業界情報
2023-04-14
【2023年改正】登録販売者の管理者要件を解説!「実務経験1年以上」に緩和へ
・Before
・After
登録販売者の管理者要件が、2023年に一部改正されたことをご存知でしょうか?店舗管理者を目指す方はぜひ知っておきたい内容です。今回は、登録販売者の管理者要件の改正内容についてご紹介。改正による影響や管理者要件を満たす利点、必要な手続きについても解説しますので、キャリアアップを目指す登録販売者の方はぜひ参考にしてください。
【2023年改正】登録販売者の管理者要件とは
管理者要件とは、ドラッグストアや薬局の店舗管理者になるために必要な要件です。
一般用医薬品を店舗で販売するためには、「店舗管理者」という責任者を必ず1人配置する必要があります。
2023年、この管理者要件の一部が改正されることが決まりました。
具体的にどのような点が変更されるのか、詳しくご紹介します。
2023年の管理者要件の改正内容
登録販売者の管理者要件として、「現行の管理者要件」に新たに下記2つが追加されました。
1.(ア)(イ)(ウ)をすべて満たす場合
(ア)過去5年以内に通算して「1年以上」かつ「累計1,920 時間以上」の実務経験があること
(イ)継続研修の受講をしていること
(ウ)店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する「追加的な研修」を修了していること
2.(ア)(イ)をすべて満たす場合
(ア)通算して「1年以上」かつ「累計1,920 時間以上」の実務経験があること
(イ)過去に、店舗管理者等として就業した経験があること (*期間に規定なし)
※現行の管理者要件はこちら
参考:厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について(概要)」
※実際の文章をかみ砕いて記載しています。
大きな改正点は、実務経験の期間が「2年以上」から「1年以上」に引き下げられたことと、「追加的な研修の修了」が求められることです。
現行の登録販売者の管理者要件では、通算2年以上かつ累計1,920時間以上の実務経験が必要とあります。
「2年以上」という縛りがあるため、1,920時間を超えていても管理者要件を満たせない登録販売者が存在していました。
実務経験が1年以上に改正されることで、管理者要件を満たす登録販売者が増えることが予測されます。
また実務経験年数の引き下げに伴って、追加的な研修の受講が必要となりました。
追加的な研修は、薬局や店舗・区域において毎年度受講する「継続的研修」とは別のものです。
法規やコンプライアンスなどの基本的知識に関する講義や、販売現場でのコミュニケーションのワークなどを合計6時間以上実施します。
なお、改正後の法律は2023年3月31日に交付、2023年4月1日に施行されています。
1.直近の過去5年以内に「2年以上」かつ、「累計1,920時間以上」の実務経験があること
2.下記(ア)(イ)をすべて満たすこと
(ア)店舗管理者または区域管理者としての業務の経験があること
(イ)2009年6月1日以降に、通算して「2年以上」かつ「累計1,920時間以上」の実務経験があること
3.下記(ア)(イ)をすべて満たすこと
(ア)2009年6月1日以降に、通算して「5年以上」かつ「累計4,800時間以上」の実務・業務経験があること
(イ)省令に規定する研修と同等以上の研修を通算して「5年以上」受講していること
管理者要件の改正に至った背景
管理者要件改正の背景には、昨今店舗数を増やしている薬局やドラッグストアの人手不足問題があります。
事業を継続拡大し、ドラッグストアや薬局で働く「管理者要件を満たす登録販売者」を今まで以上に円滑に確保するために、管理者要件の改正が決定されました。
【2023年改正】登録販売者への影響
管理者要件が改正されると、登録販売者の日々の業務やキャリアにどのような影響があるのでしょうか。
考えられるメリット・デメリットを見ていきましょう。
管理者要件の改正によるメリット
管理者要件が改正されることで、より多くの登録販売者が早期にキャリアアップのチャンスをつかめるようになります。
たとえば、フルタイムで働く正社員の登録販売者であれば、1年以上勤務すれば管理者要件を満たす対象に。
プラスで追加的な研修を受ける必要はあるものの、登録販売者として今後キャリアアップしたい人にとっては、嬉しいメリットといえるでしょう。
管理者要件の改正によるデメリット
改正によって管理者要件を満たす敷居が下がるため、競争相手が増える可能性が高くなります。
もし、同じ店舗で管理者要件を満たす登録販売者が複数いる場合、店舗管理者になれるかどうかは本人の資質で採択される場合が多いでしょう。
また、実務経験が2年未満で管理者要件を満たした場合、薬の知識や接客業務の経験不足を感じる人が現れる可能性もあります。
ライバルに負けないよう知識を深めたり、経験不足を補うために学ぶ時間を設けたりなど、自分自身でキャリアアップする意識を持つことが大切です。
管理者要件を満たす利点とは?
