登録販売者の働き方
2025-11-07
登録販売者の資格・仕事がなくなる?不安の理由から将来性まで解説
・Before
・After

「登録販売者の仕事は将来必要なくなるのでは?」と不安に感じる方もいるでしょう。ネット上では資格の廃止や需要低下といった声も見かけますが、実際はどうなのでしょうか。本記事では、こうした不安が生まれた背景や資格の現状について解説します。登録販売者として将来的に活躍するためのポイントも紹介するので、登録販売者として今後も活躍していきたい方はぜひ参考にしてください。
登録販売者の資格・仕事は今後もなくならない

「登録販売者の資格が廃止される」「いずれ仕事がなくなるのでは」といった声を目にすることがありますが、こうした噂に根拠はなく、現時点で資格制度が廃止されるといった発表は一切ありません。
むしろ、少子高齢化の進行やセルフメディケーションの推進により、一般用医薬品の役割は今後も重要になると考えられています。
こうした背景からも、登録販売者はこれからも社会に必要とされる存在と言えるでしょう。
登録販売者の資格や仕事がなくなるといわれる3つの背景
登録販売者の資格や仕事が「いずれなくなるのでは」といわれる理由は、大きく上記3点があげられます。
2分の1ルールの廃止により需要が減ると考える声、資格に有効期限があるという誤解、そして薬剤師と比べて需要が低いという不安です。
しかし、いずれも事実とは異なる部分が多いので、正確な情報を把握することが大切です。
【誤解①】2分の1ルール廃止で登録販売者がいらなくなる
2分の1ルールが廃止されても、登録販売者は必要です。
ここでは、2分の1ルールの概要と廃止が登録販売者に与える影響について解説します。
2分の1ルールとは
医薬品を取り扱う事業者が増加するなか、とくに24時間営業の店舗などで2分の1ルールを満たすことが難しい事業者も出てきました。
そのため、日本フランチャイズチェーン協会が規制緩和を要望し、2021年8月に厚生労働省がこのルールの撤廃を決定しています。
コンビニエンスストアや家電量販店、ホームセンターなどでも一般用医薬品の取扱いが広がり、消費者の利便性向上につながりました。
2分の1ルール廃止が登録販売者に与える影響
2分の1ルールの廃止を受けて、「登録販売者の仕事が減るのでは」と不安に感じる声も一部でみられました。
たしかに、営業時間中に常駐しなければならないという制限が緩和されたことで、店舗によっては勤務時間が短縮される可能性もあります。
しかし、登録販売者や薬剤師がいなければOTC医薬品の販売はできない点は変わっておらず、資格の必要性は今も揺らいでいません。
むしろ、規制緩和によりコンビニや家電量販店などでも一般用医薬品を扱えるようになり、登録販売者が活躍できる場は広がっていると言えるでしょう。
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OTC医薬品の「2分の1ルール」撤廃!登録販売者の活躍の場は広がる?
【誤解②】登録販売者の資格に有効期限がある
「登録販売者の資格には有効期限がある」と誤解されることがありますが、実際には一度取得をすれば資格自体が失効することはなく、更新手続きも不要です。
ただし、店舗管理者や管理代行者として勤務するためには、実務経験などの条件を満たした「管理者要件を満たす登録販売者」である必要があります。
この点が混同され、誤解を招いているケースが多いです。
管理者要件を満たすために必要な実務経験
②過去5年以内に2年(累計1,920時間)以上の業務・実務経験がある
③過去5年以内に2年(累計1,920時間)以上の業務・実務経験と、店舗管理者や区域管理者としての経験がある(※)
参考:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」
※2009年6月1日以降の従事経験
管理者要件とは、自分1人で第2類や第3類のOTC医薬品を販売するために必要な要件です。
登録販売者が単独で第2類・第3類のOTC医薬品を販売するには、「管理者要件」を満たす必要があります。
管理者要件は2023年4月、上記のように改正されました。
たとえば、過去5年以内に1〜2年以上(累計1,920時間以上)の実務経験があることや、継続研修・追加的研修の修了、店舗管理経験などが求められるようになっています。
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【2025年】登録販売者に求められる実務経験は?管理者要件を満たす方法を解説
登録販売者としてブランクがあるときの注意点
登録販売者の資格は一度取得をすれば失効しませんが、ブランクには注意が必要です。
実務経験を積んでいる途中で退職し、ブランクが4年以上ある場合、退職前の実務経験が管理者要件の対象から除外される可能性があります。
その場合、再び研修中の立場からスタートしなければなりません。
長期間離職していた人は、復職前に自分の実務経験が有効かどうかを確認しておきましょう。
【注意すべきポイント】
- ブランクが4年以上ある
- 実務経験を積んでいる途中で退職した
- 継続研修・追加的研修を受けていない
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登録販売者資格はブランクがあるとなくなる?再就職の注意点と成功の秘訣
【誤解③】薬剤師に比べて登録販売者の需要が低い
薬剤師はすべての医薬品の販売・調剤に対応できるため、登録販売者より上位の資格だと思われがちですが、役割は明確に分かれています。
登録販売者の資格は、薬剤師が不在でも一般用医薬品を販売できるようにするために創設されました。
近年は薬剤師の人手不足や業務負担の増加もあり、登録販売者が果たす役割は非常に重要です。
業務範囲は限定されますが、需要が低いわけではありません。
登録販売者の資格が今後も必要とされる5つの理由

