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2024-12-20
痛み止めは飲みすぎで効かなくなる?お客さまへのご案内方法や頭痛・生理痛時の使い方を登録販売者向けに解説
・Before
・After
頭痛や生理痛のときに使える「痛み止め」は、飲みすぎると効果が出にくい、副作用のリスクが高まるなどの危険性があります。今回の記事では登録販売者向けに、痛み止めの正しい使い方やお客さまにご案内・アドバイスするときのコツをご紹介。痛み止めの飲みすぎで起こる症状についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
頭痛や生理痛に使う「痛み止め」の基礎知識
まずは「痛み止め」に関する基礎知識を解説します。
すでに勉強された登録販売者の方も、改めて確認しておきましょう。
一般的な痛み止めの種類
痛み止めにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる有効成分が含まれています。
代表的な有効成分は、「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」「ロキソプロフェン」などです。
アセトアミノフェンは比較的副作用が少なく、頭痛や生理痛などに幅広く用いられています。
イブプロフェンやロキソプロフェンなどは「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」に分類され、抗炎症作用によって炎症を伴う痛みに効果が期待できます。
ただし、一般用医薬品のNSAIDsは、15歳未満の小児に使用できないものが多いです。
症状が出ているのが小児の場合は、受診を勧めるかアセトアミノフェンを含む痛み止めをご案内しましょう。
【代表的な痛み止めの成分】
痛み止めの成分名 | 期待できる効果 | NSAIDsへの該当 |
---|---|---|
アセトアミノフェン | 解熱・鎮痛 | × |
イブプロフェン | 解熱・鎮痛・抗炎症 | ◯ |
ロキソプロフェン | ◯ | |
アスピリン(アセチルサリチル酸) | ◯ |
痛み止めの飲みすぎによって起こる主な症状・リスクはこちら
痛み止めの飲みすぎで薬が効かなくなる?詳しくはこちら
痛み止めが作用するメカニズム
痛みは、体内で「プロスタグランジン」という物質が産生されて起こる症状です。
アセトアミノフェンは脳の中枢系に働きかけ、「プロスタグランジン」を作り出す酵素を阻害して痛みを和らげます。
一方で、イブプロフェンやロキソプロフェンは、体内の炎症が起きた部位で「プロスタグランジン」の産生を抑えて痛みを軽減。
痛み止めとしての効果は使用者によって感じ方が異なりますが、基本的にはNSAIDsのほうが優れているといわれています。
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NSAIDsにあたる痛み止めはとくに注意が必要
痛み止めに配合される成分のうち、イブプロフェンやロキソプロフェンなどのNSAIDsはとくに注意が必要です。
高い効果が期待できる半面、過剰に摂取すると副作用が強く出ることがあります。
長期間にわたり頻繁に服用する場合は、身体への負担が大きくなりやすいため要注意です。
痛み止めの飲みすぎで起こる主な症状・リスク
痛み止めを飲みすぎると、さまざまなリスクがあります。
「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」を含む医薬品はとくに注意が必要なため、しっかり確認しておきましょう。
消化器症状
痛み止めの飲みすぎは、消化器に大きな影響を与えることがあります。
NSAIDsは胃や腸の粘膜を刺激しやすく、胃痛や胃潰瘍、腸炎などの症状を引き起こす可能性があるため、お客さまにご案内する際は注意しましょう。
また、長期間の使用で消化器症状が悪化するリスクが高まります。
少しでも異変を感じた場合は、すぐに使用を中止するよう説明をしてください。
消化器症状を予防するには「スクラルファート」などの胃粘膜保護成分が配合された痛み止めを選んだり、空腹時を避けて食後に服用したりするといった工夫を勧めましょう。
薬物乱用頭痛
痛み止めを1カ月あたり10〜15日ほど服用することを3カ月以上続けていて、なおかつ月に15日以上頭痛を起こした場合、「薬物乱用頭痛」に該当すると考えられています。
通常は、片頭痛や緊張型頭痛のある方にみられやすい症状です。
「痛み止めを服用しているのに頭痛が悪化する」というお客さまには、ただちに使用を中止して医療機関を受診するようご案内しましょう。
まれに起こるその他の副作用
痛み止めの使用により、ごくまれにアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が発生することがあります。
重篤な副作用が起こる割合は少ないですが、発症すると命に関わる可能性があるため、お客さまに痛み止めをご案内する際は注意が必要です。
【登録販売者向け】頭痛や生理痛時の正しい痛み止めの使い方はこちら
【登録販売者にできること】痛み止めの飲みすぎや症状に悩むお客さまへの対応はこちら
痛み止めの飲みすぎで薬が効かなくなる?
