登録販売者の働き方
2024-10-04
調剤薬局で働く登録販売者の仕事とは?実務経験が積めるかや調剤薬局事務についても解説
・Before
・After
登録販売者の就職先の一つとして、調剤薬局があります。調剤薬局は医療用医薬品の調剤や服薬指導をメインにしており、薬剤師が主となって働いていることなどから、ドラッグストアなどの小売店とは業務内容が大きく異なります。今回は、登録販売者が調剤薬局に就職した場合の業務内容に焦点を当て、実務経験を積んで登録販売者としてのキャリアを継続していきたい方が転職を検討する際に考えるべき注意点を解説します。
調剤薬局とはどんなところ?登録販売者の役割は?
まず、調剤薬局の職場としての特徴と、調剤薬局で働く登録販売者が担う業務内容について解説します。
調剤薬局はどんなところ?
調剤薬局とは、医師の処方せんにもとづき、薬剤師が調剤した薬を患者さまに提供する医療機関です。
調剤薬局で扱うのは、主に医療用医薬品(医師の処方がなければ患者さまに供給できない医薬品)で、なかには一般用医薬品(第1類~第3類医薬品)や「要指導医薬品」を販売している店舗もあります。
要指導医薬品とは、医療用医薬品に準ずる医薬品です。
副作用などのリスクが高いものや、医療用から一般用に転換(スイッチ)した直後のリスクが確立していないものなどが該当します。
要指導医薬品は取り扱いに注意が必要なため、「薬剤師が対面で指導すること」や「文書での情報提供」が義務となっています。
調剤薬局の店舗数が増加している背景
調剤薬局の店舗数は、2022年度末の時点で全国に62,375店舗以上あり、コンビニエンスストアよりも店舗数が多くなっています。
調剤薬局の需要が高まった背景には、「診察や治療は医師や歯科医師が行い、処方せんにもとづく調剤は薬剤師が対応する」という医薬分業の考えが定着したことがあります。
医薬分業は、患者・医療機関・調剤薬局の三者ともにメリットのある制度です。
患者側のメリット | ・調剤の待ち時間の短縮 ・かかりつけ薬局をもつことで、より安全に薬を服用できる など |
医療機関側のメリット | ・医薬品の購入費や備蓄在庫の削減 ・診療請求事務作業の軽減 ・薬剤師削減による人件費の抑制 など |
調剤薬局側のメリット | ・薬剤師の専門知識を活かす業務の推進 ・処方内容のチェックや薬歴管理による副作用の防止 など |
▼参考サイトはコチラ
令和4年度衛生行政報告例の概況
登録販売者の職場としての調剤薬局
調剤薬局は、登録販売者が資格を活かして働ける職場の一つです。
調剤薬局では、処方せんを基に調剤する業務を薬剤師が担い、登録販売者が窓口での受付業務や薬局内にある第2類・第3類医薬品の販売・情報提供などを行います。
登録販売者は、レセプト(調剤報酬明細書)作成など調剤事務の作業を担うこともあります。
調剤事務の仕事内容について、次で詳しく見ていきましょう。

調剤薬局で登録販売者が担う「調剤薬局事務」の仕事
次は、調剤薬局で登録販売者が担う可能性のある「調剤薬局事務」の主な仕事内容について説明します。
「登録販売者」と「調剤薬局事務」の違い
まず、登録販売者と調剤薬局事務の仕事内容には、次のような違いがあります。
仕事内容 | 資格の有無 | |
登録販売者 | ・医薬品の販売 ・医薬品の情報提供や相談対応 | 必須 |
調剤薬局事務 | ・処方せんの受付 ・レセコンへの入力業務 ・レセプト作成 ・調剤報酬の計算、請求 ・患者さまの会計 など | 必須ではない |
登録販売者の一般的な仕事内容や、薬剤師との違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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登録販売者とは?仕事内容や薬剤師との違いについて解説
調剤薬局事務の主な仕事内容
調剤薬局事務の主な仕事内容は、次の通りです。
- 処方せんの受付
- レセコンへの入力業務
- レセプト作成
- 調剤報酬の計算、請求
- 患者さまの会計 など
店舗によっては、日報や報告書の作成、薬の発注・点検・入庫作業、調剤の補助業務などを任されることもあります。
そのほか、薬局内の掃除や電話対応など、一般的な事務業務も担います。
調剤薬局事務の大変なところ
調剤薬局事務で最も大変なのは、医療保険制度を十分に理解し、レセプト業務をミスなく行うことです。
「レセプト」とは「診療報酬明細書」のことで、レセプト業務は健康保険の保険者に診療報酬(診療にかかった費用)を請求する業務を指します。
レセプト業務の主な流れは、以下の通りです。
- 処方箋内容をレセプトコンピュータ(レセコン)に入力
- レセプトを作成
- レセプトの内容をチェック
- レセプトを審査支払機関(国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金など)に提出
処方箋内容の入力は、調剤報酬に関する細かなルールを理解しなければなりません。
また、パソコンに入力するため、タイピングスキルが問われます。
レセプト内容のチェックは日々行いますが、入力ミスや不備があると審査支払機関からの報酬が支払われなくなってしまうので、念入りに確認する必要があります。
そして、レセプトは月初めに前月1か月分をまとめて提出しますが、提出期間が月初の数日間に限られているため、月末月初は残業せざるを得ないこともあります。
また、患者さまからのクレームがあれば対応しなくてはなりません。
処方せんの内容や調剤に関するクレームには薬剤師が対応することが多いですが、「待ち時間が長い」といったクレームであれば調剤薬局事務が対応するケースもあります。
調剤薬局で登録販売者の実務経験は積めるのか
調剤薬局での勤務が実務経験としてカウントされるかどうかは、店舗によって対応が変わってきます。
たとえば、取り扱っている一般用医薬品の品目数などが要因の一つとしてあげられます。
取り扱い品目数が少ない店舗では、勤務時間が長くても実務経験を積めないことがあるのです。
調剤薬局での就業を検討する際は、実務経験が積める職場かどうかを事前に確認しておきましょう。
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【2024年】登録販売者に求められる実務経験は?管理者要件を満たす方法を解説



調剤薬局で働く登録販売者の給料・平均年収は?
