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2024-12-27
インフルエンザの主な症状は?風邪との見分け方や登録販売者が取るべき対応を解説
・Before
・After
インフルエンザと風邪は症状が似ていますが、それぞれに適した対処が重要です。この記事では、インフルエンザの主な症状や風邪との違いについて詳しく解説します。また、登録販売者としてお客さまにできるサポートや対応方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
インフルエンザとは?【基礎知識】
まずは、インフルエンザに関する基礎知識を解説します。
登録販売者として、しっかり理解しておきましょう。
原因ウイルス | インフルエンザウイルス |
---|---|
潜伏期間 | 1〜4日程度 |
感染経路 | 飛沫感染・接触感染 |
インフルエンザの原因ウイルス・潜伏期間
インフルエンザは毎年主に冬季に流行し、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。
このウイルスは主にA型・B型・C型の3種類に分けられ、A型は広範囲で流行しやすく、B型は主に人間に感染、C型は比較的軽症という傾向があります。
潜伏期間は、感染から症状があらわれるまでの1~4日程度と人それぞれです。
インフルエンザと風邪の症状の違いはこちら
インフルエンザが疑われるお客さまに登録販売者ができることはこちら
インフルエンザの主な感染経路
インフルエンザの感染経路は、主に飛沫感染と接触感染の2つです。
感染者の咳やくしゃみを吸い込むことで感染するケースや、ウイルスが付着したドアノブや手すりなどに触れたことで感染するケースなどがあります。
日常的な手洗いやマスクの着用で、これらの感染リスクを減らすことが可能です。
登録販売者が知っておきたい!
インフルエンザの薬と一般用医薬品の飲み合わせはこちら
インフルエンザの主な症状
主な初期症状 | 発熱・寒気・関節痛など |
---|---|
主な症状 | 頭痛・筋肉痛・関節痛・咳・喉の痛み・鼻水・倦怠感など |
感染可能期間 | 症状出現の1日前から解熱後2日程度まで |
診断方法 | 迅速抗原検査キットなど |
治療方法 | 抗インフルエンザ薬の服用・十分な休息をとって体を休める |
インフルエンザの症状は多岐にわたります。
一般的な風邪よりも症状が重くなりやすいので、適切な対処を心がけましょう。
インフルエンザの主な症状・継続期間
インフルエンザは感染から1~2日以内に急速に進行し、初期症状として突然の高熱が出ることが多く、38度以上の発熱がみられることが特徴です。
この高熱に伴い、全身に強い倦怠感を感じることが一般的で、頭痛・寒気・関節痛・筋肉痛なども生じやすくなります。
進行するにつれて、咳や喉の痛み、鼻水といった呼吸器症状が加わり、全身の症状がピークに達することが多いです。
症状の多くは通常1週間ほどで和らぎますが、咳や倦怠感がさらに数日続くケースもあります。
インフルエンザA型・B型の症状の違い
インフルエンザA型 | インフルエンザB型 |
---|---|
急激な高熱と強い倦怠感が現れ、広範囲で流行するのが特徴 | 比較的緩やかな発症が多く、人間のみに感染するのが特徴 |
インフルエンザA型は、急激な高熱と強い倦怠感が顕著で、頭痛や関節痛、筋肉痛も激しく出ることが多く、広範囲での流行が特徴です。
一方、B型は人間のみに感染し、比較的緩やかな発症が多く、人によっては消化器系の症状が現れることもあります。
B型の感染は局所的な流行に留まることが多く、症状はA型と同様ですがA型よりも軽度な場合もあります。
インフルエンザによる子どもと大人の症状の違い
インフルエンザにかかった場合、子どもは突然の高熱に加え、吐き気や下痢といった消化器症状が出ることがあります。
一方、大人は主に発熱・筋肉痛・関節痛などの全身症状が中心で、消化器症状は少ない傾向です。
とくに乳幼児や高齢者、妊娠中の方、慢性的な呼吸器疾患を持つ方は、重症化しやすいため注意しましょう。
インフルエンザの感染可能期間・診断・治療方法
インフルエンザは感染後、症状が出る1日前から他者にうつす可能性があり、熱が下がってから2日ほどは感染力が高いとされています。
診断は医療機関で行われる抗原検査キットが一般的で、迅速に感染の有無を確認できるのが特徴です。
治療には抗インフルエンザ薬「タミフル」の服用や、対症療法として十分な安静・休養をとるなどの方法があります。
インフルエンザと風邪の症状の違いは?