登録販売者の資格が今後も必要とされる理由はさまざまあります。
登録販売者が必要とされる理由を理解して、自信をもって働きましょう。
今後もOTC医薬品の販売には登録販売者が必要
2分の1ルールが廃止されても、OTC医薬品を販売するために薬剤師や登録販売者が必要であることは変わりません。
登録販売者や薬剤師がいない時間は薬の販売はできないため、医薬品の販売時間を変えない店舗では、就業時間の変更もないでしょう。
また、健康意識の高まりや高齢化などにより、OTC医薬品市場も安定的に拡大しているため、今後もますます登録販売者は必要になると考えられています。
2分の1ルール廃止により就職先が拡大
2分の1ルールを廃止することにより、登録販売者の就職先は拡大することが考えられます。
今後はコンビニエンスストアやホームセンターなど、ドラッグストア以外の就職先が増加することが予測されており、登録販売者の需要は高まるでしょう。
しかし、売り場面積の少ないコンビニエンスストアなどではネット販売に力を注ぐ可能性があり、実店舗での就業時間が短縮されることも予想されます。
また、消費者のニーズに合わせ、医薬品の販売時間を絞る店舗が出てくる可能性も。
今後は、働き方や雇用形態が変化することが予想されるため、柔軟に対応しましょう。
- ほかの医薬品販売店舗が開いていない夜間や早朝
- 病院が休みである土日祝日のみ
- オフィス街での昼休みの時間帯のみ など
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登録販売者が活躍できるドラッグストア以外の就職先とは?
セルフメディケーションの推進
国を挙げて、セルフメディケーションの推進をしています。
これにより、OTC医薬品を販売できる登録販売者の需要増加が期待されています。
自分の症状に合った医薬品を選ぶためには、薬剤師や登録販売者などの専門知識を有する者のアドバイスが必要です。
今後、登録販売者には、さらなるコミュニケーション能力や的確にアドバイスするための専門性などが求められるでしょう。
【参考】セルフメディケーションとは
厚生労働省は、健康の維持増進や疾病の予防に個人が取り組むことを推進。2017年にセルフメディケーション税制(OTC医薬品の購入にあたり、所得控除を受けられる制度)を導入しました。
地域包括ケアシステムによる需要増加
地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で最後まで自分らしい暮らしを続けられるように地域一帯で包括的な支援やサービスを提供するシステムです。
高齢化により、医療や介護の需要が高まることが予想されるため、厚生労働省はこのシステム構築を推進しています。
地域包括ケアシステムにおいて、登録販売者は、高齢者が気軽に健康やセルフメディケーションの相談ができる窓口としての役割が期待されています。
システムの構築により、今後もますます登録販売者の需要が拡大するでしょう。
遠隔管理販売でもリモートワークで対応可能
2025年5月、薬剤師や登録販売者が常駐していない店舗でも、有資格者による遠隔管理下での一般用医薬品の販売を可能とする「改正薬機法」が可決されました。
実際に改正薬機法が施行されるまでの期間は、公布後2年以内とされています。
遠隔管理販売が実現すれば、実店舗に在籍する必要は減少するかもしれませんが、リモートワークでの対応は発生するでしょう。
現在と働き方が変わっても、医薬品販売には薬剤師や登録販売者が引き続き必要です。
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一般医薬品のネット販売上のルールと登録販売者の対応について解説

