現場で役立つ知識
2025-02-14
栄養ドリンクは風邪に効く?風邪薬との併用は?登録販売者に役立つご案内時の注意点
・Before
・After
「風邪だけど栄養ドリンクを飲んでも大丈夫?」というご相談を受けたことはないでしょうか。登録販売者として、栄養ドリンクを風邪のときにおすすめしてよいのか悩む方もいるはず。今回は、栄養ドリンクに期待できる効果と風邪症状との関係、注意すべき風邪薬との併用について解説します。風邪予防や症状に悩むお客さま対応のコツも紹介するので、ぜひ接客に活かしてください。

栄養ドリンクは風邪症状に効果が期待できる?
風邪をひいたときの「栄養補給」に役立ちます。
栄養ドリンクは、風邪の症状に直接的に効く薬ではないため、風邪そのものを治すことはできません。
しかし、栄養ドリンクは手軽にエネルギーや必要な栄養素を補給できるので、風邪のときの栄養補給に役立ちます。
健康な体を取り戻すには、適切な栄養補給が大切です。
一般的に、風邪をひいたときや治りかけのときなどは、体力が低下し食欲も減退しやすくなります。
栄養ドリンクは、風邪を治すためのサポートであると理解しておきましょう。
【基礎知識】栄養ドリンクとは
手軽に栄養補給ができる飲料です。
栄養ドリンクは、エネルギーや栄養素を手軽に補給できるのが魅力です。
「医薬品」と「医薬部外品」のどちらかに当てはまるものが多くみられます。
商品ごとに含まれる栄養素は異なりますが、疲労の回復・予防や健康増進、滋養強壮などを目的としたものが販売されています。
【基礎知識】風邪とは
風邪の主な症状は、発熱・頭痛・鼻水・咳などです。
人の体はウイルスに感染すると、異物を追い出そうとして喉の痛みや咳などの症状を引き起こします。
風邪を引き起こす原因微生物のうち80〜90%程度がウイルスであり、その数は200種類以上と非常に多いといわれています。
そのため、原因となるウイルスを特定することは難しく、風邪の特効薬は存在しません。
風邪をひいた場合は、症状を和らげるための対症療法が中心です。
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栄養ドリンクに期待できる効果・働き
栄養ドリンクに期待できる主な効果 |
---|
・滋養強壮 ・疲労回復 ・虚弱体質 ・病中病後や肉体疲労時の栄養補給 |
栄養ドリンクには、主に滋養強壮や疲労回復、病中病後などでの栄養補給といった効果が期待できます。
詳しい効能効果は、各商品に含まれる成分や栄養素によってさまざまです。
栄養ドリンクに含まれる主な成分と働き
成分名 | 主な働き |
---|---|
ビタミンB群 | ・糖質の代謝を助ける ・脂質の代謝を促す ・皮膚や髪などの細胞の再生をサポート |
タウリン | ・疲労回復 ・筋肉のダメージや疲れの緩和 ・肝機能の向上をサポート |
アミノ酸 | ・栄養補給 ・筋肉疲労の回復 |
イノシトール | ・生活習慣病の予防 ・神経機能を正常に保つ |
ナイアシン | ・エネルギーの産生を助ける ・脂質やたんぱく質の代謝を助ける ・アルコールの代謝を助ける |
カフェイン | ・眠気防止 ・倦怠感の除去 ・集中力を向上させる |
生薬 | ・栄養補給 ・疲労回復 ・滋養強壮 |
栄養ドリンクには、さまざまな有効成分が含まれています。
代表的な成分は、ビタミンB群・アミノ酸・カフェイン・生薬などです。
栄養補給や疲労回復に加え、脂質や糖質の代謝を促す作用を持つ成分もあります。
そのほか、生活習慣病の予防や集中力の向上など、成分ごとにさまざまな効果が期待できます。
栄養ドリンクをお探しのお客さまには、目的を伺い適した成分が含まれている商品をご案内しましょう。
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栄養ドリンクと風邪薬は併用できる?販売時の注意点【登録販売者向け】
栄養ドリンクは便利な商品ですが、販売する際は注意しなければならない点もあります。
登録販売者として、しっかり把握しておきましょう。
栄養ドリンクと風邪薬の成分の重複に注意する
風邪薬を服用している場合は、栄養ドリンクに含まれる成分と重複する可能性があるため注意が必要です。
