登録販売者の働き方
2025-12-05
登録販売者は増えすぎている?現状と将来性を徹底解説
・Before
・After

登録販売者は近年、資格取得者が増え続けています。「せっかく取ったのに求人が少ない」「経験者優遇ばかりで不安…」そんな声も少なくありません。本記事では、現状の背景から将来性、資格を活かすための具体的なヒントまで、現場経験をもとにわかりやすく解説します。
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登録販売者は増えすぎている?

冒頭でお伝えの通り、登録販売者の資格取得者は増加傾向にあります。
登録販売者の資格取得者は、2024年度までに累計約43万7,000人を超えているのが現状です。
これまでの試験合格者数や合格率、資格取得者が増加している要因について見ていきましょう。
資格取得者が増加している理由
実務経験が不要になり、誰でも受験できるようになった
②受験機会・会場の拡充
全国各地で年1回実施され、働きながらでも受験しやすい環境が整った
③需要の高まりによる認知度向上
ドラッグストア業界の拡大やOTC薬販売の人材確保で、資格の知名度と人気が上昇した
登録販売者の資格は、比較的短期間の学習で取得でき、国家資格に比べて難易度が下がります。
2009年に制度がスタートして以降、働きながらでも受験できる点が注目されています。
さらに、2015年には受験資格(学歴・実務経験)が撤廃され、主婦や転職希望者など幅広い層が挑戦しやすくなりました。
近年では、資格取得支援を行う企業や通信講座、スクールの増加も背景にあり、年々取得者が増えています。
受験者数・合格者数の推移
| 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(全国平均) |
|---|---|---|---|
| 2025年 | - | - | - |
| 2024年 | 54,526 | 25,459 | 46.7% |
| 2023年 | 52,214 | 22,814 | 43.7% |
| 2022年 | 55,606 | 24,707 | 44.4% |
| 2021年 | 61,070 | 30,082 | 49.3% |
| 2020年 | 52,959 | 21,953 | 41.5% |
| 2019年 | 65,288 | 28,328 | 43.4% |
| 2018年 | 65,500 | 27,022 | 41.3% |
| 2017年 | 61,126 | 26,606 | 43.5% |
| 2016年 | 53,369 | 23,330 | 43.7% |
参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」
登録販売者試験は制度開始以来、受験者数・合格者数ともに年々増加しています。
近年では年間5万人以上が受験し、そのうち2万人以上が合格する状況です。
合格率は都道府県ごとに差がありますが、全国平均ではおおむね40〜50%で安定的に推移しています。
毎年一定数の新規資格者が市場に供給され、業界全体として登録販売者の人材層は着実に厚みを増していると言えるでしょう。
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登録販売者は飽和状態に?増加による影響

登録販売者の資格取得者は年々増加しており、業界内での人材供給が着実に進んでいます。
資格者が増えることによる市場への影響や雇用環境の変化について解説します。
【結論】登録販売者の「飽和」にはつながっていない
登録販売者の資格取得者は年々増えているものの、セルフメディケーションの推進や一般用医薬品の市場拡大によって、現時点で雇用への深刻な影響は出ていません。
加えて、コンビニエンスストアや家電量販店といった新たな販売チャネルが広がったことで、ドラッグストア以外でも登録販売者が求められる機会が増加しています。
登録販売者の資格保有者が増えていることは事実ですが、需要も同時に拡大しており、「増えすぎ=飽和」という状況には現時点ではつながっていません。
むしろ、多様な分野で活躍の場が広がりつつあると言えるでしょう。
「2分の1ルール」撤廃による影響
2021年、登録販売者の配置義務に関する「2分の1ルール」が撤廃され、需要減少の懸念が広がっていました。
従来はコンビニなどで医薬品を扱う際、1日12時間以上販売体制を確保するため3〜5人の資格者が必要でした。
