりが主体的に動けるようなチームに育てることが重要です。
Q.ドラッグストアの店長として大切なリーダーシップとは?
ドラッグストアの店長として必要なリーダーシップには、いくつかの要素があります。
「目標設定力・決断力・責任感・柔軟性・信頼」などどれも欠かせない要素ですが、中でも一番大切なのは「コミュニケーション能力」です。
ドラッグストアの現場では、数多くの従業員を率いていく必要があります。
その際に、全員が目標達成に向かって動いていくためには、一人ひとりの意見を聞いたり、話して納得してもらったりするための高いコミュニケーション能力が欠かせません。
Q.ドラッグストアの店長として大切なマネジメントとは?
マネジメントとは「成果をあげるための手法を考え管理」することで、ドラッグストアの店長においても、重要な力と言えます。
例えば売り上げ目標を課されたとき、まずはどのようにすれば目標を達成できるかを考えます。
「お客さまに積極的に声をかけることで商品をアピールする」という手法が最適であれば、それに向かって組織全般を管理。
具体的には、声がけする教育を行ったり、従業員がお客様に積極的に声がけが出来ているかを可視化できるようにしたり、声がけしやすい仕組みを整えたりなどがあるでしょう。
管理すべきものは人だけではなく、もの、お金、情報など様々。
そのため、マネジメント業務は多岐にわたります。
まずはチームや運営状況の全体像を把握し、指揮を執って進めていくことが大切です。
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リーダーシップを意識して、信頼される店長を目指そう!
リーダーシップとは、目標の達成に向けて、チーム全体を導いていく能力のことです。
リーダーシップをより発揮していくためには、リーダーに求められる役割や必要な要素を知り、日常的に取り組んでいくことが大切です。
ドラッグストアにおいても、リーダーシップは重要な要素です。
店舗売上の向上のため、さらには従業員が生き生きと働ける職場にするため、日々意識して取り組んでいきましょう。
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