インフルエンザ | 一般的な風邪 | |
---|---|---|
主な症状 | 頭痛・筋肉痛・咳・喉の痛み・鼻水・倦怠感など | 鼻水、喉の痛み、咳、くしゃみなど |
発熱の有無 | 突発的に高熱が現れる | 発熱は軽度であることが多く、高熱が出ることは少ない |
悪寒の有無 | 悪寒を伴うことが一般的で、体全体に寒気を感じる | 悪寒はあまり見られず、主に喉の痛みや鼻水などの症状が中心 |
合併症 | 肺炎や中耳炎、急性呼吸器疾患などの合併症を引き起こすリスクが高い | 合併症のリスクは低く、通常は軽症で済むことが多い |
発病 | 突然発症し、症状が急速に進行することが多い | 徐々に症状が現れ、軽い不調から始まることが一般的 |
流行時期の目安 | 主に冬季に流行することが多い | 通年を通して感染が見られるが、冬季に増加する傾向がある |
インフルエンザと風邪はどちらも呼吸器系の感染症ですが、症状や重症度に大きな違いがあります。
インフルエンザは突然の高熱や筋肉痛を伴うことが多く、風邪は喉の痛みや鼻水、くしゃみなどが中心です。
現れる症状が似ている場合もありますが、インフルエンザのほうが症状の出方が強い傾向にあります。
また、インフルエンザは風邪に比べて合併症を引き起こす可能性があり、症状が重くなりやすいため注意が必要です。
インフルエンザと風邪の症状を見分けるポイント
インフルエンザと風邪を見分けるポイントは、症状の現れ方と重症度にあります。
インフルエンザは、急激な発症と高熱・激しい頭痛・関節痛が特徴です。
一方、風邪は徐々に進行し、喉の痛み・鼻水・軽い咳などが多くみられます。
ドラッグストアに風邪で来店したお客さまにインフルエンザの疑いがあった場合は、この一般的な見分け方を参考にし、早期の医療機関への受診を促すことが重要です。
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インフルエンザでも症状なし・軽症のケースもある?
インフルエンザは通常、風邪よりも症状が重いことが多いですが、体力や免疫力が高い人の場合は熱がそれほど上がらず、軽症で済むことがあります。
ただし、症状が軽い場合でも感染力は保持されているため、周囲への配慮が必要です。
ドラッグストアに風邪で来店されたお客さまの中にも、軽症のインフルエンザの方がいる可能性があります。
気づかないところで感染拡大してしまうことを防ぐため、気になる症状があった場合は医療機関への受診やマスクの使用など適切な助言を心がけましょう。
インフルエンザが疑われるお客さまに登録販売者ができること
登録販売者として、インフルエンザが疑われるお客さまにできることを確認しておきましょう。
事前に把握しておくことで、的確でスムーズな対応ができます。
お客さまの症状や状況を詳しくヒアリングする
第一に、お客さまの症状を詳しく伺うことが重要です。
インフルエンザの初期症状は風邪と似ているため、発熱や関節痛、倦怠感などの具体的な症状を確認します。
また、症状がいつから始まったか、ほかにどのような症状があるかも尋ねることで、より正確な情報を得られます。
必要な対応を適切に行うための基礎情報を集め、感染の可能性も考慮したアドバイスを心がけましょう。
【接客・お声がけの例】
- 熱や体の痛みについてお聞きしてもよろしいでしょうか?
- お客さまの症状がいつから始まったか、教えていただけますか?
- ほかに気になる症状やご不安な点はありますか?