しかし、ルール撤廃により販売時間を短縮でき、少人数での運営が可能になりました。
一方で資格者は依然不可欠であり、短時間営業なら小規模店舗も参入しやすくなります。
その結果、新規参入による販売チャネル拡大や新たな需要創出につながる可能性も指摘されています。
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登録販売者不要論について
近年、医薬品販売に専門家は不要とする「登録販売者不要論」が一部で再び取り沙汰されています。
背景には、ネット販売やフードデリバリーを通じた医薬品購入の普及があり、資格者が関与しない購入も増えている点が挙げられます。
この議論は過去にネット販売解禁時にも浮上し、近年は「2分の1ルール」撤廃といった規制緩和で再燃しました。
しかし、登録販売者はOTC医薬品販売にとどまらず、消費者への適切な情報提供や健康支援といった社会的役割も担っており、不要論が現実化する可能性は低いと考えられます。
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ドラッグストア業界の拡大
ドラッグストア業界は、少子高齢化やセルフメディケーションの推進を背景に、店舗数や売上ともに拡大傾向にあります。
高齢者向け医薬品・健康食品・介護用品などの需要増加に加え、都市部・地方問わず新規出店が続いているため、登録販売者の採用ニーズも安定して高い状況です。
業界全体の成長が続く限り、登録販売者が飽和状態に陥るリスクは低いと考えられます。
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登録販売者の就職・転職市場の現状
登録販売者の就職・転職市場の現状について解説します。
これから就職や転職を考えている方は、ご参考ください。
セルフメディケーションの推進
セルフメディケーションの推進や高齢化の進展に伴い、一般用医薬品(OTC薬)の市場は年々拡大しています。
厚生労働省は医薬品の適正使用やセルフケア支援を積極的に推進し、2分の1ルール撤廃や改正薬機法による販売体制の柔軟化など、登録販売者が活躍できる環境整備を進めています。
また改正薬機法では、情報提供や相談対応の充実が求められ、資格者としての専門性がより重要視されるようになりました。
こうした背景から店舗ごとの資格者配置ニーズが高まり、ドラッグストアだけでなくコンビニや家電量販店など新たな業態にも広がっています。
結果として、登録販売者の就職・転職のチャンスも大きく拡大していると言えるでしょう。
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地域包括ケアシステムでの連携
地域包括ケアシステムとは、高齢者が要介護状態になっても地域で最期まで穏やかな生活を送れるように地域で支援を行う体制を指します。
OTC医薬品の販売や情報提供を行う登録販売者には、チームの一員として地域住民の健康を支える役割を果たすことが期待されています。
店頭で直接相談に乗ってセルフケアを促進できる登録販売者の存在は、地域包括ケアシステムに欠かせないものと言えるでしょう。
ドラッグストア以外の就職先も豊富
登録販売者の活躍の場はドラッグストアに限らず、コンビニやホームセンター、介護施設、オンライン薬局など多方面へ広がっています。
さらにネット通販やコールセンターでも需要が高まり、OTC医薬品販売では実店舗設置と資格者対応が必須なため専門知識を持つ人材は不可欠です。
また、医薬品を扱わないヘルスケア通販や相談窓口でも知識を活かせる場が増加しています。
こうした多様な業界の採用拡大により柔軟な働き方やキャリア選択が可能となり、需要が大きく減少する可能性は低いでしょう。
ドラッグストア・コンビニ・ホームセンター・介護施設・オンライン薬局・製薬会社・スーパー・漢方薬局・エステサロン
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「OTC類似薬」の保険給付のあり方が変わる可能性
OTC類似薬とは、OTC医薬品と成分や効能が似ているものの、医師の処方が必要な医療用医薬品のことです。
近年、こうしたOTC類似薬を保険適用から外す方針が政府内で検討されています。
決定すれば、OTC類似薬をドラッグストアなどで取り扱うようになります。
その結果、これまで医療機関を受診していた患者が店舗に訪れる機会が増え、薬剤師や登録販売者が相談や販売対応に追われる可能性も考えられています。
登録販売者に将来性はある?