栄養ドリンクには生薬・カフェイン・アルコールなどを含むものもあるため、過剰摂取となり相互作用や副作用があらわれるおそれがあります。
接客の際は、基本的には栄養ドリンクと風邪薬を一緒に使わないようご案内しましょう。
お客さまが栄養ドリンクをお求めの場合は、服用している風邪薬を確認し、成分が重複しないように注意してください。
【栄養ドリンクと風邪薬の重複しやすい成分】
- 生薬(カンゾウなど)
- カフェイン
- ビタミン類
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風邪薬以外の薬を服用中の方にも丁寧にヒアリングする
風邪薬だけでなく、医療機関の処方薬やほかの市販薬などを服用中のお客さまへのご案内も要注意です。
医薬品の種類によっては、風邪薬と同様に栄養ドリンクの成分と重複するおそれがあります。
接客の際は、日常的に使用している薬や持病について詳しくヒアリングしましょう。
登録販売者として、薬を販売するだけでなく、相互作用や副作用を未然に防ぐ行動が重要です。
【栄養ドリンク・風邪薬をご案内する際の注意点】
- 日常的に使用している薬はないか
- 高血圧や心疾患などの持病はないか
- 過去に医薬品を使用して副作用やアレルギーがあらわれた経験はないか
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栄養ドリンクを風邪のときの栄養補給に使う際の注意点【登録販売者向け】
栄養ドリンクで栄養補給を行う際は、注意しなければならない点があります。
登録販売者として、お客さまに適切なアドバイスを行いましょう。
1日の適切な摂取量を守る
栄養ドリンクは、商品ごとに1日あたりの摂取目安量が決まっています。
風邪のときは栄養補給が大切ですが、栄養ドリンクの飲みすぎは逆に体調が悪化することがあります。
通常の飲み物と同じ感覚で摂取すると、特定の成分の過剰摂取につながるおそれがあります。
お客さまにご案内する際は、商品のラベルに記載されている1日の摂取目安量を守るようにアドバイスしましょう。
栄養ドリンクの成分への理解を深める
栄養ドリンクのご案内をする際には、含まれている成分に注目しましょう。
各成分の主な働き・役割を知っておくことで、よりよい商品の提案ができます。
たとえば、「風邪で体がだるい…」というお客さまには、アミノ酸や生薬が含まれている商品を提案すると、栄養補給や疲労回復に効果的です。
また、栄養ドリンクは風邪以外でも使用されるため、さまざまな目的に合った商品を選べるようにしておきましょう。
妊娠・授乳中の方へのご案内に気をつける
妊娠中や授乳中の方に栄養ドリンクを勧める際は、とくに注意が必要です。
栄養ドリンクの種類によっては、カフェインなど妊娠・授乳中の摂取に注意が必要な成分が含まれているケースもあるためです。
摂取した成分は、胎盤や乳汁を通じて胎児・乳児に移行する可能性があります。
このような方に栄養ドリンクを販売する際は、成分表示や注意書き等をよく確認しご案内しましょう。
風邪予防や症状でお困りのお客さまへの対応【登録販売者向け】
風邪予防や症状でお困りのお客さまへの対応をする際は、以下で解説するポイントを押さえましょう。
よりよい接客をするために、ぜひ参考にしてくださいね。
十分な睡眠と休養をとることを勧める
風邪の予防と症状緩和には、十分な睡眠と休養が必須です。
体を十分に休ませることで免疫力が高まり、風邪のウイルスに対する抵抗力が強化されます。
風邪薬や栄養ドリンクは、あくまでも症状を緩和させたり栄養を補ったりするものです。
お客さまには、日常生活の中で無理をせず、しっかりと休息をとるように助言しましょう。
十分な栄養補給を勧める
栄養素 | 主な働き |
---|---|
アミノ酸 | 低下した免疫力を向上させる |
たんぱく質 | 免疫物質のもととなり、免疫力を向上させる |
ビタミンB群 | 消費したエネルギーを補い、体力を回復させる |
ビタミンC | 免疫力を低下させる活性酸素の働きを抑える |
ビタミンE | 抗酸化作用により、免疫力の低下を防ぐ |