調剤薬局で正社員として働く場合、平均月収は18万~34万円程度です。
ドラッグストアと比較すると、やや下がる傾向にあります。
アルバイトやパート、契約社員であれば、給与水準はドラッグストアと比較してそれほど変わりません。
登録販売者の給与水準については、以下の記事で詳しく解説しています。
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登録販売者の給料・年収は?働き方や職場別の金額と給料アップのポイント
調剤薬局だけじゃない!登録販売者の活躍の場
調剤薬局は医薬品の販売に広く携われる魅力的な職場ですが、そのほかにも登録販売者が活躍できる職場はあります。
ドラッグストア
登録販売者の活躍の場として、真っ先にあげられるのがドラッグストアです。
ドラッグストアでは、第2類・第3類医薬品の販売や、医薬品を購入するお客さまへの適切な情報提供・相談対応などの業務を担当します。
そのほか、品出しやレジ打ちなどの業務もこなす必要があります。
近年、国内におけるドラッグストア業界全体の売上高は9兆円を超えるなど、堅実な成長を見せており、将来性のある職場と言えるでしょう。
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ドラッグストアで働く登録販売者の仕事は?求められるスキルや1日のスケジュールも解説!
ホームセンターや家電量販店
ホームセンターや家電量販店の医薬品コーナーも、登録販売者の資格を活かして働ける職場です。
医薬品以外の取り扱い商品が多いため、幅広い商品知識が必要な場合もあります。
スーパーマーケットの医薬品コーナー
医薬品コーナーのあるスーパーマーケットは、経営が安定している大手企業が多く、安心して働けます。
医薬品とは関係のない部署に異動を命じられることもあるので、異動の有無については注意が必要です。
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアでは、医薬品コーナーの販売業務だけではなく、掃除や品出しなどのコンビニの運営業務も行います。
営業時間が24時間と長いため勤務時間を選びやすいのがメリットですが、深夜や早朝の勤務を求められる可能性がある点には注意が必要です。
通信販売会社(ECショップ/ネット通販)・コールセンター
近年、医薬品の宅配サービスの需要が高まってきている背景もあり、OTC医薬品販売ができる存在としてコールセンターやECショップ(ネット販売事業者)においても登録販売者の需要が増えてきています。
コールセンターであれば、非対面の環境で、電話での会話を通して適切に医薬品情報の提供を行う必要があるため、高いコミュニケーション能力が求められます。
OTC医薬品のカウンセリングなどに携われる時間が長い傾向にあり、しっかり経験を積みたい方に人気の職場です。
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一般医薬品のネット販売上のルールと登録販売者の対応について解説
登録販売者が働ける職場については、次の記事でも詳しく解説しています。
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登録販売者が活躍できるドラッグストア以外の職場とは?
調剤薬局への転職では実務経験が積めるかに注意
調剤薬局は、登録販売者の資格を活かせる職場の一つです。
ただしメインの業務が一般用医薬品の販売ではないため、長期間勤務しても実務経験を積めない場合もあります。
登録販売者としてのキャリアを積んでいきたい場合には、調剤薬局への転職を検討する際に、実務経験を積める業務内容かどうかをしっかりと確認しましょう。
また、実際に就業してみて調剤薬局事務での働き方が合わないと感じるときには、他の職種に目を向けるのも一つの方法です。
最近は、ドラッグストア以外にも、スーパーマーケットやコンビニ、ECショップの運営など、登録販売者の活躍の場は広がっています。
それぞれの職場のメリットとデメリットを把握したうえで、ご自身の希望する働き方を照らし合わせて、就職先・転職先を検討してみてください。
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