国が推進するセルフメディケーションにおいて、専門知識を持つ登録販売者は重要な役割を担っているため、その将来性は高いと言えます。
高齢化が進む中、地域包括ケアシステム内でも医薬品の専門家として活躍が期待されています。
さらに、薬剤師より人件費を抑えられる点は小売現場での採用ニーズを高めているでしょう。
インターネットを活用した新たな販売形態の登場により、今後さらに多様な分野での活躍が期待されています。
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登録販売者として市場価値を高める3つの方法
登録販売者として市場価値を高めるためには、主に3つの方法があります。
キャリアアップを目指す方は必見です。
実務経験を積んで管理者要件を満たす
登録販売者は、実務経験を積んで管理者要件を満たすことで、1人で医薬品販売を行えるようになります。
研修中の立場に比べて業務の幅が広がり、店舗管理や売上管理など責任ある仕事も任されるようになるのが大きな違いです。
この要件を満たせば、異業種での転職や新規出店時にも高い需要があり、キャリアの選択肢が大きく広がります。
さらに、店舗管理者としての経験を積めば、マネジメント能力や実績が評価され、将来的な昇進や待遇改善にもつながるでしょう。
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接客スキルやマネジメントスキルを磨く
登録販売者として市場価値を高めるには、日々の業務で接客力や医薬品に関する知識を磨くことが欠かせません。
お客さまの症状や状況に応じた適切なアドバイスや提案ができれば、職場内での信頼や評価も向上します。
さらに、売り場づくりや在庫管理など店舗運営にも積極的に関わり、マネジメントスキルや業務改善力を身につけることも重要です。
医薬品販売にとどまらず、健康相談やセルフメディケーション支援ができる人材は、今後ますます高く評価されるでしょう。
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プラスアルファの資格を取得する
登録販売者としての基礎資格に加え、医療事務や登録販売者向け研修認定制度などの資格を取得することで、専門性と業務対応力を高められます。
化粧品を扱う店舗ではビューティーアドバイザー、調剤を扱う店舗では調剤薬局事務資格、さらにサプリメントアドバイザーや健康食品管理士なども有効です。
資格を取得することで転職やキャリアアップ時に有利となり、企業からの評価向上にも直結します。
学ぶ姿勢を持ち続けることが、自身の市場価値を長期的に高める鍵となるでしょう。
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登録販売者の増加に関するよくある質問
登録販売者の増加に関するよくある質問をまとめました。
今後登録販売者として活躍していきたい方はぜひ参考にしてください。
Q.登録販売者の資格が廃止される可能性はある?
現時点で登録販売者の資格が廃止される予定はなく、国のセルフメディケーション推進や高齢化対応の方針からも需要は継続すると考えられます。
規制緩和の影響はあるものの、資格の役割は今後も維持される見込みです。
Q.登録販売者の資格を取っても就職できないことはある?
登録販売者は需要が高い資格ですが、地域やタイミングによっては希望条件に合う求人が少ない場合もあります。
特に経験者優遇の傾向があり、未経験者は応募が集中すると採用が難しくなることもあるでしょう。
Q.登録販売者の資格だけでは就職が難しい?
登録販売者の資格だけでも就職は可能ですが、管理者要件を満たしていると業務の幅がさらに広がり、即戦力として評価されやすくなります。
経験やスキルも加われば、採用面でのアピール度はさらに高まるでしょう。
登録販売者は増えても、需要は伸び続ける
登録販売者は資格取得者が増加しているものの、セルフメディケーション推進や高齢化、販売チャネルの多様化により需要は底堅く推移しています。
ドラッグストア以外にも活躍の場が広がり、管理者要件の取得や接客・運営スキルの向上、プラスアルファの資格取得によって市場価値はさらに高まります。
今後も、医薬品販売や健康支援の現場で重要な役割を担い続けるでしょう。
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【執筆者】
チアジョブ登販編集部
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