インフルエンザの疑いが高い場合は受診推奨をする
ヒアリングを行い、明らかに風邪ではないと思われるお客さまや、すでに市販の風邪薬を服用しているにもかかわらず症状が改善しない場合には、医療機関の受診を促しましょう。
また、安易に一般用医薬品を勧めないように注意が必要です。
適切なタイミングで受診することで、症状の悪化を防げます。
早期の診断と治療が回復を早め、合併症のリスクを減らすため、重要な点をお伝えしましょう。
【インフルエンザの疑いが高いケース例】
- 突発的な高熱
- 咳や鼻水などの風邪症状に加え、だるさ・筋肉痛・関節痛などの全身症状が強い
- 市販の風邪薬を服用しても症状が改善されない など
インフルエンザ検査キットのご案内も視野に入れる
受診を推奨したうえで、医療機関の受診が難しい場合や都合が合わないお客さまには、インフルエンザ検査キットについてご案内することも視野に入れましょう。
お客さまの状況や症状の程度に応じて、検査キットをひとつの案としてご提案してみてください。
ただし、検査キットは医療機関での診断を代替するものではないため、結果にかかわらず症状が続く場合は必ず受診を勧めることが大切です。
適切なサポートを提供することで、お客さまの不安を軽減し、医療機関へのアクセスを促進しましょう。
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インフルエンザの薬と一般用医薬品の飲み合わせ【登録販売者向け】
インフルエンザの薬と一般用医薬品は、飲み合わせに注意が必要な場合があります。
予期せぬ副作用を防ぐために、しっかり把握しておきましょう。
インフルエンザ治療薬と飲み合わせの悪い一般用医薬品
- ロキソプロフェン
- イブプロフェン
- アスピリン
登録販売者が扱う第2類・第3類一般用医薬品のうち、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む解熱鎮痛薬の販売にはとくに注意が必要です。
また、NSAIDsの一部は、小児においてインフルエンザ脳炎・脳症を引き起こすリスクが指摘されているため、販売を控えましょう。
接客する際は、お客さまの症状や服用中の薬剤についてしっかりと確認することが重要です。
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一般用医薬品を販売するときの注意事項
- いつ頃からどんな症状が出ているのかを確認する
- 既往歴やアレルギー歴を確認する
- 用法・用量を丁寧に説明する
- 必要に応じて医療機関への受診を勧奨する
一般用医薬品を販売する際には、まずお客さまの症状や既往歴をしっかりとヒアリングしましょう。
とくに、現在服用中の薬やアレルギー歴については必ず確認し、相互作用やアレルギー反応のリスクを回避することが重要です。
医薬品の用法・用量についても丁寧に説明し、誤用を防ぐための注意喚起を行うことが求められます。
なお、インフルエンザの疑いがある場合には、むやみに一般用医薬品を勧めず、医療機関の受診を推奨しましょう。
【接客・お声がけの例】
- 症状はいつ頃から出ていますか?
- どんな症状がおつらいですか?
- 現在、ほかに飲んでいる薬はありますか?
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インフルエンザ予防や健康管理のアドバイス【登録販売者向け】
- 手洗い・うがいを徹底する
- 予防接種を受ける
- バランスの取れた食事を心がける
- 十分な睡眠・休養を心がける
インフルエンザの流行時期には、登録販売者として医療機関への受診推奨や医薬品販売以外にもできることがあります。
まず、予防として感染を防ぐための手洗いやうがいを徹底することが重要です。
また、可能な限り予防接種を受けることも推奨されます。
日常生活においては、免疫力を落とさないよう、バランスの取れた食事・十分な睡眠・適切な休養を心がけましょう。
さらに、厚生労働省で発信しているインフルエンザ対策に関する情報を参考にすることで、お客さまへの有益なアドバイスが可能です。
登録販売者として、お客さまの健康維持をサポートする役割を果たすことを常に意識しましょう。
参考:厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」
インフルエンザへの理解を深めてご案内時に備えよう
インフルエンザは身近な感染症ですが、その症状や影響は個人によって異なります。
登録販売者として、丁寧なヒアリングを通じてお客さまの状態を理解し、適切な対応をすることが大切です。
また、感染予防のアドバイスや生活習慣の見直しを提案することで、健康維持をサポートしましょう。
お客さまの安心と健康に寄り添い、信頼関係を築くことが登録販売者の役割ということを覚えておきましょう。
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【執筆者】
チアジョブ登販編集部
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