・市場価値が上がる
管理者要件を満たすと、今後のキャリアの可能性が広がります。
登録販売者が管理者要件を満たす利点を見てみましょう。
管理者要件を満たすと店舗管理者になれる
管理者要件を満たす利点は、店舗管理者の役職に就ける可能性が高くなることです。
正式に店舗管理者になれば、ドラッグストアの店長として従業員や売上・在庫の管理といったマネジメント業務にも携われるようになります。
また、今までは管理者の指導のもとで行なっていた第2類・第3類医薬品の販売も、1人でできるように。
責任の大きいさまざまな仕事ができるため、業務の幅が広がるでしょう。
市場価値が上がる
管理者要件を満たすと業務の幅が広がるだけでなく、自身の市場価値を高める利点も。
管理者要件を満たすと、「登録販売者資格手当」の支給額アップを見込めるほか、「店舗管理者手当」が新たに支給される場合もあります。
企業によって金額は異なりますが、「店舗管理者手当」は、月1~2万円程度支給される場合が多いです。
アルバイトやパート勤務でも時給に上乗せされることが多いため、短時間勤務の方にもメリットがあります。
また登録販売者向けの求人を見てみると、管理者要件を満たす人向けの求人数の方が満たさない人向けの求人数よりも多く存在。
管理者要件を満たす登録販売者は即戦力となるため、業界全体として需要が高い傾向です。
高待遇の条件が用意されていることも多く、転職にも非常に有利だといえます。
管理者要件を満たしたあとの手続き
管理者要件を満たした際は、職場で「実務・業務従事証明書」を発行してもらいましょう。
実務・業務従事証明書とは、実務・業務経験が一定以上あり、管理者要件を満たしていることを証明する書類です。
勤務先の企業に必要事項を記入してもらい、勤務簿の写しなどとあわせて都道府県へ届け出ることで、店舗管理者として働けるようになります。
一連の手続きは企業側が行う場合が多いです。
なお書類は、各自治体のホームページからダウンロードして入手できます。
勤務先の店長に相談して用意してもらえることも。
手続きを一通り終えた後は、なくさないように大切に保管しましょう。
【+α】店舗管理者として活躍するために
・マネジメント能力を身につける
・商品や売り場づくりの知識を深める
・業務に役立つ資格を取得する
管理者要件を満たしたとしても、確実に店舗管理者になれる訳ではありません。
店舗管理者になれるかどうかは、本人の能力や知識なども深く関係します。
そのため、従業員を統括できるようマネジメント能力を身につけたり、商品や売場づくりに関わる知識を深めたりなど、スキルアップを図ることが重要です。
普段の接客業務に役立つ資格取得を目指すのもよいでしょう。
このような準備を行なっておけば、店舗管理者として一層活躍できます。
登録販売者の管理者要件についてよくあるQ&A
登録販売者の管理者要件に関する疑問点をまとめました。
管理者要件の改正や要件を満たすメリットについて、しっかりと確認しておきましょう。
Q.登録販売者の管理者要件とは?
一般用医薬品を取り扱うドラッグストアや薬局では、そのお店の責任者として「店舗管理者」を1人配置することが定められています。
登録販売者が店舗管理者になるためには、一定の実務経験などで構成される管理者要件を満たす必要があります。
Q.管理者要件はいつから緩和される?
現行の管理者要件で大きく変わる点は、実務経験が2年以上から「1年以上」に引き下げられることと、「追加的な研修の修了」が必要になることです。
Q.登録販売者の管理者要件は過去にも改正された?
管理者要件は、過去にも以下のように段階的に改正されてきました。
・直近過去5年以内に、2年以上かつ累計1,920時間以上の経験がある
【2021年8月】
(1)①②をすべて満たす
①店舗管理者または区域管理者としての業務の経験がある
②2009年6月1日以降に、通算して「2年以上」かつ「累計1,920時間以上」の実務経験がある
(2)下記①②をすべて満たす
①2009年6月1日以降に、通算して「5年以上」かつ「累計4,800時間以上」の実務・業務経験がある
②省令に規定する研修と同等以上の研修を通算して「5年以上」受講している
Q.管理者要件を満たすメリットは?
登録販売者が管理者要件を満たすメリットは、主に次の4つです。
②店舗管理者になって店舗の運営に携われる
③手当がついて年収が上がる
④市場価値が高まりキャリアアップを目指せる
管理者要件を満たすことで、携われる業務の幅が広がり、店舗を取りまとめる店舗管理者になれる可能性が高くなります。
Q.管理者要件を満たしていることを証明するには?
実務・業務従事証明書の書式は、各都道府県のホームページから入手可能です。
勤務先の企業に必要事項を記入してもらい、勤務簿の写しなどの書類と一緒に都道府県に届け出を行うことで、店舗管理者として働けるようになります。
管理者要件を満たしてキャリアアップを目指そう
2023年の管理者要件改正によって、より多くの登録販売者がキャリアアップを目指しやすくなると考えられます。
しかし、同時にライバルが増える可能性も高くなるでしょう。
店舗管理者になるためには、ただ管理者要件を満たすだけでなく、自身で知識やスキルを高める意識を持つことも重要です。
管理者要件の改正について正しい情報を持って、登録販売者として着実にキャリアアップを目指しましょう。
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