痛み止めは大変便利ですが、飲みすぎると効果が得られなくなる場合があります。
以下で詳しく解説するため、参考にしてください。
長期間飲み続けると痛み止めが効かなくなる可能性がある
同じ成分の痛み止めを長期間にわたって使用し続けると、身体が薬に慣れて効果が薄まってしまうことがあります。
これは「耐性」と呼ばれる現象で、とくに痛み止めの使用において注意が必要です。
一度耐性がつくと同じ量の痛み止めでは効果が感じられなくなり、さらに多くの量を必要としてしまうケースもあります。
結果、痛み止めの過剰摂取によって副作用リスクが高まる危険性があるでしょう。
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生理痛時など短期間の使用であれば耐性はつきにくい
生理痛に対して痛み止めを使用する方も多いのではないでしょうか。
生理痛のときだけ短期間で正しく使用していれば、耐性がつくケースは少ないです。
ただし、体質によっては効きづらくなる場合もあります。
長期間にわたって同じ痛み止めを使い続けることには注意しましょう。
痛み止めが効かない理由は「飲みすぎ」とは限らない
- 服用中の薬が合わない
- 飲むタイミングがずれている
- 別の疾患が原因で痛みがある
痛み止めが効かない理由はさまざまで、個々の体質や健康状態による影響が大きいです。
痛み止めを飲むタイミングを見誤ると、正しい用法用量でも効果が得られない可能性があります。
基本的には、痛みが強くなる前に服用すると効果的です。
また、薬の成分が合わないケースや、別の疾患が原因として隠れているケースもあります。
痛み止めを正しく使用しているのに効果が得られないお客さまには、医療機関を受診して相談することをご案内しましょう。
頭痛や生理痛時の正しい痛み止めの使い方【登録販売者向け】
痛み止めを効果的に使用するためには、服用の仕方に注意する必要があります。
登録販売者として、正しい知識を身につけておきましょう。
医薬品ごとに用法用量を守って使う
用法用量は痛み止めの種類ごとに決まっているため、必ず添付文書の指示に従ってください。
登録販売者として、お客さまには痛み止めの飲みすぎによるリスクを防ぐために用法用量を守って使っていただくようご案内しましょう。
なお、一般的な鎮痛薬は4〜6時間ほど鎮痛効果の持続が期待できるといわれています。
追加で服用する場合も、4〜6時間ほど間隔を空けて服用するよう勧めましょう。
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痛み止めを飲むタイミングに気をつける
鎮痛効果を得るためには、痛み止めを飲むタイミングも非常に重要です。
痛みが強くなってから飲むのではなく、痛みが出始めた段階で早めに服用するようご説明しましょう。
ただし、痛みを感じる前の「予防的」に使うことは、飲みすぎにつながる可能性があるためNGです。
日頃から痛み止めを服用しているお客さまなどには、予防的な使用を控えるようご案内しましょう。
空腹時の服用は控える
痛み止めの種類によっては、空腹時に服用すると胃に負担がかかることがあります。
とくにNSAIDsは、胃腸への刺激が強いため食後に服用するようご案内しましょう。
市販の痛み止めの中には胃を保護する成分が含まれたものもあるため、お客さまにご案内する際は要チェックです。
日頃からパッケージをよく見て、配合成分の違いを覚えておくとスムーズな接客につながります。
【登録販売者にできること】痛み止めの飲みすぎや症状に悩むお客さまへ
登録販売者として、お悩みを抱えたお客さまに対して適切な対応をできるように心がけましょう。
接客のコツをいくつか解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
お客さまの症状や困りごとを丁寧にヒアリングする
まずはお客さまのお話をよく聞き、症状や困りごとを把握することが重要です。
「痛み止めを購入しようとする理由」や「現在の症状・痛みの程度」、「服用中の医薬品」などを詳しくヒアリングしましょう。