風邪予防や早期回復には、バランスのとれた食事と適切な栄養補給が重要です。
お客さまには、ビタミンB群・たんぱく質・アミノ酸などの補給を勧めましょう。
また、喉の痛みなどで食事がとれない場合は、栄養ドリンクもおすすめです。
風邪薬だけで治そうとするのではなく、食事療法も効果的であることをご案内しましょう。
部屋の温度・湿度を適切に保つようご案内する
栄養や休息だけでなく、部屋の温度や湿度管理にも注目しましょう。
風邪のウイルスは、低温だと感染力を維持しやすくなります。
また、湿度が低いとウイルスの飛沫が広がりやすいです。
さらに、このような環境では喉の粘膜が乾燥して、炎症を引き起こす原因にもなります。
そのため、「室温20〜25度・湿度40%以上」を目安に調整することをおすすめしましょう。
とくに、冬場は気温が低く乾燥しやすいため、暖房や加湿器を使って適切な環境を保つのが効果的です。
症状に応じて風邪薬のご案内をする
お客さまの症状をよくヒアリングして、風邪薬のご案内をするのも登録販売者の役割です。
症状の種類や程度によっては、風邪薬以外が適しているケースもあります。
複数の症状がある場合は、総合感冒薬が効果的です。
一方、症状が少ない場合は、それに特化した薬を選びましょう。
一概に「風邪」と断定せず、注意深くご案内することが重要です。
【風邪薬をご案内する際のポイント】
総合感冒薬 | 熱、咳、鼻水、喉の痛みなど風邪症状が複数みられる場合 |
---|---|
解熱鎮痛薬 | 発熱や頭痛がみられる場合 |
咳止め | 咳の症状のみの場合 |
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風邪症状が長引く方には受診推奨をする
風邪の症状が長引いているお客さまや、症状が複数あり特定の医薬品のご案内が難しいお客さまには、医師の診察を受けるよう勧めましょう。
市販の栄養ドリンクや風邪薬だけでは、根本的な治療はできません。
これらの商品はあくまでも「一時的に緩和するもの」と理解し、柔軟な対応を心がけましょう。
栄養ドリンクや風邪に関するQ&A
ここでは、栄養ドリンクや風邪に関する疑問をQ&A形式で解説します。
お悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
Q.栄養ドリンクとエナジードリンクの違いは何?
栄養ドリンクは、多くの場合「医薬品」や「医薬部外品」などに分類され、特定の効能・効果が期待できる商品です。
一方、エナジードリンクは食品であり、「清涼飲料水」に分類されます。
また、エナジードリンクには服用量が定められていません。
栄養ドリンクは1日の摂取目安量が決まっているため、ジュース感覚で飲みすぎないよう注意を促しましょう。
Q.他の種類の栄養ドリンクを一緒に飲んでもよい?
複数の栄養ドリンクを一緒に飲むと、特定の成分の過剰摂取になる可能性があります。
とくに、カフェインや生薬の重複が起こりやすいため、栄養ドリンクの併用は控えましょう。
どうしても複数飲まなければならない場合は、重複する成分がないか確認してください。
Q.栄養ドリンクは風邪以外のときに毎日飲んでもよい?
栄養ドリンクは栄養補給を目的としているため、そのときの健康状態を見極めて使うことが望ましいです。
また、生薬やカフェインを含む栄養ドリンクの場合、過剰摂取やカフェイン中毒のリスクもあります。
必要に応じて使用し、日常的に飲むのは控えるようご案内しましょう。
栄養ドリンクの特徴を理解し、適切なアドバイスをしよう
栄養ドリンクは風邪をひいたときなどに、手軽に栄養補給できる便利な商品です。
成分ごとの効能・効果を理解し、お客さまの目的に合った商品をご案内できるようにしましょう。
また、風邪薬や他の医薬品との併用や、栄養ドリンクの飲み方の注意点もしっかり理解し、登録販売者として適切なアドバイスをすることが重要です。
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【執筆者】
チアジョブ登販編集部
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