登録販売者として将来的に活躍するために

登録販売者として将来的に活躍するためには、持っているスキルや資格が大切になってきます。
以下で詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
常に知識をアップデートする
登録販売者として長く活躍するためには、常に知識をアップデートする姿勢が欠かせません。
医薬品に関する法令や制度は年々見直され、新しい成分や商品も次々と登場しています。
一度得た知識に満足するのではなく、日々変化する情報に目を向け、必要に応じて学び直すことで、現場でも信頼される存在でいられるでしょう。
なお、チアジョブ登販の公式SNSアカウントでは、登録販売者の知識収集に役立つ情報を随時発信しています。
知識のアップデートにお悩みの方は、ぜひチェックしてください。

接客や店舗管理・運営スキルを磨く
登録販売者として成長するには、知識だけでなく実務スキルを磨くことも重要です。
たとえば、接客時のお声がけやお客さまへの説明の仕方を見直すだけでも、信頼度や販売促進につながるでしょう。
また、売り場づくりや在庫管理、スタッフ間の連携など、店舗運営に関わるスキルを高めていくことは、将来的に店長や管理職を目指すうえでの大切な基盤になります。
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【ドラッグストアの売り場作り】販売ノルマを達成させる陳列テクニック
ドラッグストアで使える接客心理学!お客さまの信頼を得るコツは?<登録販売者向け>
プラスアルファで関連資格を取得する
| 医療事務関連の資格 | ・医療事務技能審査試験[メディカルクラーク®️] ・医療事務管理士®️技能認定試験 ・診療報酬請求事務能力認定試験 ・医療事務認定実務者®️ |
|---|---|
| 栄養関連の資格 | ・食生活アドバイザー®️ ・フードコーディネーター ・薬膳コーディネーター ・生活習慣病予防プランナー |
| その他の資格 | ・POP広告クリエイター ・薬機法管理者 |
登録販売者資格に加えて、医療事務や栄養関連の資格を取得することで、より幅広い分野に対応できるようになります。
医薬品だけでなくプラスアルファの知識を増やすことで、自信にもつながるでしょう。
また、POP広告クリエイターや薬機法管理者などの資格は、接客力や販促スキルを高めるうえでも有効で、現場での存在感を高める武器になります。
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登録販売者の将来性は?現状や今後より活躍するための働き方も紹介
「登録販売者がなくなる?」に関するよくあるQ&A
ここでは、「登録販売者がなくなる?」に関する疑問をQ&A形式で解説します。
登録販売者として今後も活躍していきたい方はぜひ参考にしてください。
Q.登録販売者数の現状は?
厚生労働省の発表によると、登録販売者資格の受験者数は、令和5年度は52,214人でしたが、令和6年度には54,526人と増加傾向にあります。
また、合格者数も令和5年度は22,814人ですが、令和6年度は25,459人となっており、受験者と同様に増加傾向です。
このように、登録販売者は引き続き注目度の高い資格であると言えます。
Q.登録販売者の資格は役に立たない?
登録販売者資格は、ドラッグストアや医薬品販売の現場で今も活かせる「役に立つ資格」です。
ただし、医薬品の情報や関連法令は日々変化しているため、知識をアップデートし続ける姿勢が求められます。
学びを止めず、現場で信頼される存在を目指すことが大切です。
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登録販売者の資格が「役に立たない」は本当?将来性や取得すべき理由を解説
Q.登録販売者は今後も需要がある仕事?
2分の1ルールの廃止や2025年改正薬機法の可決によって、登録販売者の働き方や雇用形態などが変わりつつあることは事実です。
しかし、一般用医薬品の遠隔管理販売が開始されても、登録販売者や薬剤師による管理が必要なことは変わりません。
そのため、登録販売者は引き続き必要とされ続けるでしょう。
また、医薬品販売に参入しやすくなったことにより、さまざまな事業者が医薬品を取り扱うようになりました。
販売する事業者数自体が拡大する見込みであるため、登録販売者の需要がなくなる可能性は低いと言えます。
登録販売者は今後も必要とされる存在
登録販売者の資格や仕事がなくなるという噂には根拠がなく、むしろ今後も医薬品販売の現場で必要とされる存在です。
制度改正や現場の変化に対応するには、知識のアップデートや実務スキルの向上を心がけましょう。
不安に惑わされず、学び続ける姿勢こそが将来の活躍につながります。
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【執筆者】
チアジョブ登販編集部
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