お客さまがどのような状況で薬を使用しているのかを理解することで、より適切なアドバイスを提供できます。
【お客さまの症状や悩みを聞き出すときに使える接客フレーズ】
- 「痛みはいつ頃から、どれくらい続いていますか?」
- →一時的な症状か慢性的な症状かで対処が変わる
- 「痛みを10段階で表すとどのくらいですか?」
- →痛みの程度が8〜10だと緊急を要するという目安になる
- 「医薬品を使用するのはどなたでしょうか?」
- →「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」は小児に使用できないものが多い
痛み止めの飲みすぎによる症状やリスクを説明する
お客さまの相談を受けて、痛み止めの飲みすぎが考えられる場合、飲みすぎによる症状やリスクを説明しましょう。
薬物乱用頭痛や消化器症状、そのほかの重篤な副作用などについても説明し、正しく理解していただくことが重要です。
痛み止めの過剰摂取が長期間続くと、薬の効果が薄れるだけでなく身体に負担がかかります。
痛み止めの飲みすぎで起こる症状やリスクは、登録販売者の適切なアドバイスで予防できるため、しっかりと把握しておきましょう。
痛み止めを飲む以外で健康に役立つアドバイスをする
一般用医薬品の販売だけでなく、健康相談を行うことも登録販売者の重要な役割です。
痛み止めはあくまでも対症療法であるため、薬を飲む以外に食事の工夫やストレッチを取り入れるといった行動も大切。
生活習慣の見直しやストレスの管理、適切な運動、バランスのとれた食事など、健康に役立つ方法をお客さまに提案しましょう。
ただし、片頭痛のように身体を温めると悪化するケースもあるため、正しい知識を身につけることが重要です。
・頭痛でお悩みのお客さまへのアドバイス
- 安静にする
- 首まわりの体操をする
- 水分を補給する
頭痛の原因はさまざまなため、対処が難しい症状のひとつです。
まずは静かな部屋で安静にし、身体を休めるようにアドバイスしましょう。
片頭痛の場合は頭痛がする部分を冷やす、緊張型頭痛の場合は温める方法も効果が期待できます。
・生理痛でお悩みのお客さまへのアドバイス
- 身体を温める
- ストレッチをする
- リラックスする
生理痛の場合は、温かい飲み物を飲んだり腹巻きで腹部を保護して身体を温めたりすると効果的です。
血行がよくなって筋肉がほぐれると、痛みが和らぐことが多いでしょう。
また、生理痛はメンタルへの影響も大きいため、ストレッチやアロマなどでリラックスするのもおすすめです。
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痛みが続く場合は医療機関への受診を勧める
痛み止めを正しく服用しても痛みが続く場合は、ほかに別の原因があるケースもあります。
自己判断で薬を飲み続けず、医療機関を受診するように勧めましょう。
頭痛や生理痛が長期間続く場合は、専門医の診察を続けることで適切な治療を受けられます。
お客さまには、痛みが続く場合は医師の診察を受けるようにアドバイスしてください。
一般用医薬品はあくまでも症状を和らげるためのものであり、根本的な原因を治療することはできません。
登録販売者として、適切なアドバイスを心がけましょう。
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痛み止めは飲みすぎ注意!用法用量を守って正しく使いましょう
痛み止めは頭痛や生理痛など、日常生活の中で幅広く用いられます。
しかし、飲みすぎてしまうと薬が効かなくなったり、副作用リスクが高まったりする可能性があるため注意が必要です。
登録販売者としてお客さまに注意点をしっかり説明し、正しく使用できるようにアドバイスしましょう。
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【執筆者】
チアジョブ